びっくり箱の2月の衆議院選前に備える方法

びっくり箱の2月の衆議院選前に備える方法

投資情報部 土居雅紹 根津真由子

2026/01/20

「高市トレード」で日経平均は初の5万4,000円台に!

■ 1月第2週(1/12-1/16)の株式市場動向

日経平均株価の1/16(金)終値は53,936円17銭で、前週末比1,996円28銭高(+3.84%)と週足ベースで反発。
1/14(水)には日経平均株価は初の5万4,000円台という大台に乗せました。


■ 騰落率の傾向(1/9-1/16)(図表4・5)

・上昇率上位:半導体マスク欠陥検査装置の製造等を手がけるレーザーテック(6920)が上昇率トップ。米フィラデルフィア半導体株指数(SOX)が連日で史上最高値を更新したことが追い風となった模様。
なお、フィラデルフィア半導体株指数とは、米株市場に上場している世界的大手半導体企業30社で構成される株価指数を指します。
レーザーテックのほかにも、イビデン(4062)やSCREENホールディングス(7735)など半導体関連株が上昇率上位にランクインしています。

・下落率上位:ソフトウェアのテスト事業を手がけるSHIFT(3697)が下落率トップ。同社は1/14(水)に2025年9~11月期の業績を発表しました。売上高は前年同期比15.5%増の348億円となった一方、営業利益は同19.9%減の28億円、純利益は同9.2%減の17.9億円となりました。減益決算が嫌気され、1/16(金)には昨年来安値を更新しました。


■ 1月第2週のスタート(1/19)

日経平均株価の1/19(月)終値は53,583円57銭で、前週末比352円60銭安と3日続落しました。
先週の急騰を受けての利益確定売りが継続した模様です。

今週22日-23日には、日銀の金融政策決定会合が開催されます。
前回の会合では政策金利の利上げが実施されましたが、今回は金利据え置きになるとの見方が市場で強まっています。



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図表1 日経平均株価の値動きとその背景

図表2 日経平均株価

図表3 日米欧中央銀行会議の結果発表予定

図表4 日経平均株価採用銘柄の騰落率上位(1/9-1/16)

図表5  日経平均株価採用銘柄の騰落率下位(1/9-1/16)

びっくり箱の2月の衆議院選前に備える方法

■高市内閣高支持率でも選挙結果は読みにくい
2月8日に予定されている衆議院解散総選挙の結果次第で、株式・為替・債券相場はともに大きく動くのではないか、との見方が広がっています。

各種報道によると、中国による訪日観光客の制限や実質的なレアアース禁輸等による経済威嚇があっても、高市政権の支持率は依然として高いようです。とはいえ、衆議院選挙で与党の議席を増やして政権を安定させ、積極財政を進めるとともに、長期安定政権であることを印象付けて外交を有利に進めたいという高市政権の思惑通りにうまくいくとは限りません。高市政権の支持率は高くても、自民党そのものの支持率が同様に高いわけではないからです。

加えて、今回の衆議院選挙には選挙結果を左右しうる下記のようなかく乱要因が存在するため、各党の獲得議席数の予想にも大きなばらつきがあり、国内外の投資家の多くが選挙結果を見て動くという状況といえます。

・トランプ米大統領による次の行動(イラン、コロンビア、キューバ、グリーンランド、ウクライナ等)
・中革連(中道改革連合: 立憲民主党と公明党による新党)の支持率の推移
・自民党内の反高市派の中革連への合流の有無
・中国の軍事挑発・経済威嚇の激化
・周辺国によるメディア・SNSを使った世論操作
・選挙期間中の外国人犯罪とその報道頻度
・各党の有力政治家のスキャンダルや失言

仮に自民党圧勝となれば、株価一段高、円安・債券安の進展が想定される一方、与党惨敗となれば高市トレードの巻き戻しで株価大幅下落・円高となる可能性が残ります。となると、何も準備しないで衆議院選挙の投票日を迎えるのは避けたいところです。


■どちらに行くか分かりにくい時には両面待ち戦略
大きなイベントがあってどちらに行くか分からないのであれば、「休むも相場」とポジションを減らして静観するか、上昇か下落のどちらかに賭けてロングまたはショートのポジションを採ることが一般的な投資戦略です。しかしながら、ポジションを減らしてしまうと、与党圧勝というような場合に、大きな株価上昇を逃してしまう可能性があります(もちろん、大幅下落となればポジションがないことで助かります)。逆に、この状況で選挙結果を決めつけるのは、まさにギャンブル的な投機となりかねません。

そこで、ミニ日経225オプションを用いての両建て戦略(ロング・ストラドルまたはストラドルの買い)が有効と考えられます(図表6)。これは2025/11/18に採り上げた「日経平均、上か下か?逆さプリン戦略で両面待ち」のロング・ストラングルとは異なり、同じ満期日のATM(アット・ザ・マネー、現在の原資産価格と同じ権利行使価格)のコール(買う権利)とプット(売る権利)を同時に購入します。満期日時点の合成損益は逆三角形になります。ロング・ストラングルよりもコストは高くなりますが、少しの値動きからコストがいくらかでも回収できるので、数日間の大きな値動きに備える場合には使い勝手が良い戦略といえます。


■既にオプション価格は上昇気味
日経平均オプションの価格から算出される日経VI指数をみると、2025年の自民党総裁選の頃から日経VIは急激な上昇に対するヘッジニーズの高まりから高い水準となっていました(図表7)。2025年末には一旦平時の水準に低下しましたが、年初の米国によるベネズエラ攻撃、グリーンランドをめぐる米欧対立、衆議院解散報道などを受けて再び上昇しています。つまり、プットを購入して下落に備えるにしろ、コールを購入して上昇益を得たいと思うにしろ、両建て戦略を採るにしろ既にオプション価格は上昇してしまっているので、一工夫が必要な状況といえます。仮に1/20時点で日経平均株価を53,000円として、2月13日満期のATMのコールとプットをそれぞれ1,500円で購入した場合の合成損益は図表6となります。確かに自民党大敗なら日経平均株価が5万円割れということもありそうですが、やはりヘッジコストは既に高くなっているという印象はぬぐえません。

図表6  ロング・ストラドルの満期時の合成損益(2月限、1月19日時点の市場実勢をもとにした試算例)

図表7  日経平均VIの推移(2023/12-2026/1)

■ギャップリスク回避が目的なら、直前まで待つことも一案
今回の衆議院選挙にはロング・ストラドルによる両建て戦略で備えることが有効と思われますが、オプション価格が上昇しているため損益分岐点が遠くなってしまっています。投票日までにすべてが株価に織り込まれるという可能性は高いとは言えないとすれば、選挙結果によって日経平均株価は大きくギャップアップまたはギャップダウンとなることが予想されます。

この時、ヘッジコストを抑えて損益分岐点を下げたい(少ない株価変動で利益をあげたい)と考えるのであれば、「イベント数日前まで待ってポジションを組む」ことが有効な選択肢となりえます。その理由は、ロング・ストラドルはATMのオプションを用いるので、オプション価格の時間的価値が最も高くなり、時間経過によるオプション価格の減少が大きいからです。

もちろん、ポジションを組まないで待機している間に、日経平均株価が上下に動くことは十分考えられます。しかしながら、ヘッジしたいのは2月6日(金)から2月9日(月)にかけての選挙結果による大幅な価格変動なので、直前にポジションを組む方が目的に合ったポジションになります。


■オプションシミュレーターを使ってタイミングを図る
一方で、大イベント直前となると、オプション価格が上昇(インプライド・ボラティリティの上昇)する可能性もあります。時間経過によるオプション価格の下落(ロング・ストラドル構築コストの減少)とインプライド・ボラティリティの上昇によるオプション価格の上昇(ロング・ストラドル構築コストの増加)のどちらの影響が大きいかは暗算ではできないので、SBI証券のオプションシミュレーターを活用しましょう。


SBI証券では、オプションシミュレーターはHYPER SBI 2、SBI証券PCサイト、SBI証券先物OPアプリで同様のものが提供されています(図表8)。
・HYPER SBI 2の場合
左上の「メニュー」をクリックしてメニューを表示してから先物・オプションカテゴリー内で「オプション・シミュレーター」を探す

・PCサイトの場合
先物・オプション取引ページで「分析ツール」をクリックして、「オプションシミュレーター」をクリック

・SBI証券先物OPアプリ
「オプション一覧」から現在の日経平均価格に近い銘柄をまずクリックしてから、「OPシミュレーター」を選択


するとオプションシミュレーターが立ち上がるので(図表9)、以下の手順で価格変化を試算します。


ミニ日経225オプションを利用するので「ミニ日経225オプション」タブをクリックします。
衆議院選挙が予定されている2月8日以降で最も近い満期日を持つオプションの、「2026年2月限」を選びます。
次にその時の日経平均株価に最も近い権利行使価格のプット、またはコールを選択します。この時点(2026年1月19日)ではコールもプットも概ね1500円程度であることが「現在値」から分かります。
試算表下のバーを右にスライドさせて、時間経過のオプション価格への影響を試算します。
試算したい日付が仮に2月3日となっていることを確認します。
原資産価格がほとんど動かず、53,575円だったとすると、プットの価格は854円と現在の価格の半分程度まで下落していることが試算できます。なお、この時、ボラティリティが上昇していることも想定されるため、その影響も見ておきます。仮にボラティリティが現在の24.95%から4ポイント上昇して28.95%になっていた場合、オプション価格は995円と上昇しますが、それでも現時点よりも4割程度安くなります。


仮に2週間後の2月3日にATMのプット、コールともに900円で、合計1,800円だったとしたら、満期日まで保有した場合の損益分岐点はポジション構築時のATM権利行使価格±1,800円となり、現時点でロング・ストラドルを組むよりも収益を得やすくなると考えられます。

今回のように大きなイベントで相場が大きく動きそうと予想される場合で、既にボラティリティの水準が高くなっていたら、直前まで待って、ミニ日経225オプションでロング・ストラドルを組む投資戦略に妙味がありそうです。

図表8 オプションシミュレーターへの行き方

図表9 SBI証券のオプションシミュレーター(HYPER SBI 2)

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信用取引のご注意事項

信用取引に関するリスク

信用取引は、差し入れた委託保証金額の約3倍の取引を行うことができます。そのため、現物取引と比べて大きなリターンが期待できる反面、時として多額の損失が発生する可能性も含んでいます。また、信用取引の対象となっている株価の変動等により、その損失の額が、差し入れた委託保証金額を上回るおそれがあります。この場合は「追加保証金」を差し入れる必要があり状況が好転するか、あるいは建玉を決済しない限り損失が更に膨らむリスクを内包しています。
追加保証金等自動振替サービスは追加保証金が発生した際に便利なサービスです。

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委託保証金として差し入れられている代用有価証券と同一銘柄の信用買建を行うことを「二階建て」と呼びます。当該銘柄の株価が下落しますと信用建玉の評価損と代用有価証券の評価額の減少が同時に発生し、急激に委託保証金率が低下します。また、このような状況下でお客さま自らの担保処分による売却や、場合によっては「追加保証金」の未入金によって強制決済による売却が行われるような事態になりますと、当該株式の価格下落に拍車をかけ、思わぬ損失を被ることも考えられます。よって、二階建てのお取引については、十分ご注意ください。

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先物・オプションの証拠金についてはこちら(日本証券クリアリング機構のWEBサイト)

・ 指数先物の価格は、対象とする指数の変動等により上下しますので、これにより損失を被ることがあります。市場価格が予想とは反対の方向に変化したときには、比較的短期間のうちに証拠金の大部分、またはそのすべてを失うこともあります。その損失は証拠金の額だけに限定されません。また、指数先物取引は、少額の証拠金で多額の取引を行うことができることから、時として多額の損失を被る危険性を有しています。

・ 日経平均VI先物取引は、一般的な先物取引のリスクに加え、以下のような日経平均VIの変動の特性上、日経平均VI先物取引の売方には特有のリスクが存在し、その損失は株価指数先物取引と比較して非常に大きくなる可能性があります。資産・経験が十分でないお客さまが日経平均VI先物取引を行う際には、売建てを避けてください。

・ 日経平均VIは、相場の下落時に急上昇するという特徴があります。

・ 日経平均VIは、急上昇した後に数値が一定のレンジ(20~30程度)に回帰するという特徴を持っています。
日経平均VIは、短期間で急激に数値が変動するため、リアルタイムで価格情報を入手できない環境での取引は推奨されません。

・ 指数オプションの価格は、対象とする指数の変動等により上下しますので、これにより損失を被ることがあります。なお、オプションを行使できる期間には制限がありますので留意が必要です。買方が期日までに権利行使又は転売を行わない場合には、権利は消滅します。この場合、買方は投資資金の全額を失うことになります。売方は、市場価格が予想とは反対の方向に変化したときの損失が限定されていません。また、指数オプション取引は、市場価格が現実の指数に応じて変動しますので、その変動率は現実の指数に比べて大きくなる傾向があり、場合によっては大きな損失を被る危険性を有しています。

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