健康投資は今後のテーマになる? 新時代に必要なのは治療より「予防」

昨今、糖質制限ダイエットやヘルスケアアプリの流行、スポーツジムに通う人が増加するなど、健康に対する意識が高まっています。自分自身の健康を維持するためには、時間だけでなくお金も必要です。病気の予防を目的とした取り組みは「健康投資」と呼ばれ、将来かかる可能性のある高額な医療費を抑えてくれます。「人生100年時代」に必要不可欠な健康投資について考えていきましょう。

目標は1日1万歩。歩くことが病気の予防に

厚生労働省が実施している国民の健康づくり運動情報サイト「健康日本21」によると、身体活動量を多くすること、つまり習慣的に運動を行うことが、高血圧や糖尿病といった生活習慣病の予防につながるとしています。例えば冠動脈疾患については、1週間に2,000キロカロリー以上の身体活動を行っている人は、そうでない人と比較して、発症リスクを3.5%減少させることができるというデータがあります。

週に2,000キロカロリーは、1日あたりだとおよそ300キロカロリーです。300キロカロリーを特に暮らしに身近な「歩行」で消費するとなると、1万歩必要です(体重60キログラム、分速70メートル、歩幅70センチメートルとした場合)。

毎日1万歩を歩くことをイメージすると、体力的にも時間的にも大変だと思うかもしれません。ところが、厚労省の「平成29年国民健康・栄養調査結果の概要」によると、20〜64 歳の男性が1日に歩く平均歩数は7,636 歩とされています。つまり、日常生活の中であと2,400歩ほど増やすことで1万歩の目標に届きます。

1,000歩歩くのに約10分かかるとすると所要時間は20分程度なので、決して無理な目標ではありません。エレベーターやエスカレーターを使わず階段で移動する、通勤や通学時に一駅分だけ歩いてみるといった少しの工夫で達成できることでしょう。年齢を重ねるにつれて歩数も減少していきますが、こうした習慣づけが、高齢になっても健康な体を維持する秘訣になります。

生命保険も「健康」がキーワードに

健康ブームは保険業界にも波及しています。最近では、健康年齢が若ければ保険料を割り引いたり、歩数に応じて保険料のキャッシュバックが受けられたりする生命保険が出てきました。金融サービスと情報技術を融合した「フィンテック」の進展により、ビッグデータの利用や、アプリやウェアラブル端末での歩数の計測などが可能となったことが背景にあります。保険料の割引につながるとなれば、健康維持へのモチベーションにもなるはずです。保険料を今より安くすることを目標に、健康的な生活を送るのもいいかもしれません。

一度の入院で医療費は膨大に。健診で病気の早期発見を

病気の予防には、運動習慣以外にも、毎年の健康診断や人間ドックをきちんと受診することが大切です。厚生労働省は、40〜74 歳人口に占める健診受診率を2020年までに80%以上とすることを目標に掲げていますが、実際には2016年時点で71.0%にとどまっています(出典:「平成28年 国民生活基礎調査の概況」より)。

「心配な時はいつでも医療機関を受診できるから」「めんどうだから」「時間がとれなかったから」といった理由で受診しない人も多いですが、万が一、生活習慣病になっていた場合に辛い思いをするのは自分自身です。

それだけでなく、病気が悪化し入院しなければならなくなると、医療費の負担も大きくなります。生命保険文化センターの「平成28年度生活保障に関する調査」によると、入院経験がある人の直近の入院日数は、平均19.1日、治療費や差額ベッド代など1日あたりの自己負担費用の平均が1万9,800円となっています。また、入院経験がある人のうち、高額療養費制度を利用した人及び利用しなかった人(適用外含む)の直近の入院時の自己負担費用の平均は22万1,000円と高額になることから、病気の早期発見が結果的に経済的な負担も軽減してくれるといえるでしょう。

健康投資から資産形成へつなげよう

いつまでも変わらず健康でいるために、まずは無理のない程度で運動の習慣づくりから始めていきましょう。また、自分ひとりで自身の健康状態を完全に把握するのは難しいので、医師の指導が受けられる健診や人間ドックをきちんと活用するようにしましょう。病気を予防できれば医療費を減らすことができます。健康投資によって浮いたお金で、老後資金を準備するiDeCo(イデコ)で資産運用するなど、別の形で将来の自分に投資するといったことも可能になります。健康な体を資本にしてお金を貯める、新時代の賢い投資術です。

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