木曜はパーティー、金曜は二日酔い? トランプ相場の曜日効果

投資情報部 土居雅紹 根津真由子
2025/12/16
AI投資への懸念強まる1週間
■12月第2週(12/8~12/12)の株式市場動向
日経平均株価12/12(金)終値は50,836円55銭で、前週末比344円68銭(約0.68%)と3週連続の上昇でした。
・日経平均株価の変動要因
①週初(12/8-9):FOMC(米連邦公開市場委員会)を控え、積極的な売買は見られず。その中で、米株市場でのハイテク株高の流れが波及し9日は小幅に続伸しました。
②週中(12/10-11):米株市場にてAI投資への懸念が強まった影響で、日本でもAI関連株に売りが集まりました。11日には、日経平均株価は節目となる5万円を一時割り込む場面も。
③週末(12/12):米国での利下げ決定や景気見通しの改善を受けて、日本株でも見直し買いの動きが優勢でした。業種別では日銀の利上げ期待を支えに、金融株に買い注文が広がりました。
■ 騰落率の傾向(12/5-12/12)
・上昇率上位:国内大手証券が目標株価を引き上げたパナソニック ホールディングス(6752)が上昇率首位。グループ会社のパナソニック エナジーが手掛けるAIデータセンター向け蓄電システム事業や、グループの経営改革が好感され、リーマン・ショック後の最高値を更新しました。
・下落率上位:電気・情報通信が総じて軟調で、指数寄与度の高いソフトバンクグループ(9984)が日経平均株価の下げを主導する場面もありました。
■ 12月第2週のスタート(12/15)
国内では、今週18日-19日に日銀の金融政策決定会合が開催されます。市場では利上げはほぼ確実視されており、市場の反応は限定的になると予想されます。
米国では、16日に11月分の雇用統計が発表される予定です。政府機関閉鎖の影響で発表が遅れ、今月のFOMCには間に合いませんでしたが、労働市場の指標として注目が集まります。
図表1 日経平均株価およびNYダウの値動きとその背景
図表2 日経平均株価
図表3 NYダウ
図表4 ドル/円相場
図表5 主な予定
図表6 日米欧中央銀行会議の結果発表予定
図表7 日経平均株価採用銘柄の騰落率上位(12/5-12/12)
図表8 日経平均株価採用銘柄の騰落率下位(12/5-12/12)
木曜はパーティー、金曜は二日酔い? トランプ相場の曜日効果
■トランプ政権誕生前は火曜日に上昇
昔はよかった…というほど前でもないですが、第一金曜日の夜、日本時間で米国雇用統計が発表されると、米国株と為替がドーンと動き、翌週の日本株もその余波で大騒ぎ。某テレビ局の金曜ロードショー終盤に為替が荒れる「ジブリの呪い」なんて都市伝説もありましたが、実は単に夏にジブリ作品の放映が多いというタイミングの問題だったとも。呪いじゃなくて統計だと面白みは減りますが。
では、曜日と株価の関係って本当にあるのでしょうか?市場参加者が「月曜は憂鬱」「金曜はTGIF(神様ありがとう、今日は金曜日だ!)」と思っていたら、株価もその気分に付き合うかもしれません。
図表9は過去6年(2020年~2025年12月11日)の日経平均株価の曜日別騰落率です。ここ数年、世界がジェットコースター状態だったので、3つの期間に分けて分析しました。
① コロナ禍で経済活動ストップ(2020~2021年)
② ウクライナ戦争と後半のバイデン政権(2022~2024年)
③ トランプ再登場で市場が右往左往(2025年)
その結果は、①の2020~2021年は火曜日に平均0.22%上昇、②の2023~2024年はなんと0.40%も上昇。トランプ再登場前の火曜日は「お得デー」?となっていました。
■トランプ後は、週央に上げ、金曜日に下げる?
ところが2025年、パターンがガラッと変わりました。火曜日に上がるパターンは消え、水曜に0.19%上昇、木曜に0.56%上昇とシフトしました。一方、金曜は0.22%下落。つまり「水・木で上げて、金曜にスピード調整」という流れです。
木曜に強い理由として考えられるのが、まずFOMCの政策金利発表です。日本時間で木曜早朝になるので、米国の利下げが再開した9月以降は株価に追い風となりました。
さらに実際の木曜上昇要因を細かく見ると、木曜はイベント盛りだくさんでした。FOMC利下げ、米国の90日間関税停止、連邦裁判所の「相互関税」差し止め、対日関税の圧縮報道、さらにはロボット・AI祭りの日もありました。
金曜下落の原因は、木曜日に上げているのでまず利益確定売り、次に週末前に発表される景気動向指数や国際収支など日本の経済統計による失望売り、そして「週末にトランプが何か言い出すかも」という恐怖によるポジション手仕舞いと、投資家心理から見ると分かりやすい行動と考えられます。
図表9 日経平均株価の曜日ごとの平均騰落率(2020/1/6-2025/12/11)
■TOPIXは週央に上げ、月、金に下げる傾向が明確
図表10を見ると、TOPIXも同じく2025年は水・木に上げ、金曜に下げています。ただし月曜の下げが0.12%と大きく、火曜の上げが0.09%とやや強めです。つまり「月曜に下げ、火・水・木で頑張り、金曜で一息」というパターンがはっきりしています。
見方によっては「週末のトランプ発言で月曜に下落、そこから3日間は気を取り直して買い上げて、金曜は利益確定と週末のトランプリスク回避で下げる」という分かりやすい値動きでした。
■「木曜に売る」は、当面の間トレードに使える可能性あり?
平均値で傾向が見えても、それが一部の大騒ぎの日のせいなのか、継続性があるのかは別問題となります。そこで2025年のデータで回帰分析しました。結果、統計的に有意な関係が認められたのは木曜だけでした。
日経平均株価:木曜に0.56%上昇(有意水準5%、説明力は弱め)
TOPIX:木曜に0.392%上昇(有意水準10%、説明力はさらに弱め)
トレードに活かすなら、日経平均株価に連動するETFや投資信託、日経平均先物やCFDを取引するタイミングを計る場合に、「木曜日に売る」あるいは「木曜日に売り建てる」という戦略が考えられます。また、TOPIXに連動する大型株なら、「木曜に売ると有利になる可能性がある」程度には使えそうです。
なお、2025年にはそれまでの曜日効果が大きく変わりました。今後も、政治経済情勢に大きな変化があれば、曜日効果にも影響がありうるので、効果を確認しつつ用いる慎重さが必要です。
図表10 TOPIXの曜日ごとの平均騰落率(2020/1/6-2025/12/11)
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ウエルスアドバイザー社
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少ない資金で大きな利益が狙える先物・オプション取引って何?
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