日経平均は急落!当面は荒い値動きに要注意!?

日経平均は急落!当面は荒い値動きに要注意!?

投資情報部 淺井一郎 栗本奈緒実

2024/04/23

日経平均は大幅反落。世界的に半導体株・半導体関連株が軟調

4月第3週(4/15-19)の日経平均は、前週末比2,455円2銭安(-6.21%)となり、週足べースで大きく反落しました。

同期間は中東情勢への懸念拡大が小休止した一方、主力の半導体関連銘柄への売りが相場を押し下げました。日本のみならず、世界的に半導体株や関連株が売られました。主力半導体関連株が、1‐3月期決算発表で示した数値や見通しが嫌気されたもようです。

17日(水)にオランダの半導体製造装置大手、ASMLホールディングスが1‐3月決算を発表し、受注量が市場予想を下回りました。続いて、18日(木)には半導体受託製造で世界最大手のTSMC(TSM)が決算発表時、2024年の半導体市場の成長見通しを引き下げました。さらに、19日(金)にはAI関連の半導体関連銘柄の代表格、スーパー・マイクロ・コンピューター(SMCI)が、30日(火)に予定されている決算発表に向けた収益目安の発表を行いませんでした。同社は過去7四半期で事前の収益目安の発表及び、ガイダンスの上方修正を行っていたことから、4/30(火)の決算発表にむけて警戒感から売りが広がりました。

世界的な半導体株・関連株下落を背景に、日経平均株価採用銘柄の騰落率下位(4/12~19・図表8)では、首位のレーザーテック (6920)を筆頭に、東京エレクトロン (8035)、SMC (6273)、ルネサスエレクトロニクス (6723)、SUMCO (3436)が名を連ねた形です。

日経平均株価採用銘柄の騰落率上位(4/12~19・図表7)の首位は、東宝(9602)で唯一の2桁台の上昇率でした。15日(月)に24.2期の本決算を発表。「ゴジラ―1.0」や「名探偵コナン黒鉄の魚影」等のヒットにより過去最高の純利益を達成。また、自社株買いや増配の実施を発表したことも好感されました。

4/22(月)の日経平均は上昇。S&P500とナスダックも7日ぶりに反発。前週の下落を受け、押し目買いが増えました。週内は、米大型テック株の決算発表のほか、現地時間25日(木)に半導体大手インテル(INTC)の決算発表、26日(金)には日銀・金融政策決定会合の結果発表など、重要イベントが目白押しです。

図表1 日経平均株価およびNYダウの値動きとその背景

図表2 日経平均株価

図表3 NYダウ

図表4 ドル・円相場

図表5 主な予定

図表6 日米欧中央銀行会議の結果発表予定

図表7 日経平均株価採用銘柄の騰落率上位(4/12~4/19)

図表8 日経平均株価採用銘柄の騰落率下位(4/12~4/19)

日経平均は急落!当面は荒い値動きに要注意!?

日経平均は4/19(金)に1,000円超下落し、一時2/9(金)以来の37,000円割れとなりました。日本版“恐怖指数”と言われている日経平均ボラティリティ・インデックス(日経VI ※)は24.43へ急上昇し、2022年10月以来の高水準となりました。週明け4/22(月)の日経平均は自律反発の展開となり、日経VIについて上昇が一服しています。しかし、当面の材料を見ると、まだまだ値動きの荒い状況が続く可能性が高いと見られます。本稿では、今週以降の日経平均の先行きを観る上での注目材料を整理します。

※日経VI:投資家が日経平均株価の将来の変動をどのように想定しているかを示した指数。日経平均先物や日経平均オプションの価格を基に算出されます。数値が高いほど投資家が今後、相場が大きく変動すると予想していることを意味します。

日経平均株価と日経VI

(1)国内・海外企業の決算発表

米国では24年第1四半期(1-3月期)決算発表シーズンにあり、今週はメタ・プラットフォームズやIBM(24日)、マイクロソフトやアルファベット(25日)など、テクノロジー企業の決算発表が相次ぎます。AI(人工知能)ブームや、半導体市場の景気変動を見たシリコンサイクルの回復期待などを手掛かりに、テクノロジー企業が世界的な株価上昇をリードしてきましたが、その一方でこうしたテクノロジー企業の業績拡大に対する市場の期待が高くなりすぎているのではないか、といった懸念が高まっています。

先週、半導体製造装置大手の蘭ASMLHDと半導体製造大手の台湾TSMCの決算が発表されました。実績(24年1-3月期)こそ純利益で市場予想を上回る堅調な決算でしたが、ASMLは受注データが市場予想を下回ったこと、TSMCは決算説明会でメモリー半導体を除いた半導体市場の見通しを下方修正したことが嫌気され、それぞれ株価が大きく下落しました。業績への期待の高さ故なのでしょうか、市場は好決算の中で、何かしら粗探ししているようであり、決算が更なる株価押し上げの材料につながりにくくなっていると見られます。

一方、国内企業では、23日(火)にニデックが、日経平均採用の3月期決算企業として口火を切り、決算発表シーズンが始まります。Quick社のデータ(Quickコンセンサス予想)を元に弊社が集計した日経平均採用銘柄の3月期決算企業における24年3月期の業績予想(ソフトバンクグループを除く)は、4.60%増収、11.76%経常増益と、二桁増益が予想されています。

また、3月期決算企業にとって今回は本決算であり、次期(25年3月期)の会社計画が発表されるタイミングです。先ほどの集計データをベースにすると、25年3月期のアナリスト予想は2.31%増収、8.95%経常増益と引き続き堅調な増益が予想されています。しかし、会社から発表される期初計画については、アナリスト予想を下回る可能性があります。例年、会社が提示する期初計画は保守的になる傾向がありますが、現状は欧州や中国経済の不透明感が強いことや、円相場が不安定なことなど、例年に比べて会社計画が立てにくい状況にあると推測されます。例年に比べて一段と保守的な会社計画が示されることで、決算発表において実績が堅調でも株価として評価し難くなると考えられます。

(2)米1-3月期GDP統計

米国では4/25(木)に1-3月期GDP統計が発表される予定です。米国の実質GDP成長率は、2022年3月から急ピッチな利上げが行われたにも関わらず、2022年7-9月期以降、年率2%超の堅調な成長が続いています。また、今回発表される1-3月期実質GDP成長率については、アトランタ連銀が算出しているGDP Nowによると年率+2.897%と、引き続き高い成長が予想されています。

経済が堅調に推移していること自体は良いことなのでしょうが、実質GDP成長率が堅調に推移する中、最近ではインフレの上振れが目立つようになりました。金融政策については、3月FOMCで示されたドット・チャートにおいて、年内に3回(0.25%×3回)の利下げ見通しが示されていましたが、現状、市場では年2回程度の利下げに留まるとの予想が織り込まれています。GDP統計が強い結果となれば、市場の利下げ観測が一段と後退し、長期金利の上昇を促すとともに、株式市場にとって逆風となるでしょう。

米実質GDP成長率(左図)と24/1-3月実質GDP成長率推計値(右図)

(3)日米金融政策決定会合

日銀は4/25・26に金融政策決定会合を開催します。前回3月の金融政策決定会合で日銀は、マイナス金利政策を解除し、約17年ぶりの利上げに踏み切りました。同会合後の記者会見で植田総裁は当面、緩和的な金融政策を継続する考えを強調していました。

しかし、円相場で急ピッチな円安が進み、輸入物価の上昇などを通じたインフレリスクが意識される中、4/18(木)にワシントンで開かれたG20財務相・中央銀行総裁会議後の記者会見において、「(円安進展に伴う物価上昇について)無視できない大きさになれば、金融政策の変更もありえる」とし、追加利上げの可能性について言及しました。

今回の金融政策決定会合で追加利上げが行われる可能性は低いと見られます。しかし、会合後に開かれる記者会見では、先のG20の発言内容について詳細を求められることになるでしょう。植田総裁から、追加利上げに前向きなタカ派発言が出てきた場合、国内金利の上昇とともに円高が進行すると考えられ、輸出株にとって逆風となる可能性があります。

日経平均の中長期的な上昇シナリオが崩れたとは考え難い一方、短期的に見れば、上記3つ以外にも地政学リスクなどの突発的に発生する材料に注意を払う必要があるでしょう。当面、日経平均はやや値動き(ボラティリティ)の荒い展開が続くと想定されます。

日本の政策金利

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