NISA向き!?連続増配・連続増益8銘柄

NISA向き!?連続増配・連続増益8銘柄

投資情報部 鈴木英之/栗本奈緒実

2024/06/28

NISA向き!?連続増配・連続増益8銘柄

6/28(金)で6月相場は終了し、2024年前半も終わりました。日経平均株価、TOPIX(東証株価指数)ともに、年初来騰落率(6/26終値を23年末終値と比較)は18%上昇でした。いずれも3/22(金)に年初来高値を付けた後、4~6月は揉み合い相場となりました。

そうした中、東京株式市場のけん引役のひとつは半導体関連株でした。米国において、AI(人工知能)向け半導体関連株に高いシェアをもつエヌビディア株が大幅高し、日本でもディスコ(6146)などが買われ、日経半導体株指数は年初来(同上)で26%も上昇しました。また、新NISA(少額投資非課税制度)がスタートし、「配当金」を意識した買いが増え、日経高配当株指数は同じ期間に23%上昇しました。

新NISAの「成長投資枠」では、投資金額で年間240万円までの株式投資等について、その譲渡益や配当金が非課税になります。ここで「譲渡益」については、投資家の運用成績次第で利益が出ることも、損失計上となることもあり、計算しにくい面があります。しかし、「配当」については、配当政策が大きく変更されない限り、譲渡益に比べると計算しやすい面があります。こうした背景もあり、年初来、高配当利回り銘柄等が人気化しました。

「新NISA」の制度は今後も続く予定であり、「配当」を意識した投資家の動きは今後も継続しそうです。

高配当利回りの銘柄に長期投資し、非課税制度を生かして配当収入を着実に積み上げていくことで、投資パフォーマンスを上げていくとの考え方は確かに重要だと思います。しかし、「配当」を意識した投資にも注意すべき点はあります。投資環境や業績変動等による株価下落リスクからは逃れられない点や、配当自体が減ってしまうことも多々ある点です。

このため、株式市場では、「連続増配」を実現してきた銘柄にスポットが当たる場面も増えてきました。配当を何期にもわたり、前期比で増やしてきた銘柄については、長期的に安定した収益基盤をもっていることが多いようです。連続増配銘柄に長期投資することにより、投資パフォーマンスをより安定させることが期待されます。

ただ現実には、連続増配銘柄の中にも、業績に堅調さを欠く銘柄も存在しています。利益が減る中で増配を続けることは、その分財務体質を痛めるため、将来に減配や株価下落リスクを先送りしている可能性もあります。そこで、今回の「日本株投資戦略」では、長期間、増配を続けているのみならず、増益も続けている銘柄を抽出すべく、以下のスクリーニングを行ってみました。

(1)「日経連続増配株指数」採用銘柄(6/28時点)

   同指数の採用条件・・・①国内証券取引所全上場銘柄

              ②増配を原則10年以上継続の実績

              ③連続増配年数の上位70銘柄以内

(2)純利益が前期まで4期以上、前期比で増加の実績

(3)今期会社予想純利益が増益見込み

(4)取引所または日証金による信用規制・注意喚起銘柄を除く

図表の銘柄は(1)~(4)の条件をすべて満たしています。掲載の順番は、6/14付の日本経済新聞社「日経連続増配株指数の銘柄定期入れ替えについて」のリリースで示された順番に従っています。

「日経連続増配株指数」は昨年6/30から算出・公表が始まった新しい株価指数です。原則10年以上増配を継続している銘柄から選んでいるため、投資家は同指数の採用銘柄をみれば、連続増配銘柄が何かを知ることができます。なお、「連続増配」の銘柄は必ずしも、配当利回りが高めとは限りません。配当の成長率以上に株価の成長率が高ければ配当利回りは低下傾向になります。もっとも、株価の成長率が高いということは、投資家のパフォーマンスが良くなっていることを意味しています。

今回のスクリーニングでは、連続増配の裏付けに連続増益がある銘柄を抽出しました。長期投資のパフォーマンス向上に、さらに寄与することを期待したいと思います。

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NISA向き!?連続増配・連続増益8銘柄

取引 チャート ポートフォリオ コード 銘柄名 終値(円)
【6/27】
連続純増益回数(今期予想含む:年) 今期予想配当利回り
9436 9436 9436 9436 沖縄セルラー電話 3,880 12 3.09%
7504 7504 7504 7504 高速 2,498 5 2.16%
4527 4527 4527 4527 ロート製薬 3,324 7 0.90%
7532 7532 7532 7532 パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス 3,811 15 0.55%
9037 9037 9037 9037 ハマキョウレックス 4,435 11 3.16%
3844 3844 3844 3844 コムチュア 1,813 13 2.65%
1414 1414 1414 1414 ショーボンドホールディングス 5,786 12 2.30%
6294 6294 6294 6294 オカダアイヨン 2,486 5 2.98%
  • ※会社公表データ、BloombergデータをもとにSBI証券が作成
  • ※連続純増益回数は今期会社予想純利益まで考慮

掲載銘柄を解説!

■沖縄セルラー電話(9436

KDDI(9433)の連結子会社(24.3期末持分比率51.83%)で、沖縄県でモバイルサービスや国内・国際通信サービス、インターネットサービス等を提供しています。沖縄振興のために協力していく沖縄懇話会(1990年設立)の中での、携帯電話会社設立構想がルーツ。「沖縄ファースト」を徹底し、携帯基地局等も迅速に設立(通話品質も高い)し、県内では高いモバイル・シェアを確立。また、自己資本比率82%と、電気通信事業者としては、安定した財務体質(KDDI、NTTは30%台)が業績・配当の安定を可能にしているようです。

24.3期まで22期連続増配を実現。配当性向40%超を「コミットメント」としており、25.3期は上期60円、期末60円、年間120円の1株配当(6/27終値3,880円に対する予想配当利回りは3.09%・前期比10円増配)を予定しています。増配がとぎれると「ゼロからスタートになる」とし、連続増配維持に意欲をみせます。3月末に1年以上保有の株主に自社またはグループ会社のサービス特典2,000円相当を贈呈する株主優待制度も実施しています。140万株を上限とする自社株買い(5/8決議)も実施中です。

■高速(7504

1966年の創業以来、包装資材の専門商社として展開。現在では、包装資材のみならず、チラシやラベルなどの販売促進ツールの提案や、包装関連機械の販売も行っています。全国に広がる営業拠点を活用したネットワークも特色です。

24.3期は売上高1,062億円(前期比7%増)、経常利益45億円(同6%増)、純利益31億円(同4%増)でした。営業・経常利益は7期連続、純利益は6期連続増益となりました。26.3期に売上高1,000億円、経常利益40億円を目標とした「中期経営計画 第2フェーズ」を前もって達成した格好です。25.3期は売上高1,120億円(前期比5%増)、純利益31.5億円(同1%増)を目指します。1株配当は前期比2円増配し、年54円と21期連続の増配を目指しています。3月末に100株以上を保有する株主に対しQUOカードを贈呈する株主優待(保有株式数により内容が変化)も実施しています。

■ロート製薬(4527

1899年に胃腸薬の販売で創業。1909年に「ロート目薬」を発売し、これが社名の由来になりました。1975年にメンソレータムブランドを取得し、スキンケア分野に進出しました。現在ではスキンケアが売上高の6割を超える主力商品で、アイケアは約2割を占めています。当社商品は110ヵ国以上で販売されており、海外売上高比率は約4割となっています(24.3期)。

25.3期は売上高3,000億円(前期比10%増)、純利益320億円(前期比3%増)と7期連続増益を目指します。会社計画の1株配当はで年30円(上期15円、期末15円)で21期連続の増配(前期比3円増)になる見込みです。3月末時点で100株以上を保有する株主に、当社通販製品の割引およびココロートパーク500ポイント付与の株主優待(保有株式数により内容が変化)も実施しています。

■パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(7532

1989年ドン・キホーテ1号店(府中市)出店以来、34期連続で増収・営業増益を続けてきました。現在は、深夜まで営業する総合ディスカウントストアを核に事業を展開しています。変化への対応力に優れていることが強みで、生活必需品を中心に販売する「MEGAドン・キホーテ」で幅広い年齢層の顧客の支持を得ることに成功しました。

5/13に24.6期第3四半期業績を発表し、通期業績予想を上方修正しました。売上高は2兆700億円→2兆860億円(前期比7%増、純利益765億円→800億円(同20%増)の見込みです。純利益ベースでは15期連続の増益となる見込みです。1株配当は上期5円、期末16円で年間21円の予定(前期比1円増)で、21期連続の増配の予定です。

■ハマキョウレックス (9037

荷主に代わって、商品の調達や管理、流通加工、配送業務をトータルに請け負う、「3PL(3rd Party Logistics)事業」を強みとする物流会社です。物流センターの新規受託や子会社化による新規連結効果により、10期連続で過去最高の最終増益を達成。配当性向30%を目安に掲げ、各利益項目が右肩上がりとなる堅調な業績推移を背景に、今期(25.3期)で19期連続増配となる見通しです。また、9/30を基準日として、1対4の株式分割を実施すると発表しており、株主還元強化の姿勢が窺い知れます。6/27時点のPBRも0.97倍と割安水準に位置しています。

■コムチュア (3844

ITシステムのコンサルタント、構築、保守、運用などのトータルソリューションを提供している企業です。DX市場の継続的な成長に加え、生成AIなどの新技術を活用したシステム開発の需要も増加し、業績は堅調。今期(25.3期)は14期連続の最終増益、20期連続の増配となる見通しです。また、配当性向は45%以上を目標として、四半期ごとの配当を実施しています。さらに、会社側は、利益が計画を上回った場合、連動して増配をしたいと考えていると述べています。

■ショーボンドホールディングス (1414

橋梁など、社会インフラの補修・補強を専門とする「総合メンテナンス企業」です。発注者別工事売上高の割合(23.6期)は、高速道路66%、地方自治体18%、国土交通省13%、民間他で、高速道路会社や官公庁が主要顧客として挙げられます。大規模かつ長期で計画されている高速道路のリニューアルプロジェクト等もあり、業績は堅調に推移。今期(24.6期)も10期連続の最終増益、15期連続の増配となる見通しです。また、大口の追加受注獲得などを背景に、期中に通期業績の上方修正を実施。配当性向の目安である50%以上に基づき、1株当たりの年間配当を増額しました。

■オカダアイヨン (6294

解体現場に不可欠なショベル先端に取り付ける機械(アタッチメント)の開発メーカー。メーカーでありながら、業界で唯一、専門の修理部門を有していることが強みです。北米でのM&Aなどが寄与し、24.3期は3期連増で過去最高売上・各利益項目で最高利益を達成。配当性向の目安は30%以上ですが、累進的配当方針を掲げており、今期(25.3期)は16期連増の増配が実施される予定です。

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