「公明離脱」「米中対立」でも日経平均株価は上昇基調を維持?

投資情報部 鈴木 英之 植田雄也
2025/10/14
日経平均は終値ベースで史上初の48,000円台
■10月第1週(10/6~10/10)の株式市場動向
・日経平均株価10/10(金)終値は48,088円80銭で、前週末比+2,319円30銭(+5.07%)高と週足ベースで大幅上昇。
・週初の急騰が市場全体を押し上げ、週末にかけては高値警戒感と出遅れ銘柄への物色が交錯する展開となりました。
日経平均株価の変動要因
①週初の急騰:10/6(月)の日経平均は2,175円26銭高(+4.75%)と大幅上昇。自民党総裁選に高市氏が当選し、積極財政に期待
②週中は高値警戒感と調整:利益確定売りや機関投資家によるポジション調整が入り、上値は重くなる展開
③週末の反落:急騰の反動に加え、政局の不透明感や3連休前の手じまい売りが重しに
■ 騰落率の傾向(10/3~10/10)
・上昇率上位:首位の安川電機(6506)は今期業績予想の上方修正に加え、SBG(9984)のロボティクス事業買収を受け、「フィジカルAI」関連として買われました。核融合炉向けの光部品を手掛けるフジクラ(5803)や半導体製造装置のアドバンテスト(6857)など、高市新総裁の政策期待で上昇しました。
・下落率上位:化学は中国需要の鈍化、米中対立が重しになりました。銀行業は高市氏の積極政策を背景に、利下げ期待が遠のいたことで売りが入りました。
■ 10月第2週のスタート(10/14)
・前日の米国市場の大幅上昇を背景に、自公連立解消や米中対立再燃の影響度は限定的となる見込み。
図表1 日経平均株価およびNYダウの値動きとその背景

図表2 日経平均株価

図表3 NYダウ

図表4 ドル・円相場

図表5 主な予定

図表6 日米欧中央銀行会議の結果発表予定

図表7 日経平均株価採用銘柄の騰落率上位(10/3~10/10)

図表8 日経平均株価採用銘柄の騰落率下位(10/3~10/10)

「公明離脱」「米中対立」でも日経平均株価は上昇基調を維持?
■米中関税問題再燃と公明党連立政権離脱で市場が動揺
東京株式市場は、複数の外部要因によって短期的に揺れ動いています。
・米国ではトランプ政権が対中関税の強化を再び示唆し、国際的な供給網や企業収益への懸念が広がっています。
・日本国内では公明党が自民党との連立を離脱し、政策連携の不確実性が高まっています。
これらの要因は、日経平均株価に一時的な下落圧力を与えていますが、中長期の投資判断に影響する本質的な材料として捉えるべきではないとみられます。
■インフレ下における株式市場
その理由は、現在の日本経済がインフレ環境下にあるという点にあります。消費者物価指数(CPI)は前年同月比+2%超の水準で推移しており、これは企業の名目売上や利益を押し上げる構造を形成しております。
インフレは企業が価格転嫁を行いやすくなる環境であり、利益率の改善が期待されます。株式はこのような環境下で“実質資産”としての価値を高める傾向があり、インフレは株価にとってむしろ追い風とみられます。
実際、日経平均株価はここ数年上昇基調です。この上昇は、単なる金融緩和の結果ではなく、企業の利益構造と政策環境の変化が重層的に絡み合った結果とみられます。インフレが進行する中で企業業績は堅調(図表9)に推移しており、現物需給も安定しております。短期的な政局不安や地政学的なノイズがあっても、株式市場の基盤は揺らいでいないとみられます。
図表9 日経平均株価の予想EPS(1株利益)は過去最高

■米中関税も公明離脱も、株式市場の本質的な流れを変えるものではない?
政局の変化は政策テーマに影響を与えそうです。公明党が主導していた福祉・再生可能エネルギーなどの政策は、連立離脱により実現可能性が不透明となりそうです。これに対し、維新・国民民主系の政策テーマである地方創生、教育ICT、雇用支援、大阪副首都ビジョンなどへの注目度が高まりそうです。
現在のようなインフレ環境下では、短期的な政局ノイズに過剰反応することなく、企業の利益成長と政策テーマの再編に注目し、中長期の視点で投資判断を行うべき局面だと思われます。米関税も公明離脱も、株式市場の本質的な流れを変えるものではなく、むしろ“雑音”として冷静に受け止めるべきかもしれません。
図表10 消費者物価上昇率と日経平均株価

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日経平均VIは、急上昇した後に数値が一定のレンジ(20~30程度)に回帰するという特徴を持っています。
日経平均VIは、短期間で急激に数値が変動するため、リアルタイムで価格情報を入手できない環境での取引は推奨されません。
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