決算発表終了!アナリストが高評価の10銘柄

決算発表終了!アナリストが高評価の10銘柄

投資情報部 鈴木英之/栗本奈緒実

2024/05/24

決算発表終了!アナリストが高評価の10銘柄

東京株式市場は4/19(金)をボトムに値を戻す展開になっています。4月下旬以降5月半ばまで続いた上場企業の決算発表では、25年3月期の業績見通しを慎重に出す企業が多かったようですが、積極的な株主還元実施を発表する企業も多く、それが株価を下支えしました。

今後はどうなるでしょうか。市場では「上場企業の業績予想は保守的」とする見方が多くなっていますが、本当に保守的なのか、収益の減速や悪化を示唆しているのか、しっかりと見定める必要があります。しかし、個人投資家が、企業業績を見定めることは中々手間がかかる上、難しい面もあると考えられます。

そこで、今回の「日本株投資戦略」では、企業を担当し、分析を行っているアナリストが、決算発表を経て、改めて高評価を与えた銘柄を抽出すべく以下のスクリーニングを行ってみました。

(1)東証プライム市場上場銘柄
(2)SBI証券企業調査部が調査対象にしている銘柄

(3)決算発表を経て同部から5/1~5/21付でアナリストレポートが発行されている

(4)上記レポートにおいて、投資判断「買い」を獲得

(5)上記レポートにおいて、目標株価が前回レポートから引き上げられている

(6)取引所または日証金による信用規制・注意喚起銘柄を除く

図表の銘柄は上記(1)~(6)のすべてを満たしています。掲載は(4)におけるレポート発行日の新しい順となっています。

■図表 決算発表終了!アナリストが高評価の10銘柄

取引 チャート ポートフォリオ コード 銘柄名 株価
(5/21)
レポート発行月日 目標株価
8934 8934 8934 8934 サンフロンティア不動産 2,081 5/21 2,440
4004 4004 4004 4004 レゾナック ホールディングス 3,647 5/20 4,850
9090 9090 9090 9090 AZ-COM丸和ホールディングス 1,203 5/20 2,190
4483 4483 4483 4483 JMDC 2,894.5 5/20 6,400
9024 9024 9024 9024 西武ホールディングス 2,380 5/17 4,410
8919 8919 8919 8919 カチタス 1,694 5/15 2,790
9101 9101 9101 9101 日本郵船 4,995 5/10 5,670
4043 4043 4043 4043 トクヤマ 3,139 5/10 5,000
4063 4063 4063 4063 信越化学工業 5,970 5/8 8,520
9104 9104 9104 9104 商船三井 5,148 5/2 5,450
  • ※各銘柄の目標株価の算出根拠は、上記発行日の各アナリストレポートをご参照ください
  • ※会社公表データ、BloombergデータをもとにSBI証券が作成

掲載銘柄を解説!

■サンフロンティア不動産(8934

オフィスビルを対象とした不動産再生事業(24.3期売上構成比64%)が中核事業です。千代田、中央、港、渋谷、新宿の都心5区が中心ですが、前期(24.3期)はNYの築100年超物件のバリューアップ等も貢献しました。SBI証券企業調査部では当面の予想営業利益について、25.3期192億円→214億円(前期比21%増)、26.3期219億円→242億円(前期比13%増)と上方修正。目標株価を1,950円→2,440円に引き上げました。

■レゾナック ホールディングス(4004

2023年、総合化学大手「昭和電工」と、機能性化学大手「昭和電工マテリアルズ(旧日立化成)が統合して誕生。売上構成比(23.12期)は半導体・電子材料が26%、ケミカルが40%他。半導体材料では、エッチングガス、CMPスラリ他多くのトップシェア製品を有します。SBI証券企業調査部では、世界トップシェアを有する半導体後工程材料の中期的拡大に期待。予想営業利益は24.12期470億円(黒字転換)、25.12期750億円を見込み、目標株価4,500円を4,850円に引き上げました。AI半導体向け材料の増産も期待しているもようです。

AZ-COM丸和ホールディングス(9090

荷主に代わり、第3者(サードパーティ)が効率的な物流システムを提案し、物流業務全体を包括的に受注する「サードパーティ・ロジスティック」(3PL)および物流事業に展開しています。アマゾンジャパン、ヤマト運輸、マツキヨココカラ&カンパニー等が大口顧客です。EC向けが拡大しており業績は順調。SBI証券企業調査部の予想営業利益は25.3期160億円(前期比15%増)、26.3期181億円(同13%増)。目標株価は2,060円から2,190円に引き上げられました。

■JMDC (4483

医療ビックデータを有するメディテック企業。製薬会社や保険会社に対し、医療機関などから得た匿名加工された解析データを提供しています。24.3期の決算発表後、順調な業績推移を踏まえ、SBI証券企業調査部では25.3期の売上高・各利益項目予想の上方修正を実施。それに伴う形で、目標株価を5,000円→6,400円に引き上げました。

■西武ホールディングス (9024

稼ぎ頭の不動産事業を行う「西武リアルティソリューションズ」や鉄道の運行等を行う「西武鉄道」、「西武・プリンスホテルズワールドワイド」などを中核に、80社を統括するグループ企業です。プロ野球球団である埼玉西武ライオンズも運営しています。24.3期の決算発表時に、中計(24~26年度)を発表。東京ガーデンテラス紀尾井町の流動化を含めたすべての保有資産を売却対象として、再投資を加速させる方針を示しました。SBI証券企業調査部では、25.3期以降も不動産の売却益等により堅調な業績推移を見通しています。同発表を受け、目標株価を2,580円→4,410円に引き上げました。

■カチタス (8919

中古住宅再生事業として、中古住宅の買取・リフォーム・販売を行う企業です。家具大手のニトリホールディングス(9843

)と業務・資本提携しており、同社が34%の株式を保有する筆頭株主です(23.9末時点)。家具付き住宅の販売などを展開中。24.3期の営業利益は前期比10%減でしたが、消費税訴訟問題等の販管費増加の影響を除いた調整後は同5%増となりました。年収200~500万円が主力顧客層でリフォームを抑制した低価格商品の販売が好調であったことなどが寄与したもようで、今期(25.3期)も注目材料の一つに挙げています。SBI証券企業調査部では、同決算発表後の5/15、投資判断を「中立→買い」、目標株価を2,500円→2,790円に引き上げました。

■日本郵船 (9101

定期船・不定期船でグローバルに貨物輸送を行っている他、物流・不動産等にも幅広く展開しています。商船三井(9104)、川崎汽船(9107)とともに、コンテナ定期船事業を共同出資会社(ONE社)で行っているため、営業損益にとどまらず経常損益以下も含めての分析が必要になります。ONE社の積み高が24.3期に回復傾向です。中東情勢の不透明化で喜望峰回りのルート採用が長期化されそうで、需給の引き締まりが長期化が予想されます。経常利益は24.3期2,613億円(実績)から25.3期2,500億円、26.3期2,700億円がSBI証券企業調査部予想で、目標株価は4,680円から5,670円に。取得株数3,500万株、取得総額1,000億円を上限とする自社株買い(24/5/9~25/4/30)を実施中。

■トクヤマ (4043

1981年「日本曹達工業株式会社」として設立された総合化学メーカーです。創業時から製造するソーダ灰(洗剤等に使用)や苛性ソーダ(薬品や日用品の製造等に使用)の他、エレクトロニクス分野でも複数の高シェア製品を展開。最先端半導体ウエハに使用される多結晶シリコンや、「熱を逃がす」放熱材料として半導体等で使用される窒化アルミニウムは世界トップクラス級のシェアを誇ります。SBI証券企業調査部では、原料となる石炭価格の下落や半導体市場回復による販売増、成長事業の一つライフサイエンス事業で扱う歯科器材の増産効果などにより、業績拡大が続くと見ています。24.3期の決算発表後、目標株価を4,000円→5,000円に引き上げました。

■信越化学工業 (4063

日本を代表する化学メーカー。半導体の基盤となる素材「シリコンウエハ」や、建材・水道の配管など日常のあらゆる分野で使用される素材「塩ビ」等、世界No1シェア製品を多数展開しています。SBI証券企業調査部では、今期(25.3期)は、半導体市場の本格回復に伴い、シリコンウエハ需要の拡大を織り込む局面と判断。2017年にウエハ需要がピーク時であった時同様に市場の期待感が高まると考えられるうえ(2017年のPER25倍)、主力事業に加え電子材料などで収益が拡大するとの見方から(1株あたりの予想利益が上がる)、目標株価を7,680円→8,520円に引けあげました。

*株価= 予想1株利益 〈 EPS 〉 × 予想株価収益率 〈 PER▹市場の期待感を表す数値 〉

■商船三井(9104

総合海運大手。日本郵船 (9101)、川崎汽船(9107)とともに、コンテナ定期船事業を共同出資会社(ONE社)で行っているため、営業損益にとどまらず経常損益以下も含めての分析が必要です。100%子会社のダイビルが不動産事業に展開。ONE社の積み高が24.3期に回復傾向。中東情勢の不透明化で喜望峰回りのルート採用が長期化されそうで、需給の引き締まりが長期化しそうです。経常利益は24.3期2,589億円(実績)から25.3期2,300億円、26.3期2,500億円がSBI証券企業調査部予想で、目標株価は4,570円から5,450円に。

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