中間選挙の年の8月、トランプ政権の「冒険」に備える

投資情報部 土居雅紹 根津真由子
2026/08/04
日経平均株価、7月は半導体株安で反落
■ 7月第5週(7/27-7/31)の株式市場動向
日経平均株価の7/31(金)終値は64,362円02銭で、前週末比249円13銭安(-0.39%)と週足ベースで小幅に反落しました。
世界的な半導体株安を受けて7/28(火)には2,000円を超える大幅下落となりましたが、7/30(木)以降は好決算銘柄への買いに加え、米ハイテク株の好決算を主因にAIへの過剰投資懸念が後退。AI・半導体株にも見直し買いが入り、週を通しては小幅な下落にとどまりました。
7月の日経平均株価は月間で約5,700円安(-8.14%)と、4ヵ月ぶりに反落。AI・半導体関連株が大きく下げ、日経平均株価を押し下げました。
■ 騰落率の傾向(7/24-7/31)(図表4・5)
・上昇率上位:オリエンタルランド(4661)が上昇率トップ。東京ディズニーランド・シーの運営や、ホテルなどのリゾートを展開している企業です。
同社は7/30(木)に2026年4~6月期の連結決算を発表。純利益は412億円(前年同期比+50.3%)で、過去最高を更新。市場予想を上回る結果となり、内容が好感され、買いが集まりました。
・下落率上位:SCREENホールディングス(7735)が下落率トップ。半導体製造装置の製造・販売を手がける企業です。
同社は7/28(火)に2026年4~6月期の連結決算を発表。2027年3月期通期見通しを上方修正しましたが、市場予想を下回る形となり、嫌気売りがでました。
ほかにも、下落率上位には半導体関連企業が名を連ねており、世界的な半導体株安が日本国内の株にも波及したことがうかがえます。
■ 8月第1週のスタート(8/3)
8/3(月)の日経平均株価の終値は63,754円90銭で、前週末比607円12銭安(-0.94%)と3営業日ぶりに反落しました。
日米協調介入による急速な円高進行が警戒され、自動車などの輸出関連銘柄に売りが出ました。
日本国内は決算発表ラッシュを迎えます。決算発表を手掛かりにした商いにも注目が集まります。
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図表1 日経平均株価の値動きとその背景
図表2 日経平均株価
図表3 日米欧中央銀行会議の結果発表予定
図表4 日経平均株価採用銘柄の騰落率上位(7/24-7/31)
図表5 日経平均株価採用銘柄の騰落率下位(7/24-7/31)
中間選挙の年の8月、トランプ政権の「冒険」に備える
■ 米国・イスラエルとイランをめぐる軍事衝突で不透明感、日経平均はAI・半導体株次第
米国・イスラエルとイランをめぐる軍事衝突の不透明感が市場に残っています。日経平均株価をテクニカル分析のパラボリックで見ると、日足は6/30から、週足は7/21-7/24週から売りシグナルが続く一方(図表6)、月足では依然として買いシグナルです。時間軸(タイムホライゾン)によって強弱感が分かれているため、判断の難しい局面といえます。
ここまで相場を牽引してきたAI・半導体関連株の調整は大きくなっていますが、反転の兆しもみられます。キオクシアホールディングス(285A)は6/22に日中高値112,700円を付けた後、7/30の安値36,020円まで約68%下落しました。株価は高値の32%程度の水準で、これは投資格言「半値、八掛け、二割引き」(0.5×0.8×0.8=32%)が示す経験則の底値水準でした。翌7/31には日米の企業決算でAI導入の拡大が継続していることを好感して、同社株はストップ高の46,500円に反転上昇しました。
一方、15年ぶりの日米両政府による協調介入がもたらした「円高」の効果持続は日米政策金利の動向次第という見方が残り、日経平均株価が本格的な上昇軌道に戻れるかどうかは、引き続き米国株、とりわけ米国のAI・半導体関連株の動向に大きく左右されそうです。
図表6 テクニカル分析のパラボリックで見ると、日経平均株価(週足)は売りシグナルに転換(2025/8/2~2026/7/31)
■ 過去約20年の季節性でみると、8月は軟調
8月は欧米のバケーションシーズンにあたり薄商いとなりやすく、その中でショックが増幅されやすい——こうした印象を持つ市場関係者は少なくないでしょう。実際、ソ連のクーデター未遂(1991年)、ロシア財政危機(1998年)、パリバショック(2007年)、米国債の格下げ(2011年)、チャイナショック(人民元切り下げ、2015年)、ジャクソンホール会合でのパウエルFRB議長のタカ派発言(2022年)、「令和のブラックマンデー」(2024年)など、「8月は荒れる」とされるイベントは数多くあります。
そこで、2006年8月から2026年7月までの日経平均株価の月次騰落率(単純変化率)を月別に集計しました(図表7)。8月の平均騰落率は-0.8%と、1月(-0.6%)と並んで12カ月の中でも軟調な部類です。最大値は+6.6%にとどまる一方、最小値は-8.9%と下振れも小さくありません。年によるばらつきは大きく、「8月はほぼ下がる」とは言えませんが、平均が小幅ながらマイナスである以上、過度に強気へ傾かず、下振れを一定程度は警戒しておくのが現実的な対応といえそうです。
■ 中間選挙の年の8月、押し目を探す局面も
2026年11月には米中間選挙が控えています。日程を踏まえると、8月は選挙を意識したトランプ政権の動きが相場材料となりやすい時期と考えられます。トランプ政権の懸案は米国・イスラエルとイランをめぐる軍事衝突と米国内のインフレで、前者はイランの根強い抵抗と価値観の違いによる相互不信、後者は原油高と関税政策が絡み、いずれも早期の沈静化は見込みにくい状況です。中間選挙前に成果を出す狙いから、トランプ政権が対外的な「冒険」に打って出る可能性も念頭に置いておきたいところです。
もっとも、8月の騰落率をアノマリーとして見ると方向感は割れています。2006年8月から2026年7月の期間のうち、トランプ政権下に限れば8月の平均騰落率は+1.4%(観測数5)であった一方、中間選挙の年に限った場合は-0.4%(観測数5)と符号が逆でした。「トランプ政権だから」「中間選挙の年だから」と一括りにはできないということです。
足元ではAI・半導体関連株が大きく売り込まれた一方、直近では市場コンセンサスを上回る上方修正や好決算に株価が素直に反応しています。したがって8月は、好業績予想に反して売り込まれた銘柄について、業績具現化の確度を慎重に見極めながら、タイミングを分けて押し目を段階的に仕込む局面と考える余地もありそうです。
図表7 日経平均株価の月次騰落率(2006/8-2026/7)では8月はマイナス
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