2026年躍進か?IPO後に株価が伸びた6銘柄

2026年躍進か?IPO後に株価が伸びた6銘柄

投資情報部 鈴木 英之 髙田航輝

2026/07/08

信用取引において必要となるその他諸費用の詳細は信用取引のサービス概要をご確認ください。

2026年躍進か?IPO後に株価が伸びた6銘柄

今回のテーマはIPOです。

IPO(Initial Public Offering)は新規株式公開のことで、未上場企業が証券取引所に株式上場し、一般の投資家が株式を取引できるようにすることをいいます。みなさんの中にも、ブックビルディングや募集申し込みをした経験がある投資家の方がいらっしゃるかもしれません。

今回はこれから上場する銘柄ではなく、すでに上場した銘柄の、その後の様子を探ってみようと思います。

IPOというと初値が注目されることが多いのではないかと思います。初値が高くなれば、公募価格で買い付けた投資家は含み益を得ることができます。

一方で、初値形成後は取引が活況であったものの、その後は取引が閑散とする銘柄や売りが優勢となり、下落基調が続く銘柄も少なくありません。

そこで昨年上場した銘柄にスポットを当てて、IPOのその後について解説していきます!

スクリーニング条件は以下のとおりです。

(1)東証グロース市場または東証スタンダード市場に上場

(2)時価総額が100億円以上

(3)2025年に上場した銘柄であること

(4)株式分割考慮後で、7月7日の終値が公募価格と初値を上回っている

(5)取引所または日証金、当社による信用規制・注意喚起銘柄を除く

図表の銘柄は上記の条件をすべて満たしています。

掲載の順番は銘柄コード順にしています。

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※記載のレポートは過去に投資情報メディアで掲載されたものです。足元の市場環境や関連銘柄の株価、各種データは掲載時点から変化している可能性があります。ご覧いただく際は、最新の情報もあわせてご確認ください。

【銘柄一覧】2026年躍進か?IPO後に株価が伸びた6銘柄

取引 チャート ポートフォリオ コード 銘柄名 株価
【7/7・円】
公募価格・円
(分割考慮・円)
初値・円
(分割考慮・円)
325A 325A 325A 325A TENTIAL(1:3) 1,443 2,000
(666.7)
2,600
(866.7)
332A 332A 332A 332A ミーク 1,064 800 845
341A 341A 341A 341A トヨコー 2,057 730 871
367A 367A 367A 367A プリモグローバルホールディングス 2,945 2,150 2,013
421A 421A 421A 421A ムービン・ストラテジック・キャリア 3,810 2,080 2,502
485A 485A 485A 485A パワーエックス(1:3) 1,937 1,220
(406.7)
1,130
(376.7)
  • ※Quickデータ、会社公表データをもとにSBI証券が作成しました。
  • ※銘柄名のカッコ内の比率で上場後、株式分割を実施しています。

一部掲載銘柄を詳細に解説!

TENTIAL(325A)~「疲労回復はパジャマから」、睡眠市場に挑む急成長ブランド

★日足チャート(6か月)

★業績推移(百万円)

◎「疲労回復はパジャマから」— BAKUNEが切り拓いたコンディショニング市場での存在感

「健康に前向きな社会を創り、人類のポテンシャルを引き出す」というミッションのもと、コンディショニングブランド事業を単一セグメントで展開する企業です。

2018年の創業当初はインソール(靴の中敷き)販売からスタートしましたが、リカバリーウェア「BAKUNE」が大ヒットし、現在では売上高の8割超(2025年8月期)を占める主力商品に成長しました。「BAKUNE」は独自素材「SELFLAME®」により着用者自身の体温(遠赤外線)を反射・放射させ血行を促進する仕組みを採用しており、「家庭用遠赤外線血行促進用衣」として一般医療機器の届出(2021年4月)も行っています。

安価な模倣品が増える中でも、医療機器としての管理体制を整えている点は大きな差別化要素とみられます。現在は「BAKUNE」だけでなく、寝具やワークウェア、インソール・サンダルといった周辺カテゴリへも展開を広げ、24時間365日の生活シーンでコンディショニングを支えるブランドへと進化しています。

販売は自社ECや直営店舗を中心に行っており、自社チャネル比率は約9割(2025年12月~2026年2月期)に達します。企画・開発からマーケティング、ECサイト運営、顧客サポートまでを内製化することで、外部依存を抑えながら自社に顧客データを蓄積し、高い売上総利益率(2026年8月期第2四半期累計は72.7%)を実現しているのが特徴です。



◎広告投資をしながら利益は2倍に 好調の中間決算と上方修正

4/14(火)発表の2026年8月期第2四半期(2025年12月〜2026年2月)決算は、クリスマス商戦を含む同社の最需要期にあたり、期待を上回る結果となりました。売上高は93億9,500万円(前年同期比67.1%増)、営業利益は15億3,100万円(同102.9%増)と、いずれも四半期として過去最高を更新しています。特筆すべきは、広告投資を積極的に行いながらも売上高営業利益率が前年同期比で2.9ポイント改善した点です。売上高の伸びに加え、変動費の削減効果や固定費の管理徹底が利益率改善に寄与したことが明らかになりました。

2026年8月期第2四半期累計(2025年9月~2026年2月)では売上高164億7,100万円(前年同期比80%増)、営業利益21億8,900万円(前年同期比77.5%増)でした。この好調な業績を受け、会社は2026年8月期通期業績予想を売上高280億4,600万円→330億8,100万円(前回予想比17.9%増、前期比70.6%増)、営業利益30億2,000万円→38億400万円(前回予想比25.9%増、前期比67.1%増)へ上方修正しました。あわせて2026/6/29を権利落日として株式を1株から3株に分割し、株主優待制度も拡充しています。

※同社は決算期変更を行っており、2025年1月期(12か月)の後は2025年8月期(7か月)となっております。上記の増減率は2024年9月~2025年8月の数字を会社側が便宜上合算・算出した参考値(会計上の数値とは異なる)との比較であり、2026年8月期第2四半期決算説明資料に記載された数字です。



◎リカバリー市場での活躍に期待か

同社が対峙する「リカバリー(休養・抗疲労)市場」は、「日本リカバリー協会」の推計で2025年に約7.6兆円、2030年には約14.3兆円まで拡大すると見込まれる巨大市場です。日本人の睡眠時間の短さや、心身の不調や疾患を抱えながらも無理に仕事をして、業務効率や生産性が低下している人も多いといった社会課題を背景に、個人・法人双方で健康への投資意識が高まっていることが追い風となっています。

一方で、市場拡大に伴いMTG(7806)やワークマン(7564)、AOKIホールディングス(8214)など競合の参入も相次いでおり、価格競争が一部で生じているのも事実です。こうした中で同社は、高価格帯・高付加価値のポジショニングと医療機器としての信頼性を武器に、価格競争とは一線を画す戦略を貫いています。

「BAKUNE」で獲得した顧客基盤を寝具・WORK・FOOTへ広げる横展開戦略により、中期的には売上高成長率30%以上の継続と売上高営業利益率15%以上への引き上げを目指しています。もっとも、売上の8割超を「BAKUNE」に依存している点や、製造委託先の集中、在庫水準の管理、配当を実施していない点などは、中長期で保有を検討するうえで留意すべきリスクといえるでしょう。

会社側は7/15(水)に2026年8月期第3四半期決算を発表する予定です。同四半期(2026年3月~5月期)については、WBC大会協賛費および関連マーケティング費用、父の日・母の日商戦に向けた先行広告投資が見込まれるとのこと。2026年8月期の利益は第4四半期偏重になると会社側は予想しており、過度に四半期決算発表に期待しない方がよいかもしれません。

なお、トピックスとしては6/23(火)に同社は、睡眠ゲームアプリ「ポケモンスリープ」とコラボしたリカバリーウェアなど全9アイテムを数量限定販売すると発表しています。リカバリーウェアは若年層以上がメインターゲットと見られ、子供市場で一定の売上を獲得できれば、販路の拡大にもつながりそうです。

トヨコー(341A)~独自技術で社会インフラをメンテナンス。生産キャパの引き上げがキーポイント

★日足チャート(6か月)

★業績推移(百万円)

独自技術で老朽化した建物をメンテナンス

トヨコーは老朽化した工場や倉庫、社会インフラなどのメンテナンス、老朽化対策、サビ取りなどを展開しており、2025年3月に東証グロース市場に上場しました。老朽化した構造物をより永く、次の世代に受け継ぐ「キレイに、未来へ」を会社のミッションとしています。

セグメントは「SOSEI事業」と「CoolLaser事業」の2つです。

SOSEI事業では瞬間硬化する特殊樹脂を老朽化した建物の屋根に吹き付ける補強作業を展開しています。経年劣化による漏水の予防、断熱、補強の効果を付与することができます。会社WEBサイトによると、SOSEI工法施工後は状況に応じて、施工後10年を目安に再施工などの提案を行うとしており、リピーターの獲得も期待できます。

CoolLaser 事業では高出力サビ取りレーザーを独自開発し、橋梁分野・鉄塔分野・海事分野などのインフラオーナーに対し、装置の製造販売、保守サービスなどを展開しています。特許技術である高速円回転照射技術を採用した高出力レーザーを搭載しています。



◎前期に引き続き、今期も増収増益の予想

2026年3月期の通期業績は売上高31億3,300万円(前期比54.7%増)、営業利益6億2,900万円(前期比108.8%増)の増収増益でした。配当金は出していません。

昨年まで赤字だったCoolLaser事業が黒字化したことで、営業利益を押し上げました。

2027年3月期通期の会社業績予想では売上高40億円(前期比27.7%増)、営業利益7億9,000万円(前期比25.6%増)の増収増益の計画です。

SOSEI事業が着実に利益を積み増す一方で、CoolLaser事業が高成長をけん引する構図になっています。また、CoolLaser事業は今後海外にも展開していく予定です。同社の決算説明会では、すでにUAEの顧客から初受注していることが言及されています。



◎今後の展開とリスク

同社の飛躍の鍵であると同時に、リスクとなる要素はCoolLaserの生産キャパであると考えています。

今期の業績予想の中で、CoolLaserの売上高は21億円となっています。一方で同社が公表したCoolLaserの売上パイプラインを確認すると、受注済みが9億1,100万円、見積提示済・発注待が13億8,500万円となっています。このすべてを売上高として計上するに至れば、今期予想の売上高水準は達成することが可能です。さらに商談中(納期交渉など)が36億2,000万円積み上がっており、すべてを合計すると59億1,600万円です。もちろん、すべての数字が成約・納品まで進み、売上高に計上されるわけではないと思われますが、今後の業績への寄与が期待できるものとなっています。

一方で、今期の生産キャパは約30億円の水準にとどまっています。仮に現在商談中のものが成約につながったとしても、約29億円分は納期が来期にずれこむことになります。決算説明の場でも同社から言及されていますが、生産キャパの引き上げが急務となっています。生産キャパを引き上げられない場合は受注残高は積み上がる一方で、売上高、営業利益が伸びずに、株価にもマイナスの影響を与える可能性があり、リスクといえます。

株価について、2026年3月以降は2,000円から2,200円の幅で、横ばいとなっている状況です。同期間はAI・半導体関連銘柄が相場全体を主導していたと思われ、同社の業種にはスポットが当たりにくかったのではないかと考えられます。また、5月13日(水)の決算発表を通過してからは、同社株価に影響を与えるような材料が乏しかったといえます。

バリュエーションを見ると今期予想PERは42.83倍で同業種のショーボンドホールディングス(1414)の予想PER16.98倍や東証グロース市場の予想PER34.51倍と比較して割安感はありません(※1)。

そのため、株価上昇には業績予想の上方修正や、生産キャパの引き上げなどのプレスリリース・株価材料が必要になると思われます。また、日本政府が掲げる、成長戦略17分野の「防災・国土強靭化」に関連する銘柄であり、こちらも株価材料になる可能性があります。

AI・半導体関連主導の相場においてはスポットが当たりにくい銘柄ですが、同社公表の売上パイプラインから業績の上振れが期待でき、投資妙味がある銘柄であると思われます。

※1:今期予想PERは7月7日の終値にて算出。

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