日経平均6万円でも全面高じゃない? 置いていかれた指数に注目

日経平均6万円でも全面高じゃない? 置いていかれた指数に注目

投資情報部 土居雅紹 根津真由子

2026/04/28

日経平均株価が6万円突破!米半導体株高が市場の追い風に

■ 4月第4週(4/20-4/24)の株式市場動向

日経平均株価の4/24(金)終値は59,716円18銭で、前週末比1,240円28銭高(+2.12%)と週足ベースで3週続伸しました。
世界の主要半導体関連銘柄から構成される「フィラデルフィア半導体株指数(SOX指数)」が連日で最高値を更新した影響で、日本国内のAI・半導体関連株に買いが集まりました。


■ 騰落率の傾向(4/17-4/24)(図表4・5)

・上昇率上位:イビデン(4062)が上昇率トップ。半導体に欠かせないICパッケージ基板の世界トップシェア企業です。
主要顧客である米インテルが23日に四半期決算を発表し、株価が急伸したことが材料視され、イビデンにも買いが集まりました。

・下落率上位:コニカミノルタ(4902)が下落率トップ。複合機の開発・販売・製造や、関連サービスを展開する企業です。同社は4/23(木)に中期経営計画の公表に加え、27年3月期の見通しを発表。事業貢献利益は微増との見通しで、売り材料となった可能性があります。


■ 4月第5週のスタート(4/27)

日経平均株価の4/27(月)終値は60,537円36銭で、前週末比821円18銭高(+1.38%)と続伸。
初の6万円台で取引を終え、取引時間中・終値ベースともに史上最高値を更新しました。米半導体関連株の上昇が相場の追い風となっています。
また、イランが戦争終結に向けた新たな合意案を米国に提示したと伝わったことも、投資家心理にプラスに働きました。

今週は主要各国の中央銀行の金融政策決定会合が相次いで行われる予定です(図表3)。会合を控え、様子見姿勢となることも予想されます。

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図表1 日経平均株価の値動きとその背景

図表2 日経平均株価

図表3 日米欧中央銀行会議の結果発表予定

図表4 日経平均株価採用銘柄の騰落率上位(4/17-4/24)

図表5 日経平均株価採用銘柄の騰落率下位(4/17-4/24)

日経平均6万円でも全面高じゃない? 置いていかれた指数に注目

置いていかれた指数

日経平均株価が2026年4月27日に終値ベースで初の6万円到達となり、株式市場の堅調さが改めて意識されています。もっとも、全体の中身を丁寧に見ると、必ずしも一様に上昇しているわけではない点には注意が必要です。

図表6は、2025年4月1日以降の日経平均株価、TOPIX、東証スタンダード市場TOP20、東証グロース市場250指数(以下、グロース250指数)の値動きです。4指数ともに2025年4月の「トランプ関税ショック」で大きく落ち込んだ後、2025年9月7日の石破首相(当時)が自由民主党総裁の辞任を表明した頃から日経平均株価の上昇が顕著になっています。また、2026年2月28日のイラン戦争開始後に4指数ともに下げた後、4月8日の2週間停戦合意報道を受けた上昇局面でも、日経平均株価が突出している一方、他の3指数は出遅れています。

このように、足元の相場は、日経平均株価の上昇が象徴的である一方、物色の広がりという意味ではなお見極めが必要な局面といえます。


日経平均株価が相対的に強い背景

日経平均株価が相対的に強い背景としては、いくつかの要因が考えられます。まず、イラン戦争によるホルムズ海峡を巡る供給懸念です。原油価格が高騰しているだけではなく供給不安が強まる局面では、日本のように中東の原油や原材料への依存度が高い資源輸入国にとって、景気や企業収益の重しとして意識されやすくなります。その結果、原油価格上昇と供給制約の影響を受けやすい業種よりも、相対的に影響を受けにくいとみられる一部の業種・テーマに資金が向かいやすくなります。

中でも市場の関心を集めたのが、AI・半導体銘柄です。もちろん、これらの分野も景気や株式需給の影響を受けるため、外部環境と無縁とはいえません。しかしながら、少なくとも足元では、原油供給不安の影響を直接受けやすいセクターと比べて選好されやすかったといえます。AI・半導体銘柄の大型株には、日経平均株価における構成比率が高い銘柄が多いため、結果としてAI・半導体銘柄が買われれば、日経平均株価を他指数以上に押し上げる圧力になります。


海外投資家の資金流入と日経225先物の流動性

もうひとつの背景は、海外投資家の資金流入と、日経225先物の流動性です。海外投資家が日本株への資金配分を増やそうとする局面では、個別の中小型株よりも、売買しやすく流動性の高い株価指数や大型株に資金が向かいやすい傾向があります。特に日経225先物は市場に厚みがあり、機動的にポジションを取りやすいことから、海外資金の受け皿として選好されやすい面があります。AI・半導体というテーマ性と、日経平均株価という流動性の高い投資対象が重なったことで、指数の強さがより目立つ結果になったといえます。


TOPIX、東証スタンダード市場TOP20、グロース250指数の出遅れが示すもの

一方で、TOPIX、東証スタンダード市場TOP20、グロース250指数が相対的に出遅れていることは、相場の広がりがまだ十分ではないことを示している可能性があります。日経平均株価が上昇していても、その動きが幅広い銘柄に波及していなければ、「株価指数は強いが、市場全体が強いわけではない」という状態になりやすくなります。

このような局面では、投資家の体感と指数の動きに差が出やすくなります。日経平均株価の上昇が話題となる一方で、多くの銘柄が同じように買われているわけではないとすれば、相場の実態は見た目ほど堅調ではないともいえます。「日経平均株価が上がっても、自分の保有株はさっぱり」という実感のずれはこの辺りにあると考えられます。指数間の格差は、足元の相場が一部の主力銘柄に支えられている可能性を示すものとして意識しておきたいところです。


今後の中東情勢をどうみるか

今後の中東情勢を考えるうえでは、いくつかのシナリオを想定しておくことが有効と考えられます。

第1に、緊張が和らぎ、ホルムズ海峡を巡る供給懸念が後退するケースです。この場合、原油価格への警戒感が落ち着き、投資家のリスク選好が戻りやすくなる可能性があります。そうなれば、これまでAI・半導体銘柄に集中していた資金が他セクターに広がり、結果としてTOPIXや東証スタンダード市場TOP20、グロース250指数の上昇につながる展開も考えられます。相場の裾野が広がるかどうかが注目点となりそうです。

第2に、緊張状態は続くものの、全面的な悪化は回避されるケースです。この場合、市場では引き続き選別色の強い展開が続く可能性があります。AI・半導体銘柄など相対的に選好されやすいテーマが引き続き物色の中心になり、その影響が大きい日経平均株価への注目が続く可能性があります。

第3に、情勢が再び悪化し、供給制約への懸念が強まるケースです。この場合は、原油高、インフレ懸念、景気減速への警戒が同時に強まりやすく、市場全体の不安定さが増す可能性があります。こうした局面では仮にAI・半導体関連銘柄の業績への懸念が限定的であったとしても、日経225先物を中心に売り込まれる可能性があります。その結果、日経平均株価と、日経平均株価における構成比率が高いAI・半導体関連銘柄の下げがきつくなることも考えられます。

まとめ

足元の日本株は、「日経平均株価6万円!」という強い見出しほど単純な相場ではないようです。背景には、中東情勢を巡る不透明感、海外投資家の資金動向、およびAI・半導体を中心としたテーマ株物色が重なっている可能性があります。

今後の相場を見るうえでは、日経平均株価の水準そのものだけでなく、その強さが市場全体にどこまで広がっていくかが重要です。TOPIXが追随するのか、東証スタンダード市場TOP20とグロース250指数が本格的な上昇軌道に乗るのかといった点に注目することで、日本株相場の実態をより立体的に捉えやすくなるでしょう。

図表6 日経平均株価、TOPIX、東証スタンダード市場TOP20、グロース250指数の値動き比較(2025/4/1~2026/4/24)

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