こどもNISAで金融教育|年齢別の実践方法は?

こどもNISAで金融教育|年齢別の実践方法は?

投資情報部 植田 雄也

2026/09/17

大事なのは「見る」ことより「結びつけること」

こどもNISAの口座は開く予定。でも、その後どう子どもに関わらせればいいか分からない――そんなお声をよく耳にします。

その答えの一つには、「お金とどう向き合うか」という金融リテラシーの話があるかもしれません。

今回は、金融経済教育推進機構(J-FLEC)が公表する「金融リテラシー・マップ」の4分野・15項目「最低限身に付けるべき金融リテラシー」(※1・2)を基に、お小遣い帳とこどもNISAがそれぞれどう対応するのかを整理し、年齢層別の伝え方をやさしくまとめます。

■結論

こどもNISAで大事なのは、こまめに残高を見せることではありません。

その数字を、子どもが「大切にしたいこと」とセットで話すことです

■理由

・数字だけ見せても、子どもにとっては「ただの数字」

・でも「これが増えたら、あれが買えるね」などと話すと、「自分ごと」になる

・自分ごとになったことは、忘れずに続けられる

つまり、「数字」+「気持ち」=「続く行動」という式です。

数字だけでは、この式は成立しません。

私自身の原体験――お小遣い帳と、結びつけることの意味

私自身、小学2年生(8歳)の際に、家庭の事情で欲しかったゲームを買ってもらえませんでした。友達の家でやらせてもらいながら感じた羨ましさは、今でも覚えています。この経験と母親からの助言がきっかけで、自分でお小遣い帳をつけ始めました。

・ただ記録するだけなら、おそらく続かなかった

・「あのゲームが欲しい」という気持ちがあったからこそ、続けることができた

数字は、欲しいものや大切にしたいことと結びついて初めて、意味を持ちました。

大人になり仕事を通じて理解できたのは、これは子どもだけの話ではないということです。

・「投資した方がよい」とは知っている

・でも「何のために増やすか」がはっきりしないから、不安で動けない

子どもも大人も、仕組みは同じでした。

こどもNISAを使って、どうやって金融リテラシーを育てる?

じゃあ、何をすればいい?

答えはシンプルです。「数字」「気持ち」をセットにする、これだけです。

以下の3つを、そのまま使ってみてください。

・一緒に残高を見る

・「いつまでにいくら」を一緒に考える

・「何のために増やしたいの?」と聞く

ただし、大切なのは「見る」ことそのものではありません。

子ども自身が「何を大切にしたいか」に気づき、それに基づいて行動できるようになることが、本当のゴールです。

数字はあくまできっかけです。子ども自身の価値観や「欲しいもの」「なりたい姿」と結びつけて初めて、意味のある学びになります。

補足:本レポートの最後に、金融経済教育推進機構(J-FLEC)の「最低限身に付けるべき金融リテラシー」全15項目とお小遣い帳・こどもNISAとの対応を整理した表を載せています。ご興味のある方はご覧ください。

年齢別の金融教育実践方法

未就学〜低学年

まずは「お金は増えたり減ったりする」という感覚と、「一緒に見る習慣」をつくる段階です。数字の意味を細かく説明するよりも、好きなものや欲しいものを聞くところから始めてみてください。「これが欲しいね、じゃあどのくらいお金がいるかな」という会話が、価値観に気づく第一歩になります。

8〜12歳

私自身がお小遣い帳をつけ始めた年齢です。月に1回など、決まったタイミングで一緒に残高を確認しながら、「何のために貯めたり、運用したりしているの?」「これが増えたら何がしたい?」と聞いてみましょう。記帳に近い、再現性のある習慣として続けやすい時期です。

中高生

アルバイト代やお小遣いをどう運用するかなど、より現実的な数字と結びつけられる年齢です。「いつまでにいくら必要か」を一緒に逆算しながら、「何のためにそのお金が必要なのか」を本人の言葉で語ってもらうと、自分ごととしてとらえやすくなります。

まとめ――こどもNISAに何を乗せるか

こどもNISAは、あくまで制度です。そこに何を乗せるかは、ご家庭次第です。

まずは、一緒に残高を眺めながら、「これは何のためかな」と聞いてみることから始めてみませんか。

(※1)金融経済教育推進機構(J-FLEC) : 金融リテラシー・マップ 「最低限身に付けるべき金融リテラシー(お金の知識・判断力)」の項目別・年齢層別スタンダード (2023年6月改訂版) はこちら

(※2)内閣府大臣官房政府広報室:「金融リテラシー」って何? 最低限身に付けておきたいお金の知識と判断力はこちら

(ご参考)「最低限身に付けるべき金融リテラシー」全15項目|お小遣い帳・こどもNISAとの対応

金融経済教育推進機構(J-FLEC)は、「最低限身に付けるべき金融リテラシー」を次のように挙げています。以下は、それぞれの項目が「お小遣い帳」「こどもNISA」でどう身につくかを筆者独自の視点で整理したものです。

分野 No.

最低限身に付けるべき金融リテラシー

お小遣い帳

こどもNISA

補足(どのように身につくか、どのように身につけるか)

分野1.家計管理 1 適切な収支管理(赤字解消・黒字確保)を習慣にすること。 こどもNISAは残高を見るのみでは収支管理にならない。本人のお金(アルバイト代やお小遣いなど)をいくら投資に回すかを親子で決める経験などを通じて、限られた原資を配分する感覚が身につく可能性がある。
分野2.生活設計 2 ライフプラン(人生設計)を明確にすること。 お小遣い帳では「目標を持つ」止まりになる可能性。こどもNISAは「何のために増やすか」などを親子で話す経験を通じて、期間と金額を伴う本格的なライフプランを考える力が養われることが期待できる。
分野3.金融と経済の基礎知識と、金融商品を選ぶスキル
【金融取引の基本としての素養】
3 契約をするときの基本的な姿勢(契約書をよく読む、日付・金額・支払い条件の確認等)を習慣にすること。 × お小遣い帳には契約行為はない。こどもNISAは口座開設書類や投資信託の目論見書を親子で一緒に確認する経験などを通じて、日付・金額・条件を確認する姿勢の土台を作れる可能性がある。子どもへの伝達は工夫が必要。
4 情報の入手先や契約の相手方である業者が信頼できるかどうかを必ず確認すること。 × お小遣い帳では対象外。こどもNISAは証券会社や投資信託を選ぶ理由を親が言葉にして伝える経験などを通じて、情報源や相手の信頼性を確認する大切さに触れられる可能性がある。子どもへの伝達は工夫が必要。
5 インターネット取引の利点と注意点を理解すること。 × お小遣い帳は取引が発生せず対象外。ネット証券でこどもNISA口座を開設する場合、オンライン手続きの利便性やID管理などの注意点を学ぶ機会になる。
【金融分野共通】 6 金融と経済の基礎知識(単利・複利、インフレ、デフレ、為替、リスク・リターン等)や金融商品の利用選択について理解すること。 × お小遣い帳では扱わない領域。こどもNISAは値動きを一緒に見ることで、複利の効果やリスク・リターンの関係を実感しやすい。インフレ・為替に関しては、子どもへの伝達は工夫が必要。
7 取引の実質的なコスト(価格、手数料)について把握することの重要性を理解すること。 × お小遣い帳では対象外。こどもNISAは投資信託の目論見書や運用報告書で信託報酬などのコストを確認する経験を通じて、コストが利回りに影響することを学べる。
【保険商品】 8 自分にとって保険でカバーしたい事態(死亡、病気、火災等)が何かを考えること。 × × お小遣い帳・こどもNISAのいずれも保険商品を直接扱わないため対象外。
9 カバーすべき事態が起きたとき、必要になる金額を考えること。 × × 同上。保険分野は今回のテーマの範囲外。
【ローン・クレジット】 10 住宅ローンを組む際の留意点を理解すること。
ア.無理のない借入限度額の設定、返済計画を立てることの重要性
イ.返済を難しくさせる事態に備えることの重要性
× お小遣い帳の「限られた原資の中で計画する」感覚は、将来の借入計画を考える土台になりうる。
11 無計画・無謀なカードローン・クレジットカード等の利用を行わないことを習慣にすること。 × お小遣い帳で「使える範囲で使う」感覚が身につくことは、将来の無計画な借入を避ける土台になりうる。
【資産形成商品】 12 高いリターンを得ようとする場合には、より高いリスクを伴うことを理解すること。 × お小遣い帳では扱わない領域。こどもNISAは値動きを見ることで、リスク・リターンの関係を実感しやすい。
13 資産形成における分散(運用資産の分散、投資時期の分散)の効果を理解すること。 × お小遣い帳では対象外。こどもNISAは同じ金額を積み立てる経験を通じて「時期の分散」を体感しやすい。積み立てる投資信託が、何にどれだけ分けて投資しているかを親が伝えることで、「資産の分散」にも意識を広げられる可能性がある。
14 資産形成における長期運用の効果を理解すること。 × お小遣い帳では扱わない領域。こどもNISAは長期間の値動きを一緒に見続けることで、長期運用の効果を実感しやすい。
分野4.外部の知見の適切な活用 15 金融商品を利用するに当たり、外部の知見を適切に活用する必要性を理解すること。 × お小遣い帳では対象外。こどもNISAは、親や専門家に相談したり自分で調べて商品を選ぶ経験が、外部知見活用の萌芽になりうる。

凡例:◎=直接的に身につく ○=身につきやすい △=一部・間接的に身につく ×=対象外・関連が薄い

出所:「金融経済教育推進会議(事務局 金融経済教育推進機構⦅J-FLEC⦆)」が公表する「金融リテラシー・マップ」の4分野・15項目「最低限身に付けるべき金融リテラシー」を基に、お小遣い帳・こどもNISAそれぞれとの対応関係を執筆者が独自に整理。

(※)本表の評価(◎○△×)は執筆者の見解に基づく分類であり、公式な評価基準ではありません。

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