波乱の日経平均、「反発の芽」を探る

投資情報部 鈴木 英之 植田 雄也
2026/03/24
資源高と地政学で揺れる日本株
■ 3月第3週(3/16-3/19)の株式市場動向
日経平均株価の3/19(木)終値は53,372円53銭で、前週末比-447円08銭安(-0.83%)と週足ベースで続落となりました。週前半は、資源・景気敏感株が支える一方、ハイテク株の弱さが重しとなり軟調に推移。3/18(水)には中東情勢への過度な警戒感の後退を背景に、大幅反発したものの、3/19(木)は中東情勢の緊迫化と米株式のテクニカル悪化を受けてリスクオフ姿勢が強まり、下押し圧力の強い展開となりました。
■ 騰落率の傾向(3/13-3/19)(図表4・5)
・上昇率上位:商船三井(9104)、日本郵船(9101)などの海運株が上昇を主導しました。中東情勢の緊迫化による原油高や航路混乱を背景に運賃上昇期待が高まりました。加えて商船三井(9104)へのアクティビスト参入が株主還元期待を押し上げました。市況改善と資本効率改革の思惑が重なり、海運大手に資金が流入しました。
・下落率上位:資本財・素材セクターに売りが優勢となりました。世界景気の先行き不透明感に加え、原油高を背景としたインフレ再燃懸念、米利下げ観測の後退を織り込む形で、景気敏感株に対する先回り的なポジション調整が進んだ可能性が考えられます。
■ 3月第4週のスタート(3/23)
日経平均株価の3/23(月)終値は51,515円49銭で、前週末比1,857円04銭安(-3.48%)と下落。TOPIXは2/27(金)の史上最高値から下落率が10%を超え、テクニカル面で調整局面入りが意識されました。この日は日経平均株価も一時、前週末比2,600円超下落し、約2カ月半ぶりに5万1,000円を割り込む展開となりました。
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図表1 日経平均株価の値動きとその背景
図表2 日経平均株価
図表3 日米欧中央銀行会議の結果発表予定
図表4 日経平均株価採用銘柄の騰落率上位(3/13-3/19)
図表5 日経平均株価採用銘柄の騰落率下位(3/13-3/19)
波乱の日経平均、「反発の芽」を探る
東京株式市場では、3/19(木)・3/23(月)の2営業日累計で日経平均株価が3,724円安となりました。米国とイスラエルによる対イラン戦争が長期化の様相を見せており、原油価格には上昇圧力がかかっています。これにより、世界的にインフレ再燃への懸念が強まっています。
こうした中、現地時間3/18(水)まで開催されたFOMC(米連邦公開市場委員会)では、金融政策の据え置き自体は市場の予想通りでした。ただし、パウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長の発言が「利下げに慎重」と受け止められたことで、年内の米利下げ観測が後退し、株価下落につながりました。
日本時間3/23(月)13時30分時点における、米金融政策の織り込み状況を示す「Fedウオッチ」(図表6)を見ると、米金融緩和期待の後退を受け、米国では長期金利が上昇しました。金利面での米国の魅力が回復方向に向かったこともあり、安全資産とされてきた金先物価格は急落するなど、金融市場は全体として波乱含みの動きとなっています。
図表6 短期金融市場は次回および年末のFOMC後の「利上げ」を何%織り込んでいるのか?
図表7 3月に入り米10年国債利回りは上昇し、金先物価格は下落
イラン情勢については、現時点で明確な好転材料が確認できていないため、市場参加者の間では、当面はリスクオフ姿勢が続くとの見方が優勢です。トランプ米大統領がイラン発電所の攻撃延期と同国との交渉の可能性を示唆し、3/24(火)の東京株式市場ではいったん買い戻しが先行していますが、日々大きく振れる同大統領の発言に振り回されているという構図に変化はありません。
もっとも、日経平均株価がいったん年初来の安値近辺まで下落し、テクニカル面からは徐々に「下値の目安」が意識され始めています。日経平均株価がさらに下押しした場合、以下のような重要な支持ラインに到達する可能性があります。
・(1)51,230円
日経平均株価が25日移動平均線に対してマイナス8%乖離する水準。一般に25日移動平均線から±7~8%程度が反転の目安とされます。
・(2)50,339円
2025年の大納会終値に相当します。
・(3)50,000円
心理的な節目となる水準です。
短期的には不安定な値動きが続いていますが、売られ過ぎ感が意識されやすい水準が徐々に視野に入りつつある点は見逃せません。
また、株価急落の陰に隠れた形ではありますが、現地時間3/19(木)に米国で行われた日米首脳会談については、日米関係を後退させることなく、艦船のペルシャ湾派遣を回避できた点を評価する声が多く聞かれます。結果として、軍事的な緊張が一段と高まる最悪のシナリオは回避されました。
時をほぼ同じくして、日本は欧州主要国(イギリス、フランス、ドイツ、オランダ、イタリア、のちに欧州以外も含め参加国は増加)とともに、ペルシャ湾における安全航行を目指す共同声明を発表しています。欧州や日本にとって、イランと積極的に対立する必要性は乏しく、外交的な立場からは、今後何らかの妥協点が見いだされる可能性も残されています。
現状は不透明感が強く、投資家心理も慎重にならざるを得ませんが、地政学リスクが一定程度織り込まれつつあることや、テクニカル面での下値意識の高まり、さらには外交面での緊張緩和余地を考慮すると、市場の先行きに対して「反発の芽」が完全に失われたわけではありません。荒れた相場環境の中でも、冷静に状況を見極める局面に入りつつあると言えそうです。
図表8 日経平均株価と25日移動平均線・同移動平均線からの乖離率(過去1年・%)
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