「関税の壁」が崩れた今、期待したい中小型10銘柄

「関税の壁」が崩れた今、期待したい中小型10銘柄

投資情報部 鈴木 英之 栗本奈緒実

2025/07/23

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「関税の壁」が崩れた今、期待したい中小型10銘柄

7/23(水)の東京株式市場では、日経平均株価の午前終値が前日比1,278円高と大幅高しています。日本と米国が関税交渉で合意したと伝えられ、寄り付き直後から値を上げました。日本から米国への輸入に賦課される「相互関税」は25%から15%に引き下げられる予定です。さらに自動車関税も15%に引き下げられる見込みです。日本は米国に80兆円の巨額投資を行い、コメ、乗用車、トラック、農産物等で市場開放する予定です。

日米関税交渉が妥結し、不透明感がかなり晴れたことで、株価は上値を試す可能性が大きそうです。東証グロース市場指数は年初来高値近辺に到達し、東証スタンダード市場指数も取引時間中に、年初来高値を更新してきています。総選挙、日米関税交渉を通過し、株式市場の関心は「ミクロからマクロへ」移りそうです。

折しも、東京株式市場は25.4-6月期決算発表シーズンの「入り口」を迎えています。今回の「新興株ウィークリー」では、足元の四半期業績が好調で、25.4-6月期決算の内容いかんでは業績予想の上方修正が期待できる銘柄を抽出すべく、スクリーニングを行ってみました。

① 東証グロース市場、または東証スタンダード市場に上場

② 時価総額が100億円以上

③ 売買高(25日移動平均)が2万株以上

④ 6月、9月、12月を決算期末とする企業

⑤ 直近四半期までの売上高進捗率が直近3期平均より高い

⑥ 同上の営業利益進捗率が直近3期平均より10%pt以上高い

⑦ 通期会社予想がいずれの項目も期初から下方修正されていない
⑧ 取引所または日証金による信用規制・注意喚起銘柄を除く

図表の銘柄は、上記条件をすべて満たしています。掲載は、直近四半期累計の営業利益進捗率と直近3期平均の差分が大きい順です。

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【参考】 7/15(火)~7/22(火)で株価上昇が大きかった東証グロース市場指数構成銘柄

■図表  「関税の壁」が崩れた今、期待したい中小型10銘柄

取引 チャート ポートフォリオ コード 銘柄名 株価
(7/22・円)
直近四半期累計
営業利益進捗率
直近3期平均との差
(%pt)
直近四半期累計
増収率
(前年同期比)
5586 5586 5586 5586 Laboro.AI 1,080 +24.5 37.3%
1431 1431 1431 1431 Lib Work 746 +24.2 12.4%
7803 7803 7803 7803 ブシロード 653 +23.5 19.8%
7806 7806 7806 7806 MTG 4,580 +15.0 42.6%
6677 6677 6677 6677 エスケーエレクトロニクス 2,724 +13.1 17.5%
2485 2485 2485 2485 ティア 600 +11.4 26.8%
6223 6223 6223 6223 西部技研 1,520 +11.2 18.3%
4320 4320 4320 4320 CEホールディングス 697 +10.8 14.0%
9553 9553 9553 9553 マイクロアド 529 +10.6 15.5%
4054 4054 4054 4054 日本情報クリエイト 760 +10.0 21.0%
  • ※会社発表データ、Quick Workstation Astra ManagerデータをもとにSBI証券が作成

一部掲載銘柄を詳細に解説!

■MTG (7806)~美容機器『ReFa(リファ)』等、ファブレスメーカー。新ブランド、新販路で成長拡大!?

★日足チャート(1年)

★業績推移(百万円)

■『ReFa(リファ)』『SIXPAD』などブランド創造力に強みを有するファブレスメーカー

美容・健康領域のファブレスメーカーであり、ヘア用品やシャワーヘッドなど美容機器で人気『ReFa(リファ)』や、体に貼るだけでトレーニングの効果を得るEMS機器『SIXPAD』などのブランドを手掛けています。社名のMTGは、創業者で社長の松下剛氏(Matsushita Tsuyoshi Group)に由来しています。

ダイレクトマーケティング事業(国内他社ECサイトや通販事業者向けの卸売)が、全売上高の40%で営業利益の過半を占めます(24.9期)。その他の主要事業の売上構成比は、リテールストア事業(百貨店・免税店などでの直販)が27%、美容室やサロン向けのプロフェッショナル事業が26%です(同)。

ブランド価値の創出力とマーケティング力が特長で、過去にはクリスティアーノ・ロナウドやマドンナなど世界的著名人を広告起用した実績を有します。『ReFa』は、SNS活用やプロユース訴求による高級感戦略が奏功し、業績をけん引してきました。

さらに、宿泊施設やジムでの製品設置による体験型マーケティング、リピート購入が期待されるオイル製品や低価格帯商品の展開など、商品・顧客層の拡大にも注力しています。

■成長市場で新ブランド「ReD(レッド)」をローンチ 7月から販売開始

血行促進繊維を独自に開発。これを使用したリカバリーウェアブランド「ReD(レッド)」を7/10(木)から発売しました。俳優の大泉洋さんがアンバサダーに就任しています。

睡眠時間の減少を背景に、「リカバリー(休養・抗疲労)」市場は拡大傾向にあり、成長余地の大きい分野です。

日本リカバリー協会の推計によると、市場規模は2019年の約4.0兆円から2024年に6.0兆円、2030年には14.1兆円に達すると予測されています。(一般社団法人 日本リカバリー協会『リカバリー(休養・抗疲労)市場規模に関する分析サマリー』より)。

4月からは一部ドラッグストアでの販売も

コロナ禍後は、21.9月期から一貫して2桁台以上の前期比増収が継続しており、堅調に推移しています。前期(24.9期)は、プロモ―ション等の先行投資が増え、営業利益と経常利益は前期比減益となりました。一方、今期(25.9期)は売上高と各利益で過去最高を更新する見通しです。

今期は上期(24.10-25.3期)時点でも、過去最高の売上高466億円(前年同期比42%増)、営業利益73億円(同345%増)と大幅増収増益を達成。会社側は好業績を背景に、通期業績計画数値と年間配当の上方修正を実施しました。

下期は新しい販路での販売も始まり、25年4月からはマツモトキヨシ、ココカラファインの一部店舗で同社製品が置かれています。同決算発表後、大手証券会社による投資判断引き上げや、最上位投資判断でのカバレッジ開始もあり、株価は2019年以来の高値水準に位置しています。

■西部技研 (6223)~独自の「ハニカム構造技術」でグローバル企業に。環境分野での受注も相次ぐ

★日足チャート(1年)

★業績推移(百万円)

■独自の「ハニカム構造技術」で世界展開。特許は100件以上

1961年、九州大学の隈利實教授が設立した「隈研究室」は、現在では海外売上比率67%(2024年12月期)※を誇るグローバル企業へと成長しました。

※国・地域別売上構成(24.12期):日本33%、中国21%、韓国11%、欧州18%、米国10%、その他7%

◎中核技術・強み:ハニカム構造 × 吸着剤

ハチの巣状のハニカム構造に吸着剤を固定する独自技術により、軽量・高強度・高表面積の部品を実現。これが除湿効率やガス吸着性能の向上に貢献しています。特許は100件以上を保有し、技術の模倣は困難。素材開発から装置設計・保守まで一貫して自社対応し、商社を介さない直販モデルで価格競争力も確保しています。

◎主要製品

・デシカント除湿機(売上構成比61.3%):超低温環境でも対応可能で、リチウムイオン電池や半導体製造など湿度管理が重要な分野で導入が進行中です。

・VOC濃縮装置(同29.8%):排気ガスを10〜20倍に濃縮し、小型燃焼装置で処理。省エネとコンパクト化を両立。

20251Qは好調な滑り出し

24.12期は売上320億円(前年比11%増)ながら、営業利益は40億円(同6%減)。日欧で除湿機が好調だった一方、中国市場の減速が響きました。

しかし、25.12期1Q(1〜3月)は以下の通り好調でした。

・売上:68億円(前年同期比18%増)

・営業利益:12.5億円(同159%増)

VOC濃縮装置が中国などで伸長し、受注高も63億円(同9%増)と堅調でした。

会社計画(25.12期)は変更なし(5/9時点)でした。

・売上:346億円(前年比8%増)

・営業利益:35億円(同12%減)

・配当:1株70円(7/22終値で配当利回り4.6%)

6月以降、EV用リチウムイオン電池やペロブスカイト太陽電池向けの大型受注も発表されており、今後の成長が期待されています。会社は2030年12月期に売上550億円、営業利益率17%以上を目指しています。

新着記事(2025/07/23)

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