反発相場で主役?好決算プライム銘柄

反発相場で主役?好決算プライム銘柄

投資情報部 鈴木英之/栗本奈緒実

2024/08/16

反発相場で主役?好決算プライム銘柄

東京株式市場がようやく落ち着きを取り戻しつつあります。

日経平均株価は7/11(木)の42,224円を過去最高値とし、8/5(月)の31,458円まで25.5%下落(終値ベース)しました。7月最終週の中銀ウィークを通じ、日米金融政策の方向感の相違が明かになったことが大きな要因です。その後は、自律反発に加え日銀・内田副総裁によるハト派的発言もあり、値を戻す展開になりました。日経平均株価は8/14(水)時点で、下落幅(7/11→8/5)の46.3%を戻した状態となりました。

今後はどうなるでしょうか。日銀の政策金利引き上げが結果的に、円高や円キャリー取引の巻き戻しにつながり、8/5(月)の株価急落につながった面は否めないでしょう。しかし、円高になったことで、インフレ圧力も緩和するとみられます。日銀による今後の利上げは慎重にならざるを得ないとみられます。このため、円高のペースも緩やかになる可能性がありそうです。

輸出企業の円安メリットは縮小が予想されるため、その分企業業績の伸びも抑制される可能性はありそうです。ただ、1ドル160円を超える円安は総じて歓迎されていなかったことも確かで、「円安一服」程度であれば、日本経済全般には好影響を与えるかもしれません。日本株に過度に悲観的になる必要はないと思われます。

そうした中、8/14(水)で24.4~6月期の決算発表もほぼ一巡しました。全般的な株安は好決算銘柄の買いチャンスになる可能性もあり、前回は8/7(水)までに決算発表を実施した銘柄の中から好決算銘柄を抽出すべく、スクリーニングを行いました。今回の「日本株投資戦略」では、決算発表が終わった3月決算銘柄の中から、好業績銘柄を抽出すべく、以下のスクリーニングを行ってみました。

(1)東証プライム市場に上場

(2)3月決算銘柄

(3)予想EPSを公表しているアナリストが3名以上

(4)8/8(木)~8/13(火)に決算発表を実施

(5)広義の金融を除く

(6)25.3期1Q(24.4~6期)営業利益が事前の市場予想(Bloombergコンセンサス)を上回り、前年同期比20%超増益

(7)25.3期会社予想営業利益が以下の条件をすべて満たしていること

    ・市場予想に対しかい離率が-5%超

    ・今回の決算発表で前回予想から下方修正されていない

(8)25.3期市場予想営業利益が前期比10%超の増益

(9)取引所または日証金による信用規制・注意喚起銘柄を除く

図表の銘柄は、上記(1)~(9)の条件をすべて満たしています。掲載は、(6)の1Q営業増益率が高い順としています。

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■図表 反発相場で主役?好決算プライム銘柄

取引 チャート ポートフォリオ コード 銘柄名 終値(円)
【8/14】
7/11終値比
騰落率
24.4~6期
営業増益率
25.3期市場予想
営業増益率
7966 7966 7966 7966 リンテック 2,988 -16.4% 373.9% 76.3%
6525 6525 6525 6525 KOKUSAI ELECTRIC 3,870 -30.3% 348.1% 52.9%
5805 5805 5805 5805 SWCC 4,940 6.1% 203.6% 10.7%
3923 3923 3923 3923 ラクス 2,082.5 9.5% 125.7% 66.4%
4849 4849 4849 4849 エン・ジャパン 2,459 -5.7% 124.2% 52.0%
3099 3099 3099 3099 三越伊勢丹ホールディングス 2,426 -33.1% 118.0% 23.1%
8035 8035 8035 8035 東京エレクトロン 27,225 -28.4% 101.1% 32.9%
8050 8050 8050 8050 セイコーグループ 4,310 -12.1% 80.8% 24.9%
7550 7550 7550 7550 ゼンショーホールディングス 6,510 6.1% 80.1% 17.0%
1417 1417 1417 1417 ミライト・ワン 1,935.5 -7.6% 67.9% 48.8%
4543 4543 4543 4543 テルモ 2,695 -3.0% 50.6% 21.1%
3569 3569 3569 3569 セーレン 2,265 -4.7% 41.6% 14.5%
4887 4887 4887 4887 サワイグループホールディングス 6,282 -6.2% 32.3% 40.4%
9831 9831 9831 9831 ヤマダホールディングス 435.5 -1.8% 29.6% 13.2%
  • ※Bloombergデータ、会社公表データをもとにSBI証券が作成
  • ※24年4~6月期営業増益率は前年同月比、今期会社予想営業増益率は前期比

一部掲載銘柄を解説!

■SWCC(5805)~「好業績」のみならず「資本コストを意識した経営」も評価に

★日足チャート(1年)

  • ※データは2024/8/15 (日足)11:00時点。
  • ※当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。
  • ※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。

★業績推移(百万円)

  • ※当社Webサイトの業績表示ツールをもとに、SBI証券が作成。

■「エネルギー・インフラ事業」が主力。前期に過去最高益を更新

1936年に東京電気(現在の東芝)から独立し、長く「昭和電線電纜」として知られてきました。23年4月に商号を現社名に改めました。

主力事業は「エネルギー・インフラ事業」で、全売上高(24.3期)の58%、営業利益(同・調整前)の77%を占めています。国内の電力インフラや建設関連向けに、電線・ケーブル、免震部材等を供給しています。

「電装・コンポーネンツ事業」は全売上高(24.3期)の26%、営業利益(同・調整前)の12%を占めています。巻線、裸線、無酸素銅、銅合金線、自動車用電線等を供給しています。EVやハイブリット車向けには高機能巻線を供給しています。「通信・産業用デバイス事業」は全売上高(24.3期)の14%、営業利益(同・調整前)の10%を占めています。通信ケーブルやワイヤハーネス、複写機向けデバイス等を供給しています。

業績は好調です。24.3期は売上高2,139億円(前期比2%増)、営業利益128億円(同22%増)となりました。営業・経常利益は過去最高益更新となりました。25.3期に入っても、1Q(24.4~6期)の売上高は569億円(前年同期比17%増)、営業利益48億円(同203%増)と勢いを維持しています。「今後も好調を維持すると見込むも」と会社側は言及しましたが、25.3通期では売上高2,250億円(前期比5%増)、営業利益135億円(同5%増)の期初会社計画が維持されています。

得意の建設用ケーブルで需給好調継続も

好調な業績の背景には、当社の主力事業である「エネルギー・インフラ事業」を取り巻く環境の良さがあるようです。得意の建設関連向けが「高位安定」を維持する一方、電力向けは半導体工場新設など国策を背景に需要が拡大しているようです。また、当社の注力製品がシェアを拡大していることも業績拡大に拍車をかけています。

当社が得意とする建設用電線では、昨年末から今年はじめにかけ、異例な需給のひっ迫があり、電線各社が受注を一時停止する事態があったようです。夏になり需給は正常化しているようですが、今後も都市再開発やデータセンター、半導体工場向けに堅調な需要が見込め、再び需給がひっ迫する可能性もありそうです。

ちなみに、25.3期1Qの電線大手4社の営業利益(前年同期比)は、古河電気工業(5801)が黒字転換、住友電気工業(5802)が181%増益、フジクラ(5803)が94%増益と例外なく大幅増益になっています。

■資本コストを意識した経営に評価も

当社はROIC(投下資本利益率)を意識した経営を進めており、その成果として収益力の強化が実現されてきました。

ROICは税引後営業利益を投下資本(株主資本と有利子負債の合計)で割って求められる指標です。2018年に就任した長谷川隆代社長が旗振り役となり、時には不採算事業から撤退することによって、収益力を高めてきました。

東証は上場企業に資本コストを意識した経営を要請しています。当社は上記のROICがWACC(加重平均資本コスト)を何%上回るかを示す「ROICスプレッド」を引き上げると同時に、ROEの向上を実現してきました。資本コストを意識した経営を東証の指摘前から実施してきたことになります。当社の24.3期ROEは12.3%で、フジクラの16.6%には劣後しますが、古河電工の2.0%、住友電工の7.2%を上回っており、十分評価に値しそうです。

中期計画では27.3期に営業利益170億円(25.3期会社計画135億円)、ROE14%以上(24.3期12.3%)、1株配当150円以上(25.3期会社計画は110円)を目指します。

株価は日経平均が高値を付けた7/11終値4,655円を上回り、年初来高値5,040円(5/28)が視野に入ってきました。好業績と資本コストを意識した経営の割に、予想PER(8/14時点 Quickベース)は16.2倍で、古河電工18.7倍、住友電工12.2倍、フジクラ16.6倍と大差はなく、評価の余地は十分ありそうです。

■ゼンショーホールディングス (7550) ~国内外食初の1兆円企業へ向け順調。海外出店加速

★日足チャート(1年)

  • ※データは2024/8/15 (日足)11:00時点。
  • ※当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。
  • ※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。

★業績推移(百万円)

  • ※当社Webサイトの業績表示ツールをもとに、SBI証券が作成。

■「すき家」、「ココス」などを擁する外食最大手。M&Aを積極的に展開

「すき家」、「ココス」、「なか卵」等を擁する外食最大手。グループ会社数は167社に上り、世界で15,109店舗を運営(24.3末時点)。調理・製造・物流を一貫して管理する「職の総合企業」を称しています。

1982年にすき家を開店。2000年代に突入後、積極的にM&A
を行い業容を拡大させてきました。複数分野の外食業をはじめ、製造業、物流業、畜産業、酒造販売事業など多岐に亘ります。原材料をグループで共同調達することでコストの抑制が可能になる等のメリットがあります。社名には「全勝(全部勝つ)」、「善商(善なる商売)」、「禅商(禅の心で行う商売)」という三つの意味が込められています。

おもなセグメントごとの売上高構成比(24.3期)は、グローバルすき家:27%、グローバルはま寿司:20%、グローバルファストフード(なか卵、ロッテリア等):25%、レストラン:15%です。海外売上高比率(同)は24%を占めます。

■今期は売上高が初の1兆円企業なる見通し!海外に1,321店舗出店予定

前期(24.3期)は過去最高売上・各利益の更新を達成。値上げ等が奏功したほか、国内外ではま寿司の伸長が寄与しました。また、米国では外食の値上がりにより中食需要が高まり、すしのテイクアウト店も好調でした。

今期(25.3期)は売上高1兆800億円(前期比11%増)、営業利益625億円(同16%増)と増収増益で、初の売上高1兆円越え企業となる会社計画です。また。海外出店予定数は1,321店舗と前期実績の868店舗から1.5倍超となる積極的な計画を掲げています。

直近の25.3期1Q(4-6月期)業績は、売上高2,665億円(前年同期比24%増)、営業利益172億円(同80%増)と順調。値上げのほかに、デジタル機器の導入を行い人件費を抑制するなどで、各セグメントで営業利益率が向上しました。グローバルファストフードの海外出店も順調なもようです。

会社計画に対する進捗率は以下の通りです。

売上高  中間計画:49%、通期計画:24%   

営業利益    同:52%、   同:27%

業績拡大に伴い、株価は23年11月に最高値を付けました。しかしその後、公募増資を行い、希薄化が嫌気され、下落基調が続いています。8/5(月)の日本株全面安でも連れ安となりましたが、8/13(火)には回復した格好です。また、足元で米景気後退等が懸念される中、低価格展開がメインの同社は逆風を受けづらい面があると想定されます。

新着記事(2024/08/16)

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