ジャクソンホール会合と相場シナリオ

投資情報部 土居雅紹 植田雄也
2026/08/18
AI・半導体主導の株高、裾野は金融株へ拡大
■ 8月第2週(8/10-8/14)の株式市場動向
日経平均株価の8/14(金)終値は68,713円80銭で、前週末比3,107円09銭高(4.73%)と週足ベースで続伸しました。
週前半は米雇用統計の軟化を受けた米利上げ観測の後退からAI・半導体関連株が指数を押し上げ。週後半にかけては日銀の早期利上げ観測の高まりを受けた長期金利上昇を背景に、これまで出遅れていた銀行株にも買いが波及しました。
■ 騰落率の傾向(8/7-8/14)(図表4・5)
・上昇率上位:リクルートホールディングス(6098)が上昇率トップ。人材・販促サービスの大手です。
1Q決算で、今期過去最高純利益の予想をさらに上方修正したことが好感されました。
・下落率上位:サイバーエージェント(4751)が下落率トップ。動画配信「ABEMA」やゲーム事業を手掛けています。
3Q決算で、今期(2026年9月期)純利益予想を上方修正したものの市場予想に届かず、売りが優勢となった可能性があります。
■ 8月第3週のスタート(8/17)
8/17(月)の日経平均株価の終値は69,220円25銭で、前週末比506円45銭高(0.73%)と5営業日続伸しました。AI・半導体関連銘柄が上昇する反面、銀行株は総じて軟調で、TOPIXは9営業日ぶりに反落しました。
米・イランが6月に結んだ戦闘終結覚書の60日交渉期限が到来。ホルムズ海峡開放を巡る不透明感・地政学リスクがくすぶる展開となりそうです。
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図表1 日経平均株価の値動きとその背景
図表2 日経平均株価
図表3 日米欧中央銀行会議の結果発表予定
図表4 日経平均株価採用銘柄の騰落率上位(8/7-8/14)
図表5 日経平均株価採用銘柄の騰落率下位(8/7-8/14)
ジャクソンホール会合と相場シナリオ
■2026年ジャクソンホール会合
ジャクソンホール会合は、米カンザスシティ連銀が毎年8月下旬にワイオミング州で開く経済シンポジウムです。各国の中央銀行総裁や政策当局者、経済学者が集まり、金融政策上の長期的な課題を議論します。政策金利を決める場ではありませんが、当局者の発言が先行きの政策運営を読み解く手掛かりとなるため、市場の注目度が高い催しの一つとなっています。例えば、2022年にはパウエルFRB議長(当時)の講演を受けS&P 500が8月26日に3.37%下落し、逆に2025年には利下げを示唆したことでS&P 500は8月22日に1.52%上昇しました。
2026年のジャクソンホール会合は現地8月27日〜29日の開催で、期間中に予定されているウォーシュFRB議長の初講演が焦点の一つです。同議長はフォワードガイダンスを大幅に絞る方針を掲げており、7月29日のFOMC後の記者会見では8月の講演について「可能であれば、大きな問いも提起したい。会合や記者会見が頻繁に開かれる中で、近視眼的な議論に陥りがちだ」とも述べています。
■ジャクソンホール会合後の相場シナリオ
日銀の9月利上げは、日本円OISレート(翌日物金利スワップにおける固定金利)から推計すると0.25%の利上げが、約8割の確率とされる水準で織り込まれています。このため当面の焦点は9月15〜16日のFOMCと考えられ、ジャクソンホール会合でのウォーシュFRB議長の講演がその手掛かりになると思われます。8月14日時点のFedWatch※では9月の利上げ確率が33%、据え置きが67%です。7月雇用統計の発表前の8月6日は利上げ織り込みが55%だったので、市場は「利上げ」から「据え置き」へ傾いた状態にあります。
※CMEのFedWatch ツールより転載
シナリオ1:白紙維持=今後のデータ次第(45%・中心シナリオ)
ウォーシュFRB議長自身が講演内容を「白紙」と表現し、フォワードガイダンスを絞る方針を掲げていることから、政策の方向性を明示せずに、金融イノベーションという今年のジャクソンホール会合のテーマに沿った大局的な内容にとどまる可能性が最も高いと思われます。7月の非農業部門雇用者数が市場予想を大幅に下回った一方で物価上昇率は高止まり、「両にらみでデータを待つ」という説明がこれまでのウォーシュ氏のスタンスと整合性があります。この場合、米国10年国債利回りと米ドル/円レートは肩透かしをくらった格好となり、現行レンジ内での推移となると考えられます。この場合、相場の関心は企業業績とAI・半導体株の利益実現の可否に戻ります。日経平均株価は、現在の金利・為替環境を好感して70,000円~73,000円と最高値更新もありうる展開となる可能性があります。
シナリオ2:タカ派=9月利上げ示唆(30%)
7月の米国の消費者物価指数(CPI)は前年同月比3.4%と、前月の3.5%からわずかな鈍化にとどまりました。また、7月のFOMCでは3名の地区連銀総裁が利上げに投票しており、インフレ警戒を前面に出す余地は残っていると思われます。ウォーシュ氏が物価目標へのコミットを強調すれば、市場は9月利上げを織り込み直し、米国10年国債利回りは5%に接近する可能性が出てくるでしょう。この場合、ドル高が進み、米ドル/円レートは1ドル162円~165円に動くことも予想されます。なお、この水準では円買い介入への警戒が再燃するので、実際に介入があれば荒れ相場となることも考えられます。円安自体は日本の輸出企業の収益にはプラスですが、金利上昇はバリュエーションの高いAI・半導体株の重荷となりえます。このため、日経平均株価の構成比率を考慮すれば、金利上昇のマイナスの影響が大きくなる可能性があります。一方で、日経平均株価への影響は限定的ではあるものの、銀行・保険株は、今後の円金利のさらなる上昇が意識され、利ざや改善期待から堅調となる可能性があります。
シナリオ3:ハト派=雇用重視(25%)
7月雇用統計では5月・6月分が合計10.3万人下方修正され、労働参加率も61.5%から61.4%へ低下しています。ウォーシュFRB議長が雇用の停滞に軸足を置く趣旨の講演を行えば、利上げ打ち止め観測が定着し、米国10年国債利回りは4.4%前後へ低下する可能性があります。ドル安で米ドル/円レートが1ドル155円~158円となれば、円買い為替介入の必要性は下がると思われます。米国株は金利低下を受けて小型株や半導体株主導で上昇し、日経平均株価も69,000円~72,000円へ上昇することが考えられます。これは、日経平均株価の構成比率の影響で、円高が指数の重荷になりにくいと考えられるためです。ただし景気悪化への懸念が前面に出れば、金利低下が株高につながらないリスクは残ります。
図表6 ジャクソンホール会合後の3つのシナリオ
■ 為替よりAI・半導体?
当社レポート(7月21日付)『「円安=株高の法則」はどうなった?』では、2026年年初来の日経平均について、米ドル/円レートをはじめ多くの変数が説明力を失うなかで、フィラデルフィア半導体株指数(SOX)だけが有意な関係性を保っていました。半導体関連株が指数を強く押し上げる「疑似半導体指数化」が背景とも考えられます。米ドル/円レートとS&P 500などを組み合わせた多変量分析では、米ドル/円レートの係数が単回帰の0.91から約0.45〜0.48へ低下していました。単回帰で為替の影響と見えていたものの一部は、実際には世界的なリスクオン・リスクオフの波であったともいえるでしょう。このため前述のシナリオ3の米ドル安円高は日経平均株価の重荷とはなりにくく、米国株高によるリスクオンと半導体株高が日経平均を押し上げると想定しています。
■留意点
第一に、日銀の9月利上げは8割織り込まれているとはいえ、残り2割の「見送り」が実現した場合には、期待が大きい反動で円安への動きは大きくなる可能性があります。そうなると、シナリオ1以外でも為替介入への警戒が戻る可能性があります。第二に、11月の米中間選挙を前に、トランプ政権が大胆な外交方針の転換や軍事力行使を含めた対外的な冒険に打って出る可能性も念頭に置く必要があります。第三に、シナリオ1とシナリオ2の間には水準の不連続があります。シナリオ1またはシナリオ3が実現すれば最高値圏、シナリオ2なら調整という非対称な構図としてご覧ください。
なお、本レポートは情報提供を目的としたもので、特定商品の勧誘を目的としたものではありません。
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日米AI・半導体株をテーマに、日本株担当・鈴木英之、米国株担当・榮 聡が、それぞれの市場の最新動向や注目ポイントを徹底解説します。日本株・米国株を比較しながら、それぞれの魅力や投資の考え方をわかりやすくお伝えします(受講料無料、YouTubeでライブ開催、事前申込不要)。
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原油高支えに円売り継続
ウエルスアドバイザー社が提供する、主要国の金利・為替に関するレポートです。 前週分の振り返りと、今後の為替見通し・注目すべき経済イベントなどの情報をお伝えしますので、ぜひ債券をご購入の際に、ご参考として本レポートをご利用ください。
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2026/08/18
外国株式
【アメリカNOW!】 4-6月期決算を受けてアナリストが強気の見方を表明している銘柄
先週の米国株式市場は、7月の前年比物価上昇率が前月から低下し、市場の利上げ期待が後退したことから、強含みで推移しました。今週の株価材料として、FOMC議事要旨、大手小売決算、中東情勢が注目されます。 今回は4-6月期の決算発表を受けて...
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少ない資金で大きな利益が狙える先物・オプション取引って何?
信用取引のご注意事項
信用取引に関するリスク
信用取引は、差し入れた委託保証金額の約3倍の取引を行うことができます。そのため、現物取引と比べて大きなリターンが期待できる反面、時として多額の損失が発生する可能性も含んでいます。また、信用取引の対象となっている株価の変動等により、その損失の額が、差し入れた委託保証金額を上回るおそれがあります。この場合は「追加保証金」を差し入れる必要があり状況が好転するか、あるいは建玉を決済しない限り損失が更に膨らむリスクを内包しています。
追加保証金等自動振替サービスは追加保証金が発生した際に便利なサービスです。
信用取引の「二階建て」に関するご注意
委託保証金として差し入れられている代用有価証券と同一銘柄の信用買建を行うことを「二階建て」と呼びます。当該銘柄の株価が下落しますと信用建玉の評価損と代用有価証券の評価額の減少が同時に発生し、急激に委託保証金率が低下します。また、このような状況下でお客さま自らの担保処分による売却や、場合によっては「追加保証金」の未入金によって強制決済による売却が行われるような事態になりますと、当該株式の価格下落に拍車をかけ、思わぬ損失を被ることも考えられます。よって、二階建てのお取引については、十分ご注意ください。
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・ 日経平均VI先物取引は、一般的な先物取引のリスクに加え、以下のような日経平均VIの変動の特性上、日経平均VI先物取引の売方には特有のリスクが存在し、その損失は株価指数先物取引と比較して非常に大きくなる可能性があります。資産・経験が十分でないお客さまが日経平均VI先物取引を行う際には、売建てを避けてください。
・ 日経平均VIは、相場の下落時に急上昇するという特徴があります。
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日経平均VIは、急上昇した後に数値が一定のレンジ(20~30程度)に回帰するという特徴を持っています。
日経平均VIは、短期間で急激に数値が変動するため、リアルタイムで価格情報を入手できない環境での取引は推奨されません。
・ 指数オプションの価格は、対象とする指数の変動等により上下しますので、これにより損失を被ることがあります。なお、オプションを行使できる期間には制限がありますので留意が必要です。買方が期日までに権利行使または転売を行わない場合には、権利は消滅します。この場合、買方は投資資金の全額を失うことになります。売方は、市場価格が予想とは反対の方向に変化したときの損失が限定されていません。また、指数オプション取引は、市場価格が現実の指数に応じて変動しますので、その変動率は現実の指数に比べて大きくなる傾向があり、場合によっては大きな損失を被る危険性を有しています。
・ 未成年口座のお客さまは先物・オプション取引口座の開設は受付いたしておりません。
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・ J-NETクロス取引の詳細は適宜修正される可能性がありますのでご留意ください。
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