日経平均は5万円超えから「新章」スタートに?

投資情報部 鈴木 英之 植田雄也
2025/10/28
日経平均は大台の5万円を突破
■10月第3週(10/20~10/24)の株式市場動向
・日経平均株価10/24(金)終値は49,299円65銭で、前週末比1,717円50銭(3.6%)の大幅上昇。
・日経平均株価の変動要因
①週初の急騰:10/20(月)の日経平均は1,603円35銭高(+3.36%)と大幅上昇。自民と維新の連立政権樹立を好感。
②週中の調整:材料出尽くしで伸び悩み。米中貿易摩擦に警戒感浮上。
③週末の反発:米インテルの好決算を受けてハイテク株中心に買い。
■ 騰落率の傾向(10/17~10/24)
・上昇率上位:高市首相が21日の初閣議で示した「総合経済対策」の3本柱のうち、防衛強化に関連する銘柄が上昇率上位に入りました。加えて、成長戦略に沿った技術革新(AI・半導体・電気機器)や再エネ・インフラ投資(スマートインフラ・国土強靱化)に関連する銘柄も物色され、政策期待が相場を押し上げる構図となりました。
・下落率上位:政策期待で買われた銘柄群とは対照的に、業績や外部環境に左右される銘柄が売られる展開になりました。
■ 10月第4週のスタート(10/27)
今週は、世界の政治・経済の方向性を占う重要イベントが集中する「試金石の一週間」となりそうです。
・日米首脳会談28日(火):安全保障と経済の両面で日米協調が進展するかが焦点です。
・FOMC29日(水)結果発表:利下げはほぼ確実視されておりパウエル議長の発言が注目されます。
・GAFAM5社決算発表29日(水)~30日(木):AI・クラウド・広告収益の動向が強気相場継続の鍵を握るため、テック株の動向が市場全体のセンチメントを左右する展開が予想されます。
・日銀政策決定会合の結果発表30日(木):利上げ見送りの可能性が高く、円安・株高の流れが継続するかが注目されます。
・米中首脳会談30日(木):対中国100%関税の発動見送りや、中国によるレアアース規制の延期など、貿易摩擦の緩和に向けた合意形成が期待されており、株式市場にはポジティブな材料となる可能性があります。
図表1 日経平均株価およびNYダウの値動きとその背景
図表2 日経平均株価
図表3 NYダウ
図表4 ドル・円相場
図表5 主な予定
図表6 日米欧中央銀行会議の結果発表予定
図表7 日経平均株価採用銘柄の騰落率上位(10/17~10/24)
図表8 日経平均株価採用銘柄の騰落率下位(10/17~10/24)
日経平均は5万円超えから「新章」スタートに?
■日経平均株価「5万円大台乗せ」の理由
10/27(月)の日経平均株価の終値は史上初めて5万円の大台に乗せました。
「大台乗せの理由」を整理しておきたいと思います。
(1)高市政権の発足と政策期待・・・積極財政への期待、高い支持率
(2)米国が金融緩和方向・・・10月・12月のFOMCで連続利下げか
(3)米中関係改善・・・対中関税100%の実施見送り、10/30に首脳会談予定
(4)10月の日銀会合で追加利上げ見送りか?・・・「新政権発足直後」を考慮か
(5)外為市場で円安基調(対ドル・対ユーロ)・・・日銀の追加利上げ見送り予想も反映か
(6)米国企業の好決算(7~9月期)・・・一部例外除きS&P500企業の多くで純利益が予想超え
(7)日経平均の予想EPSが約2,600円と過去最高水準(10/24時点)
■日経平均株価「5万円乗せ」で問われる“成長の質”
◎「EPSの裏付け」から「持続可能な利益成長」へ
・予想EPSが過去最高水準(約2,600円)に達し、株価水準の正当性が議論される段階へ
・今後は、一過性の円安効果ではなく、構造的な利益成長が求められる公算大
・日経平均株価は、予想EPS2,600円×PER20倍から計算される52,000円が重要な節目か?(図表9参照)
◎「政策期待」から「政策実行力」へ
・高市政権の積極財政や規制改革に対する期待が株価を押し上げたが、次は実行フェーズに
例:年収の壁撤廃、ガソリン税廃止、企業減税などの具体的な立法・予算措置が焦点
◎「金融相場」から「業績相場」へ
・これまでは、米利下げ・日銀利上げ見送りによる「金融相場」だった可能性
・今後は、企業決算の好調さを背景にした業績主導の相場へ移行する?
・特に、輸出企業・AI関連・内需回復セクターが牽引役に
◎「指数の節目」から「企業価値の再評価」へ
・5万円という節目を超えたことで、次は個別企業のバリュエーション再評価が進む?
・成長性・収益性・株主還元などを軸に、銘柄選別の時代へ
図表9 日経平均株価が5万円超え~予想EPSも過去最高の2,600円超え
■決算発表が株価の追い風に?・・・上方修正企業数が増える可能性が大
◎前述したように日経平均株価の予想EPSは過去最高水準まで上昇。企業業績の改善を示唆しています。
◎10/1(水)に発表された日銀短観(9月調査)では・・・
・大企業製造業の業況判断指数の「最近」は「+14」・・・6月調査「先行き」の「+12」に対して上振れ
・大企業非製造業の業況判断指数(同上)は「+34」・・・6月調査「先行き」の「+27」に対して上振れ
・これらは9月の景況感が6月時点で想定したよりも、改善していることを示しています
・企業が業績予想の前提としている為替レートは2025年度1ドル145円68銭。現状の為替レート(1ドル153円前後)はそれよりも円=安・ドル高水準です。輸出企業にとっては上方修正要因となりそうです。
◎日経平均採用銘柄のアナリスト予想EPSについて、上方修正の方が下方修正よりも多くなっています。図表10が示すように、上方修正銘柄の比率が増えると株価は上昇しやすくなるとみられます。
図表10 リビジョンインデックスの上昇が示唆する?日経平均株価の先高
損失は限定的!日経平均の予想に応じたオプション取引戦略を動画でご紹介
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高市総理誕生で円売り
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ウエルスアドバイザー社
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少ない資金で大きな利益が狙える先物・オプション取引って何?
信用取引のご注意事項
信用取引に関するリスク
信用取引は、差し入れた委託保証金額の約3倍の取引を行うことができます。そのため、現物取引と比べて大きなリターンが期待できる反面、時として多額の損失が発生する可能性も含んでいます。また、信用取引の対象となっている株価の変動等により、その損失の額が、差し入れた委託保証金額を上回るおそれがあります。この場合は「追加保証金」を差し入れる必要があり状況が好転するか、あるいは建玉を決済しない限り損失が更に膨らむリスクを内包しています。
追加保証金等自動振替サービスは追加保証金が発生した際に便利なサービスです。
信用取引の「二階建て」に関するご注意
委託保証金として差し入れられている代用有価証券と同一銘柄の信用買建を行うことを「二階建て」と呼びます。当該銘柄の株価が下落しますと信用建玉の評価損と代用有価証券の評価額の減少が同時に発生し、急激に委託保証金率が低下します。また、このような状況下でお客さま自らの担保処分による売却や、場合によっては「追加保証金」の未入金によって強制決済による売却が行われるような事態になりますと、当該株式の価格下落に拍車をかけ、思わぬ損失を被ることも考えられます。よって、二階建てのお取引については、十分ご注意ください。
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・ 「HYPER先物コース」選択時の取引における建玉保有期限は原則新規建てしたセッションに限定されます。なお、各種設定においてセッション跨ぎ設定を「あり」とした場合には、プレクロージング開始時点の証拠金維持率(お客さま毎の証拠金掛目およびロスカット率設定に関わらず必要証拠金額は証拠金×100%で計算)が100%を上回っていれば、翌セッションに建玉を持ち越せます。「HYPER先物コース」選択時は必要証拠金額は証拠金×50%~90%の範囲で任意に設定が可能であり、また、自動的に決済を行う「ロスカット」機能が働く取引となります。
・ 先物・オプションの証拠金についてはこちら(日本証券クリアリング機構のWEBサイト)
・ 指数先物の価格は、対象とする指数の変動等により上下しますので、これにより損失を被ることがあります。市場価格が予想とは反対の方向に変化したときには、比較的短期間のうちに証拠金の大部分、またはそのすべてを失うこともあります。その損失は証拠金の額だけに限定されません。また、指数先物取引は、少額の証拠金で多額の取引を行うことができることから、時として多額の損失を被る危険性を有しています。
・ 日経平均VI先物取引は、一般的な先物取引のリスクに加え、以下のような日経平均VIの変動の特性上、日経平均VI先物取引の売方には特有のリスクが存在し、その損失は株価指数先物取引と比較して非常に大きくなる可能性があります。資産・経験が十分でないお客さまが日経平均VI先物取引を行う際には、売建てを避けてください。
・ 日経平均VIは、相場の下落時に急上昇するという特徴があります。
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日経平均VIは、急上昇した後に数値が一定のレンジ(20~30程度)に回帰するという特徴を持っています。
日経平均VIは、短期間で急激に数値が変動するため、リアルタイムで価格情報を入手できない環境での取引は推奨されません。
・ 指数オプションの価格は、対象とする指数の変動等により上下しますので、これにより損失を被ることがあります。なお、オプションを行使できる期間には制限がありますので留意が必要です。買方が期日までに権利行使又は転売を行わない場合には、権利は消滅します。この場合、買方は投資資金の全額を失うことになります。売方は、市場価格が予想とは反対の方向に変化したときの損失が限定されていません。また、指数オプション取引は、市場価格が現実の指数に応じて変動しますので、その変動率は現実の指数に比べて大きくなる傾向があり、場合によっては大きな損失を被る危険性を有しています。
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・ 「J-NETクロス取引」で取引所 立会市場の最良気配と同値でマッチングする場合、本サービスをご利用いただくお客さまには金銭的利益は生じないものの、SBI証券は委託手数料を機関投資家から受け取ります。
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