波乱の可能性、銘柄選別色の強まりに注意!?

投資情報部 鈴木英之
2024/11/19
トランプトレードが一巡し、その負の側面への警戒感が意識される
11月第2週(11/11~11/15)末の日経平均株価は前週末比857円46銭(2.17%)安となり、週足ベースでは3週間ぶりの下落となりました。
米国では、トランプ氏の規制緩和や減税に期待した「トランプトレード」が続き、S&P500指数は11/11(月)に史上初めて6,000ポイント台に乗せ過去最高値を更新しました。しかし、トランプ氏の政策は、移民政策強化や関税引き上げなど、米国・世界の経済にマイナスの影響が危惧される面もあり、週後半にかけては、次第にそれらの負の側面が意識される展開になりました。
なお、米国では強い経済指標の発表が続くと同時に、この週に発表された10月消費者物価指数・生産者物価指数は、インフレの緩和期待にはつながりませんでした。11/14(木)にはパウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長が講演で、利下げを急ぐ環境ではないとの趣旨の発言を行い、市場の利下げ期待が後退し、週後半の株価に逆風となりました。
こうした中、日経平均株価は週の全営業日において、高値では39,000円台に乗せましたが、週の後半は終値が38,000円台に押し戻される展開になりました。週明けの11/18(月)には、終始25日移動平均よりも低位置での推移となり、テクニカル的には弱気モードの様相を呈してきました。
米長期金利の上昇を背景に、外為相場は円安・ドル高傾向となっており、通常であれば、輸出株が買われ、日経平均の上昇が加速しても不思議ではない投資環境とみられます。ただ、電気自動車の不振や中国での競争激化等を背景に、多くの自動車株の決算は芳しいものではありませんでした。半導体関連株も明暗が分かれる状況です。円安にもかかわらず、自動車や電気機器など代表的な輸出株が上昇しにくいことで、株価が上がりにくい状態になっています。
物色的には、好決算を発表した古河電工(5801)の上昇が目立ちました。AI(人工知能)の普及により大量の電力・情報がやりとりされるようになる中、光ファイバや電力ケーブル等の需要は今後も増大が期待され、電線株が買われやすくなっています。ただ、これまで大きく上昇してきたフジクラ(5803)には利益確定売りが目立っていました。
なお、電力需要の拡大は電力会社の設備投資増強需要につながりそうです。この週大きく下落した銘柄のうち、関西電力(9503)は大型増資の発表が嫌気されましたが、増資の背景には設備更新需要が掲げられています。
図表1 日経平均株価およびNYダウの値動きとその背景

図表2 日経平均株価

図表3 NYダウ

図表4 ドル・円相場

図表5 主な予定

図表6 日米欧中央銀行会議の結果発表予定

図表7 日経平均株価採用銘柄の騰落率上位(11/8~11/15)

図表8 日経平均株価採用銘柄の騰落率下位(11/8~11/15)

波乱の可能性、銘柄選別色の強まりに注意!?
足元の日経平均株価は38,000~40,000円近辺のボックス相場になっています。しかし、年末にかけては波乱となる可能性にも注意したいところです。そう考える理由は、平均株価の方向感に大きな影響を与え、上場企業の業績について傾向を示唆する日経平均の予想1株利益(EPS)が低下傾向を示している(図表9)からです。
3月決算企業等の2024年7~9月期決算発表は一部を除き終了しましたが、自動車や半導体関連企業の中には、収益が市場の期待を下回り、場合によっては通期業績見通しを下方修正する企業も多く見受けられました。これらを背景に、日経平均の予想1株利益は、10/15の2,514円から11/18には2,437円まで低下しています。
決算発表シーズンに予想1株利益が低下したことは、業績見通しの下方修正がそれなりに多かったことを示しています。自動車産業等は、環境対応や米国・中国等で構造的問題を抱えており、回復に手間取る可能性があります。当面は、企業業績の踊り場到来を背景とした株価の波乱に注意したいと思います。
図表9 日経平均株価と予想1株利益(EPS)

上記したように全般的には波乱含みですが、好業績銘柄(図表10はその一部です)については大きく買われる銘柄も散見され、当面は業績面で選別を強化すべきであると考えられます。
AI(人工知能)普及の流れは続いており、半導体関連株でもその恩恵を受けやすい銘柄の業績は堅調です。反面、パソコンやスマートフォン、産業向け等の需要は回復が遅れており、業績悪化に苦しむ銘柄も目立ち始めました。半導体株は明暗が分かれてきたと考えられ、米国のエヌビディアや台湾TSMCの好業績に素直に反応しにくい銘柄も多くなっています。
機械や輸送用機器に属す防衛関連株も、業績好調な銘柄が目立ちます。地政学的なリスクの高まりが「追い風」になっていますが、今後トランプ政権が始動し、欧州や日本等へ防衛費増額の圧力が高まると、引き続きそのテーマ性が注目される可能性があります。ただ、株価の上昇傾向が続いており、割高感の台頭には注意が必要です。その意味では、電線や電気工事等の好業績銘柄も、株価の上昇が相当な所まで進んでいる銘柄があるので注意が必要です。
インバウンドや小売・外食には好業績銘柄もみられますが、インバウンド効果や値上げ効果が一巡してくる銘柄も増え、人件費の負担が重くなっている銘柄もあり、注意が必要です。
図表10 日経平均採用銘柄(3月決算)・25/3上半期の純増益率上位10銘柄

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