決算発表シーズン開幕!日経平均4万円回復は近い?

決算発表シーズン開幕!日経平均4万円回復は近い?

投資情報部 淺井一郎 栗本奈緒実

2024/10/22

日経平均は一時、4万円台を回復!ASMLショックや決算発表への警戒から、その後は軟調

10月第3週(10/15-18)の日経平均は、前週末比624円05銭高(-1.58%)と週足ベースで反落。15日(火)の取引時間中、約3カ月ぶりに4万円台を回復。エヌビディアなどの半導体株が上昇をけん引し、米主要株価指数が高値を更新したことや、円安進行が寄与しました。

その後は、蘭の半導体製造装置大手ASMLの決算発表で、四半期受注額が予想の半分以下であったこと等が明らかとなり、日米株式市場で半導体株や関連株を中心に大幅下落となりました。受託製造最大手であるTSMCの決算内容は、7-9月期実績(事前発表済)と10-12月期見通しが、いずれも市場予想を上振れ堅調でしたが、株式市場全体を押し上げるまでには至りませんでした。翌10月第4週以降に、国内の7-9月期決算発表シーズンの本格化や、27日(日)には衆院選の投開票日等の重要イベントを控え、積極的にリスクを取りづらい展開が続いています。

日経平均株価採用銘柄の騰落率上位(10/11~10/18・図表7)は、首位の三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306)をはじめ、銀行業が4銘柄ランクイン。米国の長期金利の上昇に連動し、日本の長期金利も上昇傾向したことで、貸出金利の引き上げによる収益改善期待が買い材料となりました。

日経平均株価採用銘柄の騰落率下位(10/11~10/18・図表8)は、レーザーテック(6920)や東京エレクトロン(8035)などの半導体関連企業が多数でした。前述のASMLの軟調な決算発表に端を発した、半導体株や関連株の下落の影響を受けました。ASMLと同じく、半導体製造装置を手掛ける東京エレクトロン(8035)の決算発表の動向に注目が集まっています(発表予定日は11/12(火))。ASMLは台湾や中国の数社向けが売上の多くを占めています。同業と比較することで、ASMLの受注減が特定顧客によるものか推測する材料となり得るでしょう。

図表1 日経平均株価およびNYダウの値動きとその背景

図表2 日経平均株価

図表3 NYダウ

図表4 ドル・円相場

図表5 主な予定

図表6 日米欧中央銀行会議の結果発表予定

図表7 日経平均株価採用銘柄の騰落率上位(10/11~10/18)

図表8 日経平均株価採用銘柄の騰落率下位(10/11~10/18)

決算発表シーズン開幕!日経平均4万円回復は近い?

国内では10/23(水)のニデックを皮切りに3月期決算企業の中間決算発表シーズンがはじまります。9月末に四半期決算を迎える企業(3・6・9・12月期決算)のうち、今週の決算発表企業数は2%弱にすぎず、来週以降、本格化していく予定となっています(図表9参照)。

図表9  決算発表社数

今週は決算発表企業数が多くないとはいえ、注目企業の決算は相次ぐ予定です。

日経平均採用銘柄の決算発表予定日は図表10に示す通りです。23日(水)のニデック、24日(木)のキヤノン(12月期決算)、25日(金)は信越化学、日立建機、ファナック、中外製薬(12月期決算)の決算発表が控えています。機械株など中国経済への依存度が高い、いわゆる中国関連銘柄の決算発表が目立ちます。

中国経済はこのところ、成長の鈍化が顕著でした。そうした中、9月に政府は消費刺激策や不動産市場のテコ入れ策などをようやく打ち出しました。大型景気対策の発表を受けて、上海総合指数が10/8に約2年ぶりの高値(終値ベース)へ大幅上昇するなど、中国株式市場としても景気浮揚を期待する動きがみられました。

今回の決算発表では、中国の景気対策が実績の業績に反映されることはないでしょうが、それでも企業サイドから決算発表時に示される見通しとして、中国経済に対して明るい見通しが示されれば、株式市場として好感される可能性がありそうです。

図表10 主力企業の決算発表予定 (日経平均採用銘柄)

先週の日経平均は取引時間中に約3か月ぶりに4万円の大台を回復したものの、その後は伸び悩んで39,000円前後で推移しています。日経平均の上昇時に手掛かりとなっていたのは円相場における円安・ドル高でしたが、円相場は1ドル=150円に到達したのちは円安が一服し、それに伴って日経平均についても上昇が頭打ちになったと思われます。現状の円相場は1ドル=150円台で推移していますが、同水準からさらなる円安を見込む声は今のところ大きくなく、円安を手掛かりとする日経平均の上昇に過度な期待を持つことは難しいかもしれません。

しかし、そうした中で期待したいのは今回の中間決算発表を通じた国内企業の業績拡大期待であり、ひいては1株あたり利益(EPS)の成長期待でしょう。今年、日経平均は4万円の大台にトライしたものの、いずれも打ち返されてきました。しかし、今年の春先に比べるとEPSは着実に増加しており、それにバリュエーション(PER)で見た割高感は緩和されています。

現状、日経平均の加重平均PERは15倍台半ばと、今年の日経平均が4万円台を回復した局面のPER(17倍台半ば)に比べると、EPSが成長したこともあって割安水準に位置しています。日経平均上昇の手掛かりが、円安から企業業績の拡大(EPS上昇)へ移り変われば、日経平均4万円台の回復も遠くないと考えられます。

図表11 日経平均株価とPER

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