株価下落で買い好機!?「2024年問題」に挑む好業績6銘柄

株価下落で買い好機!?「2024年問題」に挑む好業績6銘柄

投資情報部 鈴木 英之 栗本奈緒実

2024/06/19

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株価下落で買い好機!?「2024年問題」に挑む好業績6銘柄

東京株式市場の値動きが大きくなっています。6/17(月)の東京株式市場では、日経平均株価が一時、前週末比864円安となり、38,000円台を割り込む場面もみられました。

欧州の政情不安の影響が大きいようです。6/9(日)の欧州議会選挙で極右勢力の台頭が目立ちましたが、それに対応すべく、フランスのマクロン大統領が下院議会を解散し、選挙に打って出たことが驚きを誘いました。選挙で再び極右勢力が勝利すると、財政規律が乱れるとの見方から、市場のリスク許容度が低下しました。日本株上昇に貢献してきた海外投資家の売買の7割は欧州勢によるものとみられます。欧州投資家の混乱が日本株の波乱につながったとみられます。

もっとも、日本の景気・企業業績が下向きという訳ではありません。日経平均の予想EPS(1株利益)は6/17(月)時点で2,376円あり過去最高水準です。会社計画の業績は保守的との見方が多く、今後、企業業績見通しは上方修正される可能性が大きいとすれば、予想EPSの上昇が期待されます。6/17に日経平均の予想PERは16.0倍と2月以来の低水準まで下げており、下げ過ぎと言えるかもしれません。

そうした中、中小型株市場も軟調です。ただ、日米で金利上昇観測が後退したことや、米国でナスダック指数が上昇傾向となっていること等もあり、日本の中小型株市場は、大型株市場に比べると穏やかな動きのように思います。今後少なくとも米国では、景気・インフレ減速観測から金利は下がりやすくなるとみられ、中小型成長株にとっては追い風が強まる可能性がありそうです。

現在の投資環境は主力テーマ株にとっては、買い好機と言えるかもしれません。

そこで、今回の「新興株ウィークリー」では、2024年問題に関係する中小型株を再吟味してみることにしました。

「2024年問題」は、「働き方改革」の一環として、本年4月以降、自動車運転業務の年間時間外労働の上限が960時間に制限されたことで起こり得る様々な問題を指します。同政策により、輸送能力の減少等が予想されています。

経済産業省の「持続可能な物流の実現に向けた検討会(2023年8月 最終取りまとめ)によると、もし何の対策も施さなければ、輸送能力は2024年度に14.2%、2030年度に34.1%減少すると予想されています。また、営業用トラックの不足する輸送量は、同じ時期にそれぞれ4.0億トン、9.4億トンに達すると見込まれています。

輸送能力の減少により、輸送業者は今まで通り輸送できない、荷主は必要な時に荷物を届けられないし、輸送を業者に断られる場合も懸念されます。消費者は宅配サービスの利便性低下が見込まれ、新鮮なものが手に入らない等の問題に直面することになります。

これらを克服するには、物流システムのDX、配送ルートの最適化、自動車・トラック以外の輸送手段への転換(モーダルシフト)等の対策が必要とみられます。また、業界・企業グループの垣根を超えた物流部門の再編が必要かもしれません。昨年の日本郵政、ヤマト運輸の業務提携は記憶に新しいところです。6/18(火)にはセイノーHDによる三菱電機の物流子会社の買収も報じられています。

建設業界においても本年4月以降は原則、月45時間、年間360時間の時間外労働上限が適用されることになりました。建設業界は運輸業界との関係も深いこともあり、やはり「2024年問題」は深刻な問題になりそうです。

今回の「新興株ウィークリー」では、2024年問題への対応に取り組む銘柄を母集団とし、業績も好調な銘柄を抽出すべく、以下のスクリーングを行ってみました。

(1)東証スタンダード市場、またはグロース市場上場銘柄

(2)以下のいずれかに掲載され、「2024年問題」と関連性があるとみられること。

  ・「2024年問題」を特集したSBI証券の2024/4/3付、または2/7付「新興株ウィークリー」に掲載された銘柄

  ・SBI証券のテーマ株投資ツール「テーマキラー!」に掲載

(3)6/14(金)までの20営業日で1日当たり平均出来高が2万株以上

(4)直近四半期(3ヵ月)の営業損益が前年同期比で増益

(5)今期会社予想営業利益が増益予想

(6)取引所または日証金による信用規制・注意喚起銘柄を除く

図表の銘柄は、上記(1)~(6)の条件をすべて満たしています。なお、掲載各社と2024年問題との関連性、および直近四半期の営業利益動向は、図表にて記載しています。掲載はコード番号順です。


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【参考】 日経平均株価と東証グロース市場指数の推移

【参考】 6/11(火)~6/18(火)で株価上昇が大きかった東証グロース市場指数構成銘柄

■図表 株価下落で買い好機!?「2024年問題」に挑む好業績6銘柄

取引 チャート ポートフォリオ コード 銘柄名  株価
(6/18・終値)
ポイント
4371 4371 4371 4371 コアコンセプト・テクノロジー(12) 2,041 ITによるビジネス変革を総合的にサポート。大手建設業向けに開発実績。24.12期1Q営業利益は前年同期比64%増(※)
4492 4492 4492 4492 ゼネテック(3) 627 物流業・製造業向けに、生産性を向上させる3Dシミュレーションソフトウェアを展開。24.3期4Q営業利益は前年同期比8%増
5254 5254 5254 5254 Arent(6) 5,150 建設業界のDXを推進するために顧客と共創でSaaSを開発。24.6期3Q営業利益は前年同期比81%増
6551 6551 6551 6551 ツナググループ・ホールディングス(9) 623 小売・飲食等の採用をワンストップで代行。シーアールイーと共に物流2024年問題に対応。24.9期2Q営業利益は前年同期比32%増
9163 9163 9163 9163 ナレルグループ(10) 2,942 建設ソリューション事業において、改正労働基準法(2024.4-)に先んじて対応。24.10期2Q営業利益は前年同期比22%増
9325 9325 9325 9325 ファイズホールディングス(3) 1,048 ECサイト運営企業、メーカー、配送会社に対し、物流拠点の作業プロセスを包括的に管理。24.3期4Q営業利益は前年同期比17%増
  • ※Bloombergデータ、会社公表データをもとにSBI証券が作成
  • ※銘柄名右横()内は決算月。「ポイント」の中の「Q」は四半期(3ヵ月)
  • ※コアコンセプト・テクノロジーの24.12期1Q営業増益率は、前年同期の単独決算の営業利益と単純に比較

一部掲載銘柄を詳細に解説!

コアコンセプト・テクノロジー4371)~特定業種にフォーカスしたDX支援、あらゆる産業にリーチするIT人材調達支援

23.12期の売上構成比は「DX支援」が48%、「IT人材調達支援」が52%となっています。

「DX支援」は強みを生かせる製造業・建設業・物流業にフォーカスしているのが特長です。顧客の業務プロセスとバリューチェーンを改革し、売上高拡大や利益率向上を実現し、さらに内製化まで支援しています。AI(人工知能)を中心とした技術力、モノづくりへの深い知見が強みです。AGC、竹中工務店、ミスミなど大手企業を顧客としています。当社が一次受けとなるため粗利(23.12期)は全体の68%と高くなっています。

「IT人材調達支援」は、大手SIer(システム開発)、コンサルティング会社、事業会社向けに、顧客が必要とする技術を持ったIT人材の調達支援を行っています。

業績は順調です。2024.12期1Qの売上高(連結)は44.3億円で、前年同期(単独)から23%増加、営業利益は5.6億円で同64%増加しました。24.12通期では売上高208億円(前期比31%増)、営業利益23.9億円(同37%増)が会社計画です。会社側によると1Q実績について売上高はほぼ計画通りであるものの、営業利益は計画比でやや上振れている模様です。

株価は年初来高値3,000円(2/14)から下落し、5/30には年初来安値1,850円を付けました。時価は同安値水準から多少戻した水準にあると見受けられます。予想PERは21倍程度であり、割高感はそれ程強くないとみられます。

■ゼネテック (4492)~生産性向上ソフトは世界の名立たる企業で導入。今期は過去最高業績を更新予定

組込開発*のリーディングカンパニーです。メインの組込開発を行うデジタルソリューション事業の他、エンジニアリングソリューション事業を展開。製造業・物流業の業務効率化を手助けする3Dシミュレーションソフト『Flex Sim』は、グローバル導入実績は約60,000に上り、トヨタやアマゾン、アップルなどでも使用されています。

2024年問題の解決に向け、同製品の物流向け用途開発の推進を中計目標として掲げています。24.3期は売上高71億円(前期比21%増)、営業利益6.2億円(同494%増)で過去最高売上・利益を確保しました。25.3期の会社予想営業利益は7.5億円(前期比19%増)と最高益を更新する計画です。

*組込開発とは、電子機器に特定の機能を組み込むためのシステム開発を指します(例:スマートフォンのGPSやバッテリー管理、洗濯機の制御ユニット等)。

■ツナググループ・ホールディングス(6551)~「人手不足」の克服を目指し、企業の採用活動を幅広くサポート

大手企業を中心に、採用活動を支援する企業です。約15万事業所の採用を支援し、アルバイト・パートタイマーの就労支援を近年は年間約300万人行っています。人手不足下で採用に悩む小売・飲食等の企業に対し、コンサルタント、手法・求人媒体選定、応募受付、採用Webサイトの運営、店長研修、定着支援など採用成功までのサポートを実施。また、採用活動の効率化をもたらすDXサービスも提供しています。

5/15に発表された24.9期2Q累計業績は、売上高78.6億円(前年同期比6%増)、営業利益4億円(同59%増)と増収増益を確保。収益構造改革の成果もあり、24.9期2Q(3ヵ月)の営業利益は金額・利益率ともに過去最高を記録しました。

24.9期の会社計画では、売上高165億円(前期比10%増)、営業利益6.6億円(同49%増)と増収増益が続く見通しです。2Q累計営業利益の通期会社計画に対する進捗率は61.4%(前年同期は57.6%)に達しており、業績予想上方修正の余地は大きめであると見受けられます。

■ファイズホールディングス(9325)~「アマゾン」の物流の一翼を担う黒子的存在

AZ-COM丸和ホールディングス(9090)の連結子会社(持株比率は23.9末時点で58.39%)です。ECサイト運営企業、メーカー、配送会社に対し、物流拠点における入荷から出荷に至るまでの作業プロセスを同社が包括的に管理し、あるいはコンサルティングしています。また、実運送や配車プラットフォームのサービスも行います。

22.3期までは営業利益が5億円台止まりでしたが、23.3期には11億円台まで増えました。売上高が236億円(23.3期)と前期比で56億円増え(うち、アマゾンジャパン向けがが43億円増)たことが背景にあります、増加分の多くが「アマゾンジャパン」向けで、同社への売上比率は55%に達しています。

24.3期の四半期営業利益は、3Q=5億円(前年同期比24%増)、4Q=2.7億円(同18%増)と増益が続きました。24.3期の通期営業利益は今期会社計画の営業利益は14億円に対し13.1億円(前期比15%)で着地。25.3期の会社計画営業利益は15.4億円(前期比16%増)、中計では26.3期に営業利益18億円(修正前は20億円)の達成を目指しています。自社運営倉庫を拡大する一方、2024年問題への対応強化も進める方針です。「アマゾンジャパン」による2024年問題への対応と連動した成長に期待感がもてるでしょう。

株価は、中計がややトーンダウンしたこと等もあり、5/27に年初来安値975円を付け、その後は少し切り返しています。予想PERは12倍弱まで低下しており、割高感は乏しくなっています。

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