日経平均は33,000円回復目前!33年ぶり高値更新に向けてカギを握るのは?

日経平均は33,000円回復目前!33年ぶり高値更新に向けてカギを握るのは?

投資情報部 淺井一郎 栗本奈緒実

2023/09/05

日経平均は大幅続伸。割安感があり、業績堅調な銘柄が選好される

8月第5週の(8/28-9/1)の日経平均は、前週末比1,086円34銭高(+3.44%)と週足ベースで大幅続伸。米経済指標が景気の軟調を示唆し、高止まりしていた米長期金利が低下し始めたことが追い風となりました。また、カントリーガーデンのデフォルト懸念に端を発した中国景気の先行き懸念に対し、中国当局が対応策に本腰を入れ始めたとの見方から安心感が広がった格好です。

同期間はTOPIXが+3.7%(日経平均は+3.4%)でバブル崩壊後の高値を33年ぶりに更新。業績が堅調なバリューセクターの銘柄に買いが集まる傾向でした。

業種別(東証株価指数33業種)の上昇率トップは機械で、日経平均株価採用銘柄の騰落率上位(8/25~9/1、図表7)にも4銘柄がランクインしています。米バイデン政権が推し進める大規模なインフラ投資の効果が表面化してきたことや、米住宅市場が底入れしたとの見方から、建機メーカーの代表格であるキャタピラー(CAT)や、建機のレンタル等を行うユナイテッド レンタルズ(URI)の株価が堅調でした。北米市場の期待感等を背景に、クボタ(6326)や住友重(6302)など日本の建機メーカーに対しても投資判断や目標株価の引き上げが相次ぎました。

9月第1週の日経平均は上昇してスタートし、9/4(月)までで6営業日続伸。前週末に発表された米8月雇用統計は波乱なく通過し、安心感から買いが広がった形です。

図表1 日経平均株価およびNYダウの値動きとその背景

図表2 日経平均株価

図表3 NYダウ

図表4 ドル・円相場

図表5 主な予定

図表6 日米欧中央銀行会議の結果発表予定

図表7 日経平均株価採用銘柄の騰落率上位(8/25~9/1)

図表8 日経平均株価採用銘柄の騰落率下位(8/25~9/1)

日経平均は33,000円回復目前!33年ぶり高値更新に向けてカギを握るのは?

日経平均は8/28(月)から9/4(月)にかけて6連騰し、8/2(水)以来の33,000円台回復まであと一歩に迫っています。チャート上で日経平均は、8/14(月)に割り込んだ26週(25日)移動平均線の水準を既に回復しており、株価は比較的に短期的な調整に留まったと見られます。この背景には、8月上中旬に軟調だった米国株式市場が、長期金利の上昇一服を受けて買い戻されたことが挙げられます。特に8/25(金)のパウエルFRB議長によるジャクソンホールでの公演は、事前に警戒されていた金融引き締め強化の姿勢がほとんど示されず、ほぼ無風だったことが、株式市場の買い安心感となり相場を下支えしたと見られます。

このように米国長期金利低下による米株高が、日経平均が再上昇する手掛かりの1つになった訳ですが、その一方で騰落レシオ(25日)は、過熱圏とされる120%を越え、更にRSIについても過熱圏とされる70%に接近しています。株式市場が大きく上昇する際、こうしたテクニカル指標は節目を大きく超えることがあるとは言え、相場が過熱圏にあることも確かであり短期的に調整局面入りする可能性も否定できないでしょう。日経平均が再び大台をクリアし、7/6(木)に付けた年初来高値(=33年ぶり高値)である33,773円を超えることが出来るかを見極める上で、引き続き米国市場の動きに目を光らせる必要があるでしょう。

図表9 日経平均とテクニカル指標

  • ※BloombergのデータをもとにSBI証券が作成


米国では、これまでの経済回復を支えてきた雇用市場において減速の兆しが強まっています。8/23(水)に米労働統計局が発表した雇用統計の年次改定(速報)では、今年3月まで1年間における雇用の増加数が、従来に比べて合計で30.6万人下方修正される見通しが示されました。また、9/1(金)に発表された8月雇用統計では、非農業部門雇用者数が前月比+18.7万人となっており、6ヵ月移動平均で見ると増加ペースが着実に鈍化していることが分かります。米国では強い雇用市場の動きが、金融引き締めを強化する1要因だっただけに、同市場が緩み始めていることは、経済の緩やかな減速(ソフトランディング)への期待を強めると考えられます。

ただ、気を付ける必要があるのは、米国経済の調整色が強まり、景気減速ではなく景気後退に陥ってしまうリスクでしょう。ここまで米国経済が堅調に推移してきたとは言え、経済のけん引役は、雇用市場の回復に裏付けされた個人消費です。企業(特に製造業)は、生産活動や設備投資の成長が緩慢となっています。米国経済の成長が個人消費の一本足となっているだけに、ここが減速すれば米経済の後退感が一気に強まる可能性があります。

図表10 米非農業部門雇用者数と失業率

  • ※BloombergのデータをもとにSBI証券が作成


そしてもう1つ、米国長期金利の動きにもあらためて注意する必要があります。先週末に発表された雇用統計では、発表前まで米長期金利が低下傾向を辿っていましたが、統計が発表すると再び金利上昇となっており、まだまだ金利の先安観(低下観測)が強まっている訳ではなさそうです。現状では、WTI原油先物価格が約10ヵ月ぶりに1bbl(バレル)=85ドル台を超えてきており、エネルギー価格の上昇を通じたインフレへの警戒が、長期金利の上昇を促す可能性があり、この点についても注視する必要があるでしょう。

過去の225の『ココがPOINT!』飲み頃のスープはまだ続く?米金融政策の注目点は?でも指摘しましたが、株式市場にとっては、米国経済が熱し過ぎず、冷め過ぎない適温経済(ゴルディロックス)にあることこそが、相場上昇を長引かせるカギと言えるでしょう。

図表11 米10年国債利回りとWTI原油先物価格

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