外国株式2023年の米国株は年後半の株高を予想

2022年の振り返り(主力株には厳しい1年になった)

2022年の米主要株価3指数の年初来パフォーマンス(12月21日時点)は、インフレと景気後退懸念等がネガティブ材料となり、NYダウが-8.2%、S&P500が-18.6%、ナスダックが-31.6%といずれもマイナスになりました。主力株ではメタ プラットフォームズAが-64.4%と大きく下落し、テスラ(-61.0%)、アマゾン ドットコム(-48.0%)、エヌビディア(-43.9%)、アルファベット A(-38.2%)、マイクロソフト(-27.3%)、アップル(-23.7%)等と厳しい1年になりました。

S&P500セクター別(11業種)の年初来パフォーマンスはエネルギーのみが上昇で、2022年はエネルギー株が主役であった年と言えます。また、業績面や実質金利等を背景に、バリュー株がグロース株をアウトパフォームする展開でした。

2023年の見通し(年前半は株安、年後半の株高を予想)

2023年の米国株の3大テーマは、①景気後退懸念、②インフレ高止まり懸念とFF金利の行方、③企業業績懸念だと考えています。市場予想の米実質GDP成長率(前期比年率、四半期ベース)は、2022/Q4が+1.1%、以下、2023/Q1が+0.1%、Q2:-0.4%、Q3:+0.2%、Q4:+1.0%と低空飛行の見通しです。インフレ指標の消費者物価指数はピークアウトしつつありますが、ウェイトの大きい住居費は鈍化の兆しがまだ見られません。賃金上昇も高止まりしており、景気やインフレ動向は引き続きマーケットの注目を集めそうです。年前半は景気後退懸念やインフレ懸念が根強く残ることが見込まれ、米国株は安値圏で推移する可能性があります。

FF金利に関しては、市場予想では年後半の利下げを織り込んでいます。一方、パウエルFRB議長は利下げにはまだ慎重なスタンスを見せており、マーケットと米金融当局者との間にギャップが生じています。このギャップを埋める動きが、今後のFOMC等で生じれば、株価のトレンドを形成させる可能性があり注目されます。

企業業績に関しては、市場予想では2023/Q1まではバリュー株のEPS成長率がプラスの見通しです。一方、2023/Q2以降はグロース株のEPS成長率がプラスに転じる見通しです。従って、年前半はバリュー株がグロース株をアウトパフォームする展開、年後半以降はこれまで売り込まれてきたGAFAM等のグロース株中心に相場は上昇していく展開を予想しています。

なお、2023年は大統領サイクルの3年目にあたり、アノマリー的には米国株は上昇しやすい傾向が見られます。過去10回の3年目におけるS&P500の平均上昇率は約16%です。こうしたアノマリーも次第に材料視される可能性があります。

2023年の注目テーマ・キーワード

◆価格決定力(値上げ力・単価上昇):コストが上昇しやすい環境の中で、製品・サービスの価格決定力のある企業が注目されると考えています。例えば、スターバックスやキャタピラー、マクドナルド、プロクター&ギャンブル、コカコーラ等です。
◆エネルギー株:エネルギーセクターは2022/Q4の市場予想EPS成長率がセクター別(11業種)で最も高いセクターです。エネルギーセクターの市場予想EPS成長率は2023/Q1まではプラス成長が見込まれ、2023/Q2にマイナスに転じる見通しですが、2023/Q1の決算発表が行われる4月ごろまではエネルギー株は堅調に推移すると予想しています。株主還元でもエネルギー株は注目できると思われます。
◆バイオ・ヘルスケア株:高齢化や画期的な新薬候補期待(アルツハイマー病治療薬、肥満治療薬等)を背景に、引き続き市場の関心を集める可能性があると思われます。
◆インドADR・ETF:米国市場に上場するインド関連にも注目しています。インドの代表的な株価指数であるSENSEX指数は史上最高値圏で推移しています。インドは2023年に人口が中国を上回る見通しで、パワーバランスが変わる可能性も秘めています。

*Bloombergデータを基にSBI証券作成

齊木 良
SBI証券 投資情報部 シニア・マーケットアナリスト(外国株担当)(公益社団法人日本証券アナリスト協会認定アナリスト)

名古屋大学経済学部卒業。東海東京証券において主に外国株プロモーション、外国株トレーディングに従事。機関投資家向けの日本株トレーディングにも携わる。米国の証券会社へのトレーニー、コロンビア大学ビジネススクール客員研究員等を経て2022年4月よりSBI証券投資情報部に所属。ファンダメンタルズとトレーディングの両面から米国株を分析する。

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