金利上昇に負けない!? 無借金・キャッシュリッチ7銘柄

金利上昇に負けない!? 無借金・キャッシュリッチ7銘柄

投資情報部 鈴木英之/髙田航輝

2026/06/12

金利上昇に負けない!? 無借金・キャッシュリッチ7銘柄

東京株式市場では、日経平均株価が荒っぽい値動きになっています。6/3(水)には一時、過去最高値である68,786円49銭まで上昇し「7万円到達」が意識される場面もありました。しかし6/4(木)以降は休日を挟んで3営業日続落し、その後はもみ合う展開になっています。

中東情勢の悪化や日米の政策金利引き上げ観測が不透明感につながっているようです。

中東情勢については、米中央軍が米東部時間6/10(水)にイランの複数の標的に攻撃を開始したと発表し、緊張感が高まる場面がありました。

日米の政策金利引き上げの観測が強まったことも相場の重荷になっていると思われます。6/5(金)発表の5月米雇用統計では非農業部門雇用者数が市場予想を大きく上回り、米国経済の強さが確認されたことで、マーケットは利上げを意識しているとみられます。

また、国内についても6/11(木)時点で為替が1ドル160円近辺で推移しており、円安によるインフレ圧力を強める要因となっています。円安進行を弱めるという意味でも利上げを求められやすい環境であると思われます。

6/15(月)以降は日銀金融政策決定会合と米FOMC(米連邦公開市場委員会)が相次いで開催されるため、金利動向に市場の関心が集まると予想されます。

さて、金利上昇には一般的に景気を冷ます効果があるといわれています。企業にとっても借入コストが上昇するなど業績にマイナスの影響を及ぼす可能性があり、株価下落の要因になるケースもあります。一方で、借入金がない企業かつ手元資金が潤沢な企業は金利上昇によるマイナスの影響を受けにくいのではないかという理由で注目が集まる可能性があります。

そこで、今回の「日本株投資戦略」では金利上昇局面で相対的に魅力度が増すと考えられる「無借金・キャッシュリッチ(※)」にフォーカスして銘柄を探りました。

また、資本効率の観点からROE(株主資本利益率)、成長性の観点から連続増収を条件に加えました。

スクリーニング条件は以下のとおりです。

(1)東証プライム市場に上場している

(2)時価総額が1,000億円以上

(3)直近四半期末(本決算の場合は前期末)における長期借入金および短期借入金がない

(4)ROE(前期末実績参照)が10%以上

(5)売上高が5期連続で増収または増収見込となっている(今期会社予想を含む)

(6)全資産に占める現金及び預金の割合が20%以上

(7)取引所または日証金、当社による信用規制・注意喚起銘柄を除く

掲載銘柄は上記条件をすべて満たしています。

掲載の順番は、全資産に占める現金・及び預金の割合が高い順となっています。

※本レポートでは(3)の条件を満たすものを無借金としています。

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【銘柄一覧】金利上昇に負けない!? 無借金・キャッシュリッチ7銘柄

取引 チャート ポートフォリオ コード 銘柄名 株価
(6/11・円)
現金及び預金/全資産 ROE(%)
2222 2222 2222 2222 寿スピリッツ 2,392.5 53.5% 28.5
3964 3964 3964 3964 オークネット(12) 1,414 40.2% 22.6
6146 6146 6146 6146 ディスコ 70,030 38.2% 25.1
4684 4684 4684 4684 オービック 3,966 33.5% 15.8
6420 6420 6420 6420 ガリレイ 3,395 31.1% 11.3
6055 6055 6055 6055 ジャパンマテリアル 2,167 28.6% 18.1
6432 6432 6432 6432 竹内製作所(2) 7,290 25.3% 15.9
  • ※会社公表データ、Bloombergデータ、QUICKデータをもとにSBI証券が作成。
  • ※銘柄名右横のカッコ内の数字は決算月。表記がない銘柄は3月決算期。

一部掲載銘柄を解説!

■寿スピリッツ(2222)~企画から製造・販売まで、プレミアムスイーツをプロデュース

◎全国各地のスイーツブランドを創り出す

同社は土産菓子、ギフトスイーツを企画・製造・販売しています。本社は鳥取県米子市にあり、設立は1952年です。

スイーツブランドとして「メープルバタークッキー」や「因幡の白うさぎ」、「ドゥーブルフロマージュ」など、人気のある商品が多くそろっています。同社WEBサイトでブランド一覧を見ましたが、土産売場などで見たことがある商品や、実際に食べたことがある商品が多数ありました。個人的には「因幡の白うさぎ」がとてもおいしかったという記憶があります。

海外展開もしていますが、全体の売上高に占める海外売上高の割合は約1.9%に留まっており(※1)、同社の業績に与える影響は軽微であると思われます。

※1:2026年3月期通期の売上高を参照。

売上高・各段階利益ともに過去最高

業績は好調です。2026年3月期の売上高は787億8,100万円(前期比8.9%増)、営業利益は185億9,800万円(同5.6%増)となりました。売上高、各段階利益ともに4期連続で過去最高を更新しています。年度前半は原材料価格高騰などのコスト増で苦戦しましたが、年度後半には回復基調に戻りました。また、インバウンド売上高についても、日中関係悪化の影響を受けつつも、対策強化によって前期比6.8%増となりました。

2027年3月期の通期業績の会社予想について、売上高は845億円(前期比7.3%増)、営業利益は205億5,000万円(同10.5%増)となっています。今期についても増収増益が継続する予想です。会社予想の1株当たり年間配当金は35円です。

資本効率と株主還元を意識した経営

同社の今後の展開について注目したいポイントを2点ご紹介します。

(1)競合他社と比較して、高い売上高営業利益率

プレミアムギフトスイーツやお土産を取り扱うタカチホ(8225)とモロゾフ(2217)と比較して、同社は売上高営業利益率が高いことが特徴です。タカチホが5.0%、モロゾフが3.5%であるのに対し、寿スピリッツは23.6%です(※2)。他社とは異なり、企画から製造、販売まで一貫して展開していることで、中間マージンを抑えることができ、高い利益率につながっていると考えられます。

※2:前期実績をもとに記載。

(2)潤沢な資金と資本効率

前期の決算短信に記載された「現金及び預金」が全資産に占める割合は53.5%でした。また、短期・長期借入金がなかったため、冒頭で記載したとおり、比較的利上げ局面にも強い銘柄という評価を受けられると思われます。

また、単に手元に資金を遊ばせるだけではなく、資本効率を重視した成長投資や株主還元にも注力しています。同社は中長期の経営目標としてROE30%以上を掲げています。また、2026年3月期から2030年3月期までの株主還元については総還元性向50%以上を意識し、増配や自己株式取得を行うとしています。

次に株価とバリュエーションを確認します。

同社の株価は6/11(木)時点で2,392円50銭で、今期予想PERは26.7倍となっています。同業他社はタカチホが同6.6倍、モロゾフは同39.1倍でした。数値のばらつきが大きく、単純比較はできないと思われます。東証プライム市場の今期予想PER(加重平均)は16.9倍(※3)です。寿スピリッツの予想PERは市場全体よりは割高な水準となっていますが、資本効率や株主還元を意識した経営が評価され、市場の期待値が高くなっているのではないかと考えています。

高いROEを有する無借金・キャッシュリッチ企業であるため、一般的に株価にマイナスの影響を与えるといわれている利上げ局面にあっても、好評価を受けられるのではないかと思われます。

※3:QUICKデータより。







ジャパンマテリアル(6055)~高い収益力・財務堅固な「キオクシア関連銘柄」

◎半導体・液晶工場全体の稼働・維持を一括サポート

半導体・液晶工場を「作る段階」と「動かす段階」の両方を支える会社です。

主力のエレクトロニクス関連事業(2026年3月期の売上構成比は96.7%)では、半導体・液晶関連工場向けに、特殊ガス、超純水、薬液などの供給インフラや、半導体製造装置の保守・メンテナンスを提供しています。特殊ガス供給装置の製造や供給配管の設計施工は、工場新設・増設時に発生する「イニシャル」の仕事です。一方、特殊ガスの販売管理、日常点検、超純水・薬液・動力・空調設備の運転管理、装置メンテナンスなどは、工場稼働後に継続する「オペレーション」の仕事です。同社のポイントは、半導体そのものを作る会社ではなく、半導体工場が安全かつ安定して稼働するための裏方インフラを一括して支えている点にあります。

◎キオクシアと密接な関係


ジャパンマテリアルにとって、キオクシアホールディングス(285A)は非常に重要な取引先です。2025年3月期の有価証券報告書では、「キオクシアグループ」向け売上高が202.72億円(売上高の38.5%)と開示されています。これは、同社がキオクシアのNAND型フラッシュメモリー工場に深く入り込み、設備投資時の配管・装置関連だけでなく、稼働後のガス管理や技術サービスにも関与していることを示します。

このように、強みとしては、大規模半導体メーカーとの長期的な関係を収益基盤にできる点があります。一方で、キオクシアの投資計画や工場稼働率、NAND市況に業績が左右されやすい集中リスクもあります。キオクシアはAI・データセンター需要を背景に、今後3年間で設備投資に年平均約4,700億円(2026年3月期実績の66%増)を投じる方針を示しており、これはジャパンマテリアルのイニシャル需要、将来的なオペレーション需要の双方に追い風となる可能性があります。

20263月期業績と20273月期見通しおよび将来への展望


2026年3月期の連結業績は、売上高579.76億円(前期比10.1%増)、営業利益146.4億円(同30.9%増)と前期比で増収増益でした。生成AI関連や先端半導体需要の高まりを背景に、キオクシアなど主要顧客の設備投資が継続し、イニシャル部門が好調だったことに加え、新工場のオペレーション開始や既存工場の高水準な生産活動も寄与しました。

2027年3月期については、売上高610億円(前期比5.2%増)、営業利益155億円(同5.9%増)が予想されています。生成AIの普及やデータセンター向け需要拡大に伴い、先端半導体向け設備投資の拡大が期待されます。既述したように、主要顧客であるキオクシアグループの設備投資は中期的にも増加傾向にあり、「イニシャル」の売上高を支えそうです。半導体メモリーの需要増加は当面続く見通しで、半導体工場の稼働率向上による「オペレーション」の増大も見込めそうです。

2026年3月末時点では、現金及び預金が216億円で総資産に対する比率は28.6%と潤沢です。長短借入金がゼロで、流動比率は525%(一般的に200%以上なら安全性が高いとされる)もあり、財務体質は良好で、金利上昇環境でも相対的に不安は少ないとみられます。ROE(株主資本利益率)も2026年3月期は18.1%と東証プライム市場の9.3%(6/10時点)を大きく上回っています。財務良好で収益力が高く、半導体メモリーの成長を享受できるポジションを勘案すれば、予想PER20.6倍(6/11)でも割高感は乏しいかもしれません。

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