衆院選与党大勝と円高 日本株の次の一手は?

投資情報部 土居雅紹 根津真由子
2026/02/17
日経平均大幅高!2月第2週の株式市場動向
■ 2月第2週(2/9-2/13)の株式市場動向
日経平均株価の2/13(金)終値は56,941円97銭で、前週末比2,688円29銭(+4.96%)と週足ベースで大幅上昇。
■ 騰落率の傾向(2/6-2/13)(図表4・5)
・上昇率上位:古河電気工業(5801)が上昇率トップ。同社は2/9に2025年10-12月期の業績を発表し、2026年3月期通期予想を上方修正。
純利益を前期比62%増の540億円としました。データセンタ向け製品等の売上増や、自動車部品事業の堅調な推移が寄与しました。さらに期末配当予想を40円引き上げて160円とし、2/12には上場来高値を更新しています。
・下落率上位:日本電気硝子(5214)が下落率トップ。同社は2/6に2025年12月期(通期)の業績を発表。
純利益は前期比2.4倍の296億円となった一方、2026年12月期通期予想では前期比22%減の230億円としました。
複合材事業は厳しい競争環境が継続するとしており、減益見通しが投資家心理に悪影響を及ぼした格好です。
■ 2月第3週のスタート(2/16)
日経平均株価の2/16(月)終値は56,806円41銭で、前週末比135円56銭安(-0.24%)と小幅に続落。
国内の主要企業の決算発表は一巡し、利益確定売りの動きも強まったとみられます。
また、円高進行を受けて自動車関連株に売りが出ました。
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図表1 日経平均株価の値動きとその背景
図表2 日経平均株価
図表3 日米欧中央銀行会議の結果発表予定
図表4 日経平均株価採用銘柄の騰落率上位(2/6-2/13)
図表5 日経平均株価採用銘柄の騰落率下位(2/6-2/13)
衆院選与党大勝と円高 日本株の次の一手は?
■「想定外」の円高で、海外投資家の日本株買いはどうなる?
衆院選後、米ドル/円レートは157円から152円台まで円高・米ドル安に振れています。背景については「野党の大敗で減税圧力が弱まった」「自民党内の財政規律派が軒並み当選し、積極財政が進みにくい」「日米通貨当局によるレートチェックは日本の利上げが前提との見方が出ている」など、さまざまな解釈が飛び交っています。
株価は一見堅調ですが、「円高がここからさらに進めば、海外投資家の日本株買いに水が差されるのでは」という声もあります。ただ、短期的には必ずしもそうとばかり言えません。というのも、これまで海外投資家は円安進行に備え、「日本株買い+円売り・ドル買い」をセットで持たざるを得なかったからです。円が強含むのであれば、その保険が必要なくなるわけです。
さらに「ここからもう一段、円高方向に振れる」と見るなら、為替リスクを積極的に取りにいく形で日本株を買う動機にもなり得ます。
一方で、「円売りの構造要因はまだ強く、150円台前半の円高は一時的」との見方もあります。この場合、海外投資家は、従来通りの「日本株買い+円売り・ドル買い」を継続して、株価の上昇益と日米金利差の収益を同時に取りにいくことを狙うでしょう。
■与党の衆議院選大勝はアベノミクス以来の「カタリスト」か?
海外投資家がよく使う言葉に「カタリスト」があります。直訳すれば触媒ですが、投資の世界では「投資テーマを実際の成果につなげ、市場を動かすきっかけ」といった意味です。
株価が割安でも、材料がなければ資金は動きません。反対に、業績改善や構造改革の芽が出てくれば、株価が一気に動き始める。それがカタリストです。
今回の衆院選での与党大勝は、高市政権の成長戦略が実行段階に移ることを意味します。米国株に比べて依然として割安な日本株にとって、これは分かりやすいカタリストとなり得ます。そのため、海外投資家がさらに日本株へのスタンスを強めてくる可能性があります。
■上昇要因とかく乱要因が混在
政治の安定、政府主導の成長戦略、海外マネーの流入、自社株買いの増加、企業業績の堅調さは、いずれも日本株の追い風です。
上昇要因(例)
・海外投資家の日本株買い
・政治の安定
・高市政権の成長戦略
・企業の収益力向上
・自社株買いの活発化
とはいえ、かく乱要因も少なくありません。
円高が進めば、輸出企業だけでなく、海外子会社を持つ企業も円換算の利益が削られます。円安に乗って上昇してきた日経平均株価には特に重しになるでしょう(図表6)。加えて、エプスタイン文書によって揺れる欧米の政治情勢は各国株式市場のマイナス材料であり、日本株も連れ安になる可能性が残ります。さらに、トランプ大統領から次にどんな波乱が生じるか読みにくい点も不安要因です。世界的な景気減速、AI関連投資の過熱懸念、そして対日圧力を強める中国、こうした複数のかく乱要因が同時に存在しています。
かく乱要因(例)
・円高による企業収益悪化
・欧米の政治混乱
・トランプ大統領発の新たな波乱
・AI関連投資の過熱懸念
・世界景気の減速
・中国の対日圧力強化
■「やや強気」の相場観ならカバードコール戦略
すべてが明るいわけではありませんが、需給は良好で、円高進行も限定的だと考えるなら、当面の日本株は「急騰・急落の可能性は少なく、下値も堅そう」というやや強気の見方ができます。
その相場観に適した戦略が、ミニ日経225先物の買いに日経225ミニオプションのコール売りを組み合わせるカバードコール戦略です。
「カバード」とは、売り建てたコールで損失が出ても、別の資産(ここでは先物の買い)でカバーし、全体の損益が大きく崩れないようにする仕組みです。オプション売却のリスクを抑えつつ、時間価値を収益として取りにいくことができる点が魅力です。
図表6 日経平均株価と米ドル/円レート、ユーロ/円レート(2025/4/1~2026/2/13)
■カバードコール戦略のポジションの作り方
カバードコール戦略は、原資産となる資産(以下、原資産)を買い持ち(ロング)し、それに対してコールオプションを売り建てる手法です。これから新たにポジションを構築するのであれば、同じ限月の先物とオプションを同じ枚数で組むことで、満期時に自動的に清算され、管理がしやすくなります。
もちろん、現物株ポートフォリオを保有した上で、それと組み合わせて株価指数オプションのコールを売ることも可能ですが、元本金額をあわせることが意外に難しいことに加え、保有ポートフォリオと日経平均株価との値動きの乖離(トラッキングエラー)が生じる点に注意が必要です。
ここでは、ミニ日経225先物と日経225ミニオプションを用いて、カバードコールのポジションを構築する例を示します。
① ポジションの大きさを決める
ここでは、先物を1枚買い、コールオプションを1枚売る前提とします。 ミニ日経225先物の想定元本は「日経平均株価 × 100」です。
たとえば、日経平均株価が57,000円なら、 想定元本は 57,000円 × 100 = 570万円となります。
② 限月と権利行使価格を決める
各種報道によれば、日米首脳会談は3月19日で調整中とされています。そこでリスクイベントを避けるために、ここでは 3月13日満期の3月限の先物・オプションを利用することとします。
権利行使価格は、取引時点の日経平均株価57,000円を基準に、やや上の 59,000円を設定します。
・ミニ日経225先物 2026年3月限 1枚買い
・日経225ミニオプション コール 2026年3月限 権利行使価格59,000円 1枚売り
③ 注文の順番に注意する
日経225ミニオプションは、一般に先物と比べて流動性が劣ります。このため、まずはオプションを指値で売り注文し、約定したことを確認します。
その後、3月限のミニ日経225先物の板を確認し、活発に取引されていることを確かめてから、成行で買い注文を出します。ほとんどの場合は即座に約定するので、これでポジションが完成します。満期日まで保有する場合は、基本的に自動清算されるため、あとは3月13日を待つだけです。
■カバードコール戦略の効果と注意点
図表7は、2026年2月16日時点の取引価格を基に、前述のポジションを日経平均株価57,000円の時点で組成した場合の、満期時の損益を試算したものです(税金・手数料は考慮せず)。
ミニ日経225先物を1枚買った場合の損益は緑の点線となり、これにコールオプション売り(紫の点線)を組み合わせると、緑の実線の合成損益になります。
この結果、最大利益は@2,819 × 100 = 281,900円で固定され、それ以上の上昇益は放棄することになります。しかし、A点である59,819円までは、単純な先物買いよりも合成損益が上回ります。
一方、日経平均株価の上昇力が弱い場合でも、コールオプションを売却して得るプレミアム(このケースでは @819 × 100 = 81,900円)が、満期時の収益を下支えします。日経平均株価が大きく下落してB点を割り込めば、合成損益も損失となります。ただし、受取プレミアム分だけ損失は軽減されます。
なお、上昇トレンドが強い局面では、カバードコール戦略は大きな上昇益を取り逃してしまうことに注意が必要です。さらに、急落局面では受取プレミアム分以上の下支え効果はないため、損失が拡大する可能性があります。このため、値動きが落ち着いている環境で、1カ月程度の短期ポジションとして活用するのが効果的と考えられます。
■まとめ
カバードコール戦略は、受取プレミアムにより下落耐性を高められる一方、最大利益は限定されます。今回のように、権利行使価格を現状よりやや高い水準に設定し、1カ月程度の短めの満期で運用すれば、相場が小動き、もしくはやや強含みといった局面に適した戦略となり得るでしょう。
図表7 カバードコール戦略の満期時の損益試算(例)
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追加保証金等自動振替サービスは追加保証金が発生した際に便利なサービスです。
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委託保証金として差し入れられている代用有価証券と同一銘柄の信用買建を行うことを「二階建て」と呼びます。当該銘柄の株価が下落しますと信用建玉の評価損と代用有価証券の評価額の減少が同時に発生し、急激に委託保証金率が低下します。また、このような状況下でお客さま自らの担保処分による売却や、場合によっては「追加保証金」の未入金によって強制決済による売却が行われるような事態になりますと、当該株式の価格下落に拍車をかけ、思わぬ損失を被ることも考えられます。よって、二階建てのお取引については、十分ご注意ください。
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日経平均VIは、短期間で急激に数値が変動するため、リアルタイムで価格情報を入手できない環境での取引は推奨されません。
・ 指数オプションの価格は、対象とする指数の変動等により上下しますので、これにより損失を被ることがあります。なお、オプションを行使できる期間には制限がありますので留意が必要です。買方が期日までに権利行使又は転売を行わない場合には、権利は消滅します。この場合、買方は投資資金の全額を失うことになります。売方は、市場価格が予想とは反対の方向に変化したときの損失が限定されていません。また、指数オプション取引は、市場価格が現実の指数に応じて変動しますので、その変動率は現実の指数に比べて大きくなる傾向があり、場合によっては大きな損失を被る危険性を有しています。
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