円高進行が嫌気されて日本株は全面安!?当面の見通しは?
投資情報部 淺井 一郎
2024/07/25
7/25の日経平均は寄り付きから大幅に下落しました。
日経平均は前日までで6日続落していたので、本日も下落すると7日続落となります。そうなれば、2021/9/27から10/6にかけての8日続落以来の最長記録となります。(TOPIXは2023/7/4から7/12にかけて7日続落したことがあります。)
日本株が大幅下落した背景には、米国株の下落と円高の進行があります。まず、前日の米国株式は主要3指数が揃って大幅に下落。特にテクノロジー株などが多く含まれるナスダック総合指数は前日比▲3.6%と急落しました。前日に決算を発表したテスラが、業績悪化と注目のロボタクシー事業の計画延期が嫌気されて急落したことも、センチメントの悪化につながったと見られます。
こうした米国株の下落が日本株に影を落としていることは確かだと思われますが、最近の日本株の下落に、より影響を及ぼしているのは円高の進行だと考えられます。前日の外国為替市場で円相場は一時1ドル=153円11銭と約2ヵ月ぶりの円高・ドル安水準を付けました。背景にあるのは日米間の金融政策に対する市場の思惑です。米国の金融政策を巡っては元NY連銀総裁のダドリー氏は「すぐに利下げをするべき」と、ハト派的な見解を示した一方、日本の金融政策については一部報道で「来週の日銀金融政策決定会合で利上げが議論される可能性が高い」と報じられました。これらの材料を受けて市場は米国と日本の金利差が縮小するとの思惑から、ドルを売って円を買う動きが強まったとされています。
もっとも、こうした材料が出てくる前から、このところの円相場は円高傾向を辿っていました。そもそも、円相場については今年4月末から5月初旬に円安是正のための円買い介入が行われました。この際、円相場は一度、1ドル=152円台へ円高が進みましたが、その後、6月末にかけて再び円安が進み、円相場は一時162円前後となりました。この時の円安はヘッジファンドなどの投機筋が円売りを行っていたと言われていますが、円安進行とともにハイテク株や輸出株、銀行株などが物色されて株式市場も堅調に推移してきました。
しかし、7月に入ると日本政府は再び円安是正のための為替介入に動いた模様であり、円相場は7/10をピークに円高へ転換すると、その後も円の先安観測も急激に後退することになりました。この動きに歩調を合わせて、株式市場も幅広く売られる展開となったのです。
当面の見通しについてですが、やはり日本株の動向を占う上では円相場の動きが注目されるでしょう。来週は7/30・31に日本と米国で、それぞれ金融政策決定会合と連邦公開市場委員会(FOMC)が行われます。前述した通り、FOMCでは金融緩和的なスタンスが示される一方、日銀金融政策決定会合では利上げの議論を含めてタカ派的なスタンスが示されるとの思惑が強まっています。これまでの相場で円相場は円高、ドル安が進んできただけに、会合前後で材料の一巡感が意識されれば、円高、ドル安の動きに歯止めがかかる可能性があるでしょう。そうなれば、日本株についても下げ止まると考えられます。
もっとも、夏場の株式市場は海外の機関投資家が夏休みに入る時期。株式市場としては、8月にかけて出来高が低調になるなど、市場エネルギーが乏しくなっていくことが想定されます。また、現状の国内は4-6月期の決算発表シーズン。好業績・好決算銘柄への物色が期待される時期ですが、3月期決算企業にとって4-6月期は第1コーナーを回ったばかりであり、よほど業績見通しに自信がある企業以外は、業績見通しの引き上げに踏み切る企業は限定されるため、業績改善期待は高まり難いと思われます。本格的な株価回復には時間を要する可能性がある点には注意する必要があると思われます。
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