解散・総選挙は追い風?防衛・造船関連銘柄

投資情報部 鈴木英之
2026/01/16

当ページの内容につきましては、SBI証券 投資情報部長 鈴木による動画での詳しい解説も行っております。東証プライム市場を中心に好業績が期待される銘柄・株主優待特集など、気になる話題についてわかりやすくお伝えします。
日本株投資戦略
※YouTubeに遷移します。
解散・総選挙は追い風?防衛・造船関連銘柄
2026年の東京株式市場は好調なスタートを切っています。日経平均株価の年初来上昇率(1月14日時点)は7.9%に達しました。米国株高が追い風となったことに加え、日本で早期解散・総選挙の観測が台頭し、政権安定化や政策実現への期待が高まり、株高が加速した面もあります。
そうした中、1月14日に高市首相が自民党と日本維新の会の幹部に対し、通常国会(1月23日召集)冒頭に衆議院を解散する意向であることが報じられました。多くの報道では、2月8日(日)の総選挙が有力視されています。仮に総選挙となれば、新しい連立の枠組みや「責任ある積極財政」に加え、防衛力強化に向けた安全保障関連3文書改定について、国民の信を問う形になりそうです。
株式市場では、総選挙を控えた段階では「国策テーマ」が強く意識される傾向にあります。与党勝利シナリオが優勢になるにつれて、防衛力強化や海洋安全保障は確実に加速しそうです。2026年度予算案では、防衛費が過去最高水準(8.8兆円)に達する見込みです。広く防衛関連銘柄に加え、艦艇・潜水艦・輸送船など海洋防衛力の整備に直結する造船関連企業は、政策予算の恩恵を長期的に受けやすい状況です。
日本は資源・食料の大半を海上輸送に依存しています。地政学リスクの高まりにより、海洋輸送路の防衛と造船業の競争力強化は国家戦略の中核となっています。労働力不足やコスト高を背景に、造船所の自動化・ロボット化が急務です。溶接ロボットや舶用エレクトロニクスなど、関連技術を持つ企業には政策支援と需要増の両面から追い風が吹いています。
こうした中、今回の「日本株投資戦略」では、日本の安全保障と深い関わりを有する「防衛」および「造船」に関する銘柄を抽出すべく、以下のスクリーニングを行いました。
・東証プライム市場上場銘柄
・時価総額1,000億円以上
・事業内容から「防衛」または「造船」に関係ある銘柄と判断されること
・直近四半期(累計)営業利益が前年同期比で増益または黒字転換 ※営業利益を公表していない銘柄の場合は経常利益(税引き前利益)で判断
・信用規制・注意喚起銘柄を除外
図表の銘柄は上記条件をすべて満たしています。掲載はコード番号順です。
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【銘柄一覧】解散・総選挙は追い風?防衛・造船関連銘柄
| 取引 | チャート | ポートフォリオ | コード | 銘柄名 | 終値(円) 【1/14】 |
投資のポイント |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 4617 | 4617 | 4617 | 4617 | 中国塗料 | 4,695 | 舶用塗料が売上高の88%(2025年3月)を占め、国内・世界シェア上位。造船増・環境規制強化による船舶保守・更新需要で注目 |
| 6268 | 6268 | 6268 | 6268 | ナブテスコ | 4,145 | 舶用エンジン遠隔制御システム世界シェア約40%(会社推定)。中大型産業用ロボット関節用途減速機で世界トップ(会社推定)であり、「フィジカルAI」にも関連 |
| 6269 | 6269 | 6269 | 6269 | 三井海洋開発 | 15,800 | 浮体式海洋石油・ガス生産貯蔵積出設備(FPSO)で世界大手。南鳥島沖のレアアース採掘など「海洋資源の安全保障」で注目 |
| 6622 | 6622 | 6622 | 6622 | ダイヘン | 11,550 | アーク溶接ロボットで世界シェア・トップ。溶接・ロボット技術で造船所の自動化を支援。 |
| 6814 | 6814 | 6814 | 6814 | 古野電気 | 8,290 | 船舶用レーダー・航海通信機器で高い世界シェアを持つ。ビジネスモデルが「進化」中 |
| 7003 | 7003 | 7003 | 7003 | 三井E&S | 7,130 | 舶用ディーゼルエンジンや港湾クレーンを扱い、防衛装備・エンジン分野で高シェア。米国向けクレーンを受注 |
| 7011 | 7011 | 7011 | 7011 | 三菱重工業 | 4,710 | 造船(LNG船や護衛艦)、防衛・宇宙・エネルギー事業を展開。今治造船などとの次世代船設計連携や、高市政権による安全保障重点強化により注目度が高い |
| 7012 | 7012 | 7012 | 7012 | 川崎重工業 | 13,825 | 潜水艦、液化水素運搬船などの高付加価値船に強み。防衛艦艇・宇宙関連、多用途の製造体制も有す |
| 7721 | 7721 | 7721 | 7721 | 東京計器 | 6,990 | 艦艇や航空機向けのジャイロコンパス、レーダーなどを展開。防衛予算増額の恩恵を直接受けやすい「防衛純粋銘柄」のひとつ |
- ※BloombergデータをもとにSBI証券が作成。
一部掲載銘柄を解説!
■三菱重工業(7011)~日本を代表する「防衛関連銘柄」の1社。ミサイル防衛等で貢献
三菱グループの重工メーカーであり、防衛関連銘柄の代表格です。
売上収益構成比(2025年3月期)で最も大きいセグメントは「エナジー」(36.1%)で、火力発電、再生可能エネルギー、原子力といった幅広いエネルギーインフラを提供しています。「航空・防衛・宇宙事業」の売上収益が占める割合は全体の20.5%(同)です。防衛分野では戦闘機や潜水艦、飛しょう体などを製造。全社売上収益の14%が防衛省向け(同)で、防衛費増額による恩恵をダイレクトに受けやすい銘柄のひとつです。
「防衛・宇宙事業」の受注額は2019年3月期~2023年3月期には年平均5,200億円規模で推移してきました。しかし、2022年に防衛力の抜本的強化に向けた防衛力整備計画が策定され、2024年3月期および2025年3月期は各々1兆8,000億円台へと急増しました。スタンド・オフ防衛能力(※)や統合防空ミサイル防衛能力に関する開発案件を中心に増加しました。2026年3月期は過去2期に比較すると受注高は減るものの、1兆2,000億円程度と高水準を維持する計画です。
2026年3月期は売上収益4兆8,000億円、事業利益3,900億円が会社計画です。昨年9月30日に子会社である三菱ロジスネクスト(7105)の売却を発表しており、その分を除く継続事業同士の比較では、前期比で売上収益10.1%増、事業利益9.9%増の計画です。2026年3月期第3四半期決算発表は2月4日(水)の予定です。
※スタンド・オフ防衛能力:日本に侵入してくる艦艇や上陸部隊に対し、自衛隊が安全な距離から長射程ミサイル等で対処し、攻撃を効果的に阻止・排除する能力。
■川崎重工業(7012)~航空機、船舶、鉄道車両、二輪等広く輸送用機器に関連。防衛省向けは全体の18.8%
創業者である川崎正蔵が1878年、東京・築地に「川崎築地造船所」を開設したのが始まりです。1919年に船舶部門(現在の川崎汽船)、1950年に製鉄部門(川崎製鉄、現在はJFEホールディングス)を分離して現在に至ります。事業セグメント(カッコ内は2025年3月期の売上収益構成比)と主な製品は以下の通りです。
航空宇宙システム事業(27%):航空機、航空機用エンジン、宇宙関連機器
車両事業(10%):新幹線等の鉄道車両
エネルギーソリューション&マリン事業(19%):エネルギー関連機器・システム、水素関連設備、舶用推進関連機器・システム、プラント機器、船舶、破砕機器
精密機器・ロボット事業(11%):油圧機器、産業用ロボット
パワースポーツ&エンジン事業(29%):二輪車、オフロード四輪車、パーソナルウォータークラフト、汎用ガソリンエンジン
防衛省向け売上高(2025年3月期)は売上収益の18.8%で、そのうち70%が航空機関連、潜水艦・艦艇用主機が24%、残りが航空エンジンです。
2026年3月期は売上収益2兆3,400億円(前期比9.8%増)、事業利益1,450億円(同1.3%増)が会社計画です。2026年3月期第3四半期決算発表は2月9日(月)の予定です。「防衛」「造船」のみならず、産業用ロボットにも展開しており、「フィジカルAI」での活躍にも期待したいところです。
■ダイヘン(6622)~アーク溶接ロボットが造船業界の人手不足に貢献。データセンター増設も追い風
1919年に「大阪変圧器(株)」という日本で唯一の変圧器専門メーカーとして設立されました。その後、変圧器の技術を生かした電気溶接機や溶接ロボット等の産業ロボット、EV向け充電システム等に展開して現在に至っています。
主力事業は「エネルギーマネジメント」で、売上構成比(2025年3月期)は53.4%を占めています。創業以来の主力製品である柱上変圧器や超高圧変圧器、エネルギー使用を制御するEMSシステム、EV充電システム等が主な商品です。売上構成比(同)14.5%の「ファクトリーオートメーション」では産業用ロボットやクリーン搬送ロボットに展開。売上構成比(同)32.1%の「マテリアルプロセシング」ではアーク溶接機や高周波電源装置等に展開しています。
高シェア製品を多数擁しているのが強みです。柱上変圧器では国内シェア61%、アーク溶接ロボットでは国内39%・世界20%のトップシェア、アーク溶接機では国内シェア59%、半導体製造装置向け高周波電源では国内シェア40%を有しています(2025年12月会社説明資料)。このうちアーク溶接ロボットは人手不足解消、品質安定化、生産性向上、作業環境改善に役立ち、製造業に広く導入されており、造船業界にも貢献しています。
業績は好調で、昨年11月に2026年3月期会社計画を上方修正しました。売上高は2,300億円→2,350億円(前期比3.8%増)、営業利益は170億円→185億円(同14.4%増)に修正され、いずれも過去最高を更新する見通しです。データセンター増設等に伴う電力需要の拡大は追い風で、今後も業績拡大が期待されます。株価は2024年4月高値10,850円から2025年4月までに54%下げた後、2025年11月に10,560円まで戻しました。その後は同月内に8,420円まで調整しました。2024年高値と2025年11月高値がWトップとなり押し戻された形ですが、2026年に入り再び上昇し、1月15日(木)に11,620円の上場来高値を記録しています。チャート形状的にはWトップを克服した強い形ですが、予想PERは19.8倍(1月15日時点)とそれほど割高感はなく、好調持続に期待したいところです。
2026年3月期第3四半期決算発表は2月3日(火)の予定です。
■古野電気(6814)~船舶用電子機器で高シェア。ビジネスモデル変化を織り込む?
船舶用電子機器市場において世界的に高いシェアを持つグローバルニッチ企業です。「船舶事業」が売上高(2025年2月期)の85.7%を占めています。主力製品である商船用レーダー・関連機器(2019年・世界シェア約41%・会社資料)や漁船用魚群探知機・関連機器(約49%・会社資料)に加え、GPS航法装置などを展開し、プロフェッショナルユースの分野で競合他社と差別化を図っています。なお、防衛向けにも高シェア製品がある「防衛関連」銘柄です。
競合のGarmin社(米国)やSimrad社(ノルウェー)がレジャー用途に注力する中、古野電気は業務用途に特化して安定した収益構造を築いています。その他では、医療機器、GPS機器、ETC車載器等に展開する「産業用事業」が売上高(2025年2月期)の11.2%を占めています。地域別売上構成比(同)は日本29.7%、欧州29.1%、アジア25.7%、米州9.5%のグローバル企業です。
1月9日(金)に2026年2月期第3四半期累計(2025年3月〜11月)の業績を発表しました。売上高1,027億円(前年同期比9.8%増)、営業利益126億円(同21.0%増)と増収増益でした。売上高営業利益率も前年同期の11.2%から12.3%へと収益性の向上が表れています。2026年2月期は営業利益160億円(前期比21.4%増)の会社計画です。
同社が推進する「海洋DX」戦略が成長の大きな要因となっています。AIによる航法支援、遠隔操船、海況モニタリングなどの技術を活用することで、安全性や業務効率の向上、環境対応、新たなビジネス創出など、多方面での効果が期待されています。このDX推進により、収益構造にも変化が見られます。従来のハードウェア販売中心のビジネスから、クラウド型サービス、保守契約、遠隔診断などのストック型収益へとシフトし、営業利益は2024年2月期に前期比328%増、2025年にはさらに102%増と大きく伸びました。2026年2月期は当初営業減益見込みでしたが、昨年10月に上方修正(115億円→160億円)されています。
さらに、同社は世界80カ国以上にサービス網を展開しており、海外売上比率も約82%(2026年2月期第3四半期累計)と高水準です。今後は「海洋インフラ企業」から「海洋DXプラットフォーマー」へと進化することが期待されています。商船分野は20年に1度の造船ラッシュを迎えており、搭載される電子機器の更新需要も期待されます。
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