アメリカNOW! 今週の5銘柄 ~10-12月期決算発表、前半戦の注目銘柄5選~

アメリカNOW! 今週の5銘柄 ~10-12月期決算発表、前半戦の注目銘柄5選~

投資情報部 榮 聡

2025/01/14

先週は強い経済指標の発表を受けて米10年国債利回りが4.7%台後半まで上昇、株式の相対的な割高感が意識されて、株式相場は大幅な下落となりました。今週の株価材料として、12月物価指標、12月小売売上高、10-12月期決算発表、などが注目されます。

今回は今週から発表が本格化する10-12月期決算発表前半戦の注目銘柄として、アルファベット A(GOOGL)メタ プラットフォームズ A(META)S&P グローバル(SPGI)フォーティネット(FTNT)イリノイ ツールワークス(ITW)を選んでご紹介いたします。

図表1 S&P500指数の一目均衡表(日足、3ヵ月)

米10年国債利回りが4.7%を超えて上昇、ファンダメンタルズの重要な変化を受けて、下値支持帯となっていた「雲」を下に突き抜けました。今後は反発する場合も5,900ポイントが上値抵抗ラインとして意識されます。

※当社WEBサイトを通じてSBI証券が作成

図表2 業種別指数騰落率・個別銘柄騰落率(「5日」は1月3日終値~1月13日終値によります)

S&P500業種指数騰落 5日 1ヵ月 3ヵ月
エネルギー 3.2% 1.8% -3.5%
素材 2.4% -4.2% -11.4%
ヘルスケア 1.8% 0.7% -8.1%
資本財・サービス 0.1% -2.9% -3.8%
コミュニケーションサービス -1.2% -2.7% 8.9%
S&P500 -1.8% -3.6% 0.4%
一般消費財・サービス -1.9% -5.4% 15.3%
生活必需品 -2.0% -6.1% -4.8%
金融 -2.0% -3.4% 2.5%
不動産 -2.9% -6.8% -8.5%
公益事業 -3.1% -3.1% -5.6%
情報技術 -3.9% -4.5% 0.0%
騰落率上位(5日) 騰落率
CVSヘルス 12.6%
ユナイテッドヘルス・グループ 5.5%
シェブロン 5.1%
サーモフィッシャーサイエンティフィック 4.4%
3M 3.6%
騰落率下位(5日) 騰落率
エヌビディア -7.8%
オラクル -7.5%
ネクステラ・エナジー -7.0%
インテル -6.6%
ブラックロック -6.4%

注:個別銘柄の騰落率上位、下位はS&P100指数が母集団です。銘柄名はBloombergの表記により、当社WEBサイト・本文中の表記と異なる場合があります。
※BloombergデータをもとにSBI証券が作成

先週の米国株式市場

S&P500指数は週間で1.9%、ダウ平均は1.9%、ナスダック指数は2.3%の下落でした。

米10年国債利回りが一連の強い経済指標を受けて4.6%前後でのもみ合いから上放れて4.7%台後半まで上昇したことから、株式は相対的な割高感が意識されて下落となりました。

12月ISM非製造業景気指数が市場予想以上に改善して、特に投入価格指数が大きく上昇したことからインフレ再燃が意識されました。また、雇用関係では、11月求人数が予想以上に増加、非農業部門雇用者数は前月比+25.6万人と市場予想の+16.0万人を大きく上回りました。

業種指数では、エネルギー、素材、ヘルスケアなど、これまで不振な傾向のあった業種が上昇しています。原油価格は、米財務省によるロシア石油産業に対する広範な規制が発表され、中国やインドによる購入が影響を受けるとの見込みから大幅に上昇しました。情報技術はエヌビディアなど半導体株が下落に寄与しています。個別で最も下落したエヌビディア(NVDA)は、バイデン政権による輸出規制が嫌気されて、1/10(金)、1/13(月)とも大きく下落しました。

今週の米国株式市場

S&P500指数の一目均衡表は図表1の通り「雲」を下抜けて、チャート的に悪い形となりました。当面は反発しても「雲」の下限の5,900ポイント前後が上値抵抗になると解釈されます。

ただ、金利の上昇はインフレ懸念の高まりだけでなく、景気の強さも背景になっているため、株価がどんどん下がっていく可能性は低いと考えられます。今週から本格化する10-12月期決算は好調が見込まれていますし、1/20(月)のトランプ次期大統領の就任式に向けて、楽観的な市場ムードが再び強まる可能もあるでしょう。

今週の株価材料として、12月物価指標、12月小売売上高、10-12月期決算発表、などが注目されます。

12月物価指標は引き続きインフレの下がりにくさを示唆する見通しです。1/14(火)の生産者物価指数は、総合指数が前年比+3.5%の予想(前月は同+3.0%)、コア指数が同+3.8%の予想(前月は同+3.4%)、1/15(水)の消費者物価指数は、総合指数が前年比+2.9%の予想(前月は同+2.7%)、コア指数が同+3.3%の予想(前月は同+3.3%)です。

12月小売売上高は前月比+0.6%の予想です。過去3ヵ月は、前月比で9月+0.9%、10月+0.5%、11月+0.7%と比較的高いプラスの伸びが続いており、引き続き強い個人消費を示す見込みです。

10-12月期決算は、S&P500指数採用銘柄のEPSが前年同期比11.7%増と、7-9月期実績の同5.9%増から加速の形が予想されています。今週は大手銀行5行が揃って発表予定で、好調持続が期待されます。これら銘柄を含む金融セクターのEPS増加率は同39.5%増の予想で、伸び率は11セクター中最も高くなっています。

経済指標では上記のほか、1/17(金)に中国の10-12月期実質GDP(前年同期比+5.0%の予想、7-9月期は同+4.6%)、中国の12月鉱工業生産(前年比+5.4%増の予想、前月は同+5.4%増)、同じく小売売上高(前年比+3.5%増の予想、前月は同+3.0%)、米国の住宅着工件数(前月比+2.2%の予想)、同じく住宅建設許可件数(前月比-2.2%の予想)、などの発表が予定されています。

今週の5銘柄

今回は今週から本格化する10-12月期決算発表で、好決算が期待できる銘柄をご紹介いたします。

【スクリーニング条件】

(1)2月7日までに10-12月期決算を発表予定のS&P500指数採用銘柄

(2)過去3ヵ月の通期予想EPS修正率が3%以上

(3)過去4週の通期予想EPS修正率が0%以上

(4)10-12月期の業績予想が増収増益

(5)時価総額が500億ドル以上

これらの条件を満たす銘柄を図表3に抽出、ここからアルファベット A(GOOGL)、メタ プラットフォームズ A(META)S&P グローバル(SPGI)、フォーティネット(FTNT)、イリノイ ツールワークス(ITW)を選んでご紹介いたします。

図表3 10-12月期の好決算期待銘柄(S&P500指数採用銘柄が対象、2月7日までに10-12月期決算を発表予定のものから)

コード 銘柄名 株価
(1/8)
(ドル)
予想
PER
(倍)
目標株価
乖離率
(%)
10-12月期
予想売上
増加率
(%)
10-12月期
予想EPS
増加率
(%)
時価総額
(億ドル)
GOOGL アルファベット 193.95 23.6 10.1 12.8 29.5 23,827
META メタ・プラットフォームズ 610.72 26.0 9.3 17.1 26.7 15,423
SPGI S&Pグローバル 495.86 32.4 16.1 9.4 8.4 1,574
PLTR パランティア・テクノロジーズ 68.23 178.6 -31.3 28.0 40.0 1,554
PGR プログレッシブ 243.59 18.1 14.5 17.5 4.3 1,427
FTNT フォーティネット 96.04 42.8 3.5 12.7 18.8 736
ITW イリノイ・ツール・ワークス 247.61 22.0 7.9 0.5 3.4 731
COF キャピタル・ワン・ファイナンシャル 180.14 13.6 10.9 7.6 25.0 687
AFL アフラック 103.57 14.2 1.7 15.1 30.1 575
ALL オールステート 191.80 11.7 15.8 10.8 0.8 508

※BloombergデータをもとにSBI証券作成

今週の注目銘柄

取引 チャート 銘柄 株価
(1/13)
予想PER
(倍)
ポイント
買付チャートアルファベット A(GOOGL)191.01ドル20.7

【AI機能の付加で検索事業が堅調】

・AI機能の付加によって主力の検索ビジネスは堅調な伸びを示し、検索以外の事業ではグーグルクラウド、ウェイモなどが市場シェアを拡大すると期待されます。自社サービス用のAI半導体を自社で賄っていることは、コスト優位に働くと考えられます。

・7-9月期決算では、売上が2%、EPSが9%市場予想をそれぞれ上回って好調でした。米国景気が堅調に推移する中、業績の上方修正の傾向が続いており、10-12月期決算も好調が期待されます。

買付チャートメタ プラットフォームズ A(META)608.33ドル23.3

【25年は投資を拡大】

・広告の平均価格がターゲット精度の改善によって7-9月期は前年同期比11%増と加速傾向が続いており、業績を押し上げています。また、生成AI機能の付加によってアプリのエンゲージメントを改善しています。一方、2025年は大幅な投資拡大が見込まれており、独自の大規模言語モデルLlama3の収益化に対する圧力が高まることが想定され、これをどう乗り越えるか注目です。

・7-9月期決算は、市場予想に対して売上が1%、EPSが9%上回って好調でした。決算発表後も業績見通しの上方修正の傾向が続いており、10-12月期決算も好調が期待されます。

買付チャートS&P グローバル(SPGI)482.59ドル28.6

【金融情報大手】

・ 債券の格付けを柱に、金融取引情報、S&P500指数などの株価指数情報、エネルギー・商品価格情報などを提供します。2022年にHISマークイットと合併しました。50年連続増配を続けています。株式市場の好調を背景とする資産運用市場の拡大から恩恵を受けているとみられます。また、AIの普及によってデータの重要性が増し、これも追い風になると考えられます。

・7-9月期決算は、市場予想に対して売上が4%、EPSが7%上回り、決算後の業績予想の修正動向も堅調です。

買付チャートフォーティネット(FTNT)93.83ドル38.5

【サイバーセキュリティ大手】

・サイバーセキュリティの大手で、自社でプロセッサーからOSまでを開発する「統合脅威管理(UTM)」が有名です。データセキュリティ会社買収、生成AI機能導入などを通じてサイバーセキュリティ対策の統合型SASEを強化しています。主力のファイアーウォール市場は低調となっているものの、SASEやクラウドセキュリティなど高成長分野でのシェア拡大によって業績拡大が期待されます。

・7-9月期決算は、市場予想に対して売上が2%、EPSが21%上回って好調でした。

買付チャートイリノイ ツールワークス(ITW)249.70ドル23.4

【産業機械の会社】

・イリノイ州を本拠に世界展開する産業機械の複合企業で、自動車OEM、業務用調理器具、検査・計測機器、建設資材など7セグメントに事業展開しています。足もとで製造業の景況は低調が続いていますが、同社は幅広い事業分散の効果で業績は相対的には堅調です。60年連続増配の企業です。

・7-9月期決算は、市場予想に対して売上は1%下回ったものの、EPSは9%上回りました。10-12月期の業績は、売上が前年同期比1%増、EPSが同4%増の予想で、業績モメンタムは7-9月期から概ね横ばいと見込まれています。

注:予想PERはBloomberg集計のコンセンサス予想EPSによります。使用した予想EPSの決算期は、いずれも2025年12月期です。
※会社資料、BloombergデータをもとにSBI証券が作成。

主要イベントの予定

  経済指標・イベント 企業決算・イベント
14(火) ・NFIB中小企業楽観指数(12月)
・米生産者物価指数(12月)
・カンザスシティ連銀シュミット総裁があいさつ
・ニューヨーク連銀ウィリアムズ総裁があいさつ
 
15(水) ・米消費者物価指数(12月)
・ニューヨーク連銀製造業景気指数(1月)
・リッチモンド連銀バーキン総裁が講演
・ニューヨーク連銀ウィリアムズ総裁が基調講演
・シカゴ連銀グールズビー総裁が講演
・地区連銀経済報告(ベージュブック)
JPモルガンチェース、ゴールドマンサックス
ウェルズファーゴ、シティグループ、ブラックロック
16(木) ・米小売売上高(12月)
・米フィラデルフィア連銀製造業景気指数(1月)
・米新規失業保険申請件数(1月11日に終わる週)
・米NAHB住宅市場指数(1月)
バンクオブアメリカ、モルガンスタンレー
ユナイテッドヘルスグループ
17(金) ・中国実質GDP(10-12月期)
・中国鉱工業生産・小売売上高(12月)
・米住宅着工件数・建設許可件数(12月)
・米鉱工業生産(12月)
シュルンベルジェ
20(月) ・米国市場休場(マーチン・ルーサー・キング・デー)
・大統領就任式
 
21(火) ・ドイツZEW景気指数(1月) ネットフリックス、スリーエム、ユナイテッドエアラインズ
チャールズシュワブ
22(水) ・米20年国債入札 P&Gジョンソン&ジョンソン、トラベラーズ
23(木) ・米新規失業保険申請件数(1月18日に終わる週) GEエアロスペース、テキサスインスツルメンツ
ネクステラエナジー
24(金) ・auじぶん銀行日本製造業PMI(1月)
・HCOBユーロ圏製造業PMI(1月)
・S&Pグローバル米国製造業PMI(1月)
・ミシガン大学消費者信頼感(1月、確報値)
・米中古住宅販売件数(12月)
ベライゾンコミュニケーションズ、アメリカンエキスプレス

注:日付は現地時間によります。(E)はBloombergによる予想を示します。企業決算の赤字でのハイライトは、当社顧客保有人数の1~30位、青字のハイライトは31~50位を示します。
※Bloombergデータ、各種報道をもとにSBI証券が作成

※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。

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