こどもNISAをどう活かす?トランプ口座やJunior ISAに学ぶ金融教育

こどもNISAをどう活かす?トランプ口座やJunior ISAに学ぶ金融教育

金融教育推進室 田嶋恵理子

2026/07/01

「子どもにお金のことをどう教えればいいのだろう。」

物価上昇や将来不安が話題になるなか、家庭でお金について考える機会も増えているのではないでしょうか。一方で、「金融教育」と聞くと難しそうだと身構えてしまう方もいるかもしれません。
そんななか、注目されているのが投資体験を通じた学びです。日本では、2027年1月開始を目指して「こどもNISA」の創設に向けた議論が進められています。2024年から始まった新しいNISAの普及も背景に、子どもの頃から資産形成に触れる機会をどうつくるかへの関心が高まっています。

子どもの将来に向けた資産形成と金融教育を結びつけるこうした動きは、日本だけでなく世界でも広がっています。

こどもNISAのヒントは海外にあり?世界で広がる子ども向け投資制度

アメリカでは子どもの資産形成を支援する「トランプ口座」の導入が予定されており、イギリスでも「Junior ISA(ジュニアISA)」が広く利用されています。さらに、シンガポールでは学校教育を含めた金融教育の強化が進み、オーストラリアでも未成年向け投資口座の活用が広がるなど、世界的に「子どもの頃からお金と向き合う」流れが強まっています。

制度の形は異なりますが、共通しているのは、子どもの将来に向けてお金との向き合い方を早い段階から学ぶ機会をつくろうという考え方です。

今回はアメリカとイギリスの制度を参考にしながら、子ども向け投資制度が果たす役割や、日本のこどもNISAを活かすヒントについて考えてみたいと思います。

アメリカ:トランプ口座が示す新たな取り組み

アメリカでは以前から、未成年向けの投資口座や教育資金制度が普及しており、子どもの頃から投資に触れる機会が比較的多く見られます。
建国250周年という節目に合わせて2026年7月に開始が予定されている「トランプ口座」も、そうした流れの延長線上にあります。

トランプ口座とは?

トランプ口座は政府による初期拠出が設けられているほか、家族や寄附などによる資金拠出も可能とされており、子どもの将来の資産形成を幅広い主体で支える仕組みとして注目されています。

トランプ口座の特徴

トランプ口座では、幅広い米国株式市場への分散投資を基本としており、長期的な資産形成を支援する仕組みが想定されています。 政府による初期拠出に加え、家族や祖父母なども資金を積み立てることができるため、子どもの成長に合わせて継続的に資産形成を行える点が特徴です。

トランプ口座が金融教育にもたらすもの

トランプ口座の意義は、資産形成だけにとどまりません。投資を通じて、子どもが社会や経済への関心を持つきっかけをつくる役割も期待されています。
例えば、「どのような企業がアメリカ経済を支えているのか」「なぜ市場全体が動いたのか」といった話題を家庭で共有することで、企業活動や社会の動きについて考える機会が生まれます。

投資を通じて、お金だけでなく社会を見る視点を育てる――。それも、子ども向け投資制度に期待される役割の一つと言えるでしょう。

イギリス:Junior ISAが広げる子どもの資産形成の選択肢

イギリスでは、子どもの将来に向けた資産形成を支援する制度として「Junior ISA」が広く活用されています。
日本のNISAの参考となったISA(Individual Savings Account)の子ども版にあたり、将来に向けた長期的な資産形成を後押しする仕組みとして定着しています。

Junior ISAとは?

Junior ISAは、18歳未満の子どもを対象とした非課税の資産形成制度です。親や祖父母などが資金を拠出し、運用で得られた利益には税制優遇が適用されます。資産は子ども名義で管理され、18歳になると本人へ引き継がれます。

Junior ISAの特徴

Junior ISAには、預金を中心に運用するタイプと、投資信託やETF、株式などで運用するタイプが用意されています。そのため、家庭の考え方やリスク許容度に応じて資産形成の方法を選ぶことができます。

Junior ISAが金融教育にもたらすもの

Junior ISAは資産形成の手段であると同時に、お金や投資について家族で話し合うきっかけにもなります。

例えば、「なぜ積立を続けるのか」「預金と投資にはどのような違いがあるのか」といったテーマについて親子で考えることで、お金との向き合い方を学ぶ機会が生まれます。

家庭の考え方に応じて幅広い選択肢の中から運用方法を選べることも、Junior ISAの特徴の一つです。資産形成の経験を通じて、自ら考え判断する力を育むことは、金融教育の観点からも大きな意義があると言えるでしょう。

こどもNISA・トランプ口座・Junior ISAを比べてみよう

各国とも子どもの将来に向けた資産形成を後押しする点は共通していますが、制度設計や投資対象には違いがあります。

日本 アメリカ イギリス
制度 こどもNISA トランプ口座など Junior ISA
税制優遇 非課税 課税繰り延べ型 非課税
主な拠出者 親・祖父母など 政府・親・寄附など 親・祖父母など
投資可能商品 低コストインデックスファンド 米国株式市場に連動する低コストインデックスファンド・ETF 預金、投資信託、ETF、株式等
スクロールできます

※こどもNISAの内容は2026年6月19日時点の情報に基づくもので、今後変更される可能性があります。

日本でも広がる「投資を通じた学び」

日本でも、新しいNISAの普及を背景に、投資が以前より身近なものになりつつあります。今後、こどもNISAが実現すれば、単なる非課税制度としてだけではなく、「親子でお金について考えるきっかけ」として活用できる可能性があります。

投資を通じて得られる学びは少なくありません。
 ✔ お金は増えることも減ることもある
 ✔ 短期ではなく長期で考える
 ✔ 自分で選び、判断する
 ✔ 社会や企業に関心を持つ
こうした経験は、将来の金融リテラシーの基礎にもなります。

もちろん、難しい金融知識を教える必要はありません。
「この会社はどんな商品を作っているの?」
「どうして株価が動いたのかな?」
「長く積み立てるとどうなるんだろう?」
そんな日常の会話こそが、金融教育の第一歩になるのではないでしょうか。

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こどもNISAをきっかけに今から親子で始める投資体験

こどもNISA創設の議論が進むなか、今から始められることもあります。

その一つが、こども口座(未成年口座)の活用です。株式や投資信託などを通じて資産運用を体験することで、親子でお金について話す機会を自然につくることができます。毎月の積み立て状況を一緒に確認したり、ニュースを見ながら経済の動きを話したりするだけでも、お金への理解は深まっていくでしょう。

大切なのは、投資を始めることだけではありません。親子で一緒に考え、話し合い、自分で選ぶ経験を積み重ねること。そのプロセス自体が、金融教育になるのです。

未来への準備は今日から!まずは、こども口座の開設で資産づくりの一歩を踏み出しましょう

まとめ:こどもNISAを活かして親子でお金について考えてみよう

世界では、子どもの頃から資産形成や金融教育に触れる仕組みづくりが進んでいます。米国では新たな制度の導入を通じて子どもが投資に触れる機会づくりが進められ、英国では家庭の考え方に応じて資産形成の方法を選べる仕組みが広く活用されています。制度の形は異なっても、子どもの将来に向けた資産形成や、お金との向き合い方を学ぶ機会を支えようとする考え方には共通するものがあります。

日本のこどもNISAも、こうした海外の事例を参考にしながら、子どもの将来に向けた資産形成や金融教育のあり方を考えるきっかけになるかもしれません。

投資は、単に資産を増やすためだけのものではありません。社会を知り、長期で考え、自分で判断する力を育てる学びにもなり得ます。こどもNISAをきっかけに、親子で「お金との向き合い方」を考えてみてはいかがでしょうか。

著者プロフィール

田嶋 恵理子(たじま えりこ)

金融教育推進室 金融教育インストラクター
SMBC日興証券に新卒入社し、10年間にわたり個人のお客さま向け資産運用相談業務に従事。その後、J-FLEC認定アドバイザーとして金融経済教育の講師を務め、現在はSBI証券に所属。
金融教育インストラクターとして、専門知識と“やさしい伝え方”の両方を大切にし、一人でも多くの方に金融や資産形成を身近に感じていただけるよう、わかりやすい情報発信に取り組んでいます。

保有資格

・1級ファイナンシャル・プランニング技能士
・CFP®(全科目合格)
・保育士資格

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NISAで購入できる商品はSBI証券が指定する商品に限られます。

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年間投資枠と非課税保有限度額が設定されます。

年間投資枠は成長投資枠が240万円、つみたて投資枠が120万円までとなり、非課税保有限度額は成長投資枠とつみたて投資枠合わせて1,800万円、うち成長投資枠は1,200万円までとなります。非課税保有限度額は、NISA口座内上場株式等を売却した場合、売却した上場株式等が費消していた非課税保有限度額の分だけ減少し、その翌年以降の年間投資枠の範囲内で再利用することができます。 投資信託における分配金のうち特別分配金(元本払戻金)は、非課税でありNISAにおいては制度上のメリットは享受できません。

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