日経平均の反発に期待!トランプ関税がチャンスに?

日経平均の反発に期待!トランプ関税がチャンスに?

投資情報部 鈴木英之 栗本奈緒実

2025/04/15

日経平均株価、乱高下!

4月第2週(4/7~4/11)の日経平均株価は、前週末比195円安(▲0.58%)と週足ベースで続落。しかし、毎営業日4桁以上の乱高下を繰り返し、一般的に20を超えたら「投資家の不安心理が高い」とされる日経平均VI(恐怖指数)は、30~60の水準で推移していました。

株式市場は、トランプ米政権の関税政策を巡り、政策や発言の内容に一喜一憂する展開でした。米国と中国との報復合戦が激化する一方、日本を含め米国に対して報復措置を講じていない国・地域に対しては相互関税の上乗せ部分が一時停止され、好悪材料がまちまちです。変動の激しい株式市場を尻目に、米債券市場では、米長期金利の上昇(価格が下落)基調が継続。安全資産として選好されていた米国債に売りが発生し、米国への信頼の低下が指摘されています。

日経平均株価採用銘柄の騰落率上位(4/4~4/11・図表7)の首位は、原子力と防衛、2つの成長期待分野を有する日本製鋼所(5631)です。7日(月)に大手日系証券会社が目標株価を引き上げ、年初から軟調だった株価推移が上昇に転じました。

日経平均株価採用銘柄の騰落率下位(4/4~4/11・図表8)は、医薬品が10銘柄中6銘柄を占めました。相互関税では除外された輸入医薬品に対し、トランプ米大統領は「大規模な追加関税を近く発表する」と明らかにしたことが嫌気されました。3位の安川電機(6506)は中国向け売上高構成比が約2割(25.2期)を占めており、米中貿易摩擦の激化により売られた形です。

4月第3週(4/14~18)の日経平均株価は、上昇スタート。14日(月)は米国で長期金利の上昇が一服した状態です。しかし、米国への信頼は回復しておらず、今後も動向を注視する必要があります。同日発表されたNY連銀の3月調査では、1年先の期待インフレ率は3.6%と前月から0.5%pt上昇し、1カ月の上昇幅としては過去2カ月で最大となり、トランプ関税による影響が反映された格好です。

図表1 日経平均株価およびNYダウの値動きとその背景

図表2 日経平均株価

図表3 NYダウ

図表4 ドル・円相場

図表5 主な予定

図表6 日米欧中央銀行会議の結果発表予定

図表7 日経平均株価採用銘柄の騰落率上位(4/4~4/11)

図表8 日経平均株価採用銘柄の騰落率下位(4/4~4/11)

日経平均の反発に期待!トランプ関税がチャンスに?

4月第2週(4/7~4/11)は、「トランプ関税」によって大きく影響を受けた1週間でした。現在、米国に輸入される鉄鋼・アルミ、自動車には25%の関税がかかっており、その他の輸入品には10%の関税が適用されています。さらに、中国からの輸入品には145%の関税がかかっています。一時は半導体やスマホ、PCなどへの関税が猶予されるとの報道もありましたが、最終的には関税が課される見通しです。

このような状況の中、米国では景気が悪化しつつインフレが進む「スタグフレーション」への懸念が高まっています。4/11(金)に発表されたミシガン大学の消費者信頼感指数では、予想を下回る結果となり、消費者の心理が悪化。また、1年後の予想インフレ率も上昇(図表9)し、消費者がスタグフレーションを心配していることが経済指標にも示された格好です。

さらに、米国の政策に対する信頼が低下し、ドルに対する不安が広がっています。その結果、米国の長期国債が売られ、価格が急落(利回りが急上昇)するという不安定な動きが見られます。米国が中国以外の国との相互関税を一時的に猶予した背景には、この債券市場の混乱が大きな要因とされています。

米国経済にとって、財政赤字と貿易赤字の解消が課題ですが、関税政策が逆効果となる可能性が高まっています。特に、中国からの輸入品に対する高い関税は、米国の電子機器を扱う企業に大きな打撃を与える可能性があります。生産拠点を米国内に移すには時間がかかり、高い人件費のため製品価格が上昇することは避けられないとみられます。結果として、コスト増は米国の消費者に負担がかかることになります。

なお、日本から米国への輸入は鉄鋼、アルミ、自動車で25%、他の物品で10%関税がかかります。米国内で生産される物品に比べれば日本製品の競争力が不利になるという面があります。さらに、これらの税率について多くの場合、日本の税率が他の国よりも必ずしも高い訳ではありません。特に中国から米国への輸入に対しては高い関税が課されており、中国との価格競争力は強まるとみられます。

トヨタ自動車(7203)は、自動車関税によるコスト増を原価低減などの企業努力でカバーし、米国での値上げを当面回避する方針です。これにより、トヨタの競争力が強化される可能性もあります。また、ホンダ(7267)は日本から米国への輸入がないため、他の日本の自動車メーカーや、自国で製造している米国外の海外自動車メーカーより相対的に有利な面もあります。

半導体製造装置や材料の分野では、米国が生産できない品目も多くあり、多くの日本企業が高い世界シェアを持っているため、米半導体メーカーの多くは、日本企業との取引を続けると見られます。これにより、好業績を維持できる企業も増えてくるでしょう。特に、半導体製造装置は日経平均株価に大きなウエイトを占めている銘柄が多く、株価の反発に寄与することが期待されます。

図表9 消費者は1年後にインフレ高進を予想?

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