金利が上昇!日経平均は大丈夫?

金利が上昇!日経平均は大丈夫?

投資情報部 鈴木英之 植田雄也

2026/07/14

TOPIXは終値ベースで史上最高値更新

■ 7月第2週(7/6-7/10)の株式市場動向

日経平均株価の7/10(金)終値は68,557円73銭で、前週末比1,186円34銭安(-1.70%)と週足ベースで下落しました。週初から半ばにかけては、半導体株の調整と中東情勢の緊迫化を受けて続落。その後は、米ハイテク株高を背景にAI・半導体関連株へ買い戻しが入り、週後半に反発しました。


■ 騰落率の傾向(7/3-7/10)(図表4・5)

・上昇率上位:メルカリ(4385が上昇率トップ。上位には銀行・証券株が多く並び、長期金利上昇を背景にグロース株からバリュー株、なかでも金融セクターへ資金がシフトした様子がうかがえます。

・下落率上位:太陽誘電(6976が下落率トップ。積層セラミックコンデンサ(MLCC)を中心とする電子部品メーカーです。サムスン電子の第2四半期暫定業績発表を受けて利益確定売りが優勢となり、その流れが半導体・電子部品セクター全般に波及したことが、下落の主因とみられます。


■ 7月第3週のスタート(7/13)

日経平均株価は前週末比1,315円00銭安の67,242円73銭と下落しました。一方、三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306)は時価総額42兆円で国内首位に浮上し、7/13終値ベースの業種別TOPIX時価総額構成比でも、銀行業は12.48%と電気機器に次ぐ第2位につけています。
今週は米国企業の決算発表が本格化し、大手金融機関の決算が相次ぎます。市場では、投資銀行業務やトレーディング収益に加え、スペースXの新規株式公開に関連する手数料収入が業績をどの程度押し上げるかに注目が集まります。

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図表1 日経平均株価の値動きとその背景

図表2 日経平均株価

図表3 日米欧中央銀行会議の結果発表予定

図表4 日経平均株価採用銘柄の騰落率上位(7/3-7/10)

図表5 日経平均株価採用銘柄の騰落率下位(7/3-7/10)

金利が上昇!日経平均は大丈夫?

◎実は長期金利の上昇局面は株価上昇局面

東京株式市場が調整局面を迎えています。日経平均株価は6/25(木)に終値ベースで72,366円の史上最高値を付けた後、下落に転じ、一時67,000円を下回る場面もみられました。一方、国内債券市場では長期金利(長期国債利回り)が7/9(木)に一時2.900%を付け、1996年9~10月以来の高水準となりました。

一般的に長期金利の上昇は、住宅ローンなどの利払い負担の増加を通じて、家計の消費や住宅購入に逆風になると考えられます。また、企業にとっても借入金の利払い負担が増えることで、設備投資を抑制する要因になります。さらに、多額の国債を発行する政府にとっても、将来の利払い負担が増えるため、財政出動を抑制する要因になると考えられます。

このように長期金利の上昇は、家計・企業・政府のいずれにとってもマイナスの影響をもたらすことが多く、株式市場にとっても逆風と考えるのが自然かもしれません。

それでは、過去も「金利上昇=株安」となってきたのでしょうか。

図表6は、1996年6月以降の日経平均株価と長期金利(10年国債利回り)の推移を比較したものです。2020年頃を境に長期金利は上昇していますが、株価も上昇していることが一目瞭然です。逆に、2012年頃までは長期金利が長期間にわたって低下傾向にありましたが、株価も低迷が続いていました。

歴史を振り返ると、長期金利の上昇はむしろ株価上昇と並行して進んできました。なぜなら、長期金利には景気や物価に対する見通しが反映されるからです。長期金利が上昇しているということは、多くの場合、企業活動が活発化し、資金需要が強まっていることを示しています。また、物価上昇傾向が今後も続くとの見方が強まっていることも意味します。

一方、2012年頃まではデフレ基調が長く続き、企業は販売価格の下落圧力にさらされていたため、業績も低迷しがちでした。「失われた20年」と呼ばれる時代には、モノやサービスの価値が下がりやすく、企業業績も伸び悩み、株価も長期低迷を余儀なくされました。

日本経済がデフレから脱却する転機となったのが、2012年末の第2次安倍政権の発足と、2013年に始まった異次元の金融緩和です。2012年末以降、日経平均株価は将来のデフレ脱却や長期金利上昇を先取りするかのように上昇へ転じ、現在に至っています。

もっとも、図表6を見ると、足元の長期金利の上昇ペースはかなり急です。家計や企業、政府にとってマイナスの影響も懸念されますが、本当に心配する必要があるのでしょうか。

図表6 日経平均株価と長期国債利回り

◎重要なのは「名目金利」ではなく「実質金利」

金利変動が経済や株価に与える影響を考える際には、名目金利ではなく実質金利に注目することが重要です。

実質長期金利 = 名目長期金利 − 物価上昇率

例えば長期金利が3%でも、物価上昇率も3%であれば、企業は値上げによって売上を伸ばしやすく、政府もGDP成長を通じて税収増が期待できます。そのため、実質的な金利負担はそれほど重くありません。一方、実質金利が高ければ金融環境は引き締め的となり、逆に低ければ緩和的となります。また、デフレは実質金利の上昇を通じて景気や株価の重荷となります。

図表7で過去30年の日経平均株価と実質長期金利(=10年国債利回り-前年比CPI上昇率)を比較すると、その関係がよく分かります。

1990年代から2012年頃まではデフレが続きました。名目金利は低下していたものの、物価も下落していたため実質金利は高止まりし、「名目は低金利でも実質的には金融引き締め」という状態が続きました。株価が長期低迷した背景の一つと考えられます。特にリーマンショック後の2009年には、デフレの進行によって実質金利が大幅に上昇しました。

その後、2013年の異次元金融緩和によって実質金利は低下基調へ転じました。いわゆるアベノミクス相場では円安と株高が進み、日経平均株価も大きく上昇しました。ただし、2016年のマイナス金利政策導入後も物価上昇率は低く、実質金利の低下は限定的だったため、株価は方向感に乏しい展開となりました。

大きな転換点となったのは2022年以降です。資源高や円安を背景に物価上昇率が高まりましたが、日銀は長期間にわたり名目金利を低く抑えました。その結果、実質長期金利は2023年初めに大幅なマイナス圏へ低下し、非常に緩和的な金融環境が生まれました。これが日本株の大幅上昇を支える要因となり、日経平均株価はバブル後の高値更新へとつながりました。

このように、株式市場にとって重要なのは名目金利の水準ではなく、物価上昇率を差し引いた実質金利です。2013年のアベノミクス相場入りや2022年以降の株高局面は、いずれも実質金利の低下と重なっています。このように、日本株の上昇には実質金利の低下も相場を下支えした要因の一つと考えられます。

もっとも、足元では実質金利がプラス圏へ接近しつつあります。実質的な金融環境が引き締め方向へ向かう可能性もあるため、今後の実質金利の動向は日本株を見通すうえで重要なチェックポイントになりそうです。

図表7 日経平均と実質長期金利

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信用取引のご注意事項

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・ 日経平均VI先物取引は、一般的な先物取引のリスクに加え、以下のような日経平均VIの変動の特性上、日経平均VI先物取引の売方には特有のリスクが存在し、その損失は株価指数先物取引と比較して非常に大きくなる可能性があります。資産・経験が十分でないお客さまが日経平均VI先物取引を行う際には、売建てを避けてください。

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・ 日経平均VIは、急上昇した後に数値が一定のレンジ(20~30程度)に回帰するという特徴を持っています。
日経平均VIは、短期間で急激に数値が変動するため、リアルタイムで価格情報を入手できない環境での取引は推奨されません。

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