直近決算発表で躍進!成長期待銘柄をご紹介
投資情報部 鈴木英之/栗本奈緒実
2024/10/18
当ページの内容につきましては、SBI証券 投資情報部長 鈴木による動画での詳しい解説も行っております。東証プライム市場を中心に好業績が期待される銘柄・株主優待特集など、気になる話題についてわかりやすくお伝えします。
日本株投資戦略
※YouTubeに遷移します。
直近決算発表で躍進!成長期待銘柄をご紹介
東京株式市場は日経平均株価が4万円前後で跳ね返される展開が続いています。米株高や円安、好調な企業業績等が追い風になっていますが、日経平均への寄与度が大きい半導体関連株が波乱の芽となっています。大手半導体製造装置メーカーの蘭ASML社の受注下振れ等を背景に、10/16~17の日経平均は計1,000円弱下げる展開となりました。
こうした中、10/17(木)に発表された台湾TSMC社の7~9月期決算は過去最高益となり、先行きに対しても強い見通しを示しました。同じ半導体関連銘柄であっても、地域や顧客等によって、業績の明暗が分かれるようになってきたと言えそうです。10月下旬以降、24.7~9期の決算発表が本格化しますが、半導体関連銘柄にとどまらず、銘柄ごとに明暗が分かれるケースが増えるかもしれません。
ちなみに、決算発表を 迎える銘柄については、発表自体や業績見通しの修正等によって株価が大きく動く銘柄が増えてくるとみられます。その意味では、3月決算銘柄等は業績変動リスクに要注意な季節になりそうです。反面、2月、8月決算銘柄等は、当面業績変動リスクが小さくなり、相対的に物色しやすくなるとみられます。特に好業績銘柄については、市場から再評価され、株価が上昇してくる可能性もありそうです。そこで、今回の「日本株投資戦略」では、決算発表が終了した好業績銘柄を抽出すべく、以下のスクリーニングを行ってみました。
(1)東証プライム市場上場
(2)決算期末・・・2月、5月、8月、11月
(3)直近四半期(24.6~8期)の営業利益が、前年同期比黒字転換、または20%超の増益
(4)直近四半期(24.6~8期)の営業増益率が、今期会社予想営業増益率を上回っている
(8月決算銘柄除く、黒字転換優先)
(5)今期予想営業増益率が10%超
(6)取引所または日証金SBI証券による信用規制・注意喚起銘柄を除く
図表の銘柄は上記(1)~(6)の条件をすべて満たしています。
掲載は、直近四半期(24.6~8期)の営業増益率が高い順です。
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■図表 直近決算発表で躍進!成長期待銘柄をご紹介
取引 | チャート | ポートフォリオ | コード | 銘柄名 | 終値(円) 【10/17】 |
24.6~8期営業増益率 | 今期会社予想営業増益率 |
8200 | 8200 | 8200 | 8200 | リンガーハット(2) | 2,208 | 黒転 | 49.3% |
8237 | 8237 | 8237 | 8237 | 松屋(2) | 843 | 235.9% | 68.1% |
7888 | 7888 | 7888 | 7888 | 三光合成(5) | 607 | 165.6% | 16.2% |
3086 | 3086 | 3086 | 3086 | J.フロント リテイリング(2) | 1,605.5 | 144.1% | 20.8% |
3333 | 3333 | 3333 | 3333 | あさひ(2) | 1,581 | 90.8% | 12.0% |
2157 | 2157 | 2157 | 2157 | コシダカホールディングス(8) | 1,195 | 82.1% | 13.9% |
6432 | 6432 | 6432 | 6432 | 竹内製作所(2) | 4,710 | 63.1% | 26.1% |
6264 | 6264 | 6264 | 6264 | マルマエ(8) | 1,634 | 51.3% | 922.2% |
2791 | 2791 | 2791 | 2791 | 大黒天物産(5) | 10,330 | 34.3% | 12.3% |
7085 | 7085 | 7085 | 7085 | カーブスホールディングス(8) | 765 | 32.6% | 15.4% |
7581 | 7581 | 7581 | 7581 | サイゼリヤ(8) | 5,480 | 31.3% | 11.7% |
7818 | 7818 | 7818 | 7818 | トランザクション(8) | 2,478 | 29.6% | 11.8% |
2670 | 2670 | 2670 | 2670 | エービーシー・マート(2) | 3,081 | 25.8% | 11.0% |
- ※会社公表データ、BloombergデータをもとにSBI証券が作成。
- ※銘柄名右横カッコ内の数字は決算月。
- ※24.6~8期営業増益率は前年同期比。
一部掲載銘柄を解説!
■カーブスホールディングス(7085)~50歳以上の女性がメインのターゲットのフィットネス施設。物販が大きな収益源
★日足チャート(1年)
★業績推移(百万円)
■女性だけの30分フィットネス「カーブス」
50歳以上の女性をターゲットとし、フランチャイズ方式をメインとしてフィットネス施設を展開。店舗数は全国で約2000店舗に上ります。1回30分と短時間プログラムで、誰でも手軽に運動ができる点が特徴です。
独自のエクササイズプログラムは、「筋力トレーニング」、「有酸素運動」、「ストレッチ」が組み合わさっており、短時間で効率よく、高い効果が得られるとしています。
■生活習慣病に悩む母を思い創業。日本で成長遂げ、米国の本家を買収
「カーブス」は、1992年に米国で誕生した小さなフィットネスクラブが祖業。創業者の母は生活習慣病に悩んでいました。母と同様の悩みを持った女性たちに、正しい生活習慣を身につけてほしいとの思いから始まった形です。
2005年に日本での事業展開権利を獲得。同年、1号店を出店し、2011年には1,000店舗を突破。2018年にはロイヤリティーを支払っていた米国の本家を買収し、子会社化するに至りました。24.8末時点で、国内外2,167店舗(内、海外135店舗)を運営し、会員数は国内のみで81.7万人に上ります。
■メインの収益源は物販収入、ストック性高い
FC本部のためメインの収益源は、入会金・会費収入ではありません。会員向け物販収入による売上高が58%と最も多くを占めており、入会金・会費等の一部を徴収するロイヤリティ等収入は22%に留まります(23.8期の売上高構成比)。継続購入のプロテインが主力製品で安定収益につながっているもようです。物品の定期購入は、顧客がジムに足を運ばずとも料金が発生するため、コロナ禍での業績を下支えた面もありました。
■地方行政との連携。高齢化社会でもニーズ見込める
「地域密着の健康インフラ」を標榜し、地方行政との連携を積極的に行っています。厚生労働省は1 月に「健康づくりのための身体活動・運動ガイド 2023」を発表。成人及び高齢者向けに筋力トレーニングの実施を初めて推奨しました。近年では、北海道から九州まで複数の地方自治体と、健康推進のための連携協定を締結しています。メインターゲットが50代以上であることから、日本の高齢化も追い風です。
24.8期は物販売上の好調等が寄与し、売上高354億円(前期比18%増)、営業利益54億円(同41%増)と増収増益。25.8期も4期連続の増収、5期連続の各利益項目での増益を達成する見通しです。
■配当&優待
配当政策は連結配当性向50%が目標。21.8期以降、業績成長に伴い、4期連続で増配実施予定です。また、株主優待は、8月の期末時点で100株以上の保有者に対し、一律500円のクオカードが付与されます。
■サイゼリヤ(7581)~最高益更新。出遅れの国内も出店加速へ
★日足チャート(1年)
★業績推移(百万円)
■グローバルに展開する「イタリアンワイン&カフェレストラン」
1967年に千葉県市川市において創業された個人店舗をルーツとしています。現在は国内1,038店舗、アジア(上海、広州、北京他)531店舗の計1,569店舗(24.8末時点)を展開するグローバルな「イタリアンワイン&カフェレストラン」が中核事業です。
他のファミリーレストランと比較しても圧倒的に安い価格戦略が競争力の中心とみられます。多くの外食チェーンが値上げに踏み切る中、値上げを良しとしない考えは企業文化と言えそうです。
ワインやオリーブオイルなどはイタリアから直輸入しています。衣料品業界で頭角を現した「製造直販業」を外食業において実現することを指向しています。すなわち、外食業として店舗を持つ一方、商品開発から食材の生産、加工、配送までを一貫して手掛けることを目指しています。たとえば主力商品であるハンバーグやミラノ風ドリアの生産のために、オーストラリアに自社工場を有しています。
■国内が改善、25.8期も最高益更新へ
10/9(水)に発表された24.8期本決算では、売上高2,245億円(前年同期比22%増)、営業利益148億円(同105%増)と増収増益。純利益は81億円(前期比58%増)で過去最高を更新しました。
売上高(連結消去前)の62%を占めている国内部門は、営業利益(同)では全体の18%にとどまり、売上高(同)の34%に過ぎないアジアが営業利益(同)の78%を占めています。
アジアでも稼ぎ頭は上海、広州、北京といった中国の大都市圏になっています。国内同様低価格戦略をとっており、不況下の中国で消費者の一定の支持を受けているとみられます。
ちなみに、24.8期4Q(24.6~8期)は売上高612億円(前年同期比19%増)、営業利益47億円(同31%増)でした。中国大都市圏の既存店売上高は23.8期4Qをピークに減速傾向で、24.8期4Qには上海、広州、北京のすべてが前年割れになっています。このため、24.8期4Qだけをみるとアジアは減益となり、販管費等を抑えた国内の増益が全体の増益に寄与しました。
国内では24.8期累計で出店14、退店31とスクラップ&ビルドを継続。すでに現金主義からキャッシュレスへの対応を進めていますが、さらにQRコードを利用した注文システム、店舗セルフレジ導入を進めるなど、効率化も進めています。これらの効果もあり、既存店売上高は23年後半以降おおむね前年同月比20%以上の増加を続けています。
25.8期は売上高2,536億円(前期比12%増)、営業利益166億円(前期比11%増)、純利益103億円(同26%増)が会社計画で、過去最高純益を更新する予想です。海外では104店舗の純増を目指していますが、国内も9店舗の純増と店舗拡大に転じる方針で、積極的な出店により収益拡大を目指します。
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