日経平均はまだ買える?見落としがちな「もう一つのPER」

日経平均はまだ買える?見落としがちな「もう一つのPER」

投資情報部 土居雅紹 植田雄也

2026/05/12

日経平均株価、過去最大の上昇幅を記録

5月第1週(5/7-5/8)の株式市場動向

日経平均株価の5/8(金)終値は62,713円65銭で、前週末比3,200円53銭(+5.37%)と週足ベースで大幅に上昇しました。
米株価指数の過去最高値を追い風に急騰し、5/7(木)には過去最大の上昇幅を記録しました。また、5/8(金)には東証プライム市場の売買代金も過去最高となり、特にキオクシアホールディングス(285A)には短期資金が集中するなど、投資家のリスク選好姿勢が鮮明となりました。

■ 騰落率の傾向(5/1-5/8)(図表45

・上昇率上位:SUMCO3436が上昇率トップ。SUMCO(3436)やキオクシアホールディングス(285A)など、AI・データセンター需要拡大の恩恵が期待される銘柄が大きく上昇したほか、電気機器株を中心に買いが波及しました。市場全体でリスク選好姿勢の強まりが確認されました。

・下落率上位:エムスリー(2413が下落率トップ。内需・ディフェンシブ関連を中心に軟調な動きが目立ちました。市場全体では半導体・電気機器株への資金シフトが進んでおり、グロース・景気敏感株優位の地合いが鮮明となりました。

5月第2週のスタート(5/11

日経平均株価の5/11(月)終値は62,417円88銭で、前週末比-295円77銭(-0.47%)と下落しました。
5/11(月)の取引時間中には過去最高値を更新する場面もみられましたが、短期的な利益確定売りが優勢となりました。今週末には米中首脳会談が控えており、対中政策や通商問題を巡る協議内容が今後の市場センチメントを左右する可能性があります。

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図表1 日経平均株価の値動きとその背景

図表2 日経平均株価

図表3 日米欧中央銀行会議の結果発表予定

図表4 日経平均株価採用銘柄の騰落率上位(5/1-5/8)

図表5 日経平均株価採用銘柄の騰落率下位(5/1-5/8)

日経平均はまだ買える?見落としがちな「もう一つのPER」

■日経平均株価の2種類のPER

日経平均株価が急騰し、AI・半導体銘柄の勢いを正当化するかのような「日経平均株価は急騰したが、PERはそれほど上昇していない?」「日経平均株価のPERはTOPIXと同水準なので、割高ではない?」といった意見が散見されます。しかし、ここで気を付けたいのが、よく聞く日経平均株価のPERには2種類あり、誤解を生みそうな数値がよりメディアを賑わしているという点です。

図表6のA表は日本経済新聞社の日経平均株価プロフィルに掲載されている日経平均株価の2種類のPERです同サイトで2026年5月1日時点の値を見ると、「加重平均」では19.77倍とTOPIXに近い水準でしたが、指数ベースでは24.88倍とTOPIXからはかなり乖離しています。

「加重平均」のPERは、日経平均株価を構成する225銘柄の時価総額合計を予想利益合計で割って算出したものです(出所:日経平均プロフィル「ユーザーズ・ガイド」)。分かりやすく言えば、日経平均株価を構成する225銘柄で時価総額ベースの架空の株価指数を作り、そのPERを計算したようなものといえます。ここで「架空?」と思った方は、なかなか鋭いです。日経平均株価は価格加重平均の株価指数なので、(諸々修正を加えていますが)基本的に株価が高い銘柄の影響が大きくなります。この時、日経平均株価の算出には時価総額は考慮されません。なお、日経平均株価採用銘柄の時価総額の合計は大きいので、当然ながら「加重平均」のPERTOPIXPERに近い水準となります

※日本経済新聞社ウェブサイトによると、2026年4月30日終値基準で日経平均株価構成銘柄の時価総額合計は956兆円でした。同日の東証プライムの時価総額は1,250兆円だったので、日経平均株価採用銘柄の時価総額合計で76.5%を占めることになります。

もう一つの「指数ベース」のPERは、各銘柄の構成比率が反映される計算方法を用いたもの※で、株価指数のPERという意味では、こちらの方が合理性があります。しかし、実際は、前者の「加重平均」を慣習的に日経平均株価のPERと扱うことが多いために、日経平均株価の値動きや他の株価指数との比較に誤解が生じやすくなってしまいます。

※日経平均プロフィル「ユーザーズ・ガイド」による計算式は、指数ベースPER=日経平均 ÷ 日経平均EPS(=∑株価×株価換算係数 ÷ ∑予想EPS×株価換算係数)

■高構成比銘柄が急騰しても加重平均PERへの影響は限定的

日経平均株価は一部の高株価銘柄の構成比率が高いという特徴があります。日経平均株価の構成比率が特に高い4銘柄(アドバンテスト(6857)、ファーストリテイリング(9983)、東京エレクトロン(8035)、ソフトバンクグループ(9984))の構成比率は合計で37.6%(2026/5/7終値ベース)もありました。指数ベースのPERでは同様に4社のPERが約4割を占めることになります。

一方、同日終値ベースで、日経平均株価を構成する225社の時価総額合計に占めるこれら4銘柄の割合は10.5%で、実際の構成比率のおよそ1/4でした。これによりどういうことが起きうるかというと、例えばこれらの4銘柄だけが急騰した場合、日経平均株価も大きく上昇し、指数ベースのPERも同じく上昇します。しかし、時価総額の9割を占める他の221銘柄が上昇していないので、加重平均のPERはあまり動かないことになります。これが、日経平均株価が上がっても(加重平均)PERはまだ低い理由といえます。このため、加重平均PERだけを見て、日経平均株価の割安・割高を説明するのは難しい場合があります。

日経平均のPERNASDAQ100に近いが、先を見れば割高?

図表6のB表は、TOPIX、S&P500、NASDAQ100、フィラデルフィア半導体指数(SOX)と指数ベースの日経平均のPERを比較したものです。これを見ると、2026年12月予想ベースでは、日経平均株価のPERは、TOPIXより高いだけでなく、S&P500をも上回り、ハイテク株が多いNASDAQ100と既に同水準にあることが分かります(表の赤文字部分)。ここでやや懸念が生じるのがその先の2027年12月予想ベースで、増益基調が強いSOX指数だけでなくNASDAQ100の予想PERも日経平均株価を下回り、その分日経平均株価が割高とみられる可能性があります(表のピンク色のハイライト部分)。ただし、2027年予想に関しては、不透明な世界情勢から日本企業の業績予想が保守的になっている可能性があり、その場合は2027年に近付くにつれて上昇修正されることも考えられます。

一方、TOPIXに関しては、202612月時点の予想PERでも5つの指数の中で最もPERが低いことに加えて、202712月予想ベースでは15.54倍とさらに割安感が高まります(表中緑文字)。この場合、日経平均株価の構成上位銘柄にこれ以上強気になれない投資家にとっては、TOPIXは指数として買いやすい対象と考えられます。

今後も日経平均株価はSOX指数とNASDAQ100次第か?

図表7は日経平均株価、TOPIX、S&P500、NASDAQ100、SOX指数と円換算の米国3指数(S&P500、NASDAQ100、SOX指数)の値動きです。2025年4月以降の日経平均株価とSOXの値動きは、変動幅こそSOXの方が大きいですが、チャートの形状は似ています。特に2026年4月以降ではAI・半導体関連銘柄の上昇が特に目立っていることもあり、SOX指数、日経平均株価、NASDAQ100が揃って大きく上昇している一方、TOPIXは伸び悩んでいます。TOPIXが上昇しないので、日経平均株価の「加重平均」のPERもあまり上がらず、「(加重平均)PERで見れば日経平均株価は高くはない」といった見方が増える状況を生んでいるといえます。

なお、SOX指数とNASDAQ100を円換算したもの(図中点線)は、さらに日経平均株価に近い値動きをしていることにも注目です。これには、日経平均株価の構成比率が高い銘柄は海外売上比率が高いことも影響していると考えられます。

まとめ

日経平均株価のさらなる上昇を見込むのであれば、SOX指数、NASDAQ100のさらなる上昇に加えて円安を前提としていることを再認識する必要があります。一方、その前提にあまり強気になれないのであれば、日経平均株価の指数ベースのPERと比較して2026年から2027年にかけて割安感が強まるTOPIX先物、TOPIX連動投信、TOPIX構成比上位銘柄(時価総額が大きな個別銘柄)への投資に妙味がある可能性があります。

図表6 日経平均株価の2種類のPERと他の株価指数との比較

図表7 日経平均株価は円換算のSOXとNASDAQ100に連動か?(2025/4/1~2026/5/7)

新着記事(2026/05/12)

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