日経平均株価は「三角保ち合い」から上放れるか?

日経平均株価は「三角保ち合い」から上放れるか?

投資情報部 鈴木英之 栗本奈緒実

2024/12/17

日経平均、一時4万円を突破!

12月第2週(12/9-13)の日経平均は、前週末比379円高(+0.97%)と週足ベースで続伸。12日(木)には約2カ月ぶりに一時40,000円を突破しました。しかし、上値水準として意識されていた節目であったことや、翌週に重要イベントを控えていたことなどから、その後は売りが先行。 さらに、東京株式市場は13日(金)のSQ算出を経て、手仕舞い売りが広がった面もありました。

日経平均株価採用銘柄の騰落率上位(12/6~12/13・図表7)は株主還元が好感された銘柄が上位にランクイン。首位は楽天グループ(4755)でした。12/6(金)の引け後、12月末時点で100株以上保する株主を対象に、「楽天モバイル」回線での通話利用+1月あたり30GBのデータプランを1年間無料で提供という優待内容を発表しました。2位の王子HD(3861)は、27.3期末までに1,000億円の自社株買い実施を発表。また、12/16(月)時点の時価総額6,232億円に対し、16%に該当する大規模な計画が好感されました。

日経平均株価採用銘柄の騰落率下位(12/6~12/13・図表8)には、電気・ガス業の大手が2位と3位、私鉄大手が3銘柄ランクインしました。日銀の追加利上げ観測が後退し、円安ドル高が進行。内需株として選好されていた業種に反動売りが広がったとみれます。

12月第3週(12/16-20)には、年内最後の金融政策会合が開催される予定です。16日(月)の日経平均は、方向感に乏しい展開となり、前日比はほぼ横ばいでした。

12/17-18開催予定のFOMCでは、0.25%ptの利下げはほぼ確実視されています。四半期に1回公表されるFOMC参加者達の政策金利予想や、FRB議長の経済見通しに注目です。足元の米経済指標では、粘り強いインフレが示唆されています。FRBによる利下げペースの低下が意識された場合、テック株を中心に株式市場の重しになる可能性があります。19日(木)の日銀会合では、利上げなしが市場コンセンサスですが、仮に利上げが実施された場合、円高進行による、株安にも注意が必要です。

図表1 日経平均株価およびNYダウの値動きとその背景

図表2 日経平均株価

図表3 NYダウ

図表4 ドル・円相場

図表5 主な予定

図表6 日米欧中央銀行会議の結果発表予定

図表7 日経平均株価採用銘柄の騰落率上位(12/6~12/13)

図表8 日経平均株価採用銘柄の騰落率下位(12/6~12/13)

日経平均株価は「三角保ち合い」から上放れるか?

日経平均株価は「三角保ち合い」を形成しています。「保ち合い」形成中は、膠着感が強く、当面は一進一退の動きが続くとの予想が支配的になりそうです。しかし一般的に、「保ち合い」は株価が大きく動く前の準備期間であることが多いようです。現在も「嵐の前の静けさ」と言えるかもしれません。幸い、25日、75日、200日といった移動平均線は日々線の下にあり、形としては強気相場の様相を呈しています。12月第3週(12/16~12/20)は重要な経済イベントを控えていますが、そこを無事通過できれば、大納会に向けて「掉尾の一振」を期待できるかもしれません。

図表9   日経平均株価(日足・6ヵ月)~「三角保ち合い」を形成中

12月第3週(12/16~20)のもっとも重要な経済イベントはやはり、日米の金融政策決定会合であると考えられます。FOMC(米連邦公開市場委員会)は米国時間12/17(火)から開催が予定され、同12/18(水)(日本時間12/19早朝)に結果が発表される予定です。短期金融市場の織込み度合いから、今回は0.25%の利下げは、ほぼ確実とみられます。

問題は2025年の見通しがどう変化するかです。12/16時点の2025年末に予想される米政策金利を整理すると

(1)短期金融市場の中心的予想では3.75%~4.0%・・・2024年末政策金利を4.25~4.5%とした場合は0.25%利下げが2回

(2)FOMCメンバー19人の中心的予想は3.00%~3.25%または3.25%~3.50%・・・2024年末政策金利を4.25~4.5%とした場合は0.25%利下げが4または5回

FOMCメンバーの予想がハト派的なものにとどまるか、タカ派的な予想に変化していくか注目される所です。なお、日銀金融政策決定会合の結果は12/19(木)発表予定で、今回は政策に変更はなく、2025年1月会合以降に追加利上げがあるとの見方が増えているようです。

いずれにせよ、日銀金融政策決定会合の結果が判明する12/19(木)昼頃までは、神経質な展開が続く可能性がありそうです。しかし、上記シナリオ通りに、今週を無事通過することができれば、日経平均株価の年末株高を期待できそうです。

図表10  日経平均株価とPBR(月足・過去10年)

日本株の先行きを考える時に懸念要因となってきたのが「企業業績」です。上場企業の業績を示唆する日経平均予想EPS(1株利益)は10/15に2,515円のピークを付けた後、決算発表シーズンを経て、11/14には2,425円まで低下しました。

しかし、日経平均予想EPSは11/14をボトムにやや回復傾向にあり、足元では2,500円が意識される水準まで回復してきました。こうした中12/13(金)に発表された日銀短観(12月)では、大企業の業況判断指数(全産業)(「良い」-「悪い」・%ポイント)が+23と前回(9月)数字を維持し、9月調査時点での「先行き」予想を上回りました。他の業種への影響も大きい、自動車が前回から回復したことに加え、半導体製造装置を含む生産用機械も大きく改善してきました。

企業業績は足元で「底割れ」が防がれているとみられ、株価の下支え材料になるとみられます。

図表11 日銀短観・大企業の業況判断指数(2024年12月調査)

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