「ミレニアル世代へ情報発信 お金を味方にするコツ教えます」横川楓【後編】

大学院で経営学修士(MBA)を取得。ファイナンシャルプランナー(AFP)の資格も取得し、平成生まれのお金の専門家として活動している横川楓(よこかわ・かえで)さん。横川さんに個人型確定拠出年金「iDeCo(イデコ)」の魅力を聞きました。

――若い世代は、人生のなかで、どんなふうにお金を味方にしていったらいいとお考えでしょうか。

横川氏:20代はそもそも、年齢的にもお金がない時期だと思います。でもそこから、増やしていくためのお金を残していく習慣をつけることが大切です。そこから考えるとつみたてNISAや個人型確定拠出年金の「iDeCo(イデコ)」などの制度の利用が大切です。

お金を貯める習慣をつけるという意味では、自分で1,000円ずつ貯金するということでもいいと思うのですが、今はそれではお金は増えないので......。「資産運用の制度が整っている」ということを、まずは知ることからスタートだと思うんです。

私の周囲では、つみたてNISA、iDeCoは、「何それ?」という反応をする人が多いのです。情報は自分で求めていかないと、知ることってできないですよね。だから、私としては「いかに情報を届けることができるか」ということが課題だと思っています。

――とはいえ、たとえばiDeCoの魅力を説明するのには時間がかかります。短い時間のなかで興味を持ってもらえるためには、どう伝えていけばいいのでしょうか?

横川氏:結構難しいところです。「税金にメリットがあるんだよ」というと「税金のメリットってそもそも何?」という話からになってしまいます。ある程度の知識がないと「ああ、そうか」と納得してもらうことは難しいのです。年末調整で何をしているかについても20代では知らない人が多いので、「税金の基礎的な知識から説明しないといけないな」ということはすごく感じています。

とりあえずは難しいことは言わないで、「年末調整でこんなふうにお金が戻ってくるから、やってみれば」というくらいの簡単な伝え方をしています。サクッと一言「税金が返ってくるから」という言葉で伝えたほうが、意外と刺さったりするのです。

――若い世代は、「老後の安心」といわれるより、ピンとくるのでしょうか?

横川氏:老後はもちろん不安です。また、年収200万円台という人も多いですし、奨学金の返済がある人もいます。「税金のメリットがあるし、私たちは老後が不安だから、自分で貯めていかないといけない世代なんだよ」というところが強調すべきポイントですね。

――周囲からアドバイスを求められることもあると思います。

横川氏:夢を追っている友人も多いので、「お金がない、どうしよう」という感じで相談を受けることが多いですね。不安がある人には、いざというとき就職するための武器になるという意味で、何か資格を取っておくのがいいんじゃない?とすすめることもあります。

――アドバイスを実行した人はいますか?

横川氏:社会保険労務士の資格を取った友人がいます。

――アドバイスのしがいがありましたね。

横川氏:がんばって勉強したみたいですね。

――まず稼げるようになり、そこから貯めていくわけですが、そんななか非課税制度はどのように活用すべきなのでしょうか?

横川氏:非課税制度にはNISA、つみたてNISAなどもありますが、私はiDeCoも、若い世代からはじめたほうがいいと考えています。なぜなら、制度の枠組がきれいに整っていて、初心者にも安心感のある非課税制度だからです。

それから、書類を出すなどして非課税口座のための証券口座を開くところが一番面倒だったりしますから、そこをがんばって、早くから投資ができる環境を整えておくことが大切ですね。証券口座をつくっておけば、やりたくなったときにすぐはじめられますから。とにかく、「やってみよう」と盛り上がった気持ちを、途中でいかに盛り下げないかということが重要だと感じています。

――投資というと、「仮想通貨や FX 投資で資産が何倍になった」といった話が注目されがちです。

横川氏:投資にはいろいろな種類があり、リスクも異なることをまず伝えていかなければなりません。仕事や生活をしながら、「無理なく続けていける投資とはどんなものなのか」ということを理解してもらうことからではないでしょうか。

仮想通貨投資が人気ですが、短期間での変動が激しいですよね。投資に慣れていない場合は、ちゃんと枠組みが決まっている、つみたてNISAやiDeCoからはじめるのがいいと思います。

――横川さんの、これからの活動内容を教えてください。

横川氏: iDeCoなどの非課税制度もそうですが、お金とか税金の仕組みがよくわからないという人がまだまだ世の中には多いので、私は本当にそこを変えていきたいと思っています。将来的にも金融教育をもっと力を入れていきたいですね。

お金の教育は、大人向けだけではなくて子ども向けのものも手掛けていきたいです。もし、高校生になってアルバイトができるようになれば、所得税は自分ごとになりますよね。結婚や車を買う、家を買うといった今まででは普通だったことが、「自分ごとではない」と思っている人もいます。そういう、お金まわりや社会の仕組みを、子どものころから知っているか知らないかで、将来のお金の向き合い方や資産の状況も違ってくると思うのです。

――同世代の女性にはどんなことを伝えたいですか?

横川氏:今は、女性だからということにとらわれず、バリバリ働いたり、好きなことをしてお金を稼いだり、ライフスタイルにもいろいろな選択肢があります。20代というと、「趣味に没頭したい」「洋服が買いたい」「もっと遊びたい」と思っている人は多いものですし、実際に私もそう思います。いろいろお金を使いたいことがありますよね。もちろん、そういうことに対してお金を使ってもいいのですが、将来のためのお金を自分でつくっていくということについても、もっと身近に感じて、しっかり考えて欲しいな、と思います。

横川楓
明治大学法学部、同大学院を卒業し24歳で経営学修士(MBA)取得。ファイナンシャルプランナー(AFP)、マイナンバー管理アドバイザー、マネーマネジメント検定等の資格を持つ。現在は、平成生まれのお金の専門家/経済評論家として「お金のことを誰よりも等身大の目線でわかりやすく」をモットーに活動中。女性ならではのお金の悩みを解決するのを得意とする。

>>イデコについてもっと詳しく知りたい方はこちら

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