与党「大勝」株価急騰、そのあとは?

投資情報部 鈴木英之 植田雄也
2026/02/10
与党の大勝で日経平均株価史上最高値更新
■ 2月第1週(2/2-2/6)の株式市場動向
日経平均株価の2/6(金)終値は54,253円68銭で、前週末比930円83銭(1.74%)高と週足ベースで反発。
■ 騰落率の傾向(2/2-2/6)(図表4・5)
・上昇率上位:ふくおかフィナンシャルグループ(8354)が上昇率トップ。業績ガイダンスの上方修正や収益の質の改善などが好感されました。
同社は4日、2026年3月期の連結純利益見通しを850億円(前期比18%増)へ上方修正し、3期連続の増益を達成する計画です。金利上昇局面を背景とした貸出利息収益の拡大を見込んでいます。株主還元も強化し、年間1株配当金は180円へ従来予想比10円増配(前期135円)とする方針を示しています。
・下落率上位:コナミグループ(9766)が下落率トップ。
コナミは決算の数字自体は堅調でしたが、直近までの上昇で期待が先行していました。材料出尽くし・利益確定が出やすいタイミングであった可能性があります。
■ 2月第2週のスタート(2/9)
日経平均株価の2/9(月)終値は56,363円94銭で、前週末比2,110円26銭高(3.88%)と大きく上昇。東証プライム市場の売買代金は10.4兆円と過去最大を記録しました。
2/8(日)衆院選の投開票にて、自民党は316議席を獲得し歴史的大勝となりました。与党で衆院の 3分の2超 を確保し、法案の再可決や憲法改正の発議が可能となりました。政治の安定期待から、市場では政権の政策が迅速に進むとの見方が強まっています。
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図表1 日経平均株価の値動きとその背景
図表2 日経平均株価
図表3 日米欧中央銀行会議の結果発表予定
図表4 日経平均株価採用銘柄の騰落率上位(1/30-2/6)
図表5 日経平均株価採用銘柄の騰落率下位(1/30-2/6)
与党「大勝」株価急騰、そのあとは?
2/8(日)、第51回衆議院議員選挙(定数465議席)の投開票が行われました。高市首相率いる自由民主党は316議席を獲得しました。定数の過半数を確保するのみならず、参議院で否決された法案の再可決や憲法改正発議に必要な310議席(定数の3分の2)超も確保。さらに日本維新の会の獲得議席を含めると、定数の4分の3を占め、自民党・与党にとっては「大勝」と言える結果でした。
一般的に、株式市場は政治の安定を望む傾向があります。事前の世論調査から自由民主党および与党の勝利はある程度予想されていましたが、ここまで自由民主党が勝利するとの見方は少なかったかもしれません。この選挙結果により、高市政権が打ち出す政策がスピーディーに実行される可能性が大きくなったことは確かでしょう。
図表6は、「小選挙区比例代表制」導入以降の総選挙における自民党含む連立与党の獲得議席数比率の推移を示したものです。赤色で示したのが今回の結果、黄色で示したのが与党獲得議席比率が定数の「3分の2超」となった総選挙を示しています。確かに今回の自民党・与党は「大勝」したといえますが、「小選挙区比例代表制」は支持率トップの政党に票が集中しやすい傾向があり、与党獲得議席比率が定数の「3分の2超」となったこと自体はさほど珍しくないとみられます。
図表6 総選挙における自民党含む連立与党の獲得議席数比率の推移(小選挙区比例代表制導入以降)
今後はどうなるでしょうか。前週末2月6日(金)時点の日経平均株価は25日移動平均線に絡んだ動きで「三角保ち合い」の範囲内にありました。2月9日の大幅高によりそこから「上放れ」となった形であり、過熱感よりも先高観を意識させるチャート形状のように見受けられます。日経平均株価は、安定した高市政権を前提とした一段上のレンジに移行した可能性があります。半面、日経平均株価の予想PERが20倍を超えてきたことで利益確定売りも増えそうです。日経平均株価が6万円まで上昇するには、多少時間が必要かもしれません。
なお、日経平均株価が高値圏で推移する中、多くの投資家が「AI(人工知能)をテーマとする株高は行き過ぎではないか」という警戒感を抱くかもしれません。確かに一部に割高感を強める銘柄も出ています。ただ、より気を付けるべきは「AIが既存市場から奪う市場規模が過小評価されている可能性」です。
米国市場では一部で「SaaSの死」が警戒されていますが、これまでソフトウェア企業が提供してきた機能の一部がAIに代替されるケースは出てくるかもしれません。逆に、市場の懸念が杞憂となっているケースもあるかもしれません。
東京株式市場は、自民党が総選挙に「大勝」し、全面高商状ですが、その水面下で相場の変質が進んでいる可能性には注意が必要です。折しも、2月第2週(2月9日〜2月13日)は2025年10〜12月期の決算発表がピークとなります。企業から発信される「変化の兆し」には十分注意したいと思います。
図表7 「保ち合い放れ」となった日経平均株価
一般的に選挙、特に総選挙は「買い」となるケースが多いようです。第25回総選挙(投開票日:1952年10月1日)以降、今回の第51回総選挙まで、解散日(任期満了含む)~投開票日(ほとんどが翌営業日)の日経平均株価は平均1.9%の上昇という結果です。勝敗では20勝7敗です。解散から投開票日までは、各党が競って、選挙民に受けの良い公約を掲げて戦う傾向があり、それを反映して株価も高くなる傾向があるようです。
しかし、第25回総選挙以降、前回の第50回総選挙まで、投開票日(ほとんどが翌営業日)から31日後(休日を含む)の日経平均株価は平均0.4%の上昇にとどまるという結果です。勝敗では12勝14敗で「負け越し」です。選挙が終わった後、市場は政権与党の政策を見極めようと、慎重姿勢に転じやすい傾向があるようです。
ただ、やや視点を変え「政権与党が定数の3分の2を確保した場合」の日経平均株価のパフォーマンスを見た場合、図表8が参考になります。なんと、小選挙区比例代表制が採用された第41回総選挙以降、投開票日から31日後の日経平均株価が下落するのは、与党獲得議席比率が3分の2を切ったときに限られています。逆に、与党の比率が3分の2(66.7%)を上回った場合、勝敗では3勝1敗、平均3.1%上昇という好パフォーマンスになっています。
今回の第51回総選挙の翌営業日(2月9日)の日経平均株価終値は56,363円です。今回、与党の獲得議席数は定数の3分の2を上回りました。過去データが示す平均値通り、31日後の3月12日に株価が3.1%上昇するならば、日経平均株価は58,000円台を期待できることになりますが、果たして期待通りになるでしょうか。
図表8 総選挙後31日間の日経平均株価騰落率
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