【アメリカNOW!】調整局面で逆行高の銘柄群:アプライドマテリアルズ、イーライリリィ、ユナイテッドヘルス、スターバックス、ウォルマート

投資情報部 榮 聡
2026/06/15
先週の米国株式市場は、週前半は軟調が続きましたが、6/11(木)にトランプ大統領がイランとの和平合意が近づいていると発言して流れが変わり、6/12(金)のスペースX上場も好調となって週間でプラスとなりました。今週の株価材料として、FOMC、5月小売売上高、米国とイランの和平合意が注目されます。
今回は先々週から先週にかけての相場調整局面で株価が上昇した銘柄から、アプライド マテリアルズ(AMAT)、イーライ リリィ(LLY)、ユナイテッドヘルス グループ(UNH)、スターバックス(SBUX)、ウォルマート インク(WMT)を選んでご紹介いたします。
図表1 S&P500指数の一目均衡表(日足、3ヵ月)
米国とイランの和平合意はポジティブな材料ですが、材料出尽くしとなる可能性に注意が必要と見られます。四半期決算の発表が一巡していることから、潜在的な利益確定売り圧力は強そうです。
※当社WEBサイトを通じてSBI証券が作成
図表2 業種別指数騰落率・個別銘柄騰落率
| S&P500業種指数騰落 | 5日 | 1ヵ月 | 3ヵ月 |
| 素材 | 3.0% | 3.0% | 5.2% |
| 生活必需品 | 2.6% | -0.8% | 0.3% |
| 金融 | 2.0% | 4.2% | 9.3% |
| 不動産 | 1.3% | 4.5% | 7.1% |
| 資本財・サービス | 1.1% | 2.7% | 7.0% |
| 一般消費財・サービス | 0.7% | -2.2% | 6.7% |
| S&P500 | 0.6% | 0.3% | 12.1% |
| 情報技術 | 0.5% | 0.4% | 25.9% |
| ヘルスケア | 0.5% | 5.9% | 2.7% |
| 公益事業 | 0.4% | 1.2% | -5.2% |
| エネルギー | -0.4% | -3.8% | -1.0% |
| コミュニケーションサービス | -1.9% | -7.5% | 6.0% |
| 騰落率上位(5日) | 騰落率 |
| インテル | 25.6% |
| アプライド・マテリアルズ | 25.2% |
| ラムリサーチ | 20.9% |
| マイクロン・テクノロジー | 13.6% |
| アドバンスト・マイクロ・デバイセズ | 9.7% |
| 騰落率下位(5日) | 騰落率 |
| アドビ | -18.9% |
| オラクル | -13.8% |
| セールスフォース | -10.6% |
| サービスナウ | -9.2% |
| インテュイット | -6.7% |
注:個別銘柄の騰落率上位、下位はS&P100指数が母集団です。銘柄名はBloombergの表記により、当社WEBサイト・本文中の表記と異なる場合があります。
※BloombergデータをもとにSBI証券が作成
先週の米国株式市場
S&P500指数は週間で0.6%、ダウ平均は0.7%、ナスダック指数は0.7%の上昇でした。
週前半はテクノロジー株に対する利益確定売りから軟調となりましたが、6/11(木)にトランプ大統領がイランとの和平合意が数日中に署名にこぎつける見通しとコメントしたことから反発に転じました。さらに、6/12(金)のスペース エクスプロレーション テクノ A(SPCX)上場は、公募価格の135.00ドルに対して19.2%上昇となって、市場に安心感が広がりました。
経済指標では、5月の消費者物価指数、生産者物価指数とも前年比伸び率が前月から拡大してインフレの加速が確認されました。ただ、足もとで原油価格が反落基調となっていたため、市場へのインパクトは限定的だったとみられます。
業種指数では、原油価格の下落を受けた素材、ディフェンシブとして買われたとみられる生活必需品、大型IPOの実施を背景に金融などが上昇しました。情報技術は、半導体株が上昇した一方、ソフトウェア株が下落して、全体としては市場平均並みでした。
個別株では、上昇上位に半導体製造装置のアプライド マテリアルズ(AMAT)とラムリサーチ(LRCX)の両方ともランクインしているのが目立ちます。S&P100指数には含まれないASML ホールディング NYRS(ASML)も大幅な上昇となっており、日本市場でも東京エレクトロン(8035)の上昇が目立っているのと符合します。
半導体製造装置の売上の伸びは1-3月期には他のAI関連銘柄と比べて目立たなかったものの、図表3の通り4-6月期以降の伸び率加速が著しいと予想されていることが評価されているとみられます。設備投資関連であることから、計画実行に時間がかかり、他のAI関連銘柄よりも業績インパクトが遅れて出てきているということでしょう。
なお、半導体製造装置については、5月13日付外国株投資戦略「半導体の多層化進展で恩恵が期待されるラムリサーチ」もご参照ください。
今週の米国株式市場
米国とイランは米国時間の6/14(日)に和平合意に達し、6/19(金)にスイスで正式に署名の見通しです。この報道を受けて日本時間6/15(月)9時半時点で、S&P500指数先物の時間外取引で1%近い上昇となり、WTI先物価格も80ドル台まで下落しています。米国とイランの和平合意成立は株式市場にとってポジティブ材料ですが、材料出尽くしの反応になる可能性には注意が必要でしょう。
今週の株価材料として、FOMC、5月小売売上高、米国とイランの和平合意が注目されます。
FOMCでは、政策金利の据え置きが予想されています。先週は5月物価指標でインフレ加速を確認した一方、足もとで停戦期待から原油価格が急落しており、FOMCメンバーがどのように捉えるか注目されます。FedWatchの政策金利予想では、年末までに1回以上の利上げとなる確率は64%まで上昇しています(日本時間6/15(月)午前8時半時点)。
5月小売売上高は前月比+0.5%の予想です。2月同+0.9%、3月同+1.6%、4月同+0.5%と好調が続いています。最近の雇用指標も強かったため、予想に沿う好調な数字が出やすいと考えられます。
米国とイランの停戦交渉では、和平の枠組みで一致したと明らかにしました。2月末に始まった戦争の終結、米国によるイランの港湾封鎖解除、ホルムズ海峡の開放などが合意に含まれています。イスラエルとレバノンの関係など火種が全くないわけではないため、無事署名にこぎつけるか見届ける必要がありそうです。
企業イベントでは、フェデックス、マイクロンテクノロジー、カーニバルなどの決算発表が予定されています。
今週の5銘柄
今回は相場調整局面で株価が上昇した銘柄をご紹介いたします。
S&P500指数は高値を付けた6/2(火)~6/11(木)にかけて2.8%の下落となりました。この期間に株価が上昇した銘柄を、S&P100指数採用銘柄を対象に以下の条件でスクリーニングしました。
【スクリーニング条件】
- 株価騰落率が5%以上
- 通期EPS修正率が0.0%以上
- 来期予想EPS増加率が10%以上
ここから、アプライド マテリアルズ(AMAT)、イーライ リリィ(LLY)、ユナイテッドヘルス グループ(UNH)、スターバックス(SBUX)、ウォルマート インク(WMT)を選んでご紹介いたします。
図表3 主要半導体製造装置銘柄の四半期売上(前年比)
※BloombergデータをもとにSBI証券が作成
図表4 下落局面で上昇した銘柄のスクリーニングと今週の5銘柄の投資指標
注:予想PERは今期予想EPSに基づいて計算しています。
※BloombergデータをもとにSBI証券が作成
今週の注目銘柄
| 取引 | チャート | 銘柄 | 株価 (6/12) |
予想PER (倍) |
ポイント |
| 買付 | アプライド マテリアルズ(AMAT) | 567.25ドル | 45.8 | 【半導体製造装置に相対的割安感か】 ・半導体株全般が調整する中、半導体製造装置株が逆行高となっています。オランダのASMLの最高値更新が続いたことから、同社やラムリサーチ、東京エレクトロンなどの株価を刺激しているようです。中長期の成長を考慮した場合の相対的割安感が指摘されているようです。 ・2-4月期の売上は前年同期比11%増にとどまりましたが、AI関連需要の高まりから5-7月期は同20%増以上、2026年暦年では前年比30%増以上に拡大すると見込まれています。中期的にも2ナノメートル、1ナノメートルの半導体で使われるGAA(Gate-All-Around)トランジスターといった新技術により成長が続くと期待されます。 | |
| 買付 | イーライ リリィ(LLY) | 1,133.00ドル | 31.2 | 【肥満治療薬が順調に伸びる】 ・肥満治療薬の売上拡大が順調です。1-3月期決算は、ゼップバウンド(肥満治療薬)、マンジャロ(糖尿病治療薬)の販売価格引き下げの影響を数量増が相殺して、売上が前年同期比56%増、調整後EPSが同2.6倍となり、それぞれ市場予想を11%、25%上回って好調でした。 ・5/28(木)には薬剤給付管理(PBM)大手のCVSヘルスがゼップバウンドの保険適用を10月1日から再開するとして好感されました。同社は昨年7月1日より保険適用をストップしていましたが、価格条件が改善されたことで再開を決めました。 | |
| 買付 | ユナイテッドヘルス グループ(UNH) | 408.52ドル | 22.2 | 【経営改革推進中】 ・米国の医療保険最大手で、医療情報サービスの「オプタム」も手掛けます。2024年、2025年と連続で大幅減益となったところから業績回復を目指しています。加入者数の拡大よりも利益率の回復とコスト管理を優先する戦略へ舵を切りました。医療コスト削減に向けた管理強化に加え、AI投資も強化しています。 ・1-3月期決算は、売上が前年同期比2%増、調整後EPSは同0.4%増で、いずれも市場予想を上回りました。これを受けて通期の利益見通しを上方修正しました。 | |
| 買付 | スターバックス(SBUX) | 103.04ドル | 43.1 | 【経営改革を推進中】 ・2024年9月にCEOが元チポトレのニコル氏に交代して、経営改革を進めています。1-3月期の既存店売上は前年同期比6.2%増と、市場予想の同3.7%増を大きく上回って改革の成果が出つつあるのではとの期待が高まっています。通期の既存店売上見通しも前年比5%増として市場予想の同3.7%増を上回りました。 ・経営改革として、従業員への投資、サービスの迅速化、店舗改装投資、新商品の提供(パンケーキなど焼いた食品、プロテインドリンク、カスタム可能なエナジードリンクなど)を行っています。先週には日本事業の切り離しを検討しているとの報道もありました。 | |
| 買付 | ウォルマート インク(WMT) | 121.04ドル | 41.2 | 【トレードダウンが恩恵】 ・米国の消費者には、物価上昇を受けてより安い商品・サービスへ消費をシフトする「トレードダウン」の動きが広がっていると言われます。その受け皿になる企業の一つと考えられます。 ・バリューとコンビニエンスを同時に提供することで小売り市場のシェアを拡大できるポジションにあると見られます。2-4月期決算は、売上が前年同期比7.3%増(為替変動の影響を除いて同5.9%増)、eコマース売上が同26%増、広告事業売上が同37%増と好調でした。 |
注:予想PERはBloomberg集計のコンセンサス予想EPSによります。使用した予想EPSの決算期は、アプライドマテリアルズが2026年10月期、スターバックスが2026年9月期、ウォルマートが2027年1月期、その他は2026年12月期です。
※会社資料、BloombergデータをもとにSBI証券が作成
主要イベントの予定
| 経済指標・イベント | 企業決算・イベント | |
| 15(月) | ・中国鉱工業生産・小売売上高(5月) ・NY連銀製造業景気指数(6月) ・米鉱工業生産(5月) ・NAHB住宅市場指数(6月) |
|
| 16(火) | ・米輸入物価指数(5月) ・米住宅着工・建設許可件数(5月) ・米20年国債入札 |
|
| 17(水) | ・米小売売上高(5月) ・米中古住宅販売成約(5月) ・FOMC政策金利 |
|
| 18(木) | ・米新規失業保険申請件数(6月13日に終わる週) ・フィラデルフィア連銀製造業景気指数(6月) |
アクセンチュア |
| 19(金) | 米国市場休場(ジューンティーンス) | |
| 22(月) | ・S&Pグローバル日本製造業PMI(6月) | |
| 23(火) | ・S&Pグローバルユーロ圏製造業PMI(6月) | フェデックス、カーニバル |
| 24(水) | ・S&Pグローバル米国製造業PMI(6月) ・米新築住宅販売件数(5月) ・米2年・5年国債入札 |
マイクロンテクノロジー |
| 25(木) | ・シカゴ連銀全米活動指数(5月) ・米個人所得・個人支出(5月) ・米個人消費支出物価指数(5月) ・米耐久財受注(5月) ・米新規失業保険申請件数(6月20日に終わる週) ・米実質GDP(1-3月期、確報値) ・米7年国債入札 |
マコーミック |
| 26(金) | ・米ミシガン大学消費者信頼感(6月、確報値) |
注:日付は現地時間によります。(E)はBloombergによる予想を示します。企業決算の赤字でのハイライトは、当社顧客保有人数の1~30位、青字のハイライトは31~50位を示します。
※Bloombergデータ、各種報道をもとにSBI証券が作成
※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。
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