再びサプライズ?日本株をけん引する相場のテーマは?

再びサプライズ?日本株をけん引する相場のテーマは?

投資情報部 淺井一郎 栗本奈緒実

2024/05/28

日経平均は小幅安。エヌビディアの決算は好調

5月第4週(5/20-5/24)の日経平均は、前週末比141円27銭安(-0.36%)となり、週足ベースで小幅反落となりました。国内長期金利が11年ぶりの高い水準まで上昇したことや、米株の下落が重しとなった格好です。

同期間の半ばには、エヌビディア(NVDA)の決算発表が行われました。結果は、5-7月期の売上高見通しが予想を上回ったほか、1対10の株式分割と増配実施の計画を発表したことが好感され、株価は大幅高。他半導体株にも買いが波及し、SOX指数の週間上昇率は+4.8%となりました。

日経平均株価採用銘柄の騰落率上位(5/17~5/24・図表7)の首位は、シャープ(6753)でした。長期不振が続いていたテレビ向けの液晶パネルの生産停止を発表したことが買い材料となりました。3位のフジクラ(5803)は、銅価格の上昇のほか、今秋にも米国で光ケーブルの一貫生産を開始すると報じられたことが好感されました。

日経平均株価採用銘柄の騰落率下位(5/17~5/24・図表8)の首位は、2週連続で住友ファーマ(4506)でした。直近の決算(24.3期)では、主力製品の特許切れにより、赤字拡大を発表しました。2位の富士電機(6504)は、23日(木)に27.3期を最終年度とする新たな中期経営計画を発表しましたが、計画数値が市場の期待に応えられなかったもようです。

5月第5週(5/27-5/31)の日経平均は、米国株式市場が休場のため薄商いながらも、上昇でスタート(5/27)しています。

図表1 日経平均株価およびNYダウの値動きとその背景

図表2 日経平均株価

図表3 NYダウ

図表4 ドル・円相場

図表5 主な予定

図表6 日米欧中央銀行会議の結果発表予定

図表7 日経平均株価採用銘柄の騰落率上位(5/17~5/24)

図表8 日経平均株価採用銘柄の騰落率下位(5/17~5/24)

再びサプライズ?日本株をけん引する相場のテーマは?

5/16(木)に発表された24年1-3月期GDP統計(一次速報)で、実質GDP成長率は前期比▲0.5%(年率▲2.0%)となりました。2四半期ぶりのマイナス成長なのですが、23年7-9月期が前期比▲0.9%(年率▲3.6%)、23年10-12月期は前期比+0.0%にとどまっており、ならしてみれば低調な経済成長が続いていると言えます。特に個人消費(民間最終消費支出)については、23年4-6月期以来4四半期連続と、リーマン・ショック時以来で最長のマイナス成長が続いています。

日経平均は年初から春先にかけて堅調に推移しました。企業収益の回復や資本改革への期待などが株価上昇の背景にあったと考えられますが、その一方で国内経済の動きに目を向けると、株価上昇に対して経済成長(特に個人消費)が伴っていないとの見方ができるかもしれません。

現状、日経平均は概ね38,000円台で推移しています。米金融政策の方向性や中国経済に対する不安、国内でも春闘を通じた賃上げの動きがある一方で、依然として物価上昇への警戒で個人消費は低調となっています。そうした中で株式市場にとって、次なる相場牽引のテーマとして注目されるのが、本格的な回復局面入りが期待される国内設備投資と考えられます。

図表9 日本 実質GDP成長率と項目別寄与度

設備投資の動きを捉えた経済指標の1つが法人企業統計における設備投資額です。同統計はGDPの算出にも採用される注目の経済指標であり、6/3(月)に発表される24年1-3月期設備投資額は、6/10(月)に発表される1-3月期GDP統計(二次速報)に反映されます。

3/4(月)に発表された23年10-12月期(23年度3Q)の法人企業統計で設備投資額は前年同期比+16.4%の14兆4,823億円。前四半期から増加ペースが急加速するとともに、金額は四半期ベースで過去最高を更新しました。この統計結果を受けて3/11(月)の23年10-12月期GDP統計(二次速報)の設備投資は、一次速報の前期比▲0.1%から同+2.0%へ大幅に上方修正(その後同+1.8%へ修正)され、一次速報で前期比▲0.1%とマイナス成長だった実質GDP成長率が、プラス成長へ修正される主因となりました。

図表10 設備投資の推移(法人企業統計)

また、図表11は日銀短観ベースで見た製造業の設備投資を見たグラフです。23年度について、連結設備投資(国内+海外)は、計画時点の前期比+2.8%から同+12.2%へ修正されましたが、国内設備投資に限ってみると、計画時の同+4.1%から同+19.0%へ大幅に上方修正されており、国内投資の活性化が設備投資の回復をけん引していることが分かります。これまで円安が進行し、製造業の設備投資についても国内回帰が期待されていたものの、実際には資源高の影響や、大幅な利上げを進める欧米経済の不透明感など背景に、設備投資が先送りされてきた感があります。しかし、足元ではこうした投資案件がようやく動き始めたと考えられます。

24年1-3月期GDP統計では、実質GDPベースで見た設備投資は前期比▲0.8%と2四半期ぶりのマイナス成長。一部の自動車メーカーが不正問題によって大幅減産したことなどが大きく影響したと考えられます。しかし、こうした一時的な要因を除けば、円安の進展や新興国などの人件費高騰、米中対立が激化していることを背景に、戦略分野の生産を国内に誘導する動きが世界的な潮流となりつつあることを考慮すると、国内回帰の動きは継続していると感がられます。株式市場としても活発化する国内設備投資が、相場のテーマとなることが期待されるでしょう。

図表11 設備投資の計画と実績(製造業、日銀短観)

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