株価急落で日米株式市場の見通し・相場ポイントは?

投資情報部 鈴木 英之/齊木良

2025/04/07

4月第1週(3/31~4/4)の日経平均株価終値は33,780円となり、前週末比3,339円(9%)安となりました。取引時間中ベースでは約8ヵ月ぶりに34,000円を割り込みました。トランプ米大統領が4/2(水)に発表した「相互関税」の税率が想定以上に厳しく、世界経済への悪影響や米国がスタグフレーション(物価上昇と景気悪化の同時進行)に陥ること等が懸念されました。

一方米国では、中国が米国からの輸入に対して34%の報復関税を発表したことを背景に4/4(金)の主要株価3指数はそろって急落。雇用統計はほとんど材料視されませんでした。恐怖指数として知られるVIX指数は40台を大きく突破して45.31と2020年以来の高水準です。パニック売りを受けて、S&P500指数はピークから17%安と調整局面入りし、ナスダックは同23%安と弱気相場入りとなっています。2年程度続いた米国株の上昇相場が一旦終焉を迎えた可能性があると考えられます。

こうした環境下では、市場参加者がFRB(米連邦準備制度理事会)による利下げを催促するために、マーケットで売りが強まるリスクを想定しておく必要があるかもしれません。従って売買代金の変化が注視されそうです。なお、バリュエーション面ではS&P500指数の12カ月先予想PERは約18倍と割高感は解消されつつありますが、ヒストリカルで見ると割安とはまだ言えない水準です。

足元の軟調なマーケットが落ち着きを見せるためには、関税引き上げに伴う貿易戦争が改善に向けた兆しを見せる必要があると思われます。そのため、①今週4/9(水)に予定されている相互関税の各国ごとの上乗せ分の発動に関して税率の引き下げあるいは先送りがされるかどうか、②中国の報復関税に対して米国が再報復せずに静観するかどうかが注目ポイントになりそうです。また、③インフレへの懸念が高まっていることから、4/10(木)発表予定の3月米CPIが市場予想(4/7時点では前年同月比+2.6%)並みの落ち着きをみせるかどうかも併せて注視されそうです。

4/11(金)にはJPモルガンなど大手金融機関が決算発表を行う予定で、米国は決算発表シーズンを迎えます。トランプ関税一色のマーケットの注目が企業業績に向かうかどうかもポイントになりそうです。また、景気懸念が台頭する中、来週4/16(水)には小売売上高の発表も控えており、一連のトランプ関税の影響がCPIや小売売上高といった経済指標に表れているかどうかを確認する重要イベントになりそうです。

これらを受け、4月第2週(4/7~4/11)の東京株式市場も波乱の継続が警戒されます。4/7(月)の日経平均株価は寄り付き直後に昨年8/5安値近辺まで売り込まれています。ただ、テクニカル的には、相場の底入れに向けた指標も出つつあります。日経平均株価は4/4(金)時点で、25日移動平均線からマイナス8.5%かい離していますが、通常はマイナス7~8%かい離で「下げ過ぎ」とみられます。ただ、この指標は、歴史的な下落相場ではオーバーシュートすることがあります。事実、昨年8/5の急落場面ではマイナス20%超まで売り込まれました。ただその後反発していますので「逆張り指標」としての機能はあるといえそうです。

グローバルな製造業のサプライチェーンが打撃を受けるとみられることから、輸送用機器や電気機器、機械、精密等は物色対象として敬遠される可能性がありそうです。逆に、鉄道株や情報システム系の一角等、内需関連株が選好される可能性が強まりそうです。

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