「停戦合意」で日経平均が急騰~「7万円」は目標?通過点?

「停戦合意」で日経平均が急騰~「7万円」は目標?通過点?

投資情報部 鈴木英之 植田雄也

2026/06/16

日経平均株価もTOPIXも史上最高値を更新

■ 6月第2週(6/8-6/12)の株式市場動向

日経平均株価の6/12(金)終値は66,020円04銭で、前週末比568円08銭(-0.86%)安と週足ベースで下落しました。

金利上昇懸念や中東情勢の緊迫化を背景に不安定な値動きとなったものの、AI・半導体関連株への旺盛な資金流入が相場を下支えしました。週後半は米・イラン間の緊張緩和期待も追い風となり、大幅に切り返しました。


■ 騰落率の傾向(6/8-6/12)(図表4・5)

・上昇率上位:東京エレクトロン(8035が上昇率トップ。半導体製造装置で世界的大手の企業です。

米株式市場でのAI・半導体関連株の上昇を受け、AI向けの設備投資拡大の恩恵を受ける半導体製造装置メーカーが買われました。なかでも、世界的大手プレーヤーである同社に資金が集まりやすかったと考えられます。

・下落率上位:ソシオネクスト(6526が下落率トップ。カスタムSoC(System on Chip)を開発・提供しているファブレスの半導体ベンダー企業です。米ブロードコム株の急落を受け、AI・カスタム半導体関連銘柄として同社にも売りが波及。高まっていた成長期待の修正が株価下落につながった可能性があります。


6月第3週のスタート(6/15

日経平均株価は前週末比3,297円46銭高の69,317円50銭と大幅に上昇(過去第2位の上昇幅)し、終値ベースで史上最高値を更新しました。米国・イランなどの停戦が履行され、ホルムズ海峡の通航が正常化するかが、今後の一つの焦点となりそうです。

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会場

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図表1 日経平均株価の値動きとその背景

図表2 日経平均株価

図表3 日米欧中央銀行会議の結果発表予定

図表4 日経平均株価採用銘柄の騰落率上位(6/5-6/12)

図表5 日経平均株価採用銘柄の騰落率下位(6/5-6/12)

「停戦合意」で日経平均が急騰~「7万円」は目標?通過点?

■「停戦合意」を受け日経平均株価が急騰

6/15(月)の東京株式市場では、日経平均株価が午前中に一時69,682円まで上昇し、取引時間中ベースの過去最高値68,786円(6/3)を上回りました。終値ベースでも69,317円となり、終値ベースの過去最高値68,402円(6/3)を上回り史上最高値となりました。前営業日に対する上昇幅は3,297円となり、過去2番目の上昇幅を記録しました。日本時間の6/15早朝に、米国とイランなどが停戦に合意したと伝えられ、東京株式市場ではリスクオンのムードが広がりました。前週末の6/12(金)に東京市場のメジャーSQ無難に通過し米国の大型IPO通過したことで、いっそうポジションを取りやすい状況になったとみられます。

物色面では、キオクシアホールディングス(285A)の売買代金が引き続き他の銘柄を大きく上回り、株価も大きく上昇しました。前週末に半導体関連銘柄の三井ハイテック(6966)が2027年1月期の業績予想を上方修正したこともあり、半導体・AI関連銘柄の多くが上昇しました。これまでは、物色対象が半導体・AI関連銘柄に偏る取引日が多くみられましたが、6/15(月)の東証プライム市場はほぼ全面高の展開です。一方で、東証グロース市場指数は売りが先行しており、中小型株の一角は買いの対象から外れた格好です。

日経平均株価の予想EPS(1株当たり利益)は、6/15(月)時点で3,781円(図表6参照)と過去最高水準にあります。この予想EPSにPER20倍を当てはめると、日経平均株価は約74,600円と試算されます。日経平均株価が7万円を超えて推移する可能性も十分にあるとみられます。

当面のポイントは、(1)米国・イランなどの停戦が履行され、ホルムズ海峡の通航が正常化するか、(2)日銀金融政策決定会合・FOMC後の市場反応、(3)半導体・AI関連銘柄の上昇が持続するか、などであると考えられます。

このうち、(1)については、宗教的・歴史的な対立や地理的な問題が深く絡み合い、根本的な解決は非常に難しいのが現実でしょう。再び紛争が表面化するという「リスクを抱えたうえでの停戦」になるとみられます。

図表6 日経平均株価と予想EPS(1株利益)の推移

■米政策金利についてはハト派方向へ変化しつつある?

6月第3週(6/15~6/19)は「中銀ウィーク」と表現できる1週間です。6/16(火)の日銀金融政策決定会合の結果発表に続き、現地時間6/17(日本時間6/18未明)には、米FOMC(米連邦公開市場委員会)の結果が発表される予定です。事前予想では「政策金利は据え置き」がコンセンサスになっています(日本時間6/16時点)。トランプ米大統領に近いとされるウォーシュ新FRB(米連邦準備制度理事会)議長体制下で初のFOMCであり、記者会見の内容やFOMCメンバーの見通しが注目されます。

イラン情勢が停戦に向けた大きな一歩を踏み出したことで、原油先物価格は下落しており、インフレ懸念の後退につながりそうです。また、6月第2週に発表された5月の米消費者物価指数(食品・エネルギーを除く)は市場予想通りの上昇率(前年同月比2.9%増)にとどまり、生産者物価指数(食品・エネルギーを除く)は市場予想(前年同月比5.4%増)を大きく下回る上昇率(同4.9%増)にとどまりました。ウォーシュ新FRB議長にハト派的なスタンスを期待する前に、インフレ圧力の後退を印象付ける数字の発表が続いています。

CMEのFedWatchによると、日本時間6/15(月)時点において、本年12/9結果発表予定のFOMCの後、政策金利が現状維持される予想は46.9%、少なくとも1回以上利上げされるとの予想は51.3%が市場に織り込まれています。しかし前者の数字は1週間前の27.8%から上昇し、後者は同71.4%から低下しています。米政策金利の見通しについては市場も、ハト派方向に変化しつつあり、株価を下支えしそうです。

図表7 WTI原油先物価格(日足・1バレル当たりドル)

■半導体・AI関連銘柄の上昇が持続するか

日経平均株価は3/31の年初来安値51,063円から6/15の史上最高値69,317円まで18,250円強上昇しました。また、日経平均株価採用銘柄の直近の入れ替えがあった4/1からの上昇金額は15,577円となりました。

図表8は、そうした4/1~6/15の日経平均株価の上昇幅に寄与率の高い銘柄をグラフ化しています。東京エレクトロン(8035)はこの間の上昇の21.6%、ソフトバンクグループ(9984)は17.4%寄与していることがわかります。寄与率は上位4銘柄で60%、同10銘柄で90%に達しています。一目瞭然、おわかりいただけるように、上位10銘柄のうち9銘柄は半導体・AI関連銘柄に分類することができます。言い方を変えれば、AI・半導体関連銘柄が日経平均株価を押し上げたといえます。

ちなみに、先週は2つの大きな変化がありました。ひとつは、キオクシアホールディングス(285A)が東証の時価総額トップに躍り出たことで、6/15時点でも首位を維持しています。もうひとつは、日経平均株価のウェイト首位がファーストリテイリング(9983)から東京エレクトロン(8035)に代わったことです。6/15時点では首位東京エレクトロン、第2位がアドバンテスト(6857)になっています。

AI・半導体関連の影響度は非常に大きいと言えます。ただ、やや集中し過ぎているとの印象も強いうえ、AI・半導体関連銘柄の多くでPERの上昇等が観測され、割安感は後退しつつありますので、今後は注意も必要です。

図表8 日経平均株価の上昇(4/1~6/15)に対する寄与率

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