2023年の米国株の3大テーマは、①景気後退懸念、②インフレ高止まり懸念とFF金利の行方、③企業業績懸念だと考えています。市場予想の米実質GDP成長率(前期比年率、四半期ベース)は、2022/Q4が+1.1%、以下、2023/Q1が+0.1%、Q2:-0.4%、Q3:+0.2%、Q4:+1.0%と低空飛行の見通しです。インフレ指標の消費者物価指数はピークアウトしつつありますが、ウェイトの大きい住居費は鈍化の兆しがまだ見られません。賃金上昇も高止まりしており、景気やインフレ動向は引き続きマーケットの注目を集めそうです。年前半は景気後退懸念やインフレ懸念が根強く残ることが見込まれ、米国株は安値圏で推移する可能性があります。
FF金利に関しては、市場予想では年後半の利下げを織り込んでいます。一方、パウエルFRB議長は利下げにはまだ慎重なスタンスを見せており、マーケットと米金融当局者との間にギャップが生じています。このギャップを埋める動きが、今後のFOMC等で生じれば、株価のトレンドを形成させる可能性があり注目されます。
企業業績に関しては、市場予想では2023/Q1まではバリュー株のEPS成長率がプラスの見通しです。一方、2023/Q2以降はグロース株のEPS成長率がプラスに転じる見通しです。従って、年前半はバリュー株がグロース株をアウトパフォームする展開、年後半以降はこれまで売り込まれてきたGAFAM等のグロース株中心に相場は上昇していく展開を予想しています。
なお、2023年は大統領サイクルの3年目にあたり、アノマリー的には米国株は上昇しやすい傾向が見られます。過去10回の3年目におけるS&P500の平均上昇率は約16%です。こうしたアノマリーも次第に材料視される可能性があります。