今宵の桜のように?出遅れながら満開が期待される銘柄は?

今宵の桜のように?出遅れながら満開が期待される銘柄は?

投資情報部 淺井一郎  栗本奈緒実

2024/04/05

今宵の桜のように?出遅れながら満開が期待される銘柄は?

東京都(千代田区)では、3/29に桜の開花宣言が出されました。平年よりも5日遅く、2013年以降で最も遅い開花となったそうです。昨年末から今年初旬にかけて記録的な暖冬だっただけに、なんとなく桜の開花も早いと思っていたのですが、思いの外、焦らされたような感があります。

さて、2024年の国内株式市場は堅調に推移しています。先週、24年第1四半期(1-3月期)が終了しましたが、日経平均の四半期騰落率は+20.6%、TOPIX(東証株価指数)は+17.0%となりました。特に日経平均の上昇率は、2009年4-6月期以来の高さと堅調でした。

ただ、最近の値動きに注目すると日経平均は3/22の取引時間中に41,000円台に到達しましたが、その後は頭打ちとなり、新年度入りとなった4月以降は概ね39,000円台で推移するなど、やや伸び悩んでいます。年初からの上昇相場をけん引してきた日経平均の値動きに対する影響が大きい値がさ株(特に値がさハイテク株)や、円安を手掛かりに堅調に推移してきた自動車株などの輸出株、などの上昇に一服感が強まったことが背景にあると考えられます。

もっとも、国内株式市場の先行きについて悲観的な見方が広がっている訳ではなく、中長期的な先高観は健在と考えられます。ただ、当面は、今年に入ってからハイスピードで上昇してきた値がさ株や輸出株のスピード調整局面が続く可能性があり、そうした中で次の物色対象として矛先が向かうことが期待されるのが「出遅れ銘柄」であると考えられます。

前述した通り、日経平均は年初来からの四半期で20%超の大幅上昇となりました。しかし、東証プライム市場に上場している銘柄のうち、年初来騰落率(4/3までの騰落率)が20%を超えているのは全体の2割ほどでした。8割強の銘柄は日経平均をアンダーパフォームしています。それだけ株式市場の上昇が一部の銘柄に偏っていたということがいえるでしょう。

こうしたアンダーパフォームしている銘柄の中にも好業績への期待が高い銘柄が数多く見られます。そこで本稿では、これから3月期決算企業の決算発表シーズンが到来することも加味しながら、出遅れ感の強い好業績が期待される3月期決算銘柄をピックアップしました。

具体的なスクリーニング条件は以下の通りです。

(1) 東証プライム市場上場

(2) 3月期決算銘柄(今期:24年3月期、来期:25年3月期とする)

(3) 年初来の株価騰落率が+10.0%未満

(4) 昨年度末(23年3月31日)以来の株価騰落率が+38.2%未満

  (TOPIXの23年度株価上昇率は+38.2%)

(5) 年初来、昨年度末以来の株価騰落率が▲10%超の銘柄は除外

(6) 今期経常利益予想が期初から上方修正(+10%以上)

(7) 今期・来期経常利益予想が二桁増益

※経常利益予想はQuick社が集計するアナリスト予想の中央値(Quickコンセンサス予想)

※スクリーニングの基準となる株価、経常利益予想は4/3時点のデータ

図表の銘柄は上記の全条件を満たしています。

掲載は、(3)にある年初来騰落率が低い順です。

今年の桜のように出遅れはしたものの、満開の花を咲かせてくれるような銘柄が出てくるのか、注目したいと思います。

今宵の桜のように?出遅れながら満開が期待される銘柄は?

取引 チャート ポートフォリオ コード 銘柄名 年初来騰落率 今期予想
経常増益率

来期予想

経常増益率

9048 9048 9048 9048 名古屋鉄道 ▲6.6% 29.9% 25.9%
2607 2607 2607 2607 不二製油G ▲2.8% 66.2% 16.8%
3762 3762 3762 3762 テクマトリックス ▲2.2% 12.1% 14.5%
6104 6104 6104 6104 芝浦機械 +1.6% 167.1% 15.8%
8864 8864 8864 8864 空港施設 +2.2% 34.4% 10.9%
8153 8153 8153 8153 モスフードサービス +2.7% 967.4% 10.5%
2282 2282 2282 2282 日本ハム +4.2% 95.9% 12.3%
3221 3221 3221 3221 ヨシックスHD +4.5% 30.9% 20.8%
9006 9006 9006 9006 京急 +4.9% 133.8% 24.0%
9044 9044 9044 9044 南海電鉄 +6.0% 56.3% 11.7%
3393 3393 3393 3393 スターティアHD +7.2% 23.1% 10.1%
6586 6586 6586 6586 マキタ +8.6% 144.5% 27.1%
3679 3679 3679 3679 じげん +9.6% 31.0% 23.6%
  • ※会社公表データ、Quick Workstation Astra managerデータをもとにSBI証券が作成
  • ※予想経常増益率はQuickコンセンサス。今期は24年3月期、来期は25年3月期

掲載銘柄の一部を解説!

■南海電鉄(9044)~大阪府南部地盤の私鉄大手。なんば駅周辺開発のポテンシャルに注目

★週足チャート(1年)

  • ※データは2024/4/5(週足)10:00時点。
  • ※当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。
  • ※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。

★業績推移

  • ※QUICK Workstation Astra ManagerよりSBI証券が作成。予想はQuickコンセンサスを使用

20243月期は過去最高益更新へ

大阪府南部から和歌山県北部を地盤とし、関西国際空港への乗り入れ(関西空港線)をしている私鉄大手です。非鉄道事業としては、同鉄道のターミナル駅となるなんば(難波)駅周辺の再開発を進めています。

本業である鉄道事業は、インバウンド需要の回復に加えて、昨年10月1日からの賃金改定を背景に、運輸収入はコロナ禍前である19年3月期の水準を回復しています(23年10-12月期)。

2/28に同社は今期(2024年3月期)業績予想の修正を発表しました。純利益予想については、従来予想の218億円から231億円と、過去最高益の更新が予想されています。鉄道事業に加え、人流が増加したことによる駅コンビニ事業の売り上げ増など、非鉄道事業も想定を上回ったことが利益上方修正の背景にあります。

来期(2025年3月期)は、引き続きインバウンド需要の回復が見込まれることや、昨年の運賃改定の影響が通期で業績に貢献することに加え、なんば駅周辺開発の加速による収入増も期待されています。

■長期的には「なにわ筋線」開業に注目

長期的な成長シナリオとして注目されるのは、2031年春に開業を目指している新線「なにわ筋線」です。JR西日本と同社が共同で運営する同路線は、JR大阪駅と南海本線の新今宮駅を結んでいます。大阪市の中心部を南北に貫き、新幹線停車駅である新大阪と関西国際空港のアクセス向上が期待され、大きな経済効果が期待される注目の路線となります。

同社は2050年に向けた長期的な“なんば”の街づくりとして「グレーターなんば構想」を推進しています。「なにわ筋線」の開業は勿論、2025年の国際博覧会開催、2030年のIR(統合型リゾート)開業を見据えた、長期的な街づくりに取り組む方針です。

23年3月期から25年3月期を対象とする中期経営計画では、3年間で300億円の投資を行うことを計画しています。昨年7月には、日本初進出の高級ホテルやオフィスビルなどを備える新開発地区「なんばパークサウス」を全面開業しました。なんば駅周辺開発の推進による長期的な資産価値の上昇が、同社株の魅力を高めていくことが期待されます。

■マキタ(6586)~世界的大手電動工具メーカー。欧州経済底入れの兆しが追い風

★週足チャート(1年)

  • ※データは2024/4/5(週足)10:00時点。
  • ※当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。
  • ※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。

★業績推移

  • ※QUICK Workstation Astra ManagerよりSBI証券が作成。予想はQuickコンセンサスを使用

■海外売上8割超の大手電動工具メーカー。「充電製品」が主力

1915年創業の大手電動工具メーカー。電動工具や園芸用機器をはじめ「充電製品」を中心に、製品ラインアップを幅広く展開している点が特徴です。

1970年、米国に現地法人を設立。以降、積極的に海外事業推進。現在、約180カ国で製品を販売し、生産も9割超が海外です(23.3期)。売上収益の海外比率は84%に上り、うち、欧州46%(西欧26%、東欧ロシア19%)、北米16%、アジア(除く日本)7%...etcと海外がメイン市場です(同)。

充実したアフターサービスやパワー等の機能の他、主力製品が「充電式」のため排出ガスを出さず、環境に配慮された製品である点が人気の理由です。特に最大市場の欧州では、脱炭素社会の流れが追い風となっています。また、近年は、プロ向け充電式工具の先駆者として培った技術を他分野にも応用。身近な製品では、コードレス掃除機が話題です。高性能なバッテリが搭載されており、機能充実かつ高コスパと評判です。

■欧州の景況感は底入れ?本格的な業績回復はこれから

23.3期は円安により売上高が過去最高を更新。しかし、原材料費や販管費の高騰等を背景に営業利益は282億円(前期比70%減)の大幅減益となりました。

今期3Q時点の売上高は、5,506億円で前年同期比5%の減収。各国の金融引締めによる住宅需要の低迷及び建築・建設市場への投資が抑制されたことが要因です。一方、売価改定や為替の影響などで原価率が改善。営業利益は480億円と同76%増となりました。24.3期の会社予想営業利益は590億円(前期比108%増)、SBI証券の予想では、25.3期の営業利益は775億円、26.3期は850億円と順調に回復が続く見通しです。

今後の業績動向の要である欧州市場では、ECBの政策金利が4.0%と過去最高水準に位置しています。しかし、足元のインフレ率は落ち着きを見せており、利下げ開始の見方が強まってきています。市場のメインシナリオ通り、ECBが今年6月に利下げを開始した場合、同社株価にとって好材料となるでしょう。景況感も底入れの兆しを見せています。

24.3期の本決算発表予定日は4/26(金)です。原材料価格の高騰に対応しきれなかった等で、各利益の通期計画を下方修正を行った2021年10月以降、軟調な株価推移が続いています。現状の利益率改善に対しての効果が、業績見通しに本格的に反映されてくるのはこれからのため、出遅れ銘柄として注目が集まるでしょう。

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