衆議院選挙― 勝敗シナリオ別の日経平均・ドル円予想値と投資アイデア

投資情報部 土居雅紹 植田雄也
2026/01/27
衆議院解散、今後の展開に注目
■ 1月第3週(1/19-1/23)の株式市場動向
日経平均株価の1/23(金)終値は53,846円87銭で、前週末比89円3銭安(-0.17%)と週足ベースで反落。
■ 騰落率の傾向(1/16-1/23)(図表4・5)
・上昇率上位:半導体製造装置(前工程・後工程)を手掛けるディスコ(6146)、SCREENホールディングス(7735)に資金が流入。
15日決算のあったTSMCはじめとする先端投資の継続が、双方の受注・出荷強含みを示唆しました。SCREENは史上最高値圏で選別色強く、ディスコは1/21(水)の26年3月期第3四半期決算における通期業績予想の提示が上昇の引き金になりました。
・下落率上位:住友ファーマ(4506)は、北米事業のけん引で26年3月期業績予想は大幅増益へ上方修正。株価は年初来急騰していたこともあり、足元は決算前のポジション調整と考えられます。1/30(金)決算に注目が集まります。
■ 1月第4週のスタート(1/26)
日経平均株価の1/26(月)終値は52,885円25銭で、前週末比961円62銭安と反落しました。
今週から日米で決算発表が本格化します。現地時間1/28(水)メタ、マイクロソフト、テスラ、1/29(木)アップルの決算が控えており、AI・データセンター関連における巨額の設備投資が実を結ぶ兆候があるのか、腰折れとならないかに注目が集まります。
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図表1 日経平均株価の値動きとその背景
図表2 日経平均株価
図表3 日米欧中央銀行会議の結果発表予定
図表4 日経平均株価採用銘柄の騰落率上位(1/16-1/23)
図表5 日経平均株価採用銘柄の騰落率下位(1/16-1/23)
衆議院選挙―勝敗シナリオ別の日経平均・ドル円予想値と投資アイデア
■グリーンランド情勢が一服し、日本の選挙結果に世界の関心が集まる
米国によるグリーンランドへの軍事的関与やNATO解体を巡る懸念がひとまず後退する中、日本の衆議院選挙の動向に世界の投資家の関心が集まりつつあります。今後、日本株が一段と上昇するのか、円安・債券安はどの水準まで進むのか、政府・日銀による為替相場や金利水準への対応が見られるのかといった点は、2月8日の衆議院選挙の結果に大きく左右されると考えられます。
今回の衆議院選挙では、各種事前調査においても獲得議席数の見通しが立ちにくい状況が続いています。高市内閣の支持率は高水準にありますが、自民党そのものの支持率は前政権時からは回復しているものの、内閣支持率には及ばない状況です。また、自民党内における反高市勢力の見解がしばしば報道されることもあり、こうした点が党支持率に一定の影響を与えている可能性もあります。小選挙区における自民党の獲得議席については、公明党による組織的支援がなくなったことの影響の大きさや、高市内閣の支持層が自民党候補にどの程度追い風となるのかが、現時点では見通しにくい状況です。
比例代表に関しても、高市首相個人を評価しつつも、自民党内の動向に距離を置く有権者の判断がどのように表れるのかは、予測が難しい部分です。「高市早苗に国家運営を託すかどうかを国民に直接問いたい」との首相発言を受け、自民党に投票するのか、それを避けて同じ与党である維新に投票するのかは、選挙結果を待つ必要があります。なお、報道機関による有権者調査は電話調査が中心となっており、無作為にかけられる電話への回答を躊躇する方が少なくない中、有効回答率や回答者の属性に偏りが生じる可能性がある点には留意が必要でしょう。
一方、野党第一党の中革連については、小選挙区において支持層の投票行動がどの程度一貫性を保つのかが注目されます。異なる支持母体を持つそれぞれの支持者が、主張や背景が大きく異なる候補者に投票するかどうかは、選挙区によっては票の分散が生じる可能性も考えられます。
さらに、与野党ともに減税、社会保険負担の軽減、教育無償化、子育て支援といった耳障りのよい政策を掲げており、前回の参議院選挙と比べると、これらのテーマは争点としての差別化が難しくなっています。
■選挙結果は株価に直結、為替と金利は政策対応が焦点
衆議院選挙後の日経平均株価の動向は見通しやすいと考えられます。仮に与党圧勝となった場合、海外投資家による日本株への資金流入がさらに加速する可能性があります。背景には、世界的な投資資金の分散化の流れがあり、米国以外の先進国市場としては、市場規模や流動性の観点から、欧州と日本が主要な選択肢となりやすいためです。
一方で、与党が議席を大きく減らし、政治の先行き不透明感が高まった場合には、海外投資家のリスク回避姿勢が強まり、日本市場全体から資金が流出する可能性も否定できません。
為替および金利については、各党が福祉支出の拡充を公約に盛り込んでいることから、選挙結果にかかわらず、財政支出の拡大が円安および債券価格の下落圧力として作用する可能性があります。一方で、政治の不透明感が強まった場合には、リスク回避の動きから円高や債券高(利回り低下)が進む展開も想定されます。
また、円安や長期金利の上昇が急速に進んだ場合には、日本政府による為替市場への対応や、日銀による長期国債の購入を通じた長期金利の引き下げ(イールドカーブ・コントロール、YCC)の再開が注目される可能性があります。こうした政策対応は、市場変動を抑制する効果を持つことになります。加えて、米国のトランプ政権には米ドル安を誘導しつつ米国の長期金利の上昇は抑えたいという事情があり、日米両政府による実弾を伴う為替協調介入が現実味を帯びてくると考えられます。
もっとも、為替や金利の動きを政策的に抑制した場合、その副作用として実質的な購買力の低下やインフレ圧力が生じる可能性には注意が必要です。
これらを踏まえた、衆議院選挙後の今年3月末時点における日経平均株価および米ドル/円相場の見通しを示したものが図表6です。
図表6 衆議院選挙―勝敗シナリオ別の日経平均・ドル円予想値
■リスクは減らしたいが、ご祝儀相場には乗りたい?
これから2月8日の衆議院選挙に向けて、各種報道やSNS上で、真偽不明の情報や誤解を招きかねない記事が入り乱れることが予想されます。この間も、トランプ大統領がおとなしくしているとは考えにくく、近隣国が硬軟取り混ぜて選挙結果に影響を与えようと仕掛けてくる可能性もあります。
こうした状況に対する有効なイベント投資の手法の一つが、1月20日の「びっくり箱の2月の衆議院選前に備える方法」で紹介した、ミニ日経225オプションを用いた両建て戦略(ストラドルの買い)です。
とはいえ、選挙直後の値動きだけでなく、選挙後の株価動向を見越して投資アイデアを考えるのであれば、以下の前提を押さえておく必要があります。なお、2026年4月には米中会談が予定されており、その後の世界の金融市場における波乱要因となる可能性があるため、ここでは一旦、3月末までの投資を前提としています。
投資アイデアの前提
・財政支出の拡大が避けられず、円安・インフレの進展が見込まれる
→ 株式への投資は資産防衛の観点から一定程度必要
・与党が圧勝した場合、日経平均が急騰する可能性があるため、ご祝儀相場には参加したい
・与党が大きく議席を失った場合には、資金の流れが逆転する恐れがあるため、株価急落にも備えておきたい
衆議院選前に仕掛ける投資アイデア
仮に、現時点で500万円分の日経平均連動ETFを保有しているものとします。前述の前提条件を踏まえると、以下のような形で衆議院選挙を乗り切る投資アイデアが考えられます。
① 70%日経平均連動ETF+5%の資金でコールオプション購入+25%現金
選挙後の株価下落リスクを抑えるため、30%(150万円相当)の株式を売却して現金化します。ただし、このままでは自民党圧勝シナリオとなった場合の株価急騰の恩恵を十分に受けられません。
そこで、現金化した30%のうち、500万円の3〜5%相当(15万円〜25万円)を使って、ATM(現在の日経平均株価と同水準)のミニ日経225オプションのコールオプションを1枚購入します。具体的には、2026年2月限で、現在の日経平均株価に近い権利行使価格のコールオプションを選択します。例えば、日経平均株価が54,000円であれば、権利行使価格54,000円のコールです。
この手法なら選挙後に株価が急騰したら70%はメリットを受けることができ、仮に2月13日のオプション満期時点で、日経平均株価(SQ値)が57,000円であれば、差額の3,000円×100=30万円の受け取りとなります。
② 70%日経平均連動ETF+10%の資金で日本株4.3ブル投資信託購入+20%現金
株価下落リスクを抑えるため、30%(150万円相当)の株式を売却し現金化する点は①と同様です。そのうち、500万円の10%相当(50万円)を使い、日経平均先物の日々の値動きの4.3倍となるよう設計された日本株4.3ブル投資信託を購入します。
これにより、日経平均連動ETF350万円に加え、50万円×4.3=約215万円分の短期的な価格変動リスクを持つことになり、合計で約565万円相当の日経平均株価の変動に連動するポジションとなります。
なお、日本株4.3ブル投信は、商品設計上、長期間保有すると日経平均先物の価格変動の影響で目減りする特性がありますが、1〜2週間程度の短期保有であれば影響は限定的といえます。また、投資信託であるため、日経平均先物が大きく下落した場合でも、投資金額以上の損失が発生しない点は、上昇に備えつつ急落にも対応するという目的に合致しています。衆議院選挙後には、日本株4.3ブルのポジションを数日以内に手仕舞いし、通常の日経平均連動ETFに乗り換えることで、日々の価格変動(振幅)による目減りを回避することが可能です。
③ 70%日経平均連動ETF+30%金ETF
株価下落リスクを抑えるため、30%(150万円相当)の株式を売却し、その資金で純金に投資するETFを購入します。日経平均株価上昇の恩恵は70%分にとどまりますが、同時に円安が進んだ場合には、金ETFが円安分だけ上昇することが期待されます。
また、仮に与党惨敗というシナリオになった場合でも、財政規律の緩みを背景に円売りが進む可能性が残るため、30%の金ETFはポートフォリオ全体のヘッジとして機能することが期待されます。
※特定口座を利用している場合、ETFの売却時に利益が出ていれば、所得税・住民税等が源泉徴収される点にご注意ください。
まとめ
高市政権が信任される結果となった場合の「ご祝儀相場」を取りにいきつつ、下落リスクに備えて一部を現金化し、①コールオプションを使う、②レバレッジ型投資信託(ブル・ベア型の投資信託)を使う、③円売りに備えて金ETFを組み入れる、といった工夫を加えることで、2026年衆議院選挙相場をより安定的に乗り切ることができるのではないでしょうか。
ブル・ベア型の投資信託は、主に短期売買により利益を得ることを目的とした商品です。指数先物取引等を積極的に活用し、日々の基準価額の変動率を各種指数・資産等(以下「対象指数」といいます。)の変動率にあらかじめ定めた倍率(2倍以上またはマイナス2倍以下。以下同じ。)を乗じて得た数値に一致させることを目指して運用されますが、2営業日以上の期間の場合、基準価額の変動率は同期間の対象指数の変動率にあらかじめ定めた倍率を乗じて得た数値とは通常一致せず、それが長期にわたり継続することにより、期待した投資成果が得られないおそれがあります。上記の理由から、一般的に長期間の投資には向かず、比較的短期間の市況の値動きを捉えるための投資に向いている金融商品といえます。
また、対象とする指数の値動きにより基準価額が下落し、非常に大きな損失を被ることがあります。投資元金は保証されているものではなく、基準価額の下落により損失を被り、投資元金を大きく割込むことがあります。
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追加保証金等自動振替サービスは追加保証金が発生した際に便利なサービスです。
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・ 先物・オプションの証拠金についてはこちら(日本証券クリアリング機構のWEBサイト)
・ 指数先物の価格は、対象とする指数の変動等により上下しますので、これにより損失を被ることがあります。市場価格が予想とは反対の方向に変化したときには、比較的短期間のうちに証拠金の大部分、またはそのすべてを失うこともあります。その損失は証拠金の額だけに限定されません。また、指数先物取引は、少額の証拠金で多額の取引を行うことができることから、時として多額の損失を被る危険性を有しています。
・ 日経平均VI先物取引は、一般的な先物取引のリスクに加え、以下のような日経平均VIの変動の特性上、日経平均VI先物取引の売方には特有のリスクが存在し、その損失は株価指数先物取引と比較して非常に大きくなる可能性があります。資産・経験が十分でないお客さまが日経平均VI先物取引を行う際には、売建てを避けてください。
・ 日経平均VIは、相場の下落時に急上昇するという特徴があります。
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日経平均VIは、急上昇した後に数値が一定のレンジ(20~30程度)に回帰するという特徴を持っています。
日経平均VIは、短期間で急激に数値が変動するため、リアルタイムで価格情報を入手できない環境での取引は推奨されません。
・ 指数オプションの価格は、対象とする指数の変動等により上下しますので、これにより損失を被ることがあります。なお、オプションを行使できる期間には制限がありますので留意が必要です。買方が期日までに権利行使又は転売を行わない場合には、権利は消滅します。この場合、買方は投資資金の全額を失うことになります。売方は、市場価格が予想とは反対の方向に変化したときの損失が限定されていません。また、指数オプション取引は、市場価格が現実の指数に応じて変動しますので、その変動率は現実の指数に比べて大きくなる傾向があり、場合によっては大きな損失を被る危険性を有しています。
・ 未成年口座のお客さまは先物・オプション取引口座の開設は受付いたしておりません。
・ 「J-NETクロス取引」で取引所 立会市場の最良気配と同値でマッチングする場合、本サービスをご利用いただくお客さまには金銭的利益は生じないものの、SBI証券は委託手数料を機関投資家から受け取ります。
・ J-NETクロス取引の詳細は適宜修正される可能性がありますのでご留意ください。
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