アメリカNOW! ~好決算の大手テックに対する見直し買いに期待~

アメリカNOW! ~好決算の大手テックに対する見直し買いに期待~

投資情報部 榮 聡

2026/02/09

先週の米国株式市場は、AI企業アンソロピックの新製品投入がソフトウェア株の下落につながり、半導体株にも波及してテクノロジー中心に下落しました。今週の株価材料として、1月雇用統計、1月消費者物価指数、10-12月期決算発表が注目されます。

今回は10-12月期決算の好調が確認された大手テクノロジー銘柄から、アップル(AAPL)アルファベット A(GOOGL)マイクロソフト(MSFT)メタ プラットフォームズ A(META)アドバンスト マイクロ デバイシズ(AMD)を選んでご紹介いたします。

図表1 S&P500指数の一目均衡表(日足、3ヵ月)

一目均衡表の「雲」の上限から反発しました。テクニカルに重要なポイントを下に抜けなかったということは、先週の下落は重要なファンダメンタルズの変化によってではなく、市場心理の揺れが主因であった可能性が高いと解釈できます。

※当社WEBサイトを通じてSBI証券が作成

図表2 業種別指数騰落率・個別銘柄騰落率

S&P500業種指数騰落 5日 1ヵ月 3ヵ月
生活必需品 6.0% 11.8% 15.3%
資本財・サービス 4.7% 6.9% 13.0%
エネルギー 4.3% 14.4% 19.8%
素材 3.5% 5.7% 18.8%
ヘルスケア 1.9% 0.1% 8.0%
不動産 1.5% 3.9% 2.3%
金融 1.5% -2.7% 2.7%
公益事業 0.2% 1.9% -3.3%
S&P500 -0.1% -0.5% 3.0%
情報技術 -1.4% -3.1% -3.4%
コミュニケーションサービス -4.4% -0.9% 8.2%
一般消費財・サービス -4.6% -7.2% -3.2%
騰落率上位(5日) 騰落率
フェデックス 14.6%
3M 12.7%
ブリストル マイヤーズ スクイブ 12.6%
アムジェン 12.4%
チャーター・コミュニケーションズ 12.1%
騰落率下位(5日) 騰落率
ペイパル・ホールディングス -23.3%
サービスナウ -13.9%
オラクル -13.2%
アマゾン・ドット・コム -12.1%
アドバンスト・マイクロ・デバイセズ -12.0%

注:個別銘柄の騰落率上位、下位はS&P100指数が母集団です。銘柄名はBloombergの表記により、当社WEBサイト・本文中の表記と異なる場合があります。
※BloombergデータをもとにSBI証券が作成

先週の米国株式市場

S&P500指数は週間で0.1%の下落、ダウ平均は2.5%の上昇、ナスダック指数は1.8%の下落でした。

2/3(火)に新興のAI企業アンソロピックが法務業務の自動化ツールを発表して、AIがソフトウェア企業の製品を駆逐するのではとの懸念が深まり、ソフトウェア株が下落、半導体株にも波及しました。また、金、銀、暗号資産などバリュエーション尺度のない資産の価格下落が市場心理を悪化させました。

また、1月人員削減数、週次の新規失業保険申請件数、12月求人数がいずれも弱く、雇用市場に対する懸念が台頭したことも相場下落に拍車をかけました。

一方、2/6(金)には大手テクノロジー企業によるAI投資が2026年も大幅に増えることが見直されてAI半導体を供給するエヌビディアが8%、ブロードコムが7%上昇するなど、テクノロジー株に押し目買いが入って主要3指数とも大幅な反発となりました。

業種指数では、幅広い銘柄が上昇した生活必需品、ISM製造業景気指数の改善が好材料になったとみられる、資本財・サービス、エネルギー、素材の上昇が目立ちました。上昇トップのフェデックス(FDX)は、コスト削減策による利益率上昇に現実味が出てきたことや、輸送業界に追い風となる足もとの堅調な経済環境によるとみられます。

今週の米国株式市場

10-12月期の決算発表はS&P500指数採用企業の59%が発表を終えた段階で、EPSは前年同期比13.0%増の予想(既発表企業の実績と未発表企業の予想の混合ベース)となっており、決算発表が始まる前の同8.2%増から大きく上方修正され、企業業績の好調が確認されました。この結果を踏まえると、さらなる高値更新が十分に期待されます。

先週のテクノロジー株下落のきっかけとなったソフトウェア株の下落は、「セリングクライマックス」だった可能性が高いとみています。図表3は、情報技術セクターに属する3つのサブセクターの株価動向を示したものですが、ソフトウェア株の変調が見られたのは昨年7月頃だったことがわかります。

この頃から市場では、新興AI企業が既存のソフトウェア企業の製品の一部を駆逐してしまうのではないかとの懸念をもっていたと見られます。その懸念がアンソロピックの新製品発表をきっかけに急拡大したと考えられます。ソフトウェアに関連する銘柄はほぼ無差別に売られており、「セリングクライマックス」の特徴がみられ、一旦下落は止まる可能性が高そうです。

ただし、これらソフトウェア株の業績はこれまでも堅調に推移していたため、先行きAI企業にやられるのではないかとの懸念が正しくないと証明するには、かなり時間がかかると思われます。売られ過ぎの可能性は高いものの、反発には時間がかかるということは考えておくべきでしょう。

今週の株価材料として、1月雇用統計、1月消費者物価指数、10-12月期決算発表が注目されます。

1月雇用統計は、政府機関の一部閉鎖の影響で2/6(金)から2/11(水)に変更されました。非農業部門雇用者数は前月比6.9万人増の予想です。先週に発表された雇用指標が弱かったため、雇用市場の落ち着きを確認できるか注目されます。

2/13(金)の発表に変更となった1月消費者物価指数は、前年比+2.5%の予想(前月は同+2.7%)です。インフレの沈静を示して相場を支える要因になると期待されます。

10-12月期決算発表は、終盤を迎えます。消費関連のコカ・コーラ、マクドナルド、テクノロジーのロビンフッドマーケッツ、コインベースグローバル、アプライドマテリアルズ、アリスタネットワークス、コアウィーブ、レアメタルのアルベマールなどの発表が予定されています。

経済指標では上記のほか、2/12(木)に1月中古住宅販売件数(前月比-3.5%の予想)などの発表が予定されています。

今週の5銘柄

先週はテクノロジー分野の銘柄が売られがちとなりました。中には10-12月期決算、1-3月期ガイダンスとも市場予想を上回っていながら、株価が大きく下落したものもありました。

先週はソフトウェア株の下落が半導体銘柄にも波及、ビットコインの下落などもあって市場の地合いが非常に悪かった印象です。しかし、このような状況が落ち着くと、決算が好調であった銘柄に見直し買いが入る可能性があると考えられます。

そこで、2/5(木)までに決算を発表した時価総額2,000億ドル以上のテクノロジー大手で、10-12月期決算の売上・EPSとも市場予想を上回った銘柄を図表4にリストアップしました。

ここから、アップル(AAPL)、アルファベット A(GOOGL)、マイクロソフト(MSFT)、メタ プラットフォームズ A(META)、アドバンスト マイクロ デバイシズ(AMD)を選んでご紹介いたします。

図表3 情報技術サブセクターの株価動向

※BloombergデータをもとにSBI証券が作成

図表4 大手テクノロジーの10-12月期概要

注:2/5(木)時点のデータによります。
※BloombergデータをもとにSBI証券が作成

今週の注目銘柄

取引 チャート 銘柄 株価
(2/6)
予想PER
(倍)
ポイント
買付チャートアップル(AAPL)278.12ドル32.8

【iPhone販売好調、中国販売回復】

・10-12月期決算では、iPhone売上が前年同期比23%増で市場予想を大きく上回り、また、中華圏売上が同38%と回復したことが確認されました。クックCEOは「iPhoneは前例のない需要に支えられ、全地域で過去最高を記録した。史上最高の四半期だ」と述べました。

・1-3月期売上ガイダンスは前年同期比13~16%増として同10%増の市場予想を上回りました。ただし、「メモリーの市況価格の大幅な上昇が続いており、第2四半期は売上総利益率により大きな影響を及ぼす」との見方を示しました。

買付チャートアルファベット A(GOOGL)322.86ドル27.2

【AI需要でクラウド好調】

・10-12月期決算は、売上が前年同期比18%増、EPSが31%増で、いずれも市場予想を上回って好調でした。旺盛なAI需要を受けてクラウド部門の売上が同48%伸びました。ピチャイCEOは「AI投資とインフラが全領域で売上と成長をけん引している」と述べました。

・主力の広告売上は同14%増、このうち検索連動型が同17%増、ユーチューブが同9%増でした。2026年通期の設備投資額は1,750億~1,850億ドルに達するとの見通しを示しました。

買付チャートマイクロソフト(MSFT)401.14ドル24.0

【クラウドは高い伸びを維持】

・ 10-12月期決算は売上が前年同期比17%増、EPSが同24%増で、いずれも市場予想を上回りました。市場にはソフトウェアの一部はAIに駆逐されるのではとの懸念があるため、株価は冴えませんが、業績は好調が維持されています。

・部門別売上はプロダクティビティ・アンド・ビジネス・プロセスが同16%増、インテリジェント・クラウドが同29%増、モア・パーソナル・コンピューティングが同3%減でした。Azure&その他クラウドサービス売上高は同38%増で市場予想に一致しました。

買付チャートメタ プラットフォームズ A(META)661.46ドル20.3

【1-3月期の売上ガイダンスが強い】

・1-3月期売上ガイダンスは535~565億ドル(前年同期比26~34%増)で、市場予想の514億ドルを大幅に上回りました。2026年設備投資は1,150~1,350億ドル(2025年は722億ドル)と大幅に増やしますが、AI導入の効果が出ていると考えられ、前回の決算発表時と違って市場ではネガティブに捉えられませんでした。

・10-12月期決算は、売上が前年同期比24%増、EPSが同11%増、それぞれ市場予想を3%、8%上回って好調でした。アド・インプレッション(広告の表示回数)が前年同期比18%伸びており、AI導入の効果が出ていると考えられます。

買付チャートアドバンスト マイクロ デバイシズ(AMD)208.44ドル31.2

【データセンター、クライアントとも好調】

・10-12月期決算は売上が前年同期比34%増、調整後EPSが同40%増で、いずれも市場予想を大きく上回って好調でした。分野別売上は、データセンターが前年同期比39%増、クライアントが同34%増、ゲームが同50%増、組み込みは同3%増でした。

・1-3月期の売上ガイダンスは中央値を98億ドル(前年同期比32%増相当)とし、市場予想を上回りました。中長期の経営目標として、売上の年平均成長率35%以上、営業利益率の大幅改善、年間EPS20ドル以上を目指すと述べました。

注:予想PERはBloomberg集計のコンセンサス予想EPSによります。使用した予想EPSの決算期は、アップルは2026年9月期、マイクロソフトは2026年6月期、その他は2026年12月期です。
※会社資料、BloombergデータをもとにSBI証券が作成

主要イベントの予定

  経済指標・イベント 企業決算・イベント
9(月) ・NY連銀1年インフレ期待(1月)  
10(火) ・米NFIB中小企業楽観指数(1月)
・米ADP週次雇用統計(1月24日に終わる4週間)
・米3年国債入札
コカ・コーラ、ロビンフッドマーケッツ
11(水) ・米雇用統計(1月)
・米10年国債入札
マクドナルドクラフトハインツ、アルベマール
12(木) ・米新規失業保険申請件数(2月7日に終わる週)
・米中古住宅販売件数(1月)
・米30年国債入札
・ミランFRB理事の講演
・ダラス連銀ローガン総裁の講演
ブリティッシュアメリカンタバコ
コインベースグローバル、アプライドマテリアルズ
アリスタネットワークス
13(金) ・米消費者物価指数(1月)
・ユーロ圏実質GDP(10-12月期、改定値)
コアウィーブ
16(月) 米国市場休場(ワシントン誕生日)  
17(火) ・ADP週次雇用統計(1月31日に終わる週)
・NY連銀製造業景気指数(2月)
・米小売売上高(1月)
・米NAHB住宅市場指数(2月)
メドトロニック、パロアルトネットワークス
18(水) ・米耐久財受注(12月)
・米住宅着工・建設許可件数(12月)
・米鉱工業生産(1月)
・FOMC議事要旨(1月27日、28日開催分)
・米20年国債入札
アナログデバイセズ、ブッキングホールディングス
19(木) ・米新規失業保険申請件数(2月14日に終わる週)
・米貿易統計(12月)
・米中古住宅販売成約(1月)
・シカゴ連銀グールズビー総裁あいさつ
ウォルマート、クアンタサービシーズ
20(金) ・米個人所得・個人支出(12月)
・米個人消費支出物価指数(12月)
・米実質GDP(10-12月期、速報値)
・S&Pグローバル米国製造業PMI(2月)
・米新築住宅販売件数(12月)
・米ミシガン大学消費者信頼感(2月)
・ダラス連銀ローガン総裁発言
 

※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。

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