アメリカNOW! 今週の5銘柄 ~ネットフリックス、トラベラーズ、モルガンスタンレーなど好決算銘柄~

アメリカNOW! 今週の5銘柄 ~ネットフリックス、トラベラーズ、モルガンスタンレーなど好決算銘柄~

投資情報部 榮 聡

2024/10/21

先週は半導体製造装置メーカーASMLの売上見通し下方修正で下落したものの、半導体受託生産の台湾セミコンダクターの売上好調見通しで回復しました。今週の株価材料として、7-9月期決算発表、ガザ地区情勢、エヌビディアの株価動向、などが注目されます。

今週は先週に好決算を発表した銘柄から、ネットフリックス(NFLX)トラベラーズ(TRV)ブラックロック A(BLK)モルガン スタンレー(MS)ゴールドマン サックス(GS)を選んでご紹介いたします。

図表1 S&P500指数の一目均衡表(日足、3ヵ月)

先週は値動きが荒く、高値波乱的な動きとなりましたが、上昇基調は維持されているように見えます。

※当社WEBサイトを通じてSBI証券が作成

図表2 業種別指数騰落率・個別銘柄騰落率

S&P500業種指数騰落 5日 1ヵ月 3ヵ月
公益事業 3.4% 2.9% 16.8%
不動産 3.0% 0.6% 10.4%
金融 2.4% 4.8% 11.1%
素材 1.9% 4.3% 8.7%
一般消費財・サービス 1.2% 0.9% 5.5%
S&P500 0.9% 2.8% 6.5%
情報技術 0.8% 4.6% 5.3%
生活必需品 0.6% -0.6% 5.4%
資本財・サービス 0.6% 4.7% 11.4%
コミュニケーションサービス 0.3% 2.2% 4.6%
ヘルスケア -0.6% -1.2% 3.6%
エネルギー -2.6% 2.8% -1.6%
騰落率上位(5日) 騰落率
モルガン・スタンレー 9.6%
USバンコープ 6.3%
デューク・エナジー 5.8%
ネットフリックス 5.7%
ウェルズ・ファーゴ 5.5%
騰落率下位(5日) 騰落率
CVSヘルス -9.4%
アドバンスト・マイクロ・デバイセズ -7.1%
ユナイテッドヘルス・グループ -4.8%
シティグループ -4.4%
コノコフィリップス -4.4%

注:個別銘柄の騰落率上位、下位はS&P100指数が母集団です。銘柄名はBloombergの表記により、当社WEBサイト・本文中の表記と異なる場合があります。
※BloombergデータをもとにSBI証券が作成

先週の米国株式市場

S&P500指数は週間で0.9%、ダウ平均は1.0%、ナスダック指数は0.8%の上昇でした。S&P500指数とダウ平均は史上最高値を更新しました。

10/14(月)は、決算発表を控えたテクノロジー株への期待から上昇しましたが、一転10/15(火)は「ASMLショック」を受けて下落しました。オランダの半導体製造装置メーカーASMLが、7-9月期の新規受注が市場予想の半分にとどまり、2025年の売上見通しも下方修正したことから、半導体株を中心に下落しました。

一方、10/17(木)には台湾セミコンダクターの売上見通しが市場予想を上回り、AI関連への懸念が後退して、半導体株を中心に反発しました。半導体の足もとの出荷動向に関連性が高いのは、ASMLよりも台湾セミコンダクターだと考えられます。10/18(金)もネットフリックスなどの好調な決算が相場を押し上げました。

経済指標では、9月小売売上高が前月比+0.4%、自動車を除くベースで同+0.5%といずれも市場予想を上回って消費の堅調を確認しました。ただし、ハリケーン前の買いだめによる一時的な影響を含むとみられています。

業種指数では、米10年国債利回りの上昇が一服となったことから、「公益事業」「不動産」などが騰落率上位です。3位の「金融」は過去1ヵ月ではトップパフォーマーであり、決算の好調に加えて大統領選挙でトランプ氏の支持率が上昇していることも影響している可能性があるようです(図表3)。バイデン政権が課そうとしている金融規制を無効化することが期待されています。下位の「エネルギー」は、イスラエルによるイランへの報復では石油施設を避けるとされて原油価格が下落しました。

今週の米国株式市場

先週は半導体関連銘柄の決算を受けて値動きが荒く、高値波乱的な動きとなりましたが、S&P500指数の上昇基調は維持されているように見えます。

S&P500指数の予想PERは2025年予想EPS基準で21.4倍と通常であれば高い水準に達していますが、当面は上値を試す展開となりそうです。20倍を超えても相場の勢いが強いのは、AI利用の広がりによって将来の企業利益成長率が高まるとのシナリオで相場が動き始めている可能性が考えられるでしょう。

今週の株価材料として、7-9月期決算発表、ガザ地区情勢、エヌビディアの株価動向、などが注目されます。

今週はテスラ、IBM、3M、ベライゾンコミュニケーションズ、コカコーラ、AT&T、サービスナウ、ボーイング、ボストンサイエンティフィック、ネクステラエナジーなどの決算発表が予定されています。

S&P500指数採用企業のEPS(発表済み企業の実績と発表予定企業の予想の混合)は、前年同期比3.4%増の予想です(FactSet社の集計、10/18(金)時点)で、前週の同4.1%増から下方修正となりました。2024年通期の予想EPSも、8月、9月、10月と小幅ながら下方修正が続いているため、動向を注視する必要がありそうです。

先週にイスラエル当局は、ハマスの指導者シンワル氏(昨年のイスラエル急襲の首謀者)の殺害は「中東和平の機会をもたらす」とコメントしました。イスラエルを支援する米国当局からも、戦闘を終結する時期がきたとのコメントがありました。緊張緩和につながる動きが出るか注目です。

エヌビディアの株価は、先週140.89ドルを付けて取引時間中の最高値を小幅に更新しましたが、利食い売りが嵩んだとみられ、「メルトアップ」(買いが買いを呼ぶ展開)にはつながりませんでした。相場押し上げにつながると期待されるAI関連物色の指標銘柄として引き続き注目です。

経済指標では上記のほか、10/23(水)に米国の9月中古住宅販売件数(前月比 +0.5% の予想)、10/24(木)に米国の9月新築住宅販売件数(前月比 +0.6% の予想)、10/25(金)に米国の9月耐久財受注(前月比 -1.0% の予想)、などの発表が予定されています。

今週の5銘柄

今回は10/17(木)までに7-9月期決算を発表して以下のスクリーニング条件を満たす好決算銘柄から(図表4)、ネットフリックス(NFLX)トラベラーズ(TRV)ブラックロック A(BLK)モルガン スタンレー(MS)ゴールドマン サックス(GS)を選んでご紹介いたします。

【スクリーニング条件】
・7-9月期の実績EPSが市場予想を5%以上上回った。
・7-9月期の実績売上が前年同期比増収で、実績EPSが同5%増以上。
・S&P500指数採用銘柄で、時価総額が500億ドル以上。

図表3 大統領選挙の支持率調査(Real Clear Politics集計)

※BloombergデータをもとにSBI証券が作成

図表4 先週の好決算銘柄(10/17(木)までに7-9月期決算を発表したS&P500指数採用銘柄対象、時価総額順)

銘柄名(コード) 7-9月期売上
市場予想比
(%)
7-9月期EPS
市場予想比
(%)
7-9月期売上
前年同期比
(%)
7-9月期売上
前年同期比比
(%)
ネットフリックス(NFLX) 0.5 5.6 15.0 44.8
ブラックストーン インク(BX) 3.2 10.9 4.8 7.5
モルガン スタンレー(MS) 7.2 17.9 15.9 36.2
ゴールドマン サックス(GS) 7.9 16.5 7.5 53.6
インテューイティブ サージカル(ISRG) 1.8 12.0 16.9 26.0
ブラックロック A(BLK) 4.0 10.2 14.9 5.0
トラベラーズ(TRV) 1.7 47.4 11.9 168.7
バンク オブ ニューヨーク メロン(BK) 2.1 7.3 6.3 19.7

※BloombergデータをもとにSBI証券が作成

今週の注目銘柄

取引 チャート 銘柄 株価
(10/18)
予想PER
(倍)
ポイント
買付チャートネットフリックス(NFLX)763.89ドル32.3

【営業利益率見通しを引き上げ】

7-9月期決算を受けて通期の営業利益率を前年比+6%ポイントの27%と、従来の26%から引き上げたことがポジティブと捉えられました。2025年12月期の会社目標は28%ですが、保守的である可能性も出てきたと言えそうです。

7-9月期決算は、売上が前年同期比15%増、EPSが同45%増、加入者純増が507万人で、いずれも市場予想を上回りました。10-12月期売上ガイダンスは、前年同期比15%増、為替の影響を除くベースで同17%増と好調持続の見通しです。

買付チャートトラベラーズ(TRV)265.45ドル12.7

【保険料の上昇による業績拡大】

自動車、住宅、企業向けの損害保険を中心に提供する大手保険会社です。保険料の上昇基調が継続しており、収益性を示すコンバインドレシオ(保険料収入に対する保険金支払いや事業費の支出の割合)は改善基調となっています。

7-9月期は災害による保険金支払いは増加したものの、災害増加による保険料の引き上げと資産運用利益の貢献がこれを上回って大幅な増益になりました。

買付チャートブラックロック A(BLK)1007.02ドル20.5

【市場予想を大きく上回る好決算】

顧客層、商品群、展開地域とも多様化していることによって、さまざまな業界サイクルの中でも堅調な業績をあげることができているとみられます。手数料の縮小圧力は継続するものの、当面は良好な事業環境の恩恵を受けそうです。

7-9月期決算は、売上が前年同期比15%増、調整後EPSが同5%増で、それぞれ市場予想を4%、10%上回って好調でした。期末の運用資産額は前年同期比26%増となっています。

買付チャートモルガン スタンレー(MS)121.06ドル15.4

【資産運用部門の資金流入が順調】

ここ数年の戦略として強化してきた資産運用部門の資金流入が、債券およびオルタナティブの好調で639億ドルと、4-6月期の364億ドルから増加したことがポジティブに捉えられました。

7-9月期決算は、投資銀行部門、株式トレーディング部門が伸びて、収益が前年同期比16%増、EPSが同36%増、それぞれ市場予想を7%、18%上回って好調でした。

買付チャートゴールドマン サックス(GS)528.50ドル12.6

【法人向け業務の業績回復の恩恵】

大手銀行の7-9月期決算では投資銀行部門や株式トレーディング部門の好調が目立ちましたが、同社はこれら業務が占める比率が高く、業界環境の追い風を相対的に大きく受けていると見られます。

7-9月期決算では、株式引き受け収入が前年同期比25%増、債券引き受け収入が同46%増、株式トレーディング収入が同29%増と好調でした。債券トレーディング収入は減少したものの、全体としてEPSは前年同期比54%増で、市場予想を17%上回りました。

注:予想PERはBloomberg集計のコンセンサス予想EPSによります。使用した予想EPSの決算期は、いずれも2025年12月期です。
※会社資料、BloombergデータをもとにSBI証券が作成。

主要イベントの予定

  経済指標・イベント 企業決算・イベント
21(月) ・ダラス連銀ローガン総裁の講演
・ミネアポリス連銀カシュカリ総裁の講演
・カンザスシティ連銀シュミッド総裁の講演
 
22(火) ・EU27ヵ国新車登録台数(9月)
・ファイラデルフィア連銀ハーカー総裁の講演
3Mベライゾンコミュニケーションズ
フィリップモリスインターナショナル、ゼネラルモーターズ
ロッキードマーチン、RTX、フリーポートマクモラン
23(水) ・米中古住宅販売件数(9月)
・米地区連銀経済報告
・ボウマンFRB理事があいさつ
・20年国債入札
IBMテスラコカコーラAT&T、サービスナウ
ボーイング、ボストンサイエンティフィック
ネクステラエナジー、ラムリサーチ
24(木) ・HCOBユーロ圏製造業PMI(10月)
・米シカゴ連銀全米活動指数(9月)
・米新規失業保険申請件数(10月19日に終わる週)
・S&Pグローバル米国製造業PMI(10月)
・米新築住宅販売件数(9月)
ダウ、TモバイルUS
UPS、ハネウェルインターナショナル
25(金) ・ドイツIFO企業景況感(10月)
・米耐久財受注(9月)
・米ミシガン大学消費者信頼感(10月、確報値)
 
28(月) ・2年国債、5年国債入札 フォードモーター、オンセミコンダクター
29(火) ・S&PコアロジックCS住宅価格(8月)
・米求人労働異動調査(9月)
・コンファレンスボード消費者信頼感(10月)
・7年国債入札
アルファベットAMDファイザービザ
マクドナルドペイパルホールディングス
コーニング、ロイヤルカリビアンクルーズ
30(水) ・ユーロ圏実質GDP(7-9月期、速報値)
・米ADP雇用統計(10月)
・米中古住宅販売成約(9月)
マイクロソフトメタプラットフォームズイーライリリィ
アッヴィコインベースグローバルスターバックス
クラフトハインツ、マイクロストラテジー、キャタピラー
31(木) ・中国製造業・非製造業PMI(10月)
・日銀政策金利
・チャレンジャー人員削減(10月)
・米個人所得・個人支出(9月)
・米個人消費支出物価指数(9月)
アップルアマゾンドットコムインテル
アルトリアグループ、マスターカード、メルク
ブッキングホールディングス
11月
1(金)
・米雇用統計(10月)
・米建設支出(9月)
・米ISM製造業景気指数(10月)
エクソンモービルシェブロン
スーパーマイクロコンピュータ、エアビーアンドビー

注:日付は現地時間によります。(E)はBloombergによる予想を示します。企業決算の赤字でのハイライトは、当社顧客保有人数の1~30位、青字のハイライトは31~50位を示します。
※Bloombergデータ、各種報道をもとにSBI証券が作成

※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。

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