アメリカNOW! 今週の5銘柄 ~エヌビディアの決算に期待~

アメリカNOW! 今週の5銘柄 ~エヌビディアの決算に期待~

投資情報部 榮 聡

2024/11/18

先週は米10年国債利回りの上昇が再び強まったことから、先々週の大統領選挙後に「トランプラリー」で上昇した分に対して半分程度の調整となりました。今週の株価材料として、エヌビディア決算、大手小売の決算、10年国債利回りの行方、などが注目されます。

今週はエヌビディアの好決算を想定したAI関連銘柄から、エヌビディア(NVDA)ブロードコム(AVGO)アドバンスト マイクロ デバイシズ(AMD)サービスナウ(NOW)、また、先週好決算を発表したウォルト ディズニー(DIS)を選んでご紹介いたします。

図表1 S&P500指数の一目均衡表(日足、3ヵ月)

「トランプラリー」による上昇分に対しておおよそ半値押しの位置です。一目均衡表の「基準線」「転換線」とも現在値近くに収れんしていることから、重要なポイントにあることは間違いないでしょう。

※当社WEBサイトを通じてSBI証券が作成

図表2 業種別指数騰落率・個別銘柄騰落率

S&P500業種指数騰落 5日 1ヵ月 3ヵ月
金融 1.4% 4.6% 14.1%
エネルギー 0.6% 3.9% 4.3%
公益事業 0.0% -3.5% 6.5%
一般消費財・サービス -1.1% 7.9% 16.9%
生活必需品 -1.2% -2.3% -0.1%
S&P500 -2.1% 0.1% 5.7%
コミュニケーションサービス -2.1% 2.9% 8.5%
不動産 -2.1% -4.0% 2.6%
資本財・サービス -2.1% -0.2% 9.4%
情報技術 -3.2% -1.1% 3.7%
素材 -3.3% -7.0% 0.6%
ヘルスケア -5.5% -7.4% -7.2%
騰落率上位(5日) 騰落率
ウォルト・ディズニー・カンパニー 16.2%
チャールズ・シュワブ 9.1%
ウェルズ・ファーゴ 6.1%
ハネウェル・インターナショナル 4.3%
ブリストル マイヤーズ スクイブ 3.8%
騰落率下位(5日) 騰落率
アッヴィ -17.3%
アムジェン -12.8%
イーライリリー -10.3%
ブロードコム -10.2%
アドバンスト・マイクロ・デバイセズ -8.8%

注:個別銘柄の騰落率上位、下位はS&P100指数が母集団です。銘柄名はBloombergの表記により、当社WEBサイト・本文中の表記と異なる場合があります。
※BloombergデータをもとにSBI証券が作成

先週の米国株式市場

S&P500指数は週間で2.1%、ダウ平均は1.2%、ナスダック指数は3.1%の下落でした。

米10年国債利回りの上昇が再び強まって、株価を抑える要因になりました。トランプ次期大統領の掲げる政策はインフレを押し上げ、財政収支の悪化につながりやすいとみられ、基本的に金利を押し上げる方向に働くとみられています。

先週は10月の消費者物価指数、生産者物価指数とも前月の伸びを上回り、インフレの下がりにくさが意識されました。パウエルFRB議長は、「経済が送っているシグナルは、利下げを急ぐ必要がないことを示している」と発言して、これも金利上昇に寄与したとみられます。

トランプ次期大統領が次期政権の主要人事を次々に発表する中、市場で議論を呼ぶ人事も多かったことから、当面のリスク要因と意識されたことも株価を押し下げたとみられます。

業種指数では、トランプ氏が大統領になった場合に恩恵を受けると目されていた「金融」「エネルギー」がプラスを確保しています。「金融」は金利の上昇基調も好感されている可能性があるでしょう。一方、ワクチンに懐疑的とされるケネディ氏が厚生長官に指名され、個別に悪材料も出た「ヘルスケア」の下落が大きくなっています。「素材」は金価格の下落、「情報技術」は半導体株の下落が効いています。

騰落率最下位のアッヴィ(ABBV)は、開発中の統合失調症治療薬「エムラクリジン」が2つの中期段階の臨床試験で主要目標を達成できませんでした。同薬はアッヴィが今年評価額87億ドルで買収したバイオ医薬品会社セレベル・セラピューティクスの新薬候補です。

今週の米国株式市場

11/15(金)終値の5870.62ポイントはトランプラリーの上昇分(※)の半値押しの5865ポイントにほぼ到達しています。大統領選挙後は株価が上昇しやすい傾向がありますので、下げ止まりから反発を窺うタイミングと考えられるのではないでしょうか。きっかけはエヌビディアの8-10月期決算になると期待されます。

※11/4(月)終値5712.69ポイントから11/11(月)高値6017.31ポイントを上昇分と計算した場合です。

トランプ次期大統領の人事は、引き続き市場で議論を呼ぶと思われます。しかし、「腐敗したワシントンDCの役人ネットワーク」(いわゆる「ディープステート」にあたるもの)を解体することを主眼に人事が行われているとすれば、滅茶苦茶なことが起こっていると考えないほうが良いのではないでしょうか。

今週の株価材料として、エヌビディア決算、大手小売の決算、10年国債利回りの行方、などが注目されます。

エヌビディアの8-10月期決算は、11/20(水)の引け後に発表予定です。フアンCEOは、10月上旬に新製品「ブラックウェル」には「常軌を逸した(insane)」需要があるとコメントしています。これが受注残に類するデータなどとして具体的な数字として示されるか注目されます。

今週は、ウォルマート、ターゲット、ロウズ、TJXなど小売大手の決算発表があります。10月の小売売上高は前月比+0.4%と市場予想を上回り、9月分も同+0.3%から同+0.8%に上方修正されるなど、消費の強さが目立ちました。引き続き堅調な結果が出てくると期待できそうです。

米10年国債利回りが上昇基調となっており、上昇が続くと株式の抑制要因になりそうです。年初来の高値は2024年4月25日の4.74%でこれを超えるようだと影響が大きくなる可能性があるので注視が必要でしょう。

経済指標では、11/19(火)に米国の10月住宅着工件数(前月比-1.3%の予想)、同住宅建設許可件数(前月比+1.1%の予想)、11/21(木)に米国の10月中古住宅販売件数(前月比+2.5%の予想)、などの発表が予定されています。

今週の5銘柄

今回はエヌビディアの決算発表がポジティブに作用することを想定してAI関連銘柄から、エヌビディア(NVDA)、ブロードコム(AVGO)、アドバンスト マイクロ デバイシズ(AMD)、サービスナウ(NOW)の4銘柄、また、先週好決算を発表したウォルトディズニー(DISを選んで紹介いたします。

エヌビディアの8-10月期決算は、売上が332億ドルで前年同期比83%増、EPSは0.74ドルで同97%増の予想です。会社の売上ガイダンスは325億ドル±2%で、市場予想はガイダンスの上限となっています。

売上は生産を委託している台湾セミコンダクターの生産能力が制約になっているとみられるため、大幅に上回ることはないとみられます。一方、フアンCEOは、新製品「ブラックウェル」に対する製品需要は「常軌を逸している(insane)」と発言しており、これが具体的にどのような数字として示されるか注目されます。

図表3 エヌビディアの四半期売上推移

注:25年度3Qが2024年8-10月期に当たります。
※BloombergデータをもとにSBI証券作成

今週の注目銘柄

取引 チャート 銘柄 株価
(11/15)
予想PER
(倍)
ポイント
買付チャートエヌビディア(NVDA)58.39ドル126.9

【11/20(水)に決算発表】

・エヌビディアの8-10月期決算は、売上が332億ドルで前年同期比83%増、EPSは0.74ドルで同97%増の予想です。会社の売上ガイダンスは325億ドル±2%で、市場予想はガイダンスの上限となっています。

・売上は生産を委託している台湾セミコンダクターの生産能力が制約になっているとみられるため、大幅に上回ることはないとみられます。一方、フアンCEOは、新製品「ブラックウェル」に対する製品需要は「常軌を逸している(insane)」と発言しており、これが具体的にどのような数字として示されるか注目されます。

買付チャートブロードコム(AVGO)17.78ドル19.5

【特定顧客向けのAIコンピュータ製造を請け負う】

・特定顧客向けとしてグーグルやメタにAI半導体を供給しており、2024年10月期のAI関連売上は会社のガイダンスで120億ドルになる見込みです。オープンAIともAIコンピュータの開発に取り組んでいることを発表しています。なお、同社のAI関連売上にはAIコンピュータのほか、AIコンピュータの導入で必要となるネットワーク半導体も含んでいます。

・エヌビディアとの違いは、ブロードコムはAIソフトウェアのリソースはあまりもっていないと考えられることです。顧客と考えられるグーグルやメタが主導してAIコンピュータを企画して、そこに使われる半導体の製造を担っているという立場と考えられます。

買付チャートアドバンスト マイクロ デバイシズ(AMD)170.91ドル15.3

【AIコンピュータ市場に参入】

・2023年10-12月期に「MI300」でAIコンピュータ市場に本格参入して、2024年12月期のAI関連売上は45億ドルの見通しで、2024年には5%弱の市場シェアをもっていると推定されます。

・AIコンピュータでは、引き続きエヌビディアとの格差は大きいとみられますが、AIコンピュータ市場をエヌビディアに独占させてはいけないと考えるマイクロソフトなどハイパースケーラーの支援を受けているため、一定の市場シェアを確保できる見通しです。

買付チャートサービスナウ(NOW)141.90ドル20.9

【AI機能の追加が売上を押し上げ】

・企業向けに各種ソフトウェアを提供して、業務の自動化を促進するサービスを提供します。AIとの親和性が高く、生成AIが売上増につながりやすい企業と考えられます。生成AIの機能を製品に組み込み、製品価格を引き上げられていることが好結果につながっているようです。

・7-9月期決算は売上・EPSとも市場予想を上回り、通期の売上見通しを引き上げました。当面の売上に関係の深い流動残存履行義務額は7-9月期に前年同期比26%増で、10-12月期は前年同期比21.5%増へ鈍化のガイダンスですが、引き続き高い伸びと言えるでしょう。 

買付チャートウォルト ディズニー(DIS)400.45ドル41.0

【エクスペリエンス部門で増益を見込む】

・ディズニーランドなどの遊園地を含むエクスペリエンス部門は、2四半期連続で営業減益となり、不透明感が漂っていましたが、2025年9月期は前年比6~8%の営業増益のガイダンスとなったことから市場に安心感が戻っています。

・7-9月期は売上が前年同期比6%増、部門営業利益が同23%増、調整後EPSが同79%増と好調でした。主力のエンターテインメント部門は、映画がヒット作が出たほか、動画ストリーミング事業の改善もあって、売上は前年同期比14%増、営業利益は同4.5倍でした。動画ストリーミング(インドを除く)の契約者数は440万人の増加で順調に拡大しています。

注:予想PERはBloomberg集計のコンセンサス予想EPSによります。使用した予想EPSの決算期は、エヌビディアが2026年1月期、ウォルトディズニーが2025年9月期、その他は2025年12月期です。
※会社資料、BloombergデータをもとにSBI証券が作成。

主要イベントの予定

  経済指標・イベント 企業決算・イベント
18(月) ・日本機械受注(9月)
・米NAHB住宅市場指数(11月)
 
19(火) ・米住宅着工・建設許可件数(7月) ロウズ、メドトロニック、ウォルマート
20(水) ・20年国債入札 エヌビディア、パロアルトネットワークス
ターゲット、TJX
21(木) ・EU27ヵ国新車登録台数(10月)
・フィラデルフィア連銀製造業景気指数(11月)
・米新規失業保険申請件数(11月16日に終わる週)
・米中古住宅販売件数(10月)
ロスストアーズ
22(金) ・HCOBユーロ圏製造業PMI(11月)
・S&Pグローバル米製造業PMI(11月)
・ミシガン大学消費者信頼感(11月、確報値)
 
25(月) ・ドイツIFO企業景況感(11月)
・シカゴ連銀全米活動指数(10月)
 
26(火) ・S&PコアロジックCS住宅価格(9月)
・米新築住宅販売件数(10月)
・コンファレンスボード消費者信頼感(11月)
クラウドストライクホールディングス、HP
アナログデバイセズ、デルテクノロジーズ
27(水) ・米実質GDP(7-9月期、改定値)
・米耐久財受注(10月)
・米新規失業保険申請件数(11月23日に終わる週)
・米個人所得・個人支出(10月)
・米個人消費支出物価指数(10月)
・米中古住宅販売成約(10月)
 
28(木) ・日本鉱工業生産(10月)
・米国市場休場(感謝祭)
 
29(金)   ヒューレットパッカードエンタープライズ(E)
クローガー(E)

注:日付は現地時間によります。(E)はBloombergによる予想を示します。企業決算の赤字でのハイライトは、当社顧客保有人数の1~30位、青字のハイライトは31~50位を示します。
※Bloombergデータ、各種報道をもとにSBI証券が作成

※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。

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