新年度、日経平均はどこまで上昇する?何を買う?

新年度、日経平均はどこまで上昇する?何を買う?

投資情報部 鈴木英之 栗本奈緒実

2024/04/02

日経平均はポジション調整等で下落。1-3月期は20%超の大幅高

3月第4週(3/25-29)の日経平均は、前週末比518円99銭安(-1.27%)となり、週足べースで反落しました。

好調な株価推移となった四半期末を迎え、ポジション調整や利益確定による売りが発生。一方、配当落ち日は買い戻しの動きもみられ、旺盛な押し目買い意欲が下値を限定的にしたもようです。1-3月期の日経平均は、23年末比で20%超の大幅高となりました。同期間のS&P500は10%超の上昇にとどまっており、東京市場にとって堅調な四半期だったといえるでしょう。

日経平均株価採用銘柄の騰落率上位(3/22~3/29・図表7)の首位は、IHI(7013)でした。業績に関する報道が好感された格好です。24.3期は同社が参画した航空機のエンジンの製造工程に不具合が発生し、検査費用を計上。そのため、最終損益の会社見通しは900億円の赤字です。しかし、25日(月)、25.3期の営業損益は黒字転換するうえ、過去最高となる見通しと日本経済新聞社が報じ、買い材料となりました。同社と同一のプログラムに参画している三菱重工業(7011)も4位にランクインし、連れ高した格好です。他には、日銀が緩和的姿勢の継続を示した安心感により、不動産業などの銘柄が多く上位となりました。

日経平均株価採用銘柄の騰落率下位(3/22~3/29・図表8)の首位は、東急(9005)でした。25日(月)に新たな中期経営計画を発表。同計画で示された、業績見通しや株主還元の目安が、市場の期待感に応えられなかった形です。足元で、市場が企業に対する株主還元への期待感は従来より高いものが求められている場面が見受けられます。陸運業からは、最大手のJR東海(9022)も2027年のリニア開業断念を発表したことが嫌気され、3位にランクインしました。

4月第1週(4/1-4/5)の日経平均は大幅反落でスタート。機関投資家を中心に持ち高調整の売りが発生した他、日銀短観の大企業製造業の業況判断指数(DI)が4四半期ぶりに悪化したことが嫌気されました。今週は、5日(金)の米3月雇用統計の発表に注目が集まっています。

図表1 日経平均株価およびNYダウの値動きとその背景

図表2 日経平均株価

図表3 NYダウ

図表4 ドル・円相場

図表5 主な予定

図表6 日米欧中央銀行会議の結果発表予定

図表7 日経平均株価採用銘柄の騰落率上位(3/22~3/29)

図表8 日経平均株価採用銘柄の騰落率下位(3/22~3/29)

新年度、日経平均はどこまで上昇する?何を買う?

国や多くの企業が会計年度としている24年3月期の相場が終わりました。3月末の日経平均株価は前年の3月末比で44%弱の上昇となり、21年3月期の同54%上昇以来の高い年度上昇率を記録しました。

大幅高した株式相場の背景には無論、米国経済・株式市場の堅調や、円安の進展、インバウンド需要の回復、生成AI(人工知能)への期待・半導体市場の回復等の要因があげられます。さらに、同様またはそれ以上に重要な点は、海外からみて日本が投資対象として復活したと考えられる点です。米中対立を契機に、中国に向いていた投資が、日本にも向かってきたことが大きな要素の一つ考えられます。

加えて、東京株式市場においては、バフェット氏による商社株買いや、東証による上場企業への資本政策改善要請等により、日本株への再評価が進んだことが大きいと考えられます。新NISA(少額投資非課税制度)の開始による個人マネーの流入により株価上昇が加速。日経平均株価は1~3月だけでも2割を超える上昇を記録しました。

今後はどうなるでしょうか。日経平均株価をやや長期的視野から見直してみました。

図表9は、日経平均株価の予想EPS(1株利益)とBPS(1株純資産)を過去10年の月足で見直したものです。過去10年で

・日経平均株価は2.7倍

・日経平均BPSが2.4倍

・日経平均予想EPSが2.3倍

となっています。株価を動かす要因は実に様々ですが、実は、株価は企業の利益と、その蓄積結果である純資産の増加とともに着実に上昇してきたと評価することが可能です。したがって、日経平均の予想EPSやBPSが今後、どう変化するかを読むことにより、今後の日経平均を予想することもできそうです。

図表9 日経平均株価は、企業の業績(予想EPS)・純資産拡大とともに上昇

日経平均株価は以下のように分解されます。

(日経平均株価)=(日経平均予想EPS)×(同予想PER)

ここで、「予想EPS」は企業業績という「現実」を示し、予想PERは「市場心理の強弱」 を示すと考えることができます。

3/29(金)時点で日経平均の予想EPSは2,364円でした。日経平均採用銘柄の市場コンセンサスを集計すると、1年後のEPSは、採用銘柄合計で5~10%増える可能性が大きそうです。

図表10をご覧ください。仮に、1年後に「今期予想EPS」が10%増え、市場で予想PERが18倍(3月末時点では17.1倍)まで許容された場合、日経平均株価は46,000円台という参考値が計算されることになります。「コロナ禍」で、予想EPSが急低下し、PERが異常に高くなった時期(2020~21年頃)を除けば、予想PERは過去10年で17.92倍(15年4月)という高値があります。PER18倍は決して「夢物語」ではないと考えられます。

図表10 1年後の日経平均株価のシナリオは?

物色対象としてはどんな業種が有望でしょうか。

図表11は、4/1(月)に発表された日銀短観(2024年3月調査)の大企業業況判断指数(「良い」との回答割合から「悪い」との回答割合を引いた割合・%ポイント)を示したものです。

たとえば、上から2つめの「食料品」の場合、23年12月調査において、3ヵ月後の「先行き」は「5」という予想でしたが、実際の景況感は「24」と上振れ幅が「19」に達しました。3ヵ月前に想定していた以上に足元の景況感が良かったことを示しています。

図表11は、12月調査の「先行き」に対する24年3月調査の「最近」の上振れ幅が大きい業種順に並べています。食料品、鉄鋼、不動産、窯業・土石製品等では、決算数字が予想を上回る、または業績予想が上方修正される可能性もありそうです。逆に電気機械、自動車、業務用機械、繊維、通信等は、銘柄により下方修正や業績見通しの未達のリスクが強そうです。

もっとも、「先行き」が大きく下がる見通しの業種ですと、好決算で材料出尽くしになるリスクがあります。「最近」の上振れ幅も「先行き」も強そうなのは。「窯業・土石製品」、「紙・パルプ」等があげられます。

図表11 本決算発表で業績の上振れが期待できる業種は?

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