アメリカNOW! 今週の5銘柄 ~「出遅れ物色」が向かう先は!?ネクステラ エナジー、GM、ジョンソン & ジョンソンほか~

アメリカNOW! 今週の5銘柄 ~「出遅れ物色」が向かう先は!?ネクステラ エナジー、GM、ジョンソン & ジョンソンほか~

投資情報部 榮 聡

2024/04/01

先週は四半期末のポジション調整で利食いが優勢となる場面がありましたが、週末にかけてはテクノロジー株以外に物色が広がる動きが出て、S&P500指数は再び最高値を更新しました。今週の株価材料として、週末のイベントに対する市場の反応、3月雇用統計、4月企業景況感、などが注目されます。

今回は「出遅れ物色」が向かっている先を探るという観点からスクリーニングを行い、ネクステラ エナジー(NEE)ゼネラル モーターズ(GM)ジョンソン & ジョンソン(JNJ)アルファベット A(GOOGL)メドトロニック(MDT)を選んで今週の5銘柄といたします。

図表1 S&P500指数の一目均衡表(日足、3ヵ月)

史上最高値の更新が続いています。適度なもみ合いや押し目を挟みながらの上昇で、特段の上昇過熱感は見られません。

※当社WEBサイトを通じてSBI証券が作成

図表2 業種別指数騰落率・個別銘柄騰落率(「5日」は3/14(木)終値~3/21(木)終値によります)

S&P500業種指数騰落 5日 1ヵ月 3ヵ月
公益事業 3.0% 6.3% 3.5%
エネルギー 2.0% 10.9% 12.4%
ヘルスケア 1.5% 1.5% 8.4%
素材 1.0% 7.1% 8.0%
不動産 1.0% 2.0% -2.5%
金融 0.5% 4.7% 11.7%
生活必需品 0.4% 2.9% 7.0%
資本財・サービス 0.3% 4.7% 10.4%
S&P500 0.2% 3.6% 9.8%
コミュニケーションサービス 0.1% 5.6% 15.0%
一般消費財・サービス 0.1% 0.9% 4.1%
情報技術 -0.8% 3.1% 12.2%
騰落率上位(5日) 騰落率
フェデックス 9.4%
メルク 6.7%
ブリストル マイヤーズ スクイブ 5.1%
ウォルト・ディズニー・カンパニー 4.9%
メドトロニック 4.5%
騰落率下位(5日) 騰落率
ナイキ -6.8%
メタ・プラットフォームズ -4.4%
ユナイテッド・パーセル・サービス(UPS) -4.3%
ビザ -3.9%
モンデリーズ・インターナショナル -3.1%

注:個別銘柄の騰落率上位、下位はS&P100指数が母集団です。銘柄名はBloombergの表記により、当社WEBサイト・本文中の表記と異なる場合があります。
※BloombergデータをもとにSBI証券が作成

先週の米国株式市場

S&P500指数は週間で0.4%、NYダウは0.8%の上昇、ナスダック指数は0.3%の下落でした。S&P500指数は再び最高値を更新しています。

先週は明確な株価材料がない中、週を通じてはもみ合いとなりました。四半期末のポジション調整の影響もあるとみられ、先々週後半から週初にかけては利食い優勢となり、相場の頭打ち感がでました。

一方、相場上昇をけん引してきたエヌビディアが3/26(火)、3/27(水)と連日の大幅安となる中で、テクノロジー以外にも物色が広がり、S&P500指数は3/27(水)は反発に転じ、3/28(木)にはもみ合いながらも、史上最高値を更新しました。

経済指標では、10-12月期実質GDPの確報値が前期比年率+3.4%へ同+3.2%から上方修正され、2月耐久財受注は前月比+1.4%で市場予想を上回って堅調でした。

業種指数では、年初来のパフォーマンスが低調な「公益事業」「ヘルスケア」が上位で、「エネルギー」は原油価格の回復基調を受けて上昇しました。「情報技術」は利益確定売りが嵩んだとみられ、唯一のマイナスです。個別株では、12-2月期決算を発表したメルク(MRK)の上昇が目立ちました。米食品医薬品局(FDA)がメルクの医薬品を難病の肺動脈性肺高血圧症(PAH)の新たな治療薬として承認した。同医薬品はPAHを対象しとした唯一の治療薬となっています。

今週の米国株式

米国経済のソフトランディング期待が高まるなかで株式需給は引き続き良好とみられるものの、今週から徐々に1-3月期決算発表前の自社株買いブラックアウト期間の影響下に入る点には注意が必要でしょう。

今週の株価材料として、週末のイベントに対する市場の反応、3月雇用統計、4月企業景況感、などが注目されます。

先週末の3/29(金)はグッドフライデーで休場であったため、2月個人消費支出物価指数とパウエルFRB議長の発言は4/1(月)に反応することになります。個人消費支出物価指数は総合指数が前年比+2.5%、コア指数が同+2.8%と、いずれも市場予想に一致しました。

これに対するパウエルFRB議長の発言は、先に出ている2月消費者物価指数と同じく、インフレ高止まりの傾向を示したものの、過去2ヵ月の強いインフレ指標に過剰反応しないとして、これまでの発言内容を踏襲しました。このため、市場の反応は中立的なものとなりそうです。

雇用統計では、2月分の非農業部門雇用者数が前月比27.5万人増と市場予想を上回って強い数字となりましたが、3月分は前月比20.8万人増の予想で、雇用市場の落ち着きを示す見込みです。

企業景況感は、4/1(月)の3月ISM製造業景気指数が前月の47.8から48.0に改善の予想、4/3(水)の3月ISM非製造業景気指数は前月の52.6から52.8に改善の予想です。

経済指標では上記のほか、4/3(水)に米国の3月ADP雇用統計(前月比15万人増の予想)、などの発表が予定されています。

今週の5銘柄

今回は「出遅れ物色」が向かっている可能性がある銘柄を、以下のスクリーニング条件で抽出しました。

【スクリーニング条件】

(1)過去5日間の株価騰落率が1.5%以上(S&P500指数は同期間に0.2%の上昇)

(2)過去3ヵ月の通期EPS修正率が-1%以上

図表3に抽出された銘柄から、目標株価との乖離率が大きい銘柄を中心に、ネクステラ エナジー(NEE)、ゼネラル モーターズ(GM)、ジョンソン & ジョンソン(JNJ)、アルファベット A(GOOGL)、メドトロニック(MDT)を選んでご紹介いたします。

図表3 「出遅れ物色」が向かっている可能性がある銘柄のスクリーニング(S&P100指数構成銘柄対象)

コード 銘柄名 株価騰落率
(5日)
(%)
通期EPS
修正率
(3ヵ月)
(%)
目標株価
乖離率
(%)
株価
(3/28)
(ドル)
予想PER
(倍)
NEE ネクステラ・エナジー 4.2 -0.95 13.6 63.91 19.3
GM ゼネラル・モーターズ 4.4 3.27 11.9 45.35 5.1
JNJ ジョンソン・エンド・ジョンソン 1.6 0.84 11.0 158.19 14.9
GOOGL アルファベット 2.3 -0.49 10.2 150.93 20.4
MDT メドトロニック 4.5 -0.28 8.7 87.15 16.3
VZ ベライゾン・コミュニケーションズ 3.5 -0.88 6.0 41.96 9.2
BRK/B バークシャー・ハサウェイ 1.6 0.00 4.3 420.52 23.4
MRK メルク 6.7 2.69 3.5 131.95 15.4
DIS ウォルト・ディズニー・カンパニー 4.9 0.77 1.1 122.36 25.7
F フォード・モーター 2.8 4.73 0.1 13.28 7.3
RTX RTX 3.5 -0.24 -0.4 97.53 18.1

注:銘柄名はBloombergの表記により、当社WEBサイト・本文中の表記と異なる場合があります。
※BloombergデータをもとにSBI証券が作成

今週の注目銘柄

取引 チャート 銘柄 株価
(3/28)
予想PER
(倍)
ポイント
買付チャートネクステラ エナジー(NEE)63.91ドル18.8

【買いやすいバリュエーションに低下】

・フロリダ基盤の電力会社。子会社のネクステラ・エナジー・リソーシズ(NEER)は再生可能エネルギーで世界最大級。NEERを保有することで、株価は高いPERで買われていましたが、過去2年余りにわたる株価下落で買いやすいバリュエーションに低下したと言えそうです。

・調整後EPSは2023年10-12月期が前年同期比2%増、2023年12月期通期は前年比9%増でした。2024年12月期の調整後EPSは3.23~3.43ドル(前年実績は3.17ドル)です。中期の業績見通しとして、2026年にかけて調整後EPSは年率6~8%の成長を見込んでおり、配当は年率約10%の増加が可能と見込まれています。

買付チャートゼネラル モーターズ(GM)45.35ドル5.2

【2024年は明るい年に】

・10-12月期決算が売上・EPSとも市場予想を上回りました。2024年見通しは調整後EBITを120~140億ドルとして、中央値は2023年実績の124億ドル、市場予想の109億ドルを上回りました。

・2023年は労働者のストライキに加え、EVトラックの不振、自動運転によるロボタクシーに対する当局の調査など、苦しい年になりましたが、2024年は明るい見通しをもっています。CEOは「(同社が独自開発した)『アルティウム』バッテリーによるEVのブレイクスルーの年にする」とコメントしています。

買付チャートジョンソン & ジョンソン(JNJ)158.19ドル14.8

【消費者部門を切り離して成長顕在化へ】

・成長の足を引っ張っていた消費者部門を2023年5月にケンビューとして切り離し、堅調な医薬品部門の成長を顕在化させ、同時に医療機器部門のてこ入れを行いつつあります。

・10-12月期決算は切り離した消費者部門を除くベースで売上が前年同期比7%増、EPSが同12%増と好調で、市場予想も上回りました。医薬品部門の売上は前年同期比4%増、医療機器部門は同13%増でした。医薬品部門の伸びは新型コロナワクチンを除いたベースでは同10%増と好調、医療機器部門は買収したアビオメッドの影響を除いて同9%増でした。

買付チャートアルファベット A(GOOGL)150.93ドル21.4

【見直し買いが進みつつある】

・年初来悪材料が重なり(10-12月期決算で広告収入が予想を下回る、対話型AIの「ジェミニ」に不具合など)、株価は低調に推移していましたが、テクノロジー株の中で株価の出遅れが目立ってきたため、3月上旬から見直し買いが入っているとみられます。「ジェミニ」の不具合は痛いものの、同社のAIリソースの厚さを考えれば、いずれ解決してくると期待されます。

・3/17(日)にアップルがiPhoneに「ジェミニ」を採用する可能性があるとの報道があり、期待が高まっています。10-12月期決算については、主力の広告収入が市場予想を下回って失望を招きましたが、全体としては売上が前年同期比15%増、EPSが同56%増、それぞれ市場予想に対して2%、3%上回って堅調な決算でした。

買付チャートメドトロニック(MDT)87.15ドル16.0

【成長が安定しつつある】

・医療機器メーカーの大手。心疾患、脊椎疾患、糖尿病、医療外科などの分野に展開しており、ペースメーカーでは世界首位です。パンデミックによる需要かく乱から抜け、安定成長に戻りつつあるとみられます。新製品群の投入により、5%以上の売上成長が可能と見込まれます。

・11-1月期決算は売上が前年同期比5%増、調整後EPSが同横ばい(為替変動による押し下げ8%ポイントを含む)でした。2024年4月期の売上見通しは、前年比4.75%から4.75~5.0%へ引き上げられました。売上見通しの引き上げは3四半期連続です。 

注:予想PERはBloomberg集計のコンセンサス予想EPSによります。使用した予想EPSの決算期は、メドトロニックが2025年4月期、その他はいずれも2024年12月期です。
※会社資料、BloombergデータをもとにSBI証券が作成。

主要イベントの予定

  経済指標・イベント 企業決算・イベント
4月
1(月)
・日本日銀短観(1-3月期)
・米ISM製造業景気指数(3月)
 
2(火) ・米求人労働異動調査(2月)
・米製造業受注(2月)
・NY連銀ウィリアムズ総裁が討論に参加
・クリーブランド連銀メスター総裁が経済見通しにコメント
・サンフランシスコ連銀デイリー総裁が討論に参加
 
3(水) ・米ADP雇用統計(3月)
・米ISM非製造業景気指数(3月)
・シカゴ連銀グールズビー総裁があいさつ
 
4(木) ・米チャレンジャー人員削減数(3月)
・米新規失業保険申請件数(3月30日に終わる週)
・クリーブランド連銀メスター総裁が経済見通しにコメント
ラムウェストンホールディングス、コナグラブランズ
5(金) ・米雇用統計(3月)  
8(月) ・NY連銀1年インフレ期待(1月)  
9(火) ・NFIB中小企業楽観指数(3月)  
10(水) ・米消費者物価指数(3月)
・FOMC議事要旨(3月19日、20日開催分)
・シカゴ連銀グールズビー総裁が討論に参加
 
11(木) ・中国生産者・消費者物価指数(3月)
・ECB主要政策金利
・米生産者物価指数(3月)
・米新規失業保険申請件数(4月6日に終わる週)
 
12(金) ・中国貿易統計(3月)
・米ミシガン大学消費者信頼感(4月、速報値)
・サンフランシスコ連銀デイリー総裁が討論に参加
JPモルガンチェース、シティグループ、ウェルズファーゴ
デルタ航空

注:日付は現地時間によります。(E)はBloombergによる予想を示します。企業決算の赤字でのハイライトは、当社顧客保有人数の1~30位、青字のハイライトは31~50位を示します。
※Bloombergデータ、各種報道をもとにSBI証券が作成

※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。

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