レポート・コラム

SBIラップ 匠の運用コース  半期運用レポート(2025年度上期)

SBIラップ 匠の運用コース 半期運用レポート(2025年度上期)

「SBIラップ 匠の運用コース(愛称:匠ラップ)」(以下、「匠ラップ」といいます)は、野村アセットマネジメント独自の投資戦略を活用し、同社の厳選したアクティブファンドへの投資を通じて、投資環境に左右されにくい安定した高いパフォーマンスの獲得を目指します。2025年度上期の世界の株式市場は、米トランプ政権が市場の想定を上回る厳しい内容の相互関税を発表し、世界的な急落で始まる波乱の幕開けでした。しかし、その後すぐに適用の90日間停止が発表され、5月には英国や中国との関税交渉の進展も好感されたことで6月にかけて株価は持ち直し、7月も同様の傾向が続きました。8月には米雇用統計の悪化から一時弱含む場面もありましたが、米利下げ観測が強まる中で9月のFOMC(米連邦公開市場委員会)で9ヵ月ぶりに政策金利引き下げが決定されると、買い安心感から米国や欧州、日本などの株価指数が最高値を更新するなど9月末まで堅調に推移しました。 また、金は世界経済の見通し不安や米国への信認低下、米金利の低下などを追い風に最高値を更新し続ける展開となりました。為替市場は、米政権による相互関税発表後に米国から資金が逃避し、円高・ドル安が進行しましたが、関税交渉の進展や合意の見通し等が伝わると円安・ドル高に回帰するといった神経質な展開が6月末まで継続しました。7月には日本の国政選挙で財政規律を重視する政権与党が敗北したこと等が円安を後押ししましたが、8月に入ると米金利の早期引き下げ観測で円高・ドル安となりました。その後、9月の日米の金融政策決定会合を波乱なくこなしたことで小動きとなり、最終的に3月末比では、1.34%円高・ドル安となりました。そのような市場環境の中で、「匠ラップ」がどのようなパフォーマンスだったのか、約半年間を振り返ります。

2025年度上期のパフォーマンス

2025年3月末から2025年9月末の期間における「匠ラップ」のパフォーマンスは+10.37%(※1,3)となりました。「匠ラップ」 は2025年6月以降、「世界株(グロース)」の保有等を徐々に増やし、「外国債券(国債型)」を徐々に減らすなど、リスクを継続して高めつつ運用を行いました。結果として、「匠ラップ」の運用戦略において参考とする株式60%、債券40%の合成指数(※2)のパフォーマンスを7月に上回り、最終的に0.07pt(※3)アウトパフォームしました。以下の折れ線グラフは「匠ラップ(※1)(赤色線)」「合成指数(※2)(青色線)」の比較グラフで、開始点は2025年3月31日です。
2025_1sthalf_takumi_graph01

※合成指数のパフォーマンスは手数料および信託報酬として運用資産額の年1.46%(年率・税込)を控除した数値を表示しています。

・運用実績は過去のものであり、将来の運用成果等を示唆または保証するものではありません。

・「匠ラップ」は、オールウェザー戦略の考えを取り入れ、株式60%、債券40%の資産配分を参考としながら、事前想定リスク年率10%程度でリターンの最大化を目指し、資産配分を決定します。本グラフでは、「匠ラップ」の運用戦略に基づく資産配分の決定がどれだけパフォーマンスに寄与しているかを示すために、前述の資産配分の参考値に基づきFOLIOが作成した合成指数(※2)を用いて、パフォーマンスの比較を行っています。

リバランスと「匠の判断」を振り返る

「匠ラップ」は、2025年4月初めから2025年9月末までに計6回のリバランスを行い、2025年6月9日のリバランス以降、「世界株(グロース)」を中心に株式資産の配分を少しずつ増やし、積極的な運用にシフトしました。
2025_1sthalf_takumi_graph02
以下のような「匠の判断」を勘案した結果、「匠ラップ」のリスク資産(株式、REIT、米国ハイ・イールド債券)への配分をベースライン(参考ベンチマークである合成指数の配分)よりも高くすること基本戦略としました。またリスク選好度も高めとし、ポートフォリオのリスク水準も徐々に上げて行きました。その判断の前提として想定していた投資環境を、定量・定性戦略別に確認すると、以下の通りです。
  • 長期の定量戦略に基づく分析
    • 市場の景気期待について
      • 2025年度上期は一貫して好景気
    • 市場のインフレ期待について
      • 2025年5、6月は一時的にインフレに備えるべき局面であることを示唆していましたが、その他の期間については中立な見通しとしていました。
  • 短・中期の定性戦略に基づく分析
    • 実体経済の動向について、景気小幅強気
      • 2024年12月に判断を「小幅な強気」へ変更してから2025年4月まで維持してきましたが、2025年5月に、関税問題によって景気拡大に移行する局面が後ろ倒しされたものと評価した結果、景気の判断は「中立」に下方修正されました。
      • その後、貿易協定妥結への期待、交渉期限の再延長、米利下げといった緩和政策の下支えなどから、景気判断は6月に「小幅な強気」に上方修正され、それ以降判断は据え置きました。
    • 金融環境の動向について、グローバルな金融緩和サイクルの継続
      • 2024年4月にFRB(米連邦準備制度理事会)が利上げへの転換を強いられるような劇的な環境変化が生じることは想定していませんでした。金融政策の運営については、日本を除く先進諸国のほとんどの国において緩和政策がとられる中、景気悪化懸念が強まった際には、物価より景気を優先して金融緩和を強化する可能性が高いと見込んでいました。
2024_2ndhalf_takumi_flowchart
続いてリバランスがパフォーマンスに与えた影響を振り返ります。まずは、リバランスの結果、合成指数を大きく下回った2025年5月です。2025年5月の世界の株式市場は、関税交渉の合意観測や導入時期の延期などが好感され反発しました。5月は「匠ラップ」の短中期の定性判断において、実体経済の判断を「景気小幅強気」から「中立」に引き下げました。そのため「世界株(グロース)」や「世界株(バリュー)」の配分の引き下げを決定した結果、株式市場の反発局面を上手く捉えることができませんでした。また5月のリターンが相対的に低かった「外国債券(国債型)」の保有を増やしたこともマイナスに影響して、合成指数との比較では-0.40pt(※3)となりました。(前述のパフォーマンス推移、または月次レポート 2025年5月をご確認ください)一方で、2025年6月においては、合成指数と比べて良いパフォーマンスを発揮することができました。(※4)

2025年6月の投資配分と月間パフォーマンス

2025年6月は、米関税交渉の進展観測や米国の利下げ期待等で半導体・IT関連を中心にグロース株が物色されました。6月の「匠の判断」では、実体経済の判断を「中立」から「景気小幅強気」に上昇修正し、その結果「世界株(グロース)」を最も多く保有していたことがプラスに寄与しました。「匠ラップ」の月間パフォーマンスは+3.09%となり、合成指数と比較して+0.51ptとなりました。(※3,4,5)「世界株(グロース)」は、「匠の判断」により複数の成長テーマを想定し、業績や利益を伸ばしているグロース株に厳選投資するアクティブファンドです。そのような「匠」の戦略が詰まった「世界株(グロース)」とその参考指数である「MSCIワールド・インデックス(配当込み、円換算ベース)」を比較してみると、「世界株(グロース)」は6月月間で+4.90%となり参考指数を0.98pt上回りました。(※6)
2025_1sthalf_takumi_graph03

※1  「匠ラップ」の運用実績について

2025年3月末から2025年9月末まで、または表示している期間において、「匠ラップ」に投資していた場合の運用実績です。 投資対象ファンドの基準価額(信託報酬やその他の費用が考慮されており、分配金は当該ファンドに再投資したものと仮定しています。)をもとに、「(計算期間終了日基準価額/計算期間開始日基準価額)-1」で計算したものを%表示しています。リバランスは最適ポートフォリオとの乖離がないように実施したと仮定し、運用手数料を年率0.77%(税込)徴収したと仮定して計算を行っています。(※3)

※2  合成指数の推移について

「合成指数」のシミュレーションにあたっては、「匠ラップ」が参考とする資産配分である株式60%、債券40%の割合でMSCIワールド・インデックス(配当込み、円換算ベース)とFTSE世界国債インデックス(除く日本、ヘッジあり・円換算ベース)を合成して計算しています。手数料および信託報酬として運用資産額の年1.46%(年率・税込)を控除した数値を表示しています。投資対象ファンドの基準価額に市場価格が反映されるタイミングを考慮し、合成指数の計算期間開始日および終了日を前倒して表示しています。(※3)

※3  運用実績又は運用シミュレーションの計算方法について

本文およびグラフ上で表示している割合は年率ではありません。計算後の数値の小数第3位以下を切り捨てて表示しています。将来の運用成果等を示唆または保証するものではありません。分配金やリバランス時の譲渡益にかかる税金は考慮していません。表示期間における、匠ラップの運用実績と合成指数のシミュレーションの比較においては、小数第3位以下を切り捨てて表示しているため、表示上の数値を用いて計算すると数値が一致せず誤差が生じる場合があります。

※4  匠の運用の好事例のみを示しており、市場動向等によっては上記のような運用ができない場合があります。毎月の運用実績は、匠ラップウェブサイトにてマンスリーレポートをご確認ください。

※5  2025年6月の運用実績等および投資対象ファンドの騰落率については、それぞれ前月末の値を基準として当月末までを対象期間として計算しています。「(当月末の評価額(基準価額)/前月末の評価額(基準価額)-1」で計算を行い%表示をしています。計算根拠については、※1,2,3をご参照ください。

※6  「世界株(グロース)」と「MSCIワールド・インデックス」の推移比較について

・将来の傾向や投資収益等を示唆又は保証するものではありません。

・「世界株(グロース)」は野村アセットマネジメント社から提供された「ラップ専用・世界株式アクティブ(グローバル・マルチテーマ)」の分配金再投資基準価額データ(信託報酬等の費用考慮後)を用い、またBloombergが提供する「MSCIワールド・インデックス(配当込み)」をFOLIOにて円換算したデータを参考指数として用いて、2025年5月30日を基準として6月末までの推移をFOLIOにて計算し作成したものです。小数第3位以下を切り捨てて表示しています。

・「ラップ専用・世界株式アクティブ(グローバル・マルチテーマ)」の基準価額に市場価格が反映されるタイミングを考慮し、「MSCIワールド・インデックス(配当込み)」の計算期間開始日および終了日を前倒して表示しています。

・本文中の比較は、「ラップ専用・世界株式アクティブ(グローバル・マルチテーマ)」と「MSCIワールド・インデックス(配当込み)」の2025年6月の月間騰落率を比較したものです。小数第3位以下を切り捨てて計算している箇所があるため、数値が必ずしも一致しない場合があります。

・信頼できると考えられる情報を用いて算出しておりますが、情報の正確性、完全性等について保証するものではありません。

市場動向を振り返る

<4月>株式市場も為替市場も、米国の相互関税に大きく揺さぶられる展開となりました。月初に厳しい内容の相互関税が発表され多くの国で株価が急落し、円高・ドル安が進行した後、その発動日の同日中に一時停止されたことで回復基調となりましたが、今後の不透明感等から神経質な展開が続きました。<5月>株式市場は、上旬に米英・米中間の関税交渉で一定の合意が成立したことが好感されて米国を中心に回復基調でした。為替は、貿易摩擦の懸念後退で円安・ドル高が進みましたが、日米の財政懸念や米国債格下げに伴うドル売り等で円高・ドル安に動く等、大きく変動しました。<6月>株式市場は、中東で地政学リスクが高まったものの早期に停戦に至ったことや、米関税政策に関する交渉の進展期待等で上昇基調でした。為替は、中東情勢の緊迫化でドルが買われて円安・ドル高が進みましたが、下旬は米国の利下げ期待等で米長期金利が低下したことから円高・ドル安に転じ、前月末とほぼ同水準に戻りました。<7月>株式市場は、米国による相互関税に関する一定の合意や期限の再延期などの発表を好感して、米国を中心に主要国の多くで上昇しました。為替は、米国で早期利下げ期待が後退したことや関税によるインフレ懸念が続いていること等で米金利が上昇したこと、また日本で財政規律派の政権与党が選挙で敗北したこと等で、円安・ドル高が進みました。<8月>株式市場は、米雇用統計の過去分の大幅な下方修正などで一時的に下落しましたが、米利下げ観測等で反発し、先進国を中心に上昇しました。為替市場では、月初の軟調な米雇用統計を受けて不透明感が台頭し米ドルから資金が逃避しました。その後も米物価上昇率の落ち着きやパウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長の発言等で米金利の反発は抑えられ、円高・ドル安となりました。<9月>株式市場は、米国の利下げを背景に資金流入が進み、先進国を中心に主要株価指数が最高値を更新するなど、堅調に推移しました。為替は、日米の金融政策決定会合を無難にこなし小動きでしたが、好調な米経済指標が発表され月末に米金利が上昇したこと等により、小幅に円安・ドル高となりました。最新の投資配分の確認方法「匠ラップ」では野村アセットマネジメント独自の投資戦略を活用して、同社の厳選したアクティブファンドへの投資配分を決定しています。最新の投資配分が気になる方は、「匠ラップ」契約後のサマリー画面にてご確認いただくことができます。口座開設・ログインはこちらスマートフォンでの利用方法SBI証券スマートフォン専用サイトや各種アプリを経由して、スマートフォンでも「匠ラップ」を便利にご利用いただけます。詳しくはコラムでご紹介しています。

■本資料について

・投資環境に関する過去の事実等の情報提供や作成時点での見解をご紹介するために、「匠ラップ」の投資運用業務を行う株式会社FOLIOが作成した資料です。

・記載内容は作成時点のものであり、将来の市場環境の変動や運用成果等を示唆又は保証するものではありません。

・信頼できると考えられる情報を用いて作成しておりますが、その正確性、完全性等について保証するものではありません。

■株式会社SBI証券

金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第44号、商品先物取引業者 加入協会:日本証券業協会、一般社団法人 金融先物取引業協会、一般社団法人 第二種金融商品取引業協会、一般社団法人日本STO協会、日本商品先物取引協会、一般社団法人日本暗号資産等取引業協会

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金融商品取引業者(第一種金融商品取引業、投資助言・代理業、投資運用業) 関東財務局長(金商)第2983号 加入協会:日本証券業協会、一般社団法人日本投資顧問業協会