アメリカNOW! ~2026年も活躍期待のAI関連銘柄5選、エヌビディアの2026年は?~

アメリカNOW! ~2026年も活躍期待のAI関連銘柄5選、エヌビディアの2026年は?~

投資情報部 榮 聡

2025/12/29

先週の米国株式市場は、マイクロンテクノロジーの好決算を契機としたテクノロジー株の反発が続いたうえ、強い7-9月期実質GDPが相場上昇に拍車をかけて最高値を更新しました。今週の株価材料として、「サンタクロースラリー」の可能性、FOMC議事要旨、エプスタイン裁判資料の公表が注目されます。

今回は2026年も活躍が期待できそうなAI関連銘柄として、エヌビディア(NVDA)ブロードコム(AVGO)台湾セミコンダクター ADR(TSM)シーゲイト テクノロジー(STX)アンフェノール A(APH)を選んでご紹介いたします。

図表1 S&P500指数の一目均衡表(日足、3ヵ月)

12/24(水)、12/26(金)とも10/29(水)に付けた最高値を更新して引けましたが、両日ともクリスマス休暇に絡む薄商いの日であったため、いまのところ「暫定の」高値更新と言えそうです。主要な株価指数が重要な高値を更新した場合、3~5%の上値を試すことが多いというのが筆者が意識する経験則で、「信頼できる」高値更新となるか見極めたいところです。
※当社WEBサイトを通じてSBI証券が作成

図表2 業種別指数騰落率・個別銘柄騰落率

S&P500業種指数騰落 5日 1ヵ月 3ヵ月
情報技術 3.8% 1.3% 3.8%
素材 2.8% 3.9% 3.1%
金融 2.3% 4.5% 2.8%
S&P500 2.3% 1.2% 4.0%
コミュニケーションサービス 2.1% -0.8% 6.8%
資本財・サービス 2.1% 2.5% 2.7%
ヘルスケア 1.8% -0.7% 14.8%
エネルギー 1.2% -1.1% -1.6%
不動産 1.1% -2.2% -2.8%
一般消費財・サービス 0.3% 2.8% 2.1%
公益事業 -0.2% -5.1% -1.6%
生活必需品 -0.6% -1.3% 0.2%
騰落率上位(5日) 騰落率
オラクル 10.0%
エヌビディア 9.4%
アドバンスト・マイクロ・デバイセズ 6.9%
ブロードコム 6.7%
シティグループ 6.7%
騰落率下位(5日) 騰落率
ナイキ -7.2%
スターバックス -4.9%
ペプシコ -3.7%
マクドナルド -2.8%
ウォルマート -2.7%

注:個別銘柄の騰落率上位、下位はS&P100指数が母集団です。銘柄名はBloombergの表記により、当社WEBサイト・本文中の表記と異なる場合があります。
※BloombergデータをもとにSBI証券が作成

先週の米国株式市場

S&P500指数は週間で1.4%、ダウ平均は1.2%、ナスダック指数は1.2%の上昇となって、S&P500指数は10/29(水)に付けた取引時間中の最高値を更新しました。

先々週のマイクロンテクノロジーの好決算を契機にテクノロジー株が反発に転じ、12/23(火)発表の7-9月期実質GDPが前期年率+4.3%(市場予想は同+3.3%)と強く、相場上昇に拍車をかけました。

経済指標では、上記GDPのほかに12月コンファレンスボード消費者信頼感指数は前月から改善の予想に対して5ヵ月連続の悪化となりました。雇用市場減速の影響が出ているとみられますが、相場への影響は限定的でした。

業種指数では、マイクロン テクノロジー(MU)の決算を契機にAI関連銘柄が反発した情報技術、銅価格の上昇を受けてフリーポート マクモラン(FCX)などが上昇した素材、市場関連ビジネスの好調持続が期待される大手銀行を含む金融などが騰落率上位となりました。個別銘柄で下落が目立ったナイキ B(NKE)は、12/18(木)に9-11月期決算を発表、中国市場の低迷で12-2月期も減収見通しとなったことが嫌気されました。一方、12/24(水)にはアップルのクックCEOが同社株を5万株購入のニュースもありました。

今週の米国株式市場

S&P500指数は12/24(水)、12/26(金)と10/29(水)につけた高値の6,920ポイントを上回って引けましたが、両日とも薄商いの中であり、いま一つ信頼感に欠ける形となっています。

株価指数が重要な高値を更新した後には、通常3~5%の上値を試すというのが筆者の経験則ですが、信頼性の高い高値更新になるか、もう少し様子を見たいところです。

今週の株価材料として、「サンタクロースラリー」の可能性、FOMC議事要旨、エプスタイン裁判資料の公表が注目されます。

年末年始の相場は上昇しやすいことが知られ、「サンタクロースラリー」という言葉があります。今年は2025年12月24日~2026年1月5日が対応期間で、1950年以来の平均では1.4%上昇したそうです。過去5年は3勝2敗で平均は0.4%の上昇です。ただし、直近2年が2連敗となっています。

12/30(火)にFOMC議事要旨(12月9日、10日開催分)が公表されます。前回FOMCでは3回連続での政策金利引き下げが実施されました。ただし、0.25%の利下げ9名、0.50%の利下げ1名、据え置き2名と、委員間で意見が分かれていたことが声明文から判明しています。今後の利下げの可能性を探ることになりそうです。

未成年女性に対する虐待に関するエプスタイン裁判資料の公表が続いています米議会が決めた公表期限は12/19(金)でしたが、資料が膨大過ぎて公表できたのは一部にとどまっており、今後も公表が続く見通しです。相場の波乱要因にならないか、注意が必要でしょう。

経済指標では、12/30(火)に中国の12月製造業(前月の49.2から49.3に改善の予想)・非製造業PMI(前月の49.5から49.7に改善の予想)などの発表が予定されています。

今週の5銘柄

今回は2026年の相場を考えたときに、引き続き中心的な投資テーマになると思われるAI関連銘柄をご紹介いたします。過去4ヵ月で掲載したレポート、動画で取り上げた関連銘柄を以下の通りピックアップしました。

・AI半導体: エヌビディア、ブロードコム、AMD、マーベルテクノロジー

・AIネットワーク半導体 :エヌビディア、ブロードコム、マーベルテクノロジー

・半導体メモリー: マイクロンテクノロジー

・半導体ファウンドリー: 台湾セミコンダクター

・ストレージ: シーゲイトテクノロジー、ウエスタンデジタル、サンディスク

・電子部品: アンフェノール、TEコネクティビティ、コーニング

ここから、エヌビディア(NVDA)、ブロードコム(AVGO)、台湾セミコンダクター ADR(TSM)、シーゲイト テクノロジー(STX)、アンフェノール A(APH)を選んでご紹介いたします。

なお、AI関連のソフトウェア、サービス関連銘柄については、新興のAI企業と競合しているのではとの懸念から、AIモデルの開発に使われるもの(パランティアテクノロジー、スノーフレーク、モンゴDBなど)以外は株価が低調となっているものが多いです。この市場懸念が正しいかどうかまだ決着はついていないと見ていますが、今回はピックアップを避けています。

図表3 今週の5銘柄の投資指標

注:予想PERは今期予想EPSに基づいて計算しています。
※BloombergデータをもとにSBI証券が作成

今週の注目銘柄

取引 チャート 銘柄 株価
(12/26)
予想PER
(倍)
ポイント
買付チャートエヌビディア(NVDA)190.53ドル24.7

【AI半導体で競合が強まる】 

・AI半導体市場で80%以上の市場シェアをもちますが、AMDがOpenAI、オラクルと大型契約を締結し、アルファベットはこれまで自家消費にとどめていたカスタムAI半導体の「TPU」を外販する可能性があることから、市場シェアは一定程度低下する可能性があります。しかし、AI市場で中心的な存在であることには変わりがないと期待されます。

・同社の強みは幅広いAIモデルに対応するソフトウェアのライブラリーを備えていることにあるため、シェアが低下するとしても緩やかなものになると考えられます。2~3年後に70%以上に低下するというようなイメージと考えられます。

買付チャートブロードコム(AVGO)352.13ドル35.5

【アルファベットのTPU生産を担当】

・同社はアルファベットのAIアクセラレーター「TPU」の生産を10年以上にわたって担ってきました。ここ数年はアルファベット以外にもカスタムAI半導体を生産する事業を拡大しています。

・AI半導体の市場では、エヌビディアに次いで約10%のシェアを保有していると推定されています。ただ、「TPU」はアルファベットの自家消費で市場価格で評価されていないため、この数値は推定の考え方によって異なります。アルファベットが「TPU」を外販する場合には、同社には大きな恩恵が期待されます。

買付チャート台湾セミコンダクター ADR(TSM)302.84ドル25.1

【AI半導体の市場拡大を確実に享受】

・世界最先端の微細化技術をもつ半導体ファウンドリーです。米国のAI半導体メーカーはいずれも同社に製造を委託しているとみられ、同社のAI半導体の製造シェアは9割を超えているとみられます。このため、どのAI半導体メーカーのシェアが上昇しようと同社は確実に恩恵を享受する立場にあると言えます。

・7-9月期決算は、AI半導体の好調を受けて売上は前年同期比41%増、EPSは同39%増と好調でした(米ドル建て)。10-12月期の売上ガイダンスは前年同期比20~24%増に相当して(米ドル建て)、市場予想を上回りました。

買付チャートシーゲイト テクノロジー(STX)286.22ドル25.2

【HDDにもAIデータセンター投資の恩恵】

・ウェスタンデジタルと並ぶHDD大手です。AIデータセンター投資拡大を受けてHDDの需要が急増しています。これまで成長期待が低かった業界のため、業界大手への恩恵は大きく、長く続くとみられます。確定注文を受けてから生産を開始する「受注生産戦略」を採用していることは、顧客に対する交渉力の強さを示唆しています。

・7-9月期の市場別売上は、80%を占めるデータセンターが前年同期比34%増、20%を占めるエッジIoTが同12%減でした。HAMR(熱アシスト磁気記録)の製造能力の大きさはウェスタンデジタルに対する当面の売上拡大において優位となる可能性があります。

買付チャートアンフェノール A(APH)137.43ドル33.4

【オーガニック売上成長が41%】

・電子部品のコネクター大手です。AIデータセンター内での機器の接続技術に対する需要が急増しています。ICT分野のコネクタは歴史的に米国の大手2社が強く、市場の競争状況は安定しているとみられます。

・7-9月期の売上は前年同期比53%増となりましたが、このうちオーガニック売上成長は41%ポイントを占めました。売上の53%を占めたコミュニケーションソリューションズ分野が前年同期比96%伸びました。10-12月期のガイダンスは売上が60億~61億ドル、調整後EPSが89~91セントとして、好調持続の見通しです。

注:予想PERはBloomberg集計のコンセンサス予想EPSによります。使用した予想EPSの決算期は、エヌビディアが2027年1月期、ブロードコムが2026年10月期、シーゲイトテクノロジーが2026年6月期、その他は2026年12月期です。
※会社資料、BloombergデータをもとにSBI証券が作成

主要イベントの予定

  経済指標・イベント 企業決算・イベント
29(月) ・米中古住宅販売成約(11月)  
30(火) ・中国製造業・非製造業PMI(12月)
・ADP週次雇用統計(12月6日に終わる週までの4週間)
・S&PコティCS住宅価格指数(10月)
・FOMC議事要旨(12月9日、10日開催分)
 
31(水) ・米新規失業保険申請件数(12月27日に終わる週)  
1月
1(木)
・米国市場休場(ニューイヤーズデイ)  
2(金) ・HCOBユーロ圏製造業PMI(12月)
・S&Pグローバル米国製造業PMI(12月)
 
5(月) ・米ISM製造業景気指数(12月)  
6(火) ・テクノロジー見本市CES2026(ラスベガス、9日まで)  
7(水) ・米ADP雇用統計(12月)
・米ISM非製造業景気指数(12月)
・米求人労働異動調査(11月)
・米製造業受注(10月)
コンステレーションブランズ
8(木) ・米チャレンジャー人員削減数(12月)
・米新規失業保険申請件数(1月3日に終わる週)
・米貿易統計(10月)
・米NY連銀1年インフレ期待(12月)
 
9(金) ・米雇用統計(12月)
・米住宅着工・建設許可件数(10月)
・米ミシガン大学消費者信頼感(1月、速報値)
 

※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。

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