「トランプ関税」で引き続き波乱~下値メドは?

「トランプ関税」で引き続き波乱~下値メドは?

投資情報部 鈴木英之 栗本奈緒実

2025/04/01

トランプ関税を睨み、大幅安

3月第4週(3/24~28)の日経平均は、前週末比556円73銭高(▲1.5%)と週足ベースで反落しました。週前半は、相互関税への過度な懸念が後退し、堅調な株価推移でした。しかし、トランプ大統領が、輸入車に対し一律最大25%の関税を課す計画を発表し、風向きが一変。日本の自動車株のほか、ゼネラル・モーターズ(GM)など米国外に生産拠点を有する米自動車株にも売りが広がりました。さらに3/28(金)は、3月末決算企業の権利落ち日であったため、配当取りを目的とした株主による利益確定売りが下落圧力となりました

日経平均株価採用銘柄の騰落率上位(3/21~3/28・図表7)の首位は、住友不動産(8830)です。物言う株主(アクティビスト)として知られる米ヘッジファンド、エリオット・インベストメントによる株式取得が報じられました。なお、出資比率は明らかになっていません。他には、トランプ関税によるリスク回避先として、2位のディー・エヌ・エー(2432)や、コナミグループ(9766)等、ゲーム関連株が選好されました。

日経平均株価採用銘柄の騰落率下位(3/21~3/28・図表8)では、米政権による自動車関税の計画発表を受け、自動車メーカー5銘柄がランクインしました。首位のアドバンテスト(6857)や古河電気工業(5801)は、データセンター向け投資が予想より縮小するとの見方が広がったことが重しとなりました。米国では、3/28(金)にエヌビディア(NVDA)が出資するAIクラウド会社コアウィーブ(CRWV)が新規上場し、初値が公開価格を下回りました。AIやデータセンターへの投資に関し、市場マインドの翳りを示した格好です。

4月第1週(3/31~4/4)の日経平均は、米テック株の下落を受け、大幅続落でスタート。トランプ関税を背景とした米スタグフレーション懸念などから、3/31(月)の日経平均は、前日比1,502円77銭安と過去10年で2番目に大きい下落幅となりました。

現在は、米政権が現地時間4/2(水)に発表予定「相互関税」の詳細に注目が集まっており、内容が明らかになるまで、様子見姿勢が続くとみられます。

図表1 日経平均株価およびNYダウの値動きとその背景

図表2 日経平均株価

図表3 NYダウ

図表4 ドル・円相場

図表5 主な予定

図表6 日米欧中央銀行会議の結果発表予定

図表7 日経平均株価採用銘柄の騰落率上位(3/21~3/28)

図表8 日経平均株価採用銘柄の騰落率下位(3/21~3/28)

「トランプ関税」で引き続き波乱~下値メドは?

3/31(月)の東京株式市場では、日経平均株価終値が、前週末比1,502円安の35,617円まで下落し、およそ6ヵ月半ぶりの安値水準となりました。

日経平均株価が大幅安した直接の原因は、前週末3/28(金)の米国株安とみられます。米S&P500は3営業日続落となり、前日比2%弱下げました。この日発表された2月の米個人支出(PCE)が予想を下回るとともに、コアのPCEデフレータは予想を上回り、米国経済がスタグフレーション(インフレと経済悪化の同時進行)に陥る可能性が意識されました。

米国は3月に入り、メキシコ、カナダ、中国に対する関税政策を強化し、鉄鋼・アルミニウム関税も導入しました。これを受け、3月からのインフレ加速が懸念される見込みです。しかし、2月からインフレ高進の兆候が意識されたことで、3月以降のインフレ加速がさらに心配される状況です。消費者のインフレ見通しも上昇し、米個人消費に心理面でも悪影響が出始めています。

4/2(水)には米国の「相互関税」について発表が予定されています。トランプ米大統領は、欧州の付加価値税や日本の消費税は「関税と同様」であると述べており、これらに相互関税が賦課されると、日本からの輸入品に10%程度の関税が賦課される可能性が残ります。また、4/3(木)には自動車関税が発効する予定です。東京株式市場はこれらをすべて織り込む形で下落しているように見受けられます。

米国への輸入品に対する関税は、米国の輸入業者が支払い、多くの場合、その関税分は消費者の負担となります。したがって、米国への輸入に幅広く関税が賦課されることで、多くの商品が値上がりすると想定されます。幅広い関税賦課は、米消費者にとっては消費税同様に打撃になりそうです。このため、関税によって得られる税収増加を減税の財源とし、近い将来減税政策を打ち出してくる可能性が大きいとみられます。

日本は米国と貿易戦争を長く戦ってきた経緯があり、自動車産業等でも現地生産を増やしてきました。2023年までの5年間、日本は米国への直接投資で世界第1位を続けています。言い換えれば、貿易戦争への備えを強化してきたということであり、今回の「トランプ関税」について、ある程度、打撃を和らげることが可能とみられます。

図表9  関税をめぐるトランプ政権の動き

当面は4/2(水)の「相互関税」発表が注目点で、日本からの輸入に10%以上の関税が賦課されるような極端な政策にならなければ、アク抜けとなる可能性も残りそうです。引き続き下落が続いた場合、日経平均株価の当面の下値メドとしては

(1)35,247円・・・2024/9/9取引時間中安値

(2)35,000円・・・心理的節目

(3)34,700円・・・4/1時点でここまで下げると25日移動平均線からマイナス7%かい離

等が想定されます。

ちなみに、(3)について、一般的には、日々線が25日移動平均線から7~8%程度上に放れると「目先買われ過ぎ」で、逆に同移動平均線から7~8%程度下に放れると「目先売られ過ぎ」と考える分析方法を参考にしています。SBI証券チャートツールでは、チャート下の「テクニカル」というウィンドウの中から「エンベロープ」という項目を選択すれば、図表10で示したチャート(ここでは説明のため、文字や図で補足説明を加えています)を表示することができます。SBI証券チャートツールは、25日移動平均線±7.5%のライン他を表示しています。

もっとも「7.5%」はあくまで目安です。緑丸①で表示された下落局面では、日経平均株価は25日移動平均線マイナス6.3%かい離した(2024/4/19)後に反転しています。緑丸②で表示された上昇局面では、同移動平均線プラス6.5%かい離した(2024/7/11)後に反落しています。通常は25日移動平均線±7.5%までかい離が拡大せず、反転するケースも多いようです。

逆に緑丸③では、8/2(金)に乖離率がマイナス9.9%(8/2)まで下げた翌営業日にさらに急落し、8/5(月)にマイナス20%かい離まで売り込まれています。ただこの日は、日経平均株価が前日比4,451円安と過去最大の下げを記録した日ですので、やや例外的なケースです。しかも、その後株価は急反発しており、8/2(金)の株価水準は間もなく回復されています。

株価が急騰・急落した場面では、この25日移動平均線かい率を参考にされると、反転のタイミングをとらえる一助になると期待されます。

図表10 日経平均株価(日足)と25日移動平均線かい離率

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