日経平均ロングとグロース250ショート、いま有効と考える理由は?

投資情報部 土居雅紹 根津真由子
2026/07/07
AI・半導体関連の主導続く、7月第1週の株式市場動向
■ 7月第1週(6/29-7/3)の株式市場動向
日経平均株価の7/3(金)終値は69,744円07銭で、前週末比383円19銭(+0.55%)高と週足ベースで小幅に反発しました。
週前半は3営業日続伸し、AI・半導体関連への資金流入を背景に6/30(火)には終値ベースで7万円台を回復。6月の日経平均株価は月間で3,732円82銭(+5.62%)上昇し、初の7万円の大台に乗せました。
7/2(木)は米半導体株安を受け1,741円81銭安となる場面もありましたが、7/3(金)には前日に発表された米雇用統計が市場予想を下回ったことを受け、利上げ観測が後退し、出遅れ銘柄中心に買いが入り1,010円92銭高と反発しました。
■ 騰落率の傾向(6/26-7/3)(図表4・5)
・上昇率上位:SUMCO(3436)が上昇率トップ。半導体用シリコンウェーハ専業メーカーです。7/6(月)には連日で年初来高値を更新しました。
ほかにも上昇率上位には半導体製造装置大手のSCREENホールディングス(7735)や先端半導体の設計開発を手がけるソシオネクスト(6526)がランクイン。AI・半導体関連への資金流入は継続しています。
・下落率上位:フジクラ(5803)が下落率トップ。大手電線メーカーで、データセンター向け光ファイバーも手がける企業です。
同社を含む電線株は前週以降すでに反落傾向でしたが、7/2(木)は特に、米国時間前日7/1(水)にデータセンター向け光部品を手がけるコーニングが急落したことを受け、光ファイバーを手がける同社に売りが波及しました。
■ 7月第2週のスタート(7/6)
日経平均株価の7/6(月)終値は69,737円69銭で、前週末比6円38銭安(-0.01%)と横ばい。指数寄与度の高いAI・半導体関連には利益確定売りが先行し、指数を押し下げました。
一方で、TOPIXは採用銘柄の7割以上が値上がりし、6営業日続伸。史上最高値を更新しました。円安進行を受け、円安メリット銘柄である輸出関連に買いが広がりました。
今週はファーストリテイリング(9983)、セブン&アイ・ホールディングス(3382)など重要な小売業の決算発表が続きます。
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図表1 日経平均株価の値動きとその背景
図表2 日経平均株価
図表3 日米欧中央銀行会議の結果発表予定
図表4 日経平均株価採用銘柄の騰落率上位(6/26-7/3)
図表5 日経平均株価採用銘柄の騰落率下位(6/26-7/3)
日経平均ロングとグロース250ショート、いま有効と考える理由は?
■グロース250指数は日経平均株価・TOPIXに対して劣後
このところ日経平均株価は史上最高値圏での推移が続き、AI・半導体関連株を中心とした強気の相場報道が目立ちます。しかし、株式市場全体が一様に強いわけではない点には注意が必要です。
2022年1月を起点に、日経平均株価、TOPIX、東証グロース市場250指数(以下、「グロース250指数」)※の相対リターンを比較すると、グロース250指数の弱さが際立ちます(図表6)。日経平均株価やTOPIXが最高値圏で推移する一方、グロース250指数は同期間のパフォーマンスが劣後していて、その差は年々広がる傾向にあります。このため、「日経平均株価は強い」という各種メディアでの報道と、東証グロース市場に上場する銘柄を保有する投資家の体感との間には大きなギャップが生じていると思われます。
※旧・東証マザーズ指数。2023年11月6日に名称変更され、本レポートでは連続系列として取り扱っています。
■3つの構造的要因
この出遅れは、一時的な需給要因だけでなく、以下の3つの構造的な要因が複合的に作用していると考えられます。
第1に、海外資金の動向です。海外投資家が日本株への資金配分を増やす局面では、個別の中小型株よりも、売買しやすく流動性の高い大型株・株価指数に資金が向かいやすい傾向があります。また、時価総額300億円以下では、そもそも海外機関投資家の投資対象にされないという見方もあります※。その結果、プライム市場上場銘柄から選定される日経平均株価や、浮動株時価総額加重型で大型株の寄与が大きくなるTOPIXの方が、東証グロース市場に上場する銘柄よりも買われやすくなっていると考えられます。
※海外のアクティビスト投資家や小型株主体の海外ファンドなどの例外はあります。
第2に、AI・半導体関連株の構成の違いです。日本市場においてAI・半導体関連の主力銘柄は大型株が中心であり、日経平均株価における構成比率が高いため、AI・半導体相場が続くほど日経平均株価が押し上げられやすい構造になっています。一方、グロース市場にはこうした大型のAI・半導体関連株はほとんど存在しません。
第3に、グロース市場特有の制度上の構造です。グロース市場は、成長を遂げた銘柄が申請・審査を経てプライム市場やスタンダード市場へと移行していく流れが一般的で、これは類似の新興株も多く上場している米国のNASDAQ市場にはみられない特徴です。優良な成長株が指数から抜けていく一方、市場に残された銘柄群のパフォーマンスは、卒業していった銘柄に劣る傾向が強くなります。この結果、グロース250指数は日経平均株価やTOPIXに対して構造的に劣後し続けやすい状態にあると考えられます。
■現時点で検討できる戦略
以上を踏まえると、現時点では、ミニ日経225先物(または日経225マイクロ先物)のロングとグロース250指数先物のショートを組み合わせる戦略、あるいはミニTOPIX先物のロングとグロース250指数先物のショートを組み合わせる戦略を検討する余地があると考えられます。
AI・半導体相場が今後も続くとみるのであれば前者(日経225先物のロング)が、AI・半導体一色ではなく物色テーマが分散していくとみるのであれば後者(TOPIX先物のロング)が適している可能性があります。
なお、日経225先物とTOPIX先物のロング・ショート(いわゆる「NTトレード」)は、AI・半導体相場の強弱によって優劣が入れ替わりやすく、方向性を読むのが難しい組み合わせです。一方、日経225先物かTOPIX先物のいずれかのロングと、グロース250指数先物のショートを組み合わせる戦略は、市場構造と株価指数の設計に根差した要因を考慮すれば、NTトレードに比べてAI・半導体相場の動向による影響を受けにくいと考えられます。
■実践上の留意点
この戦略を実践するうえでは、ロングとショートの想定元本(先物価格×倍数×取引枚数)をなるべく揃えることが重要です。想定元本が偏ると、実質的には方向性を伴ったポジションになってしまい、ロング・ショート戦略本来の狙いである「構造的な格差からの収益獲得」から外れてしまうためです。
ただし、先物の種類(ラージ、ミニ、マイクロ)と1枚当たりの想定元本の違いから、ロングとショートの想定元本を完全に一致させることは難しいのが実情です。あくまで「だいたい揃える」という感覚で調整することが現実的です。その際に、全体としてロング気味にするかショート気味にするかを決めることが、そのまま相場観の反映になります。例えば、AI・半導体相場の継続に自信があるならややロング気味に、先行きに不透明感を感じるならややショート気味に傾けるといった具合です。
なお、日本株買いの矛先がグロース市場に向かうような状況となれば、上記のポジションから損失が生じる可能性があるので注意が必要です。
■まとめ
日経平均株価の最高値更新が話題となる裏で、グロース250指数の出遅れには構造的な背景があります。この歪みを踏まえたロング・ショート戦略は、方向感の読みにくい相場でも規律を持って取り組みやすい選択肢の一つといえるでしょう。
本レポートは過去データに基づくものであり、将来の運用成果を示唆・保証するものではありません。また、特定の商品や投資手法を推奨するものではありません。実際の投資成果は、購入する商品、為替、信託報酬、分配金、売買タイミングなどにより異なります。投資判断は、ご自身の資産状況、投資目的、リスク許容度等を踏まえて行ってください。
図表6 日経平均株価、TOPIX、グロース250指数の相対パフォーマンス(2022/1/4~2026/7/3)
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・ 日経平均VI先物取引は、一般的な先物取引のリスクに加え、以下のような日経平均VIの変動の特性上、日経平均VI先物取引の売方には特有のリスクが存在し、その損失は株価指数先物取引と比較して非常に大きくなる可能性があります。資産・経験が十分でないお客さまが日経平均VI先物取引を行う際には、売建てを避けてください。
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日経平均VIは、短期間で急激に数値が変動するため、リアルタイムで価格情報を入手できない環境での取引は推奨されません。
・ 指数オプションの価格は、対象とする指数の変動等により上下しますので、これにより損失を被ることがあります。なお、オプションを行使できる期間には制限がありますので留意が必要です。買方が期日までに権利行使または転売を行わない場合には、権利は消滅します。この場合、買方は投資資金の全額を失うことになります。売方は、市場価格が予想とは反対の方向に変化したときの損失が限定されていません。また、指数オプション取引は、市場価格が現実の指数に応じて変動しますので、その変動率は現実の指数に比べて大きくなる傾向があり、場合によっては大きな損失を被る危険性を有しています。
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