アメリカNOW! 今週の5銘柄 ~テスラ、サービスナウ、GMなど好決算銘柄~

アメリカNOW! 今週の5銘柄 ~テスラ、サービスナウ、GMなど好決算銘柄~

投資情報部 榮 聡

2024/10/28

先週は米10年国債利回りが4.0%台から4.2%台へ上昇、これが株価を抑える要因となってS&P500指数は反落、一方テスラが急騰してナスダックはプラスを確保、最高値を更新しました。今週の株価材料として、7-9月期決算発表、雇用統計、大統領選挙の情勢、などが注目されます。

今週は先週に好決算を発表した銘柄から、テスラ(TSLA)サービスナウ(NOW)ゼネラル モーターズ(GM)AT&T(T)フィリップ モリス インターナショナル(PM)を選んでご紹介いたします。

図表1 S&P500指数の一目均衡表(日足、3ヵ月)

先々週まで6週連続の上昇から、先週は反落となりました。米10年国債利回りが一段と上昇して4.2%台に乗せて、株価の抑制要因になりました。

※当社WEBサイトを通じてSBI証券が作成

図表2 業種別指数騰落率・個別銘柄騰落率

S&P500業種指数騰落 5日 1ヵ月 3ヵ月
一般消費財・サービス 0.9% 0.0% 9.0%
情報技術 0.2% 3.6% 8.1%
コミュニケーションサービス -0.1% 1.0% 8.5%
エネルギー -0.6% 3.0% -2.0%
S&P500 -1.0% 1.2% 6.4%
生活必需品 -1.0% -1.6% 3.8%
不動産 -1.5% -0.7% 8.2%
公益事業 -1.9% -0.1% 12.9%
金融 -2.1% 3.2% 7.5%
資本財・サービス -2.8% 0.3% 7.1%
ヘルスケア -3.0% -3.0% -0.8%
素材 -4.0% -3.1% 2.9%
騰落率上位(5日) 騰落率
テスラ 22.0%
フィリップ・モリス・インターナショナル 8.0%
ゼネラル・モーターズ 5.9%
テキサス・インスツルメンツ 4.3%
チャーター・コミュニケーションズ 3.2%
騰落率下位(5日) 騰落率
ダナハー -10.6%
ロッキード・マーチン -8.1%
サーモフィッシャーサイエンティフィック -7.9%
3M -7.7%
マクドナルド -7.6%

注:個別銘柄の騰落率上位、下位はS&P100指数が母集団です。銘柄名はBloombergの表記により、当社WEBサイト・本文中の表記と異なる場合があります。
※BloombergデータをもとにSBI証券が作成

先週の米国株式市場

S&P500指数は週間で1.0%、ダウ平均は2.7%の下落の一方、ナスダック指数は0.2%の上昇でした。ナスダック指数は、10/25(金)に7/11(木)につけた取引時間中の最高値を更新しました。

10/21(月)に米10年国債利回りが上振れ、その後も上昇基調となったことから、株価を抑える要因になりました。ナスダック指数のプラス確保には、テスラの急騰が効いています。

金利の上昇は、先々週までに出た一連の経済指標が良好なため年内の利上げ回数が減るとの見方が広がったためとみられます。図表3で米10年国債利回りの一目均衡表を見ると先々週に「雲」」を上抜けており、先週初に金利上昇方向にブレイクした形です。また、米大統領選挙でトランプ氏の優位が伝えられ、インフレ押し上げや国債増発につながるとの見方が影響したとの見方もあります。

主要企業の決算は、概ね市場予想を上回って堅調でしたが、株価の反応は好悪まちまちでした。時価総額が大きいテスラ(TSLA)が予想外の増益となり、今後の販売についても楽観的な見方を示したことで大幅高となって、相場を支えました。

業種指数では、テスラがけん引した一般消費財・サービス、半導体が堅調となった情報技術などがプラスを確保の一方、景気敏感の素材、資本財・サービス、ダナハー(DHR)などの下落が効いたヘルスケアの下落が大きくなりました。

今週の米国株式市場

今週はマグニフィセント7のうち5社が決算発表予定で、これを見守る展開となりそうです。これら企業の決算に特段の悪材料は想定されず、マクロ的には不透明感がある中、相場を支える要因となりそうです。なお、11/3(日)に米国のサマータイムが終了して、11/4(月)から米国株式の取引時間は日本時間で23:30~翌6:00になりますのでご注意ください。

今週の株価材料として、7-9月期決算発表、雇用統計、大統領選挙の情勢、などが注目されます。

7-9月期決算発表は、ピーク週を迎えます。アルファベット、マイクロソフト、メタ、アップル、アマゾンと大手テクノロジー銘柄が発表予定です。AI関連のAMD、肥満治療薬のイーライリリィも注目です。

S&P500指数採用企業のEPS(発表済み企業の実績と発表予定企業の予想の混合)は、前年同期比3.6%増の予想です(FactSet社の集計、10/25(金)時点)です。前週の同3.2%増からやや改善です。

雇用統計は、10/30(水)の10月ADP雇用統計は前月比 11.0万人増の予想(前月は14.3万人増)、11/1(金)の10月非農業部門雇用者は前月比 11.0万人増の予想(前月は同25.4万人増)です。いずれも前月から低下の見込みですが、ハリケーンによる一時的影響が含まれるため、さほど大きなネガティブ要因にはならないと考えられます。

大統領選挙の投票日11/5(火)まで1週余りとなりましたが、引き続き接戦で目が離せません。相場全体としては、足もとの相場で金利上昇が気にされていますので、インフレの上昇や積極財政につながりやすいと見られているトランプ氏よりもハリス氏のほうが穏健で良い反応になりやすいとみられます。

経済指標では上記のほか、米国 10月コンファレンスボード消費者信頼感(前月の98.7から99.3に改善の予想)、10/31(木)に中国の10月製造業PMI(前月の49.8から49.9に改善の予想)、同非製造業PMI(前月は50.0から50.5に改善の予想)、米国の9月消費支出物価指数(総合指数は前年比 +2.1% の予想、前月は同+2.2%、コア指数は前年比 +2.6%の予想、前月は同+2.7%)、11/1(金)に米国の10月ISM製造業景気指数(前月の47.2から47.6に改善の予想)、などの発表が予定されています。

今週の5銘柄

今回は10/18(金)から10/24(木)までに7-9月期決算を発表して好調と考えられる銘柄を図表4にリストアップしました。ここから時価総額が大きい銘柄を中心に、テスラ(TSLA)、サービスナウ(NOW)、ゼネラル モーターズ(GM)AT&T(T)、フィリップ モリス インターナショナル(PM)を選んでご紹介いたします。

図表3 米10年国債利回りの一目均衡表(日足、6ヵ月)

※当社WEBサイトを通じてSBI証券が作成

図表4 先週の好決算銘柄(10/17(木)までに7-9月期決算を発表したS&P500指数採用銘柄対象、時価総額順)

銘柄(コード) 売上
予想比
(%)
EPS
予想比
(%)
売上
前年同期比
(%)
EPS
前年同期比
(%)
決算
発表日
ゼネラル モーターズ(GM) 9.1 20.8 10.5 29.8 10月22日
フィリップ モリス インターナショナル(PM) 2.6 5.3 8.4 14.4 10月22日
テスラ(TSLA) -1.0 20.9 7.9 9.1 10月23日
サービスナウ(NOW) 1.9 7.6 22.3 27.4 10月23日
AT&T(T) -0.8 5.9 -0.5 -6.3 10月23日
ノーザン トラスト(NTRS) 5.5 15.6 13.6 35.2 10月23日
テラダイン(TER) 2.9 14.6 4.7 12.5 10月23日
ユナイテッド パーセル サービス B(UPS) 0.4 8.2 5.6 12.1 10月24日
ユニバーサル ヘルス サービシーズ B(UHS) 1.6 3.6 11.2 58.3 10月24日
S&P グローバル(SPGI) 4.3 7.0 15.9 21.2 10月24日
CBRE グループ A(CBRE) 2.9 13.0 14.8 66.7 10月24日
デッカーズ アウトドア(DECK) 9.0 28.6 20.1 39.9 10月24日

※BloombergデータをもとにSBI証券が作成

今週の注目銘柄

取引 チャート 銘柄 株価
(10/25)
予想PER
(倍)
ポイント
買付チャートテスラ(TSLA)269.19ドル84.1

【来年の販売台数は20~30%増の可能性も】

・7-9月期は前年同期比減益が予想されていましたが、調整後EPSは同19%増と増益に転じました。販売台数の見通しは2024年が前年比プラスで、2025年は前年比20~30%増になる可能性があると楽観的な見通しが示されました。

・一般にEVの需要環境は厳しいと考えられていますが、2025年上半期に廉価モデルが投入できれば、マスク氏が示した見通しの実現性が高まる可能性があるでしょう。ただし、大統領選挙の結果は、EVの補助金政策に影響があるため、注意が必要でしょう。

買付チャートサービスナウ(NOW)950.85ドル57.1

【AI機能の追加が売上を押し上げ】

・7-9月期決算は売上・EPSとも市場予想を上回る好決算でした。当面の売上に関係の深い流動残存履行義務額は前年同期比26%増で、市場予想を3%上回りました。生成AIの機能を製品に組み込み、製品価格を引き上げられていることが好結果につながっているようです。

・好調な7-9月期決算を受けて通期の売上見通しを引き上げています。一方、10-12月期の流動残存履行義務額ガイダンスは前年同期比21.5%増と、さほど強い数字は見込んでいません。

買付チャートゼネラル モーターズ(GM)52.07ドル5.1

【高価格車の販売が好調】

・7-9月期は、平均販売単価の上昇によって売上・調整後EPSとも市場予想を大きく上回り、通期の調整後EPSガイダンスを引き上げました。大型スポーツタイプ多目的車(SUV)「GMCユーコン」のガソリンモデルやピックアップトラック「シボレー・シルバラード」などの高価格車の需要が好調です。

・米国の個人消費は全体としては徐々に減速感が出ていますが、富裕層の消費意欲は引き続き強いと見られ、同社はその恩恵を受けているようです。

買付チャートAT&T(T)21.83ドル9.7

【重要指標は堅調】

・7-9月期決算は売上が前年同期比1%減、調整後EPSが同6%減と低調でした。売上は企業向け固定線収入が同12%減、モバイル機器収入が5%減と足を引っ張りました。しかし、モバイル・サービス収入が前年同期比4%増、携帯電話の後払い契約者純増が40.3万人、光ファイバー契約の純増が22.6万人など、重要な経営指標は堅調でした。

・同社は昨年まで悪材料が重なって株価が非常に低迷していました。コア事業の堅調が維持され、見直しの動きが続いているようです。

買付チャートフィリップ モリス インターナショナル(PM)129.86ドル18.1

【市場予想を上回る好決算】

・7-9月期決算は、加熱式タバコ「IQOS」の堅調な拡大と買収したニコチンパウチ「ZYN」の好調を受けて市場予想を上回り、通期の利益見通しを引き上げました。

・7-9月期は、加熱式タバコなどの無煙事業の売上が前年同期比14%増、有煙事業の売上が同5%増、全体で同9%増でした。無煙事業の売上比率は38%まで高まっています。 

注:予想PERはBloomberg集計のコンセンサス予想EPSによります。使用した予想EPSの決算期は、いずれも2025年12月期です。
※会社資料、BloombergデータをもとにSBI証券が作成。

主要イベントの予定

  経済指標・イベント 企業決算・イベント
28(月) ・2年国債、5年国債入札 フォードモーター、オンセミコンダクター
29(火) ・S&PコアロジックCS住宅価格(8月)
・米求人労働異動調査(9月)
・コンファレンスボード消費者信頼感(10月)
・7年国債入札
アルファベットAMDファイザービザ
マクドナルドペイパルホールディングス
コーニング、ロイヤルカリビアンクルーズ
30(水) ・ユーロ圏実質GDP(7-9月期、速報値)
・米ADP雇用統計(10月)
・米中古住宅販売成約(9月)
マイクロソフトメタプラットフォームズイーライリリィ
アッヴィコインベースグローバルスターバックス
クラフトハインツ、マイクロストラテジー、キャタピラー
ブッキングホールディングス
31(木) ・中国製造業・非製造業PMI(10月)
・日銀政策金利
・チャレンジャー人員削減(10月)
・米個人所得・個人支出(9月)
・米個人消費支出物価指数(9月)
アップルアマゾンドットコムインテル
アルトリアグループ、マスターカード、メルク
コノコフィリップス、ウーバーテクノロジーズ
11月
1(金)
・米雇用統計(10月)
・米建設支出(9月)
・米ISM製造業景気指数(10月)
エクソンモービルシェブロン
スーパーマイクロコンピューター(E)
3(日) ・米国のサマータイム終了  
4(月) ・米製造業受注(9月)
・3年国債入札
パランティアテクノロジーズ、マリオットインターナショナル
5(火) ・米大統領選挙投票日
・米貿易統計(9月)
・米ISM非製造業景気指数(10月)
・10年国債入札
 
6(水) ・30年国債入札 アームホールディングス
7(木) ・中国貿易統計(10月)
・米新規失業保険申請件数(11月2日に終わる週)
・米FOMC政策金利
エコペトロルワーナーブラザーズディスカバリー
マラホールディングスブラジル石油公社
リビアンオートモーティブソルベンタム
ユニティソフトウェア、エアビーアンドビー
アリスタネットワークス
8(金) ・米ミシガン大学消費者信頼感(11月、速報値)  

注:日付は現地時間によります。(E)はBloombergによる予想を示します。企業決算の赤字でのハイライトは、当社顧客保有人数の1~30位、青字のハイライトは31~50位を示します。
※Bloombergデータ、各種報道をもとにSBI証券が作成

※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。

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